No.591495

司馬日記 支援の八

くらげさん

今回は二種類投稿。

2013-06-26 22:32:57 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:13774   閲覧ユーザー数:7882

本家・司馬日記32 12月4日の回より妄想を膨らませました。

マイナー萌えは依然変わりない帝王の私、今回は龐徳の打順です。

木簡を片腕で抱き上げ、視線は前に向けたままで次々に口から教育の言葉を生み出し、鋭い目つきを時折背後へ向ける司馬懿仲達。

背後には愛弟子と言い現して良いであろう鄧艾が一言一句を漏らさぬ様真剣な顔で知識を吸収している。

能力的にはあの乱世だった頃から数えて比較しても、片手の指に収まるであろう廃スペック師弟なのだが、何故か周囲からは「ぽんこつ」との愛称が付けられている。

 

「以上の観点から鑑みるに、最優先すべきは一刀様のお考えであり、我々の仕事は先ずそれを実現させた上で如何に周囲との調和を―――うん?」

「ど、どうか、なさ、なさいましたか?」

「いや……すまんが少し用事が出来た様だ。 本日の講義は此処までとする」

「あ、ありがとうごさ、ごさいました」

 

言うと仲達は木簡を携えたまま、石段に浅く腰掛けて(´・ω・`)としている龐徳に近づいた。

鄧艾はどうしたものか、と慌てはしたものの、己の人見知りと一刀の『仲良い友達いっぱい作ってね』の言葉を量りにかけて、仲達の後に駆け寄った。

 

(頑張っていっぱい友達作らないと!)「あ、あの、仲達様。そち、そ、そちら、そちらの、方は?」

「うん、西涼の出身で龐徳令明殿だ」

「……あ、仲達様。失礼しました」

「いや、気にしないで欲しい。 それより何か悩みでも?」

「はい……しかしこれは、私が解決しなければならぬと厳命されておりますので……」

「その気概は大変立派だが、友としてはその様子を見過ごす訳にはいかん」

(わー流石仲達様……堂々とされてるなぁ……)

 

一言口を挟んだのみで、後は押し黙ってしまった鄧艾だったが仲達の背後に控えてはいたため、それが龐徳の眼に留まった。

 

「そちらの方は?」

「うん、弟子だ。 挨拶なさい」

「は、はい! お初お眼にかかります、司馬仲達様に心身共に鍛えて頂いております、鄧艾士載と申します」

「一刀様の御目に留まっただけはあり俊才だが、如何せんまだまだ経験不足でな。 此度の問題解決について、是非とも参加させて頂きたいのだが」

「そ、そんな、私など……」

「それは頼もしい。 どうか知恵を授けていただけますか?」

 

やった!初対面だけどちゃんとスラスラ言えた!と内心で鄧艾は舞い上がり、これはやはり【お薬】の、ひいては一刀様のお陰だ、流石は一刀様です一生を掛けてお慕い申し上げます!と決意を新たにしていたので、その後の二人の会話を聞き逃してしまった。

 

「……それは、確かに君の言う事に一理あるな。 士載、意見を述べてみろ」

「は、はい?! す、すいま、せん……聞き逃してしま、しまいました……」

「何を考えていた。その様な事では困るぞ」

「も、申し訳、ありません! か、一刀様の事を「それならば仕方ないだろう」は、はい……」

 

いやその理屈は可笑しい。と誰も突っ込まない。だって仲達だもの、ぽんこつだもの。

 

「ではもう一度。 一刀様の御健康の為に、各国から鍛錬の提案書を集めた件は覚えているな?」

「は、はい。 確か士季ちゃんの提案が第一候補になったと」

「はい。 ですがその内容を聞かせていただいたのですが、暗殺、襲撃の際の避難演習及び襲撃者の確保演習、との事なのです」

「は、はい……何故か文官の幹部方が挙って賛成されたとか……」

「そうです。 ですが私は思うのです。私の目標は、行く行くは呂将軍の様に単身でも一刀様の護衛を任されるまでの武人になる事。

その末席の人間としては、例え訓練でも一刀様に暗殺からの避難演習をさせるなどもっての他である。と

心身の御健康の為と言うのであれば、街を探索されるだとか、森林浴をされるであるとか、危険の及び辛く、発見しやすい物がいくらでもある筈なのです。

それに、こんな事を鍛錬の項目として増やすのは護衛班の矜持に係わるのでは。と」

 

