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真・恋姫†無双 ~孫呉千年の大計~ 第2章 13話

雪月さん

常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと

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2013-07-24 21:07:03 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:5572   閲覧ユーザー数:4338

第2章 反董卓連合編 13話 『 反董卓連合・虎牢関頂上決戦! 一刀 VS 恋 』

 

 

 

 

恋は生まれてこの方、『人』相手には一度として敗北したことはない

負けたのは虎や熊といった大型動物に数度だけである 

 

恋にとっては生き残る為に止むを得ず抵抗し、その生存競争の折についた傷跡が、今でも大きく深く・・・

恋の体中の至る所に刻み付けられている

 

しかしそれも幼少の頃の話で、大きく成長を遂げてからの恋は、次第に武の才能が開花し

赤兎と方天画戟を手にするや、それからは野生の勘、天賦の才のお陰もあり、傷一つ受けた事も皆無であった

 

そして荊州黄巾賊征伐で三英雄の一人として名が大陸中へと轟き

今では飛将軍、軍神、武神などの二つ名で呼ばれる事の方が多いくらいなのだ

 

月へと仕官してからも同様、霞や華雄といった猛将とも何度手合わせしても同じであった

霞や華雄には悪いが、本気を出すまでもなく、勝負がついてしまっていた恋である

 

その都度よく皆に聞かれ問われる・・・ どうして恋はそれだけの強さを持ちえたのかと・・・

しかし恋にとって、その問いかけは首を傾げざる負えない

 

恋自身特別な事など何もしていないと思っているからだ

強いて言うならば、生き残る為に必要に応じて、勝手に身についていたといえるのである

 

獅子や虎は生まれた時から子供であろうと遺伝子レベルでの”強さ”をすでに秘めている 

食物連鎖の捕食の上位に位置する、”狩る側”の生まれ持った”強さ”といえるだろう

 

 

恋の強さは、弱肉強食を体現したような野生の逞しさともいえる類の強さといえたが

その対極に位置するのが前にも述べた一刀といえる

 

 

一刀の幼少時代はそんなに強い訳でなかった 妹の和葉の方が柔術に長け強かったくらいである

ならば何故、これほどに強くなれたのだろうか?

 

一刀の並々ならぬ努力もあっただろうが、それは幼い頃からの爺ちゃんと母・緋蓮による英才教育の賜物

 

才能という下地の上に、さらに限界まで磨きあげ鍛えられた一刀は

炉へと入れ、何度も鎚で叩き鍛え上げ、丹念に折り、鎚でさらに叩き鍛え上げ冷やす

という工程を繰り返されて造られる”日本刀”そのものと例えることができよう

 

 

恋と一刀の闘いは、野生の本能、天賦の才 VS 人の手によって洗練され磨き上げられ珠玉の一品へと昇華させた才能の闘いといえた

 

 

ちなみに、初期の雪蓮はどちらかというと恋と同じ、野生の勘、天賦の才による強さといえるが

今では天性の直感を頼りに、一刀から修練を受け磨き抜かれた武術を駆使するようになっており

恋と一刀の中間に位置しているといえ、また二人と違った強さの煌きを垣間見せている

 

「待たせて悪かったね 機嫌が悪かったようだけど、もしかして・・・退屈だったのかい?」

との一刀の問いかけは的を得ており、恋は素直に首を縦にぶんぶん振って、周りを囲んでいた春蘭達の気持ちを逆撫でするものの・・・

これだけの人数で囲んで攻撃しながら、恋を倒せないばかりか

一撃の有効打撃も与えられないのだから・・・唸るしかなかった春蘭達である

 

「一刀様の強さも存じておりますが、呂布の強さもまた桁違いです お気をつけを」

「兄様・・・ご無事で」

 

すれ違いざまに、愛紗の忠告や蓮華の気遣いに、一刀は笑顔を浮かべて頷くと、そのまま歩みを止めることなく恋へと近づいていく

恋もまた一刀を迎え撃つべく、珍しく跨っていた赤兎から降りた恋である

 

ボルテージも最高潮の状態で闘っていた雪蓮と霞の二人であったが、こちらにも少し異変が生じていた

 

「張遼?」

「うっさいな ボケ! 闘いに集中しいや! そんなにうちに殺されたいんか?」

と飛龍偃月刀を振るいながら、雪蓮が闘いの途中で声をかけてきた事に、気持ちが乗っていた霞はイラっとする

 

「だって・・・貴方との闘いも面白いんだけど、もっと面白い闘いをあっちでやるんだもの・・・ あっちが決着つくまで休戦しない?」

と雪蓮に指摘されては、霞としてもどんどん気になり出して、もはや雪蓮に対する闘いの気合も薄れてしまっていた・・・

 

「うぐっ・・・ぐっ そういわれればそうなんやけど・・・な

 うちだけ気合入りすぎててもしゃ~ないか うちもあっちの行方気になるし ええよ」

と南海覇王をその場の地面へと突き刺す雪蓮の行動を見届けた霞は、自身の飛龍偃月刀を南海覇王近くへと突き刺す

 

 

人類最強戦の行方に、雪蓮も霞も興味津々の様子で、闘っていた手を休め、共に闘いが始めるのを固唾を呑んで見守る

 

 

恋と一刀は己の武器を手にしたまま、お互いの間合いに入っているのにも関らず、歩みを止めることなく尚も近づく

今ではその距離は、目と鼻の先ほどの距離にまで近づいて、お互い視線外すことなく、しばしの間ずっと視線を突き合せていた・・・

 

この時点での敗者はなく、お互いが勝利者であると言えた 

果たして強いのはどちらか? 今はただその原初の闘争本能だけが、二人が共有する想いの全てであった

 

 

「それじゃ始めようか」

一刀の言葉にコクッと頷く恋 視線を外した一刀はそういうと、恋に対して無防備に背を向けながら距離を取る

 

一刀の持つ2本の小太刀「桜花」「月影」が、太陽の光を一身に浴びて、刀身が煌びやかに輝く

その姿は、まさに天が遣わしたといえる神々しさを身に纏っていたのだった

 

その姿を恋は敵でありながらも綺麗と素直に感じていたが、背を向けていた一刀から同時に放たれる闘氣に当てられ

次の瞬間にはそんなことなど、頭の中から綺麗にさっぱり消え去っていた 

 

代わりに恋からも漲る闘氣が体中より溢れ出ていたのだ 

全力で戦える相手に漸く巡り会えたのだと・・・恋の野生の勘が身体にそう告げていた

 

 

恋と一刀の周囲を固唾を呑んで見守る連合軍の猛者達が囲む中・・・

 

「かかってこい!」

方天画戟を一刀へ向け突き出し、放った恋の言葉が引き金となり、遂に一刀 VS 恋の一騎討ちの幕が切って落されたのだった

 

 

 

 

開始直後の一刀と恋の闘いは、見た目ほどの派手さは感じられなかった

恋の繰り出す、間合いが広く有利な方天画戟の一撃を、一刀が避ける展開で始まった

 

この一見派手さのない”異変”ともとれる状況を、以前からお読み戴いた読者の皆様ならお判りいただけたやもしれない

 

