No.592856

【獣機特警K-9ⅡG】ドローアとスヴェンソン【交流】

なんかエルメ教関連がクライマックスっぽいのでスヴェンソン書いてみた。ドローア教授と密談くさいけど詳しいことは何も考えてない。
あと、スヴェンソン司教の体にだいぶガタが来てるくさい。
ドラマの撮影なんかでは、ウィスキーの代わりに麦茶を使うってどこかで聞いた。

ドローア教授 http://www.tinami.com/view/582695

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2013-06-30 14:38:43 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1098   閲覧ユーザー数:1077

  カキン、カキン、カキン。

 金属質の足音を聞いたスヴェンソン司教は、振り向いた。

「おや、お客人か。珍しい。表札はかけてないはずなんだけどな」

 様々な実験器具が並び、培養槽には不気味な生物が浮かんでいる。ここは、メディウス教皇さえ存在を知らない、スヴェンソン司教の個人的な隠れ家(セーフハウス)だった。

 スヴェンソン司教の視線の先には、ある種異様な外見のロボットがいた。甲殻類を思わせるような多脚。無機質な金属があらわな外観は、不気味さとともに、どこかユーモラスな印象も与える。

「ワシの天才的頭脳にかかれば、お主の隠れ家を突き止めることなぞお茶の子サイサイぢゃて」

 老人のような合成音声とともに、ロボットの頭部のモニターが淡く発光し、ある人物の顔が表示された。スヴェンソン司教もよく知った顔だ。

「ドローア教授。変わらないな」

「そう言うオヌシは少々変わったようぢゃの」

 画面の中のドローア教授は、昔を懐かしむような表情を作った。

 ドローアとスヴェンソン。彼らは、かつて同じ研究室に属し、共同で研究を行なっていた。意見の対立で、最後はスヴェンソンがドローアのもとを去っていったが。

「どうぢゃ? 久しぶりに二人で飲まんか? ワイルドターキーの12年モノぢゃぞ」

 ドローア教授のマニピュレータが、酒の瓶を取り出した。

「……その前に、ちょっとお薬の時間のようだ」

 答えるスヴェンソン司教の額に、汗が浮かんでいる。

 彼は、震える手で、様々な色の大量の錠剤やカプセルを、次々に飲み下していく。そして、注射器を取り出すと、自らの腕に薬液を注射した。

「……ふう。最近発作の間隔が短くなって来ててね」

 スヴェンソンは、自らの肉体の老化を、遺伝子治療と投薬によって抑えていた。もし薬の効果が切れれば、反動で、全身の細胞が一瞬にして老化し、彼の肉体は崩壊してしまうだろう。

「タンパク質の肉体[ボディ]というのは不便なものぢゃな。どうぢゃ? よければワシが改造してやるぞ? 昔のよしみぢゃ。格安に負けといてやる」

 まるで、新品のパソコンに買い換えるのを勧めるかのようなドローアの言葉だ。

「ご厚意は嬉しいけど、僕はこの体が気に入ってるのでね。それに、機械の体になったと知ったら、僕の上司がうるさいだろうし」

「むー……そうか」

 

 スヴェンソンがドローアと袂を分かった原因は、バイオテクノロジーとメカトロニクスの優位性をめぐる、意見の対立であった。

 バイオテクノロジーを駆使し、若い肉体を保ち続けるスヴェンソンと、人の形を捨て、機械の体を選んだドローア。彼らの姿が、その象徴のようでもある。

 琥珀色の液体が注がれたグラスが、二人の狂った科学者の手に渡った。

「科学技術と、生命に乾杯」

 


 
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