お前達は役に立たない。と言われている様なものですから。と最後に付け加える龐徳に、鄧艾は素直に大きく頷いた。

 

「た、たし、確かに、龐徳殿の仰る通りかと!」

「いや、その結論はまだ早いな。 一番に考えなければならぬのは一刀様の安否であり安全である。

常に万が一の事態を想定していなければ、有事の際に備えられぬであろう。

審配の例がある様に、何事も例外というのは存在してしまう物なのだ。

無論一刀様へ御負担を強いる事になっては意味はないが、古参の重臣の皆様がそこを失念している訳もなかろう」

「はい……似た事を文和様や雲長殿からも言われ、興覇隊長からは強く叱責を受けました……」

「うん? では貴女はその結果を受け止めている。という事か? それでは悩みの原因は?」

「……それなのですが。ささやかな自負に掛けて、また警備班の実力を鑑みるに、早々の相手に遅れは取らぬと思っております。

ですので文官ではなく、隠密行動に長けた幼平殿か、もしくは一騎当千の武人である呂将軍が適任である。と進言したのですが……何故かより激しい叱責を受けまして……

真っ先に批判された文和様に訳を聞いても「察しろよこの仲達が」としか言われず、

雲長殿からは「私のささやかな願いを踏み躙ろうとはその気概やよし。とりあえずお前偏月刀でボコるわ」と果し合いまで挑まれ、

興覇隊長からは「お前本当は私の事嫌いだろ。怒らないからそうだと言え。殺すから」と首を跳ねんばかりに睨まれてしまい、

とうとう曹操様にまで「空気読め、棺用意すんぞ」と言われてしまい……

一体何がいけなかったのかと、こうして悩んでおります」

 

一頻り吐き出したのか、言い終わった龐徳はため息を一つ零すとまた俯いてしまう。

そんな様子を見せられ、しかし何と声を掛けて良いかわからない鄧艾は頼りになる仲達を見てみると、この才女にしては珍しく顎に手を当てて悩んでいた。

 

「あ、あの、仲達様?」

「ん? あぁ、すまん。 確かに令明殿の言には一理ある。 一刀様の御多忙を考えれば、一度の密度を上げるが上策。

しかし、その程度の事にあの詠殿が気が付いていない筈がない。ましてや曹操様は言わずもがな。

では、何処かに非力な文官を参加させる意図がある筈だ。 士載、意見を述べてみろ」

「は、はい! 一度伺った話ですが、暗殺者とは一騎当千とは似て非なる物である。と聞いた事があります。

その証拠に、令明殿が上げられた幼平殿は武においては他者に一歩譲りますが、気配を消し、闇に紛れての行動は屈指の物。

恐らくですが、非力な方へのご助力を願ったのは“ばりえ~しょん”を増やす為ではないかと」

「ばりえ~しょんとはどういう意味でしょうか?」

「以前奉孝様が【縛りのばりえ~しょんを増やしていかないと】と零されていたので伺ったのですが、天の国の言葉で種類と言う意味らしいです」

「成る程。確かに少数にしてしまってはその分だけ型が狭まってしまいますね!」

「あ、でも……」

「ん? 何だ」

「あ、いえ……何でもありません」

 

何かを言い篭った鄧艾だったが流石は仲達様に師事されておられる!と絶賛されて、いえ、そんな、私など。と顔を真っ赤に染めて照れてしまう。

これで、三人の内で話が纏まれば誰も傷つかずにすんだのに……

 

「では、確認に参ろう」

「え?」「は、はい?!」

「何を驚く。 賢人の知識を吸収する事こそが成長の基本だ。

それに、我々の出した結論が正しい物だとも限らん。もしかするとより良い形で一刀様へ案を献上出来るやもしれん。

令明殿、すまないが貴女を叱責した面々を、出来るだけ多く思い出して頂きたい」

 

やめたげてよぉ!やめたげてよぉ!!

 

「あ、それについてはご安心を。 報告をせよと命を受けております」

 

やめたてよぉ!!!やめたげてよぉ!!!!

 

「しかし、曹操様は多忙なので「あら、呼んだかしら?」

 

華琳逃げて!!純粋無垢な三人から距離取って!!