恋は闘ってすぐさまその異変に苛まれた 恋の本能が”何かがおかしい”と警鐘を鳴らしていた

それが何なのかが判らない けれど闘っている最中に悠長に考えている場合でもなかった

 

方天画戟を握る手に自然と力を込める恋 こんな”奇妙な体験”は始めての事であった

 

冬だというのに恋の額から焦りからか汗が滲み出す

連合軍の猛者達を相手に無双を誇った恋が、一刀1人に焦りを抱いたのである

一刀に先手を取られて優位に立たれてしまった・・・と感じていた恋である

 

 

本来間合いが広い分、方天画戟を持つ恋に有利に働くと、周りの猛者達の誰もがそう思っていた

しかし、蓋をあけてみれば、恋が方天画戟の一撃を放っても一刀には全くもって掠りもしなかった

 

恋が苛まれていた異変 恋の本能は何度も”当たっている”はず・・・なのに一向に手応えもない

当たっていない? 一刀は無傷 どうして?という堂々巡りの出口の見えない迷宮へと陥っていたのだ 

 

本能の叫びと視覚情報のズレ こんなことは始めての経験で、恋は時折首を傾げては、手応えのなさが混乱に拍車をかける

 

「やっぱりね~ 私も一刀の”アレ”に最初にやられたのよね~ 思い出すわ 

 斬ったと思う瞬間が何度もあったというのに手応えが全くない 薄気味悪いったらありゃしないのよね アレ

 あの子もかなり戸惑っているみたいね」(序章 第6話参照)

と雪蓮が自身も味わった、苦い一刀の技の思い出と経験を、霞へと吐露していた

 

「へぇ~ ウチと手合わせした時には、そんなのちっとも感じんかったなぁ 一刀も人が悪いやっちゃ」

と雪蓮と霞の二人は会話を交えて、すっかりギャラリーと化しているようである

 

これの種明かしをすると、すでにお気付きの方もいらっしゃるかもしれない

 

郷流小太刀弐式 『 空蝉 』と呼ばれる技なのだが

”五分の見切り”と避けるほんの一瞬に”神速”を出すだけなのだが            ※五分目安=15.15mm

言葉で表現すると実に簡単そうなのだが、歴戦の猛者ほど、この違和感に嵌ると挙動不審に陥りやすい 

 

それは一刀と以前、序章にて闘った祭と雪蓮がそうであったように

攻撃している最中の、瞬間的に起こる一刀の身体のブレを目視するのは、人間には不可能ともいえる所業なのだが

話はそう簡単に終るはずもなく、ここから恋の”本能”が目覚め、本格的に始動しだしたのだろう

 

恋の一撃が徐々にではあるが、胴着の肩口をかすめ、最後には一刀の身体に触れたのであろう

紅き血飛沫が勢いよく冬空へと舞っていたのだった

しかし一刀は冷静なまま、一瞬だけ視線を出血した肩口へと視線を移しただけで

恋へと構えをとっていた二刀の小太刀を少し下げただけであった

 

血飛沫が舞う様子をみた蓮華は、一瞬、叫び声をあげそうになるのを、ぐっと息を呑んで堪え見守っている

兄様のことだもの・・・これくらいはとは思いつつも

兄の一刀が今の今まで怪我ひとつ負った事も、掠ったことさえ見た事のなかった蓮華にとって

先の一騎討ちでの母・緋蓮のボロボロになった姿が思い出され、胸がきゅっと強く締めつけられるのだった

 

兄様 勝って下さい・・・そして私の下へと無事に返して下さい お願いします!

 

蓮華は涙を両目一杯に溜めながら・・・闘いの行方を見守りつつ、必死に天へと祈りを捧げるのであった

 

                ・

                ・

                ・

 

こりゃ参ったね 五分の見切りで”肩口”に当ててくるとは・・・

一刀は冷静を装いながらも、内心恋の武の適応力に舌を巻いてた

 

恋の武器が”槍”であったなら・・・一刀に未だに当てられずにいただろう

 

しかし、恋は違和感が起こる誤差部分を、戟の部分の攻撃も含めて”本能”にて補っていたのだった

それが五分の見切りから神速を出したのでは間に合わなかった故に、結果起こった肩口の血飛沫といえる

 

これ以上見切りが速ければ、恋に違和感を抱かせることは出来ず、単なる避ける事に他ならない

『空蝉』の真価は、相手である恋に違和感・不信感を抱かせ続けることにある

 

しかし、今の状況は一刀にとって、血飛沫をあげた傷以上に痛い出来事といえた

恋に抱かせた違和感という神威性が払拭されたとも言えるのである 

 

以降、例え恋が繰り出す一撃が当たらなくても、もはや違和感に首を傾げる恋はいないだろう つまりはそういうことなのである

 

柔能く剛を制すの言葉も有る通り、一刀は”違和感”を演出して恋の呼吸のバランスを崩し

恋の最大限の能力を引き出させないことが目的であったのだが

肩口に攻撃が当たる事で一刀の優位性は失われ、互角の闘いへと引き戻されたといえなくもないのだった

 

それからの恋は突きに払いをプラスさせたり、横薙ぎに払うや間髪入れず突きを入れたりと

一刀に読まれないように、攻撃がより高度にどんどんと複雑となってゆく

 

一刀としては、五分の見切りで当たる為、十分の見切りで対応して身体には当たらないものの・・・

 

先程の一刀の肩口の出血で、やはり恋は自身の勘への違和感を取り除いたのだろう

一刀に休む間も与えず、次々と攻撃を繰り出してくるのであった

 

一刀もまた恋の方天画戟の一撃を、身体を捻り溜めた二刀の一撃で大きく弾き返し間を作る

 

闘いは膠着したまま、恋の咆哮と一刀の咆哮が戦場に大きく轟き、周囲へとその熱は伝播し

虎牢関の戦いは狂気に満ちた争いへと突入してゆくのだった

 

 

 

 

恋と一刀の死闘は、今や『空蝉』から立て直した恋が徐々に間合いを制し、自分の優位に事を運んでいた

 

空を切ろうとも膂力で強引に軌道を変化させ、一刀に次々と傷を負わせ追い込んでゆく

今や一刀の胴着は血で真っ赤に染まり、時間が経った事もあり所々黒ずんでいる箇所まで見受けられた

 

方や恋の方はというと一刀とは対照的に、衣服に多少の乱れは出ているが

もともとそんな感じだったと言われれば、そうだったかも・・・と自分の意見を覆してしまうくらいの微々たる差といえた

 

周囲を囲む者達の誰もが、天の御遣いである一刀の強さが際立つのだろうと安易な考えでいた

しかし、優位に立っていたのはほんの僅かの間で、今となっては嬲り殺しに近い形で展開を余儀なくされていた

 

北郷、一刀、天の御遣いが勝てないのなら・・・一体この武神に勝てるものはこの地上に存在すまい

と思わせる程の圧倒的な差が、現実味を帯びて横たわっていた

 

