No.610370

武器の御遣い

第弐拾話

2013-08-19 20:46:18 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2058   閲覧ユーザー数:1838

 

 

 

 

あの後、迦楼羅は一刀を文字通り見た通りボッコボコのギッタギタ(死語)にした。そして周りの将達は『迦楼羅(馬謖)の乱心か!?』と驚いていたが、理由を聞いたら魏・呉の面々は呆れ、蜀の面々には一刀がお説教を喰らうと言う結末に成った

 

 

一刀の話では、一刀が天の国――現代に戻ってから5年の月日が経ち、大陸に戻る方法を探していると、貂蝉と名乗るブーメランパンツ一丁のムチムチの大男が現れて大陸に送られたらしい。その際、姿を確認すると現代に戻った時と同じ姿だったらしい。そして、夜中だった為、一旦どこかで身を休めようといたら桃香達(酔っぱらい)に連れて来られたらしい

 

 

迦楼羅と星はその特徴の人物に心当たりが有ったが、あえて黙っていた

 

 

とか何とか言って如何にかこうにか迦楼羅の機嫌を戻し、その日はお開きと成った

 

 

 

 

さて、時間は飛び、覇権を争っていた魏・呉・蜀の間に平和が訪れ、3国同盟が締結してから3ヶ月後。一刀は3国による天下統一の象徴として皇帝に即位し新しい都に居を構え、三国の重鎮の満場一致により国号を(ごう)とした

 

 

皇帝に即位した理由。それは語られていなかったが、反董卓連合に董卓軍が敗れるちょっと前に、霊帝の劉宏・その二人娘の劉弁と劉協・当時の大将軍の何進・十常侍筆頭の張譲の5人が行方不明に成ってしまったのだ。その事に慌てた両袁家と曹操が洛陽全域と付近の邑・街・集落をくまなく探したが結局見つからず、麗羽・斗詩・美羽・七乃・華琳・桂花の6人は、5人は死んだ事にし、洛陽に居た真っ当な文官や、3つの軍から選出された文官達で皇帝の仕事の代理をさせていたのである。そしてこの度、正式に皇帝を定めると言う方針が決まり、白羽の矢が立ったのが先の大乱を収めた英雄で天の御遣いである一刀である

 

 

一刀は始めは辞退したが、三国の王と馬謖軍のゴリ押しと蜀の将達の懇願で皇帝に成った

 

 

そして、同盟を組んでから組まれた3国選りすぐりの精兵が入り混じっている北郷隊、護衛・政務何でもそこそこに出来る侍女十数人が補佐に着き、一刀は何とか都の運営をしていた

 

 

 

 

一刀が皇帝に成ってから暫くしてから。三国の主要な将や軍師が洛陽に集っていたが、大変な事態に見舞われていた

 

 

霞「どわぁぁっ!」

戦姫「ぬおっ!」

 

 

霞が思いっきり転んで、助けようとした戦姫も足を滑らせて転んでいた。

しかも上手い具合に頭をぶつけあい、お互い痛みに悶絶している。

同じ頃、桃香は重要な物でこそ無かったが、苦労して終わらせた書類に墨をぶちまけ、星は洛陽に有る中で最高級のメンマを買ったは良いが、手を滑らせて落としてしまった

更に春蘭が迦楼羅に挑みかかって吹っ飛ばされたと思ったらその先に蜂の巣3つも有る木にぶつかって蜂に追い回されている

 

 

桃香「うわあああぁぁぁん! わ、私の苦労があぁぁぁっ!!」

星「わ、私の楽しみにしていたメンマが」

春蘭「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

城に響き渡る三つの悲鳴

だが、悲鳴はこれだけではない

各所で兵士や文官、果ては侍女からも悲鳴が上がっている

それも全部、何かしらの不幸な出来事が原因で

 

 

一刀「これが、詠の不幸の日なのか?」

『…………ん、らしい』

 

 

詠の不幸の日、それは極稀に起こる災厄の日の事である

月の親友、元董卓軍軍師の詠は不幸を溜め込みやすい体質をしている

それだけならともかく、何の前触れも無く溜め込んだ不幸が湧き出る日がある。

そうなると会うだけで何かしら不幸に会い、喋ればもっと酷い不幸があるそうだ。

これの影響を受けないのは、長年一緒にいる月しか確認されていない。

飛将軍の恋までもがこれの影響を受け、昼食用に買い込んだ肉まんを転んで全て駄目にしてしまった。

しかも、翌日が給料日なのでお金はもう無い。偶々迦楼羅が通りかかり、代わりの肉まんを買ってもらって事無きを得た。が、迦楼羅が通りかからなかったら天下の飛将軍が道端で行き倒れになっていたかもしれない

………空腹が原因で

 

 

『………何人か不幸は終わった。大将、不幸は?』

一刀「いや、今日は詠に会ってないんだよ」

 

 

一刀もこの話は既に知っていた。月が教えてくれたのだ。そして今日がアノ日だと気付いた詠は城に居るととんでもない事が起きそうだからと、城下に行った

 

 

一刀「半信半疑だったけど、ここまで被害が出るとなぁ」

 

 

頭を打った霞と華雄は既に医務室に搬送済み

桃香は書類を一から書き直し、星はショックで寝込み、春蘭は蜂から逃走中

 

 

他にも色々な部署から報告書が届いている。

政務や警邏、侍女達の仕事に然程影響が無いのは、不幸中の幸いだろう。

 

 

一刀「柚子(大喬の真名)と檸檬(小喬の真名)は買い物してる時に、商人の積荷の食材が雪崩れてきて、それに巻き込まれて気絶。鈴々・季衣・猪々子・夏蘭が食あたり、桔梗は箱詰めの矢を運ぼうとしたら急に底が抜けて矢が足に刺さった。軽傷だったのは幸いだな」