 

「――――以上の結論に至ったのですが、孟徳様の意図をお聞かせ頂ければ幸いにございます」

「そ、そう、なの……ふふ、随分優秀ね。 貴女、名は?」

「と、とう、鄧艾、鄧艾士載と申します!!」

「そう、覚えておくわ」

「あ、ありがたき、しあ、幸せ!!」

 

べたーっと地に伏せて頭を下げる鄧艾を見て、内心冷や汗ダラダラの華琳。

本心としてはそういう事ようふふ。と言って逃げてしまいたいのだが、それは矜持が許さない。

かといってまさか本心をぶちまける訳にもいかず、えーっとそれはー。と頭を高速回転させる。

 

「曹操様。 この度は私の短慮がこの様な事態を起こしてしまいましたが、仲達様、鄧艾殿に責は決して!!」

「わ、分かってるわ、大丈夫よ。 それじゃあ私は「いえ、私どもの考えなど及ばぬ所におられる孟徳様のお考え、是非拝聴させて頂きたく存じます」

「そ、そう? 確かに後進の育成は市政者の義務だものねうふふー」

 

おーい?!と膝を付き頭を下げる仲達の頭を思わず凝視する華琳だったが、覇王ともあろう者がうろたえてはいけない。

しかし、爆弾は仲達だけではなかった。

 

「い、一部の良からぬ噂では、これ、これで一刀様に合法的に甚振って貰えると考える者が居るとの事です!!」グフッ!!

「何だと!? 士載!何故黙っていた!!一刀様を利用しよう等と何と恐れ多い……!」ゴフッ!!

「も、申し訳ございません!! ですが、特定は出来ぬもののかなりの権力者がいるとの事でして、私共ではどうする事も!!」ゴハッ!!

「……孟徳様。その噂を利用しようと企む者が出てこぬとも限りません。此処は噂の真偽を確かめ、火消しに勤める必要があるかと愚考いたします!」ギャボー!!

 

三人が顔を上げると、華琳が胸を抑えて苦しんでいた。

もしやお加減を崩されたのでは、と三人は立ち上がり華琳へ口々に体調を尋ねる。

 

「孟徳様、もしやお加減が!」「大丈夫!大丈夫だから!」

「い、いえ!もし万が一の事があっては「違うの!そういうんじゃないから!!」

「不敬は重々承知ですが、もし「もうやめて!これ以上私を追い詰めないで!!おおっと向こうで秋蘭が待ってるわー!!ごめんなさいね皆!!」

「いけませんその様に走られては!」

「い、いいのよ!!だから私をそんなキラキラした眼で見ないで!!」

「は?」「え?」「はい?」

 

何もかもを投げ捨てて、華琳は三人の純粋な視線から逃げ出した。

突如駆け寄って来られた秋蘭はぽかん。としていたが、項垂れる華琳の様子にただ事ではない。と表情を引き締める。

 

「華琳様、何かございましたか」

「秋蘭……私、汚れちゃったわ……」

「は? いえ、華琳様は何時如何なる時であろうともお美しいですが……」

「いいのよ……私にはもう、あんな瞳は出来ないもの……」

 

華琳の視線を辿ると、心配そうに此方を見つめてくる司馬懿、鄧艾、龐徳の姿。

龐徳の件を聞いていた秋蘭は大体何があったかを察し、華琳の肩を優しく抱きしめた。

 

「―――飲みましょう、華琳様」

「ひっく……えっぐ……」

 

あーちゅーたつがかりん泣かしたー。

これで終わりじゃないぞ、もうちょっとだけ続くんじゃ。

 

 

「ご主人様」

「んー? どうしたの恋」

「呼んでみただけ」

 

最近本当に色々ありすぎて、原因が俺だという事もあったので泣き言も漏らせず脇目も振らずに駆け抜けたら恋がスネました。

我侭の内容は可愛いものの、解消するのがちと難題。

他の子―――例えば桐花とか麗羽とか―――だったら、言い方は酷いけど手っ取り早く終わるけど、恋はとにかく俺と一緒に居たいと言う。

勿論俺も吝かでは無いし、皆も恋には甘いから仕方ない。と苦笑しつつも双方の時間を確保してくれた。

まぁ、フラストレーションを解消する為に何人が宙を舞ったかを考えれば、妥当なトコだと思う。

お昼御飯も態々月が外まで運んでくれて、中庭の芝生の上で恋と二人で日向ぼっこ中なう。

 