これだけの差を恋に見せ付けられようとも、ボロボロになっていようとも・・・一刀は動く

尚も執拗に向かっていき、恋の”間合い”で懸命に喰らいつき闘い続けていた

 

雪蓮は眉を顰め舌打ちし、腕を組んだ白魚のごとき人差し指が、上下にトントンと忙しなく動かしている

楓は目を大きく見開き、武器をぎゅっと握り締め二人の戦況を見守り

蓮華はもう見ていられなかったのか・・・眉を顰め目を瞑り祈りを捧げていた

 

愛紗や星、鈴々に至っても複雑な表情で見守っていた 

それはそうだろう 一刀の強さを今までまざまざと見せ付けられていた

その実力者の一刀でさえ、この有様なのだから・・・複雑な表情を浮かべるなと言われる方が無理というものであった

 

恋や一刀の周囲をとり囲むその他の猛者達もまた・・・もう勝負あったとみていた

 

連合軍の歴戦を誇る猛者が、これだけの人数をかけても、一太刀さえ当てる事すらできなかったのだ 

それに引き換え一刀は一対一でありながら、恋へと攻撃を当てているだけマシと言えるのだが

一刀+周囲に居並ぶ猛者=恋とは・・・武を誇る者としてこれ以上の恥辱はなかった

恥ずかしくて・・・今すぐにでも何処かへ消え入りたくなるほどの虚無感に襲われる

 

蓮華は目を見開き、遂に我慢の限界がきたのであろう

「もう 私の大切な兄様を傷つけないで! 私の命を貴方にあげますから!

 これ以上・・・攻撃しないで・・・くださ・・・い」

と大粒の涙をこぼしながら、恋へと命を捧げる為に、一歩前へと進み出でようとする

 

「あの子ったら・・・ホンッッと馬鹿なんだから!」

と雪蓮は蓮華の行動を止めようとするが、その必要はなかったようだ 

一刀が鋭き眼光を向け、蓮華の足を凍りつかせたようであった

 

「ハァ・・・ハァ・・・・・・ 蓮華 心配かけてすまない 気持ちは嬉しいが・・・邪魔しないでくれるか?

 俺にとって大切な蓮華の命を失ってまで、生きようなどとはこれっぽっちも思っていないよ

 

 恋との一騎討ちを果たす約束は、我が命ここで尽きようとも、武人として歩む俺にとって、背負うべき重き『宿業』なんだ!」

 

蓮華はこの兄の言葉を受けて、瞳を潤ませながら・・・懸命にうんうんと何度も一刀へ向かって頷き、袖で涙を拭っていた

私は心の奥底で兄様を信用していなかったんだと・・・ その事を深く悔いながら・・・

 

雪蓮は、なんとか思いとどまった蓮華に安堵の溜息を漏らしつつ

「そろそろ”仕込み”は完了した 頃合かな」

と一刀から信じられない言葉を聞き、大きく瞳を開き微笑みをみせる雪蓮

 

「うっうそやろ? 一刀 まだやるんかいな・・・」

霞を始め周囲に居並ぶ猛者達には、一刀の強がり、ハッタリの類に映ったことだろう

 

しかし、雪蓮には長い付き合いの間に、一刀は基本、希望的観測での思考が多い事を肌で感じていた

 

自分の為というより、人の為、より多くの人の為にといった思考を働かせ

自分の事となると見事なぐらいに淡白なのだ それは食事や衣服といった個人に関る物でもそうなのだ

不味くとも服装が似合わなくとも、一刀はまず作ってくれた人に感謝の念を伝える

大陸にはめずらしい人種といえる程、自身に対して全くお金をかけない人物なのだ 一刀は・・・ 

 

そんな人間である一刀が、自尊心の塊の私達が言うような事を、悔し紛れであろうと絶対口にする筈がないと・・・

『確信』があるからこその言葉であると・・・だからこそ一刀の言葉を聞いた雪蓮は、微笑みを浮かべられたのだ

 

雪蓮が感じた事は、闘う恋も感じていた ”これは嘘やハッタリではない”と・・・

しかし、恋にとってはまたもや・・・一刀の指摘された”仕込み”の正体も判らない訳で・・・

油断すれば、もしかして負ける?・・・と恋に思わせるほどの不気味さを纏っていたのだった

 

これで楽しかった闘いもあとちょっとで終り・・・一刀との闘いが最終局面へと動き出した事を悟った恋であった

 

 

 

 

先程放った一刀の言葉とは裏腹に・・・

方天画戟の突きを避けた一刀は、身体を捻って二刀の「桜花」「月影」を恋へと叩きつける

 

突きによって流れる身体を踏ん張ると、膂力で強引に方天画戟を切り返し弾き落とすや、すぐさま肘打ちを一刀へお見舞いする

そう、ほぼ変わらぬ闘いが演じられていた・・・のだが・・・

 

ここで”異変”が起こった

 

一刀は『一分の見切り』を発動させ、頬擦れ擦れに方天画戟の一撃を避けると

恋のお腹目掛けて膝蹴りを返し、それが見事恋の横隔膜へと食い込み

グホッっと身体中に溜め込んだ空気を、一気に限界まで吐かせたのだった・・・

 

何が起こったのか・・・恋が理解する間もなく、一刀は蹲る恋の腕を取り絞めあげる

恋は身体の中心から伝えてくる鈍痛と、腕から突然訴えてくる二つの激痛に遂に悲鳴をあげ始めた・・・

 

恋はカッッッっと大きく瞳を見開き、腕を締め上げる一刀の身体を強引に投げて引き剥がした・・・

 

一刀がフラフラと態勢を立て直した眼に飛び込んだ光景とは・・・

恋を締め上げていた腕がぷらんぷらんと自分の意思を失くした様に揺れていたのだ

強引に一刀を引き剥がした為、恋の腕の関節が外れたようである

 

一刀は恋の様子を気にした風もなく、恋へと突進を再開させた

片手で方天画戟を振るう恋に以前の素早さで振れる筈もなく、荒い息を吐きながら、膂力に頼りめちゃくちゃに振るいだしたのだ

 

怪我し疲労した一刀であっても、こうまでめちゃくちゃに振られた恋の一撃では当たるはずもなく

次々に拳、肘、膝の一撃を恋の顎、頬、横隔膜へと的確に急所をついた 最後の一撃を恋の肩へと掌底を打ち込む

 

恋は手に持った方天画戟を落とし、最後掌底を打ち込まれた肩を押さえ蹲り、低い声で唸り悶絶する恋・・・

 

一刀は恋を見下ろし攻撃するのかと思いきや・・・見ているだけであった 

「甘いわねぇ 一刀も」

「そやな・・・」

と溜息をつく雪蓮と霞

 

痛みが少し引いたのだろう 恋が起き上がると、外れていた関節が治ったのか掌底の一撃ではめ込んだのであろう

痛みに顔を歪めるものの、すぐに懸命に指を動かし腕の状況を確かめているようであった

 

一刀の言う”仕込み”とは、恐らく不利だと悟りながら、恋の間合いで闘い戦闘に眼を慣らされていたとみるべきで

頃合とは・・・接近戦へと移る頃合という意味だったのだろう

 