 

 

おそらくは、詠との接触が少なかったのだろう。そうでなくては、軽傷で済むはずがない

 

 

『………武器の手入れあるから、俺は行く』

一刀「ああ。引き留めてすまなかったな」

 

 

そう言って迦楼羅は訓練場の方に歩いて行った

 

 

 

 

その後も不幸の報告が後を絶えなかった

 

 

警邏中の凪と会ったら食用の蛇が凪の頭上に大量に降って来たり。

軍師13人(欠席者は詠・菖蒲(しゃうほ)・玲)がお菓子を摘みながら出来る軍議をしていたらお茶が麺つゆ、肉の無い肉まん、カチカチの古い煎餅が出てくる等して出席していた軍師全員食あたりに会い、軍議室は死屍累々の惨状。

沙和と真桜の武器が不調をきたし、直していると螺旋槍が爆発して沙和と真桜、そして見学していた華琳・琳璃・琳華が軽い火傷を負う軽傷。

雪蓮と祭が酒に当たってダウン。翠・蒲公英・向日葵・白蓮達4人が夫々乗っていた馬が春蘭を追っていた内に群れから逸れた蜂に刺され、馬が暴れて落馬、幸い踏まれなかったので軽傷。

明命は猫を追いかけていると蒲公英が掘って放置されていた落とし穴にはまって腰を打撲、幸い軽傷。

買い物をしていた蓮華と思春は求めた物が買えず、可也落ち込んでいた。

由真は唯、香菜と共に肉まんを食べて3人揃って食あたり。

愛紗は鍛錬をしていたら武器がすっぽ抜けて柄が脳天直撃。現在医務室で療養中

 

 

不幸に見舞われていないのは

紫苑・焔耶・璃々・麗羽・斗詩・美羽・秋蘭・流琉・馬謖一党(迦楼羅・菖蒲・桜・緑・神楽・秋桜・玲・楓・雫・椿の10人)・一刀・張三姉妹・南蛮ズの26人である。因みに、秋蘭・流琉・一刀はまだ詠に会っておらず、張三姉妹は三国縦断公演で洛陽に居ない。南蛮ズに至っては南蛮に居るため不幸に会う筈も無い

 

 

と、ここで

 

 

 

 

 

 

 

 

           ドーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

という爆発音が訓練場から聞こえて来た

 

 

一刀「アッチは……訓練場!?迦楼羅!?」

 

 

一刀は爆発音の聞こえた方向から場所を特定し、訓練場で(迦楼羅)(武器の手入れ)をしているか思い出し、急いで訓練場に向かった

 

 

 

 

一刀が訓練場に着くと、訓練場の中央に大きなクレーターが出来ており、その近くで緑が紫苑を、桜が流琉を、神楽が半泣きの璃々を、秋桜が秋蘭を、玲が斗詩を、楓が麗羽を、雫が美羽を、椿が焔耶を抱えており、大楯を持ってクレーターと18人の間に立っている迦楼羅が居た

 

 

一刀「い、一体何が起こったんだ?」

 

 

恐る恐ると言った感じで19人を見てそう聞く一刀

 

 

菖蒲「実は、師匠の武器の手入れをボク達10人でやってたら、紫苑達が来て見学してたんだけど、璃々の足元に爆薬が転がってっちゃって、それで璃々が拾って持って来てくれたんだけど、転んで落として衝撃で爆発しちゃったんだ」

一刀「何で爆薬なんて危ない物持ってるかは迦楼羅だからって事で問わないけど、でっかいクレーター(これ)以外の被害は?」

菖蒲「武器の手入れは殆ど終わってて師匠が仕舞った後だったし、皆ボク等が安全圏まで運んだし、師匠が楯で熱風防いでくれたし。強いて言うなら爆薬が減ったくらいだね」

一刀「そうか、なら良いんだ。璃々、これからは足元をちゃんと見ないとダメだぞ?」

璃々「ふぇぇぇぇぇん!ご主人ざま、ごめんなさい!怖かったーー!!」

一刀「よしよし」

 

 

一刀は泣きながら擦り寄ってくる璃々の頭を優しくなでる

 

 

一刀「迦楼羅、これどうする?」

『……問題無い』

 

 

迦楼羅は何時の間にか右手に持っていたボタンの付いた箱を持ち上げ、ボタンを押す。すると

 

 

「「「「「「「………イヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!」」」」」」」

 

 

何処からともなくそんな掛け声と共に大きな木槌や工具が入って居るであろう木箱を持った男達が現れる

 

 

男達「「「「「「「ソイヤ!」」」」」」」

『………ここを直して欲しい』

男達「「「「「「「ソイヤ!」」」」」」」

『……直せたら、美味い酒を褒美に上げる』

男達「「「「「「「ソイヤ!!!!!!」」」」」」」

『……かかれ~~』

男達「「「「「「「ソイヤ!!!!!!!!!!」」」」」」」

 

 

一際大きな掛け声と共に作業に取り掛かる男達

 

 

一刀「……………え~~っと、迦楼羅?あの人達、誰?」

『……庭園✝無双の人達』

一刀「ていえんむそう?」

『(コクリ)……知らない?』

一刀「知らなかった」

菖蒲「ああ。そう言えば、大将が洛陽に来てから組織されたんでしたか。これを渡しておきます。この中央部を押せば庭園✝無双が来ます。要件を言ってかかれ!と言えば作業にかかります」

 

 

そう言って菖蒲は一刀に迦楼羅が持っていた物と同じ物を渡す

 

 

そうこうしている内に日が暮れ、各々部屋に帰って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不幸被害を受けなかった者

 

 

一刀・天和・地和・人和・美以・ミケ・トラ・シャム

 

 

 


 
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