「のどかだなー」

「ぽかぽか」

「わん!」

 

おっと訂正。セキトも入れて二人+一匹だった。

今更言うまでもない事だけど、セキトはかなりのおりこうさんなのでのんびりダラダラしている俺達の邪魔をするでもなく、俺の膝の上でゴロン。としている。

 

「周々か善々でもいれば良いクッションになったのにな」

「くっしょんってなに?」

「あー……やわらかくて気持ちいい物の事」

「……えい」

 

ぽふん。と恋の胸に引き寄せられ、ぷにょん。とした感触を顔で感じる。

突飛な行動には慣れたつもりだったけど、流石にちょっと驚いた。

 

「恋のくっしょん、気持ちいい?」

「いや、恋? クッションっていうのはこういう事じゃなくてね?」

「……やわらかくて、気持ちいいって言った」

 

いや、これは真理ではなかろうか。

顔を覆える程の巨乳×恋の持つ癒しパワー×何時までも顔を埋めていたい柔らかさ=破壊力!!

つまりやわらかクッションとは巨乳に顔を埋めた時の幸福感から生まれたんだよ!!ナンダッテー!!

 

「……待ってて」

「恋?」「わう?」

 

無言だったのがいけなかったのか、恋は俺をがばりと離すと、一応護衛という体なので持っていた方天画戟を担いでテテテッと軽い足取りで駆けて行く。

残された俺はセキトと顔を見合わせるものの、まぁ直ぐに戻ってくるだろ。と思いセキトの胴を持って高く上げる。

 

「わふ!わふ!」

「おーよしよし。セキトは可愛いなぁもう!」

 

抱きしめてゴロン。と芝生に転がるがセキトは嫌がる事もなく俺の顔をベロベロと嘗め回す。

 

「んー可愛いなぁ。 俺もペット飼うかなー」

「わふ!?」

「お、なんだセキトヤキモチ焼いてくれるのかー?」

「わん!」

「可愛いなーこのー!」

 

此処まで此方の機微を悟ってくれるのだから、セキトは盲導犬にでもなれるんじゃないだろうか。救助犬だっていけるかもしれない。

他の犬の育成にだって一役買ってくれるだろうし―――あれ、ビックウェーブきたんじゃね?

 

「セキトー? ちょっと我慢してなー?」

「わふ?」

 

ポケットを探って縄を取り出す。何でそんなもの持ってるのかって?ご主人様の嗜みだそうだ。誰が言ったかは想像に任せるよ、大体合ってるから。

セキトは首輪じゃなくてスカーフを巻いてるからどうしたものかと思ったけど、スカーフに縄をキュッと結んでみると案外しっくりきた。

 

「よしセキト。今から俺は目を瞑る」

「わん!」

「セキト、俺が転んだり、ぶつかったりしないように俺をあの木の下まで案内してくれ!」

「わん!わんわん!」

 

影の下で休めるぐらい大きな木の下まで、五十歩ぐらいか?

眼を瞑ってセキトに声を掛けると、手に持った縄を引っ張られる。

一歩、二歩と踏み出すのはかなり勇気が必要で、ついつい薄目を開けてしまいそうになるけど、その度にセキトは立ち止まって【何かいけなかった?】とでも言う様にきゅ~ん。と鳴く。

 

「ごめんごめん。……これで見えないぞー」

「わん!」

 

またポケットをゴソゴソとやり、かなり良い生地を使ってる絹の目隠しを瞼に巻く。何で(ry

正直、かなり怖い。本気で怖い。

セキトを信じてないとかじゃなく、マジで怖い。

 

「おっと?!」

「危ない!!」

 

躓いて転びそうになった所でぼにゅ~~~ん。という感触が顔に、むにゅむにゅの感触が、とっさに突き出した手に。

 

「一刀様お怪我はございませんか?!」

「大丈夫……セキトー?大丈夫かー?」

「くぅーん……」

「怒ってない怒ってない。 大丈夫か?首引っ張らなかった?」

「わふ……」

 

撫でる為にしゃがんで、手を突き出して探っていると、おそるおそる、といった感じでセキトが指を舐めてきた。

ゆっくり、間違っても眼なんて付かない様に手を前に出してセキトをギュッと抱きしめる。

落ち込んでいるのか、撫で回した手が尻尾に当たったけどショボーンと垂れている。

 

「ごめん、伯達さんも怪我無かった?」

「よく、お分かりになりましたね?」

「え、あぁ、そういや目隠ししたままだった」

 

気合をいれて縛りすぎた所為か、結び目が硬くて中々解けない。

失礼します。と伯達さんが手を後ろに回して結び目を解いてくれると、視界が漸く戻ってきた。

ぶつかった人を確認してみると、うん。やっぱり恋だ。

……あれ?