一刀には”見切り”技があるが、恋は一刀の急激な動きに対応できなくなったという事が

今まで恋に一方的に圧されていた一刀の、反撃の結果が如実に現れたという事なのだろうと雪蓮はみていた

 

雪蓮が動きをみる分には、楽進の攻撃をいなしていた事からも徒手空拳の武にも、多少の心得があるように見受けられた恋なのだが

所詮は我流・・・対人戦でもここまでの接近戦の経験など無かったのだろう

 

一方の一刀は、剣術と接近戦での打撃・組み技等実践的な練習を

子供の頃から徹底的に爺ちゃんや母である緋蓮から嫌というほど仕込まれていたと聞いている

日々の反復練習といい実戦での経験といい、恋の比ではない事は一目瞭然で、大人と子供ほどの経験の差が両者にあったといわざる負えない

 

一刀はさらに小太刀を腰の鞘へ戻し、時折居合いも用いてみせた

居合いに関しては一種の目晦まし、陽動の類なのだがこれが恋をさらに苛立たせた

 

接近戦を行っている間、常に相手の攻撃を見極めるなんてことは、ほぼ不可能な訳でどこかに必ずといってよい程、死角が生じている

経験の差がある相手に、拳、肘、膝が恋のどこかしらを捉えた瞬間には、必ずと言っていいほど

紅い閃光か黄い閃光が弧を描き閃いたかと思えば、鞘から素早く抜かれた「桜花」か「月影」の一撃を次の瞬間に見舞ってしまう

無視してしまいたいが・・・無視すれば即、部位欠損により命が絶たれよう それだけに恋は厄介に感じていたのだった

 

そうでなくても、息もつかせぬ徒手空拳と小太刀による攻撃の連鎖だというのに、更に油断なく居合いの出所を見極めなくてはならず

今や、一刀による打撃の打ち身、及び小太刀による切り傷と満身創痍の状態で

恋の呼吸も今では酷く荒くなっており、先程まで優位に戦っていたのが信じられない程の余裕の無さであった

 

一方の一刀もまた、恋と同じく満身創痍の状態で、激しく息を口から吸って荒い呼吸を隠せなくなっていた

 

恋の接近戦の緊張感、威圧感は並みの武将では比較にならず

方天画戟の一撃をまともに喰らえば、良くて骨折、或いは部位欠損、死に至ると思わされる程の威力を目の当たりにしていた

 

恋の衣服は、さすがに胴着ほど便利でもないから絞めるのに困難ではあるが、その分打撃の威力は十分恋に効いていた

それは恋の呼吸が荒くなっている事からも、すでに立証されている

 

ここに勝機を見出した一刀は、恋との超近接の肉弾戦に徹していた 

一方の恋は一刀に潜り込ませないように方天画戟を振るい間合いを広げにかかっていた

 

初期の頃の二人とは正反対の闘いへと、一騎討ちの戦局は最終局面に至っても

どちらに勝利の女神が微笑んでもおかしくない、予断を許さぬ状況であったのだった

 

 

 

 

身体に食い込む打撃の鈍い音が辺りに響く これでもう何度目だろう

恋の身体を容赦なく食い破る一刀の打撃に、恋ももう・・・なり振り構っていられなくなっていた

 

自身の身体に当たると確信したと同時に、一刀の身体目掛けて方天画戟の一撃を強引に繰り出す

 

肉を切らせて骨を断つ・・・恋の攻撃をそう表現して良いだろう 

恋の方天画戟の柄の部分に一刀の肩が命中し、身体を仰け反って大きく後方へと吹っ飛ばされる一刀

 

恋はこのまま倒れていて欲しいと心の中で思っていた 

 

しかし、一刀の身体は左右に揺れながら尚も立ち上がる 先程肩に柄の一撃を受け、動かなくなっているのにも関らずである・・・

恋の中に初めて一刀に対しての恐怖が芽生えた 

 

ちんきゅうでもいい 霞でもいい この窮地より助けて欲しかった 恋は怯えた眼で周囲へ視線を走らせる

 

一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い

一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い

一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い 一刀が怖い

 

何故立ち上がる? 何故立ち上がれる? あんなにボロボロなのに何故?

 

何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故? 何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?

何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故? 何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?

何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故? 何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?

 

頭の中で疑問符が湧いては消えて、消えては湧いてを繰り返す

今の恋には一刀が立ち上がってくる行動に全く理解を示す事ができなかった

 

一刀もまた心の中で葛藤していた こんなに痛いのに・・・こんなに辛いのに・・・こんなに苦しいのに

何故、俺は何度も立ち上がっているのだろうか? このまま倒れ・・・楽になってもいいんじゃないか?とも・・・

 

だが・・・一刀の身体は意思に反して、身体が軋もうとも立ち上がり、尚も恋へ向けて前に進もうとする 

 

その問いに答えを見出せている点が、現時点での恋と一刀の埋める事の出来ない大きな差と言えるだろう

それ故に恋は負け、一刀はからくも勝利を得る事に繋がる

 

一刀は襤褸(ボロ)切れとなった身体を引き摺りながら・・・最後の力を振り絞って、習得しきれていない『”縮地”』を発動させた

 

 

文字通り、対戦する恋は愚か・・・霞や各連合が見守る猛者達の視界から・・・一刀の姿が忽然と消えた・・・

と同時に恋の身体が、上下左右へ小刻みブレ動き、不自然な位置で宙へと浮いている

 

 

そう・・・音を遮断していれば、そんな感じに表現できるのだが

小刻みに不自然に左右へブレる度に、連続した鈍い打撃音だけが、不気味に辺りにいる猛者達の耳へと響き渡っていた

一刀は恋の身体に、何度となく熱き拳の一撃を!肘による鋭き一撃を!膝による重き一撃を!的確な角度で急所を狙って打ち込んでいたのだ

 

一刀にこの技を出させるなんて・・・それほど追い込まれていたのね

と不自然に宙へと浮く恋を見つめながら・・・そう雪蓮は感慨深げに眺めていたのだった

 

雪蓮としても”実戦”で『”縮地”』を見たのは初めてであった

一刀のこの『”縮地”』の発動を、修練の時に一度だけ目にした事があった

『神速』を会得した雪蓮は、もっとその先の速度があるのではないかと・・・ 

 

これは同じく習得した思春、明命など、速度で相手の命を狩る者達にとって

極みを見たい、知りたい、出来るのならば習得したいと思うのが人の常であろう

 

そんな想いが強かった雪蓮、思春、明命の三人は一刀へと頼み込んだ

そこで一度だけと見せてもらったのが『”縮地”』であった訳なのだが・・・

 

その時、三人の目でも一刀の動きが全く見えなかったのだ 

最初は一刀がイタズラして姿を隠してるとさえ三人は思っていたのだ

しかし不気味な風切り音は聞こえるものの、周囲を見回し探したのだが、一向に一刀の姿を捕らえる事が出来なかった・・・ 

 

