No.591352

【短編】 別れそして再会 【真・恋姫†無双】

南無さんさん

初めまして。
こちらは真・恋姫†無双の二次創作になります。
生まれて初めて小説的なものを書いてみました。
稚拙な文章でございますが、
暇なときにでも読んでくれると嬉しいです。

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2013-06-26 12:29:19 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:7636   閲覧ユーザー数:6097

 

…わかっていたんだ。あの時からこうなる運命だったと。

 

透ける体を月に翳してこの世界との別離を決意する。

 

本当は別れたくない。このままずっと一緒にいたい。

 

…けど、俺の役目は終わったから。

 

だから、もう、行くよ。

 

さようなら。みんな。さようなら最愛の人。

 

「……………恨んでやるから」

 

……………うん。ごめん。一緒にいられなくて。

 

でも君なら国をよりよき方向に導いてくれるから。

 

天の知識なんか無くても、すばらしい国を

 

作ってくれると信じてるから。

 

 

「……逝かないで」

 

「ごめんよ……華琳」

 

 

……もう、限界かな。

 

 

声がよく聞こえないんだ。

 

 

 

「さよなら……誇り高き王…」

 

 

みんなが知らない、俺だけが知っている彼女の本質。

 

それは、どこにでもいる普通の女の子……

 

素直になれなくて、少し弱くて

 

少女の部分を押し殺してまで天下を望んだ子。

 

 

 

「さよなら……さびしがり屋の女の子」

 

 

 

この世界に俺がいたことを証明するために

 

 

誰よりも愛しい君への感謝のしるしを

 

 

          今

 

 

万感の思いを言葉にのせて君に伝えるよ。

 

 

 

「さよなら……愛していたよ、華琳――――」

 

 

 

「一刀……?一刀……!?」

 

 

 

 

 

 

……ありがとう、華琳……

 

 

 

 

 

 

――――必ず戻ってくるから――――

 

 

 

 

 

「華琳さま!華琳さまーっ!」

 

「あら、桂花。……どうかしたの?」

 

「どうしたのではありません。探しましたよ。

 

 ……どうかなさいましたか?」

 

「……少し、昔のことを思い出していたのよ」

 

「あの大馬鹿者のことですか……。 まったく。

 

 わたしや秋蘭にあれだけお世話になっておいて、最後まで無礼な奴でした!」

 

「ふふっ、そうね。……桂花、少し待ってもらえるかしら

 

 もう一時だけ……思い出に浸りたい気分なの。」

 

「……わかりました華淋様。桃香と雪連には私から伝えておきます。

 

 今しばらくの間、ゆっくりしていってください。」

 

「感謝するわ。……桂花。」

 

 

……あれから二年も経ったわよ。一刀。

 

帰ってきなさいよ。……馬鹿。

 

 

 

 

 

不意に後ろの方から足音がする。

 

それは何故か懐かしさを感じる心地よい音。

 

……私は思わず振り向いていた。

 

 

 

「……二年ぶりだね、華琳。より綺麗になったね」

 

 

 

目の前にいる彼は少し大人の雰囲気を醸しだし

 

なおかつ、少年のような笑顔を浮かべている。

 

 

 

「………第一声がその言葉?さすが魏の種馬ね……」

 

 

 

自分でも声が震えているのがわかる。

 

 

 

「ん…ごめん。だけど事実だしさ」

 

 

 

 

屈託のない笑顔。

 

その彼は誰よりも大切な人で。

 

 

 

「……………馬鹿。」

 

 

 

私が初めて異性で好きになった人で。

 

 

 

「もう…居なくならない。消えはしない。俺の居場所はココだから。

 

 だから、華琳の元から決して離れたりはしないと約束する。」

 

 

 

これからは、ずっと、傍に居てほしい最愛の人。

 

 

「…………ばか。」

 

 

「会いたかった。…ずっと、会いたかったよ華琳―――――」

 

 

彼は私を優しく抱きしめてくる。

 

 

「……ばか。………ばかぁ――――――」

 

 

彼の腕の中、わたしは借りてきた猫のように泣き出してしまう。

 

 

「ただいま……華琳」

 

「…お…か……えり…なさい……一刀」

 

 

 

 

気持ちのいい、そよ風と、

 

生い茂る木々の隙間から、優しい太陽光が差し込む。

 

 

 

 

 

 

――――私はこの時、この時初めて神という存在に感謝した――――

 

 

 

 

 
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