 

「恋? いつ戻ってきたの?」

「いま」

「あ、あぁ成る程。 あ、やっぱり伯達さんだ。ごめんね、ホント」

「いえ、その様な事は。 ですが、お気をつけてくださいね、一刀様」

「あのー……穏は何故連れてこられたのでしょうかー……?」

 

へ?と声を出して見回せば、腰が抜けた様にしてへたり込む穏がいた。

その片手を恋が握っていて、其処から考えるに恋が連れて来たんだとは思うけど……

 

「恋、何で穏連れてきたの?」

「くっしょん」

「クッション?」

「恋より、おっぱい大きい」

 

あー。成る程。そういう事か。

穏を見ると、流石は大軍師の一角だけあって大体察した様で、あははー。と笑っていた。まぁこの前クッションの説明はしたしな。

 

「お怪我が無い様で何よりでございます。それでは私はっ!?」

 

その様子を観察していた伯達さんは、挨拶をしてこの場を後にしようとしたのだが、恋がそれを引きとめた。

具体的にいうと、伯達さんの爆乳をむんずと掴んでいた。むにむにと揉んでいた。

 

「あ、あの、あの奉先様?!」

「れ、恋?」

 

何をやっているのか。と俺と伯達さんが尋ねようとしたのだが、その前に恋が口を開いて言った。

 

「ご主人様、くっしょん増えた」

 

 

それぞれの位置を説明すると

 

   穏 伯達さん

   セキト俺

      恋

 

分かり辛いだろうから説明すると、恋を正面から抱き抱えて、穏の左の山と伯達さんの右の山に後頭部を預けている格好。

右手でセキトをぐりぐりうりゃうりゃしてるので、セキトも漸く立ち直ってくれた。

 

「一刀様、先ほどは一体何をされておられたのです?」

 

今日明日明後日と恋が俺を独り占めするのは一応各国に伝達されているので、伯達さんは直ぐにお暇しなければ。と思っていたのだが恋が視線を送るとビシッと固まってしまう。

穏がお邪魔じゃないですかー?と聞いてみたのだが。

 

「恋の一番大事はご主人様だからいい」

 

という恋語を見事解き明かした穏が何やら伯達さんに耳打ちし、彼女も成る程。と納得して腰を落ち着けた。

どういう意味なのかを聞こうとしたけど、伯達さんの「そりゃウチの犬じゃ勝てませんね」との発言を聞いて、多分掘り下げちゃいけない部分だ。と判断した。

 

「♪」

「よーしよしよし。 えっとね、天の国には―――」

 

穏に伯達さんが相手という事もあって、簡単な説明だけで二人は何がやりたいかを即座に理解してくれた。

いきなり目隠しまでしてしかも転びそうになった。という部分で軽いお説教はあったものの、俺よりセキトが落ち込んでしまったのでお説教はそこまで。

 

「それにしても、天の国では家畜―――いえ、ぺっとでしたか。それにも首輪を付けるのですね」

「ペット飼う人多いから識別の為にもね。 それに危ない事も多いから、首輪にリードっていう縄をつけて散歩に行くんだ。

あとね、ペットに“も”首輪を付けるんじゃなくて、ペットに“しか”付けないからね」

「あれぇ? でも「うん、穏が何を言いたいのかは理解しているけど、恋の前ではやめような?」

「一刀様、ウチの駄目犬にも首輪とりーど、付けていただけませんか?」

「あれ? 犬なんて買ってたっけ?」

 

司馬家の飼い犬ならまさに司馬犬だな。審議は拒否しますのであしからず。

 