なので判りやすいようにと、上空へと舞わせた木の葉の上を、『”縮地”』で高速移動してみせて

何とか3人にもなんとなく視認できたくらいなのだが、一刀がいうには、これでも本当の『”縮地”』の域には程遠いらしい

 

それからの三人は、教えて欲しいと何度も懇願したが、結局一刀の首が縦に振られることがなかった 

才能が無いと判断されたのだろうが、それからの三人は懲りずに『”縮地”』を習得しようと懸命に修行を重ねたものの・・・

遂に得る事は叶わなかったという、そうした”いわくつき”の技こそが『”縮地”』なのであった

 

肉を切らせて骨を断つ、そんな恋の作戦をあざ笑うかのように、何度も何度も拳、肘打ち、膝蹴りを突きいれ恋を宙へと釘付けにする一刀

一刀の姿を捉えられない恋にとって、もう反撃などできる術もなく、今、自身の手に方天画戟すらない

最初に宙へと飛ばされた一発の重き衝撃で、方天画戟を手放していたからだ

 

恋に出来た最後の抵抗は・・・顔の前に両腕で隠しガードするのが精一杯であった

 

恋の戦意喪失、無抵抗になったと判断した一刀は、腰の小太刀を引き抜き最後の仕上げにかかる

左肩は方天画戟の柄の一撃で動かなくなっていたので、右腰の「月影」を握り引き抜いた

 

 

そう、鞘より引き抜かれた「月影」が綺麗な弧を描き恋の首筋へと当てられる・・・筈であったのだが

鞘より引き抜かれた「月影」は、一刀の右手からそのまま解き放たれ、蓮華が見守っていた地近くへと突き立つ

 

 

一刀は「月影」が描く放物線の行方を見届けることなく

「月影」を手放してしまった右手の手の平を広げたり閉じたり、各指の動きを視線で追うという”奇妙な行動”を取ったのである

ここで恋に闘う意思があったのなら・・・一刀がやられている可能性すら残されていたくらいの無防備さであった

 

雪蓮は、一刀の『縮地』の発動からずっと違和感をもって見つめていた

これが『縮地』?違う・・・ こんな速さでは本来ありえないのだ

何故なら、雪蓮の目にかすかではあるが、一刀の動きが捉えられたからだ

一刀が怪我をしているから? 体力の限界に近いから? たしかにそうかもしれない・・・実戦で見た事などないのだから

 

しかし、馴れ親しんだ月影が、一刀の手を離れ空を舞った時に、雪蓮の違和感は確信へと変わった

一刀が握り損ねるなんてことがありえない もしかして・・・雪蓮は漸く『ある結論』へを導き出した

 

『ある結論』とは、一刀の身体が、呂布と闘う以前より異常をきたしていたのではないか?と・・・

そしてふと頭をよぎる 一刀はその事を私に隠している? どうして?と・・・ 

 

さすがにそこまでは判らない雪蓮であったが・・・

直感が働いたのか、雪蓮はふと視線を一刀から外し、気になる崖へと焦点を合わせる

 

それと同時に大きく黒き影は、雪蓮の視線に気づいたのか、サッと身体を翻し崖より姿を晦ませてしまっていた

 

「ぶふふ♪ 雪蓮ちゃんにバレちゃったかしら・・・」

黒き影の正体の筋肉ダルマは、そう呟いて崖を後にし飛び去っていた

 

尚もしばらくの間、雪蓮はその影が去った後も、崖を注視していたが

考えが纏まったのか? 考えるのを諦めたのだろうか? それとも一刀の様子が気になったのだろうか

 

「いくら考えても仕方ないわね ・・・聞いて確かめるしか方法がないこともあるわ」

と呟き、最後には眉を顰めて、深い溜息をひとつつくのだった・・・

 

 

 

 

月影を失ってバツの悪い顔をしながら、左手に右手を添えて左腰に差してある「桜花」を引き抜いて

そのまま大の字に倒れ動かなくなっていた恋へと近づき、恋の首筋へ軽く押し当てたのである

 

その瞬間、周りが割れんばかりの歓声に包まれるのであった

 

「ワァァァァーーーーーーーーーーーーーーー!! 天の御遣い様が勝ったぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!! 押せ 押せい!」

「ウワァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー呂将軍が負けた 退け! 退け!」

 

乱戦と化していた戦場に新たな流れが生まれた瞬間である

 

 

「最後締まらなくて悪いんだけど・・・ これで恋 降参してくれるかな?」

と倒れている恋へと笑顔を向けて話しかけてくる一刀に対し、恐怖を感じなくなったのかコクっと頷き警戒を解く恋

 

「恋 負けた 一刀すごく・・・すごく強かった ・・・一つ聞きたい」

「なんだい?」

と聞き返しつつ、一刀は震える危うい手つきで「桜花」をなんとか鞘へと戻す

 

「どうして・・・ ・・・どうして何度倒れても起き上がれたの?」

と恋の質問に対して、苦笑いを浮かべ、気恥ずかしさもあって頭をかく一刀

 

「・・・・・・そうだな 背負っていた”想い”に応えたかった 只それだけだよ」

と恋へぽつりと零した

 

「・・・・・想い?」

「ああ、孫呉の皆が俺にかける信頼、希望、月や詠を助けると翡翠さん達へと誓った約束とかかな

 仮にこの命が燃え尽きたとしても、貫き守りたい・・・・・・”想い”さ・・・」

と恋へと語りかける言葉の重みが、恋にもようやく少し理解できた

 

「命が燃え尽きてとしても、貫き守りたい”想い”・・・ 

 恋にも・・・月や洛陽にいる家族皆を守りたかった! 一刀のいう”想い”があった! でも・・・恋負けた・・・」

 

「恋の”想い”も俺と同じ大切な”想い”だろうさ 違いは辛い時に大切な”想い”を、自身の力へと換えれたのか・・・かな?」

と答えてくれた一刀の言葉を何度も頭の中で反芻する恋

 

「・・・・・恋出来なかった 怖い、痛い、苦しいかった想いだけ・・・」

と答えた恋は目をゆっくりと瞑り、それ以上、言葉が紡がれることはなかった・・・

 

 

それからの対応が大変だった 体中怪我だらけの一刀を、容赦なく蓮華に力一杯抱きしめられる

地面を必死にタップする一刀ではあったものの・・・意味が通じず、痛がって苦しんでいるだけと周囲にとられ助けてもらえず

その様子を苦笑いを浮かべながら見守る雪蓮と楓と鈴々

 

痛がる一刀の表情をみて笑いを堪える愛紗、星、翠、蒲公英達といった面々が一刀の周りを囲む

一方、春蘭や秋蘭といった曹操軍の武将達は、早々に曹操軍の陣へと帰還したようである

 

 

すると横合いから、一刀や恋達に近づいてくる影があり、敵意も感じなかった為に普通に各将が通してしまう

1番最後にその方向へとゆっくり視線を向ける一刀

 

一刀と視線の合った霞は、ええ闘いみせてもろうたでとすれ違い様に、ニンマリして一刀だけに聞こえる声で呟くと

 

「よっと! それじゃ一刀!皆の衆! さいなら~~~♪ 孫策! 勝負はお預け また今度な!