「牧羊犬って種類もあるし、ちゃんと根気良く躾ければ犬ってかなり役に立ってくれるんだよ」

「それじゃー稟ちゃんと検討してみますねー」

「稟様ですか? 穏様でしたら、周喩様や孫権様に直接進言出来るのでは?」

「んー。冥琳様って厳しい様で一刀さんにはあまあまですからー。

一刀さんが考えたって言ったらその場では却下しても、何とか実現できないかってアレコレ理屈考えて踏み切ろうとしちゃいますので、稟ちゃんの方が良いですねー」

「そう、でしたか……公明正大な方だと思っておりましたが……」

「ずっるいんですよぉー? どうしても駄目だって時は、自分じゃなくて他の子にそれを悟らせて言わせますからねー」

「穏ー? その辺りにしとかないと後で地獄みるぞー?」

「?」

 

撫でる手が止まったので、恋が何か言いたそうに上目遣いで俺をみている。

抗う気力なんてまるで起こらないので、簡単に屈服して恋を愛でる事にする。

 

「あー、本気で“何か”飼おうかな。 セキトも可愛いけど」

 

ペットショップなんてある訳ないし、探すとしたらどうしたら良いんだろ。

恋の家族から選ぶと特別扱いになるかもしれないし、野良犬とか、これから生まれる子とかを貰う方法しかないかな。

犬じゃないけど猫とか。でも猫って構うの嫌われるらしいし。

 

「一刀様、それでしたらウチの子犬など如何でしょうか?」

「お邪魔した時は見かけなかったけど……ホントに犬飼ってるの?」

「はい。 成長した方は駄目犬ですが、毛並みの可愛い子犬が三匹、一刀様のご寵愛を待っておりますので」

「んー。 お願いしようかなぁ」

「厠と食事の躾けは済ませておりますので、後は一刀様のお好みで躾けて下さい。首輪とりーどは本日より慣れさせますので」

「あらー、思春ちゃんが荒れますねー」

 

その時俺に電流走るっ!!

まさか、まさかとは思うけど、まさかだよね?

 

「あの、伯達さん? まさかとは思うけど……その犬の名前ってさ」

「上から恵達、雅達、幼達と申します」

 

まさかだったー!!

 

「いや、やっぱいいや……」

「では、駄目犬ですが仲達を是非」

「いやだからそういう事じゃなくてね?」

「本人達も一刀様の御命令でしたら喜んで犬になるかと思いますが。仲達などもはや犬ですし」

「そういう事言わないの。仲達さんはあれで良いんです」

「しかし一刀様は先ほど『何か飼おう』と仰られましたし、それでしたら是非当家を役立たせて頂きたいのですが」

「一刀さんはもう桐花ちゃん飼ってますし、一匹が十匹になっても変わらないんじゃないですかねー」

「自称だろうが。桐花の自称」

 

この話はこれで終わり。と打ち切って恋に癒されようと手を動かすと、空を切った。

 

「あれ? 恋は?」

「わん」

 

へ?と素っ頓狂な声が俺と穏の口から出て、伯達さんは口を空けてぽかんとしている。

 

「れ、恋?」

「わん」

 

何時の間にか恋は犬座りで俺の前にしゃがみこんでいた。

俺の意識が自分に向いたとみるや、脇に置いてあった首輪を口で咥えて―――

 

「恋!恋やめろ!!それだけは人としてやっちゃいけない!!」

「……恋もぺっと」

「待って!お願いだから待って恋!!」

「ご主人様、ぺっと欲しい。 だから恋は、ご主人様のぺっと」

 

誰か!!お客様の中に飛将軍に常識と愛を説ける方はおられませんか!?

 

 

 

「恵達、雅達、幼達。話があります」

「姉様?その様なお顔をされて……何がありました?」

「満足に媚も売れぬ駄犬は黙っていなさい!!この仲達が!!」

「あの、姉様。 先日から色々な方が会話の端々に私の名前を出されるのですが、一体私の名前にどういう意味があるのでしょうか」

「さぁ三人とも、姉がお前達の為に用意した首輪とりーどです。いいですか、これからは私を姉と思ってはいけません。犬です!!お前達は司馬犬になるのです!!」

「「「はい!姉上!!」」」

「うわ……うわうわうわうわ……」

「はーいむっつり鄧艾はこっちきましょうねー」

「はぶられた私達は」「泣いていいと」「思うのです」

 

 