 んじゃ 恋を頂いていくでぇーーーーーーーーーーー赤兎ついておいで! ちんきゅーーーーーーズラかるでぇーーーーーー!!」

大の字に倒れていた恋をサッと素早く肩へと担ぐ霞

 

「はいです!! 霞の命令に素直に従うのは口悔しいですが、緊急時ですからこの際目を瞑ってやるのです!

 北郷 一刀!! 何時の日にか・・・ねねの超必殺技 『 ちんきゅ~・とるね~ど 』を喰らわせてやるから、覚えてやがれなのです!

 恋殿のこの無念! いつか倍返ししてやるから、連合軍の者共、覚悟しやがれなのです!」

 

といつの間に接近していたのか 捨て台詞を吐くと、追いかけようと迫ってくる武将達へ目がけ

ねねは卵らしき物を地上へと力一杯打ちつけると、辺りはモクモクと白い煙が立ち込め視界を遮る・・・

 

周囲から愛紗や翠のケホッケホッと咳する声や、蒲公英が懸命に手で煙を払ったりする光景が広がる

 

 

フッ 実に霞らしい潔い去り際だな・・・それにしても”とるね~ど”って言葉・・・すでにあったんだと少し感慨深げな一刀であった

 

 

それにしてもこれは・・・煙幕!? そうか 瑠璃・・・だな 

潜入させ繋ぎを入れ”渡してくれ”とは言っておいたが、瑠璃の手際の良さが仇となったか・・・

 

一刀は溜息をつき呆れた表情を見せ、恋を担いだ霞とちんきゅうの二人が後退していくのを静かに見送るのであった

 

その煙幕が辺りを覆う様を見て驚いたのは、何も一刀だけでなく

ねねへと渡した当の本人である瑠璃も、口をぽかーんと開けて驚きを隠せないでいたのであった

 

 

一刀から今後の動向を考え、命の危険から身をを守る為、いざという時の護身用品として、軟膏といった医療用品、煙幕卵などを

ねねに説明し纏めて手渡していたのだが、まさか・・・すぐにねねが使うとは思ってもいなかった瑠璃であった

 

あのチビ! 帰ってきたら首を刎ねてやる!と一時激昂した瑠璃であったが、使われてしまったものは今更仕方ない訳で・・・

 

もう瑠璃が手渡した事も一刀しゃまにはバレちゃってるだろうし・・・

後で一刀しゃまにお会いしたら・・・お叱りを受けちゃうのかな~ もっもしかしてぇ~お尻ぺんぺんの刑だったりするぅ~~~?

それからそれから・・・一刀しゃまからお母さまへと話が伝わって・・・ はうぅ~~~もう~~かっ帰るのやだぁぁぁ~~~~~

 

と虎牢関を守っていた董卓軍兵士に紛れ込んでいた瑠璃は

周囲にいる兵士が奇妙な瑠璃の行動に、首を傾げ変に思っている事もお構い無しに頭を抱え蹲り

う~~~ん、う~~~~~~んと、一人虎牢関の壁に向かって唸り続けるのであった・・・

 

乱戦にて取り残された多くの董卓軍の兵士達を回収して回る霞とねね達

その間に虎牢関へと着いた伝令は、ゆっくりとではあるが虎牢関の大門を開け始める

 

それを確認した恋を抱えた霞とねね達を殿とした部隊が、門前を死守し撤退を完了させ虎牢関へ収容されると

大きく門が再び、ゴゴゴゴという大きな唸り音をあげて、堅く閉じられたのだった

 

虎牢関においての大陸頂上決戦は、恋の戦闘不能により・・・からくも一刀の勝利にて幕を閉じることとなったが

連合軍は大将である袁紹軍が、汜水関同様大きな痛手を被り、連合軍の優勢が覆るまでには至らず

この日は両者痛み分けという感じに落ち着く事になった

 

 

 

 

この恋と一刀の狂気に満ちた一騎討ちの情報は逐一、董卓軍、態勢を立て直した連合軍の将達に次々にもたらされていた

時系列順ではないが、縁の深い諸侯のその時々の模様を掻い摘んでお伝えすることにする

 

「華琳さま!」

「どうしたの?桂花 騒々しい 前線で何かあったの?」

 

「はい 秋蘭より一足速く帰還した伝令よりの報告をお伝えします

 春蘭以下の我が軍の武将は、皆、命に別状はないとのことですが

 呂布一人に我らの武将以下、関羽、趙雲、張飛、馬超、馬岱、孫権、程普といった猛将も加え

 一斉に討ちかかったものの・・・抑える事も敵わず

 今は、天の御遣いの北郷が呂布と一騎討ちに及び雌雄を決している模様で、予断を許さぬ状況だとのことです」

 

「そっそれだけの人数をかけて・・・呂布一人を捕まえるどころか、倒せすらできないなんて・・・

 でも・・・ふふふ・・・ふははは 私の目に狂いはなかったわね!」

 

「かっ華琳さま?」

華琳の変わりように、桂花はつい驚きの声を発してしまう

 

「桂花! 秋蘭へ急ぎ伝令を返して頂戴! 最後まで一騎討ちの詳細を見届け、後で詳細に報告なさい!

 あと無事全員の帰還を果たしなさいとね」

 

「承知いたしました 華琳さま! ではすぐに!」

華琳の命を受けた桂花は、猫耳フードを靡かせて、全力疾走で先ほどの伝令の下へと本陣を後にする

 

「早く我が手に入れたいものだわ・・・ 欲しい 欲しいわ 

 貴方のその呂布に劣らぬ武と天の世界の英知をこの手に・・・、覇道を行く私の未来をどう照らし歩ませてくれるのか・・・

 あぁ・・・ 今からゾクゾクして楽しみで仕方ないないわ! いつか必ず私のモノにしてみせるわ! 一刀!」

 

一刀と恋が闘っている方角へと熱く鋭い視線を奔らせ、ニヤリと口角をあげ微笑む華琳

 

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華琳への伝令とほぼ同時に、司馬懿の下へと鍾会も戻っていた

「戻ったか鍾会 相手が呂布ともなれば良い物差しとなったであろう? して北郷一刀の実力は?」

と聞く司馬懿に近づく鍾会の足取りはどこか頼りないものであった

 

「司馬懿様 この際、呂布との一騎討ちで弱った北郷一刀を殺してはいけませんか? 今戻れば間に合うでしょうし・・・」

恋と闘う一刀の闘氣を、遠めでありながらはっきりと、一刀と恋、二人への恐怖を抱いた鍾会

 

北郷一刀が万全ならば・・・自身が敵うはずがないと・・・

その時の事を思い出して、背中に流れる冷や汗が止まらない鍾会であった

 

「・・・・・・ふむ それほどの実力であったということか 今は天の御遣いの力の程が掴めればそれでよい

 残念ながら最後のお前の提案である北郷一刀を殺すという許可は出せん」

司馬懿は顎に手をやり撫でながら、空へと視線を彷徨わせていた

 