「なんだ、穏。 何か用か」

「……いえ。別に」

「そうか。 ではあまり私をジロジロみるな」

「……首輪」

「な、ななななんの話だ? 首輪がどうかしたか」

「思春ちゃん……強く、生きてね?」

「穏? お、おいちょっと待て!!一体何の話をしている?おい!!」

「し、思春……ご、ごめんなさい、私には無理……!!」

「蓮華様?如何なさいました? な、なんだ亜莎も、明命も、雪蓮様まで!!」

「な、なんでもばりまぜんっ!!」「亜莎、泣かないでください!!」

「思春」

「は、はい?」

「実はね―――」

 

 

「♪♪」

「れ、恋さんご機嫌だね、朱里ちゃん」

「そうだね。 やっぱり気分転換って大切だよ」

「♪♪♪」

「お師匠様、雛里様。 失礼します―――し、失礼しました呂布様!!」

「? 別にいい」

「そ、そうですか、良かった……あ、美しい意匠の……首輪、ですか、それ?」

「ご主人様に付けてもらった」

「はわわ?!」「あわわ!?」

「恋は、ご主人様のぺっと」

「雛里ちゃん……私、愛紗さんが落ち込んでる原因、わかっちゃったかもしれない」

「この状況でわからないの、司馬懿さんぐらいだと思うよ?」

「ゴメンナサイゴメンナサイユルシテクダサイモウシマセン」

「正直すまんかった」

「……あ、あの、雛里様。 雲長様、なのですが……」

「どうかした?確か桃香様が説得するって仰られてたけど……」

「絶賛不貞寝中だそうで……軍務が回らないのでどうにかしてくれと……」

「なんでまたそんな事に」

「星様が『ねぇねぇどんな気持ち?主の飼い犬の立場掻っ攫われてどんな気持ち?』とぐるぐる回りながら仰られたのが相当利いたご様子で……」

「お の れ メ ン マ!!!」

華琳を苛めたかった。はんせいはしている。

突如二つネタを思いついたのは良いんですが、どっちつかずで両方とも短くなったので抱き合わせ販売にしました。てへ。

注釈を入れておくと、恋が持ってきた首輪は愛紗の恥物です(not誤字

この前恋を苛めてしまったので、償いの意味も込めて無双させました。恋は可愛いから困る。

私事ですが、本家司馬日記での朱里の扱いは私が影響を与えたんだぞ!と勝手にニヤニヤしています。思い上がりも此処までくると滑稽だー。

お礼返信

 

 

叡渡様         一刀「俺の閨技はレヴォリューションだ!!」

 

七夜様         なんだよぅ、デレ冥琳可愛いじゃないかよぅ……

 

HIRO様         切欠を与えたのは本家様であり、私はそのネタに乗っかっただけなので私の責任は皆無に等しいっ(キリッ!!

 

zero様         その辺りは本家様にマルッと投げますww

 

月光鳥~ティマイ~様   秋蘭を出す時は脳裏に貴方の歴代コメントが浮かんで贔屓してしまいます。責任をとってほしいw

 

孔明様         もう!一刀様ったら種馬なんだからっ!

 

ちきゅさん様      諸君、私は恋姫が好きだ。

 

ハセヲ様        勝手に設定付け足しただけですw

 

hujisai御大      くくく、流石に貴殿でも見抜けなかったか……これが俺のスタンド、【1/6の夢旅人】の能力よっ!!(キリッ!!

 

よしお。様       今後【種馬の本気】タグが溢れかえる事を願いますw

 

悠なるかな様      導火線に火は点けておいた!後は本家にお任せする!

 

ミドリガメ様      司馬日記なる傑作SSの所為ですよ。私には何の責任もありません。いやまじで。

 

Alice.Magic様     一刀「あまり閨での私を侮らない方がいい」(キリッ

 

shirou様        ある意味本家本元の無双を再現出来た気がしますw

 

帽子屋様        突っ込み受けるまで気が付きませんでした。詠逃げて!!

 

呂兵衛様        種馬皇帝、要チェックや!!

 

kaz様         息を吸う様に抱き、息を吐く様に抱け。どんとしんく、ふぃーーーる。

 

観珪様        今じゃ!要望を本家に!

 

happy envrem様     どうしても、璃々様から逃げられる未来が予想できない。

 

前原 悠様       秋蘭のプライドをおもっくそ刺激された話だと思いました。

 

D8様          だめだ!あいしゃはいうことをきかない! ししゅんはめいれいをむししてぬいでしまった!

 

SRX-001様       フフン


 
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