「ですがこのままでは!」

と主の司馬懿の言葉に、めずらしく承服しかね鍾会は意見を述べようとするが・・・

 

「しつこいぞ?鍾会 このままではなんだ? 我らが負ける・・・とでもお前は言いたいのか?」

司馬懿は眼鏡の位置を直しながら、目がスッーーーーと細められる こうなった司馬懿は冷酷非道 

鍾会は、司馬懿がこの目を細めた冷淡な表情で、暗愚な同僚が分も弁えず無様に殺されていく光景を

何度も目の当たりにしていた事を思い出し、心臓を叩く鼓動の音がやけに大きく聞こえるほどの緊張感に身体を強張らせていた

 

「ハッ! 出すぎたマネをしまして申し訳ありません!」

と背中に新たな冷や汗が流れるのを感じながら、すぐさま司馬懿に跪き頭を垂れ拱手する

 

跪き拱手する鍾会に顔を近づけ、鍾会だけに聞こえる声で警告を与える司馬懿

 

「北郷一刀は我らの”最終標的”ではあるが、奴を倒すのは”私”ではあってはならんのだ 二度は言わんぞ? わかったな?」

と念を押して威圧してくる司馬懿の言葉に、鍾会は主である司馬懿の意図が未だに全く理解出来なかった

 

主である司馬懿様が倒さなくて、誰が一体、北郷一刀を倒すというのだろうか? 

もしかして鄧艾が? それはありえない 自分と同じような実力の鄧艾に殺せるはずがない

 

それでは誰が・・・!?

 

鍾会の頭の中で何度も”誰が?”という言葉が反芻され堂々巡りを繰り返す・・・ どれだけ考えようとも答えなど出てくるはずもなかった

 

「お前は判らんでも良い しかし現段階において、北郷一刀を殺してはならんということだけを頭に入れておけばそれでよい・・・」

「ハッ!」

と跪き拱手しながらも混乱している鍾会を見下ろす司馬懿の表情は、すでにいつもの能面のような無表情へと戻っていた

 

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                ・

 

「朱里ちゃん 雛里ちゃん・・・」

 

「お気持ちは判りますが・・・愛紗さん、星さん、鈴々ちゃんの三人を派遣しても無理な事では・・・

 前回の汜水関と同様、さすがに私達では手の打ち様もありません」

「ここは一刀さんを信用するかないと思いましゅ」

と朱里の助言に間髪入れずに雛里も同意の言葉重ねた

 

桃香も汜水関にて同じような遣り取りをした気がしたが、幾度経験しようとも気持ちだけが先に先にと突っ走ろうとする

戦争前にも星ちゃんに言われたのになぁ~ 私のバ・カと落ち込む桃香

 

「なんだかもどかしいね・・・ 私にも闘う力があればって何度も思うけど・・・」

「桃香さま・・・」

「ないものねだりしてもしょうがないよね 今はただ一刀さんの勝利を信じて待つしかないんだね」

自身の弱音を取り繕うように、自身に喝を入れなおし前へと向く

いつか私も一刀さんと戦場において正対したとしても、揺るぎもしない強く逞しい心を持たないと誓う桃香

 

「はい」

「はいでしゅ・・・」

 

桃香の気持ちに応えたい朱里と雛里の二人であったが

一騎討ちの邪魔をするのは持っての他、という基本的な知識は持ち合わせてはいた二人であっても

闘いは畑違いと言えたので、ここは黙って桃香と共に戦況を見守る事にしたのであった

 

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「華雄・・・」

「なんだ?」

「あそこへ行って呂布を救いたいか?」

とおそるおそる胸の内に秘めた不安を言葉にして吐露する白蓮

 

「・・・・・・いや? 恋は私の上をゆく武人だ 私の手助けなど必要ないし求めるような恋ではない

 ただ・・・救えるのならば救ってやりたい気持ちは・・・・・・ある」

華雄はだらりと下ろしていた左の拳を強く握りしめ、白蓮の質問に答えていた

 

「そうか・・・そうだよな」

当然過ぎる事を聞いて後悔する白蓮だった・・・しかし

 

「白蓮が気にする必要はない 今はお前の配下・・・いや友なのだからな!」

と鼻を指でかき、はにかみ笑いを浮かべている華雄の表情が、白蓮の目に飛び込んできた

 

「ばっかやろう! あっ ああ当たり前じゃないか! 私達は友なのだからな!」

 

嬉しさにふるえ瞳に涙を溜めた白蓮は、華雄へ向けて平静さを装うものの・・・

答えた声は、大きく喜びに満ちていたのがすぐ判るほどであった

 

我、終生の友を得たりと、感動を押さえ込み鼻を鳴らしながら、時折、隣に控える華雄をチラ見しては

その都度、嬉しさが溢れ出そうになるのを必死に押さえ込む

 

それからの白蓮はもはや戦争処でなく

何度となく華雄の言葉を思い出しては、全身が喜びにふるえゆっくりとその嬉しさを噛み締めていたのだった

 

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                ・

 

「乱戦で騎馬隊を突撃させる訳にもいかないから、翠と蒲公英を派遣したというのに・・・

 勇んで出て行った割りに、あの子達ったら・・・ちっっっっとも役に立たないんだから・・・

 私が行った方がマシだったかしら?」

 

部下が多く控える前で、この物騒な呟きに、そんな事を言われても・・・

と困惑する部下の表情がサァーーーーーと青黒く変色していく 

 

翡翠は部下の様子を一向に気にした様子もなく、尚もブツブツと呟き続けていた

 

「それにしても、あれだけの人数に翠と蒲公英が加わってもビクともせずとは・・・

 恋ちゃんの強さを測り損ねたみたいだわ 歳は取りたくないわよねぇ あ~やだやだ

 

 それにしても、その恋ちゃんと今のところ互角みたいだけれど・・・これだけ遠くにいても肌で感じるんだから相当よね

 

 緋蓮には呉公との諍いの事もあるから気が引けるのだけれど・・・ そう悠長に事を構えてられないわね

 

 あぁ~ 御遣い君の血をひく子を早く我が手に抱きたいものだわ

 不謹慎なのだけれど、この際だから御遣い君の実力をジックリと拝見させてもらおうかしら~♪」

 

先日の”御遣い殿”から”御遣い君”へと関係が少し良好?したような感じはするが

孫呉の将達が聞いたら卒倒しそうな事を、妄想とも独り言とも取れない声で、ブツブツと呟く翡翠であった

 

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                ・

 

「もう麗羽さまったら! 先鋒をあのまま孫呉に任せておけば、こんなことにならなかったのに・・・」

「それも外した孫呉の王に命を救われるなんてオチだしな~」

 

斗詩と猪々子の二人が、先程からチラチラと視線を移して、呂布から命からがら逃げた麗羽の顔色を、事細かく観察していた

 

「うるさいですわよ? 斗詩さん 猪々子さん・・・ あとで二人は、私を守りきれなかったお仕置きを致しますわ!」

と麗羽に文句をいった斗詩と猪々子の二人にやつあたりをする

 

「「そっそんな~」」

と悲しき斗詩と猪々子の悲しき響きが合わさりあう

 

名門・袁家のわたくしが・・・無様を晒してしまいましたわ

油断も度が過ぎると毒ですわね 今後気をつけないと・・・足元を掬われかねませんわねと考えていた麗羽であったが

どうみても麗羽さま、足元を大きく掬われたのでは?と斗詩と猪々子の二人に聞こえていたのなら、そう突っ込んだことだろう

 

お仕置きされる嫌がらせに・・・

 

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「お嬢さま 今回はうちに何もなくてよかったですねぇ~」

「あやつ(麗羽)とつるむと、わらわは昔からロクなことに巻き込まれないのじゃ!」

とかわいい頬をふくらませて、ぷりぷり怒ってみせる美羽をうっとりと瞳を輝かせ見守る七乃

 

「お嬢さま~ そういうことは早く言って貰わないと・・・」

と瞳を尚も輝かせながらもつっこみを入れる七乃

 

「何度もわらわはいうておるではないか! 七乃がちゃんと聞いておらんだけじゃ!」

「ええ~ そうでしたっけ? お嬢さまの記憶違いじゃありませんか?」

 

「そんなはずなかろう! 七乃は都合が悪い事はとんと覚えておらんのじゃ!」

とぷりぷり七乃へ向けて怒りをぶつける美羽であった

 

「そうですかねぇ~?」

と美羽の追求を軽くいなした七乃であったが、お嬢さまのことでしたら、都合の悪い事でも何でも憶えてますけどね~♪

と美羽に見えない影で、ペロっと舌を出して失礼な事を考えている七乃でありました

 

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                ・

 

三方からの董卓軍包囲陣が完成してから、紅、穏、藍里 亞莎達は乱戦の中一刀達の動向が見える位置に合流を果たしていた

 

「・・・穏?」

「紅さま 無理ですから~」

「・・・・・・亞莎?」

「ご自重くださいませ 紅様」

 

「二人ともいい加減は~な~し~なさ~~~~い!」

 

「だってぇ~」

「ねぇ? 離したら紅様 どうなさいます?」

 

「もちろん! 一刀くんを傷つけたあの愚か者をふん縛ってきます!」

と恋を指差し鼻息も荒く今にも飛び出して行きそうな勢いであった為

抱きつき必死に抑える穏と亞莎

 

「だからそれが無理といってるのですよぉ~~~~」

「お考え直してくださいませ 紅様ぁーーーー」

「・・・」

 

「黙って突っ立ってないで、藍里も紅様を止めるのを手伝ってください!」

「・・・亞莎悪いけれど、こればかりは紅様と同じ気持ちなので、あんのアマ!一刀様を傷つけるとは言語道断! もう許せません!」

と紅だけでなく藍里もまた、熱烈な一刀教の信奉者であったのを忘れていた二人・・・

紅の怒髪天を衝く怒りが、隣にいた藍里にまでも飛び火したようである

 

「あや・・・穏さま・・・紅様のことはお任せました」

というと、亞莎は紅を抱きかかえてた戒めを解き、藍里を抱きかかえ止めにかかる

 

「亞莎ちゃん・・・ 恨みますよぉ~~~~~ ものには~限度というモノがぁぁぁぁぁぁ~~~~~ぁ~~~」

と叫ぶ穏を、紅は構わず引き摺りながら、乱戦渦巻く砂埃の中へと二人は再び消えていった・・・

 

「亞莎 私は大丈夫ですから離してください」

「ホッ 良かった」

 

恋をふん縛る為に向かったと思われていた紅は、その後、スケベ心を起した穏を引き摺った紅へと襲い掛かってきた董卓軍の面々を

ぎゃぁぁぁぁぁーーーーーーーーという叫び声を次々にあげたかと思うと、敵味方の区別なく紅から容赦ない縄目の恥辱を受け

哀れにも地に転々と転がされている光景を目の当たりにし、味方である筈の連合軍兵士達から”新たなる強敵”と誤認され

味方の混乱がさらに拍車がかかったというオチがあった

 

 

 

 

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

  春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

  『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた

  優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

  容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である

  祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

   呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

  容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである

  髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが

  その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである

  服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

  普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

  発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

  このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

  ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

  容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている

  背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

  容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである

  眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から

  姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

  緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

  祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

  部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

  真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

 

  容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている

  均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである

 

 ○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ) 

 

  荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

  知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

  以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま

  呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている

 

  容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女

 (背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます

 

  ○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)

 

  『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族

  槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす

 

  容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ  

  胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている  

 

  ○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)

 

  弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが、一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で

  徐々に頭角を現し、後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる 

 

  容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである 

  二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える 

 

  ○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)

 

  朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される

  その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される

 

  天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為、未熟であった一刀の補佐に転属させられる 

  初期には転属させられた事に不満であったが

  一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に(わだかま)りも消え、一刀に絶大な信頼を寄せるようになる

  後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している

 

  容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである

  服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・

  と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)  

 

  ○太史慈 子義 真名を桜

 

  能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者  桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し

  騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)

  本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という

  両者の良い処をとった万能型である

 

  武器:弓 不惜身命

  特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く

  隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった

   

  容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子

  眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める

  一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる

 

 ○青(アオ)

  白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前

 

 ○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)

 

  緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし

  緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある

 

  この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・  

  正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして

  気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっている 華雄さん お気の毒に・・・

 

  当の本人(緋蓮)が華雄さんと再戦した際、もうこのやつあたりの事を覚えておらず、真相は闇の中へと葬られることとなったが

  この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・

 

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【あとがき】

 

常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます

いつもお世話になっております

 

お気に入り登録者、700名突破記念ということで

どど~~~んと気合入れて一気に12話、13話という2話構成で

 

虎牢関の戦いの序盤戦、並びに荊州黄巾賊討伐の折に約束して長きに渡りお待たせしました

一刀VS恋の一騎討ちの模様を漸お届け致しました

 

ホント長いんですが、いかがでございましたでしょうか?

 

この話以降、反董卓連合編は遂に終焉へと移って参ります

遷都を目論む十常侍の行方、月、詠、霞、恋、ねねといった董卓軍の行方、連合軍の諸侯の動きといった点に

今後の焦点が移る事になります

 

お盆を挟むことになるので、どこまで制作でき進めることが出来るのか

まだ書き終えていないので、正直私にもちょっと判らないのですが、これからも完結めざし突っ走っていく所存です

 

完結まで皆様のご支援、何卒よろしくお願い致します<(_ _)>

 

最近、支援や読者の皆様が減ったので大変ヘコんでたのですが、11話でちょっと回復したので一安心しております

やはり冥琳や祭さんを出してなかったのが、カウンター減少の一因だったのかな?と思え

彼女たちの存在感の大きさに頭が下がる想いでおります

 

また、皆様のご忌憚のない御意見・ご感想、ご批判でも結構ですので、コメントにカキコしてお聞かせ下さいませ~

今回拡大版にしましたが、来週休みという訳ではなく、ちゃんと水曜日に更新する予定でおります

 

それでは次回更新まで(*´∇`)ノシ マタネ~♪


 
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