No.585769

GGO~剣客の魔弾~ 第6弾 銃の世界

本郷 刃さん

第6弾です。
ついに和人、景一、明日奈の3人がGGOへ向かいます。

どうぞ・・・。

2013-06-10 10:20:47 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:11259   閲覧ユーザー数:10306

 

 

 

 

 

 

 

 

第6弾 銃の世界

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

「明日奈、寒くないか?」

「平気だよ!」

「……ふっ、元気だな」

 

バイクで疾走している為、後ろに乗っている明日奈の声が少々聞き取り辛く、

大きめの声で訊ねてみると大丈夫だと伝えてくれた。

背後をバイクで走行する景一の口元が動いたのに気付き、その言葉に苦笑する。

景一のバイクは電動のものだが、俺が所有するのは一昔前のガソリン仕様であり、

音やら臭いやら振動やらが凄いのだが俺も明日奈も気に入っている。

まぁでも、排ガス規制が掛かる前には電動の新しいものを購入するつもりである。

現在俺達が向かっているのは千代田区にある大きな都立病院、

6日前の菊岡から受けた依頼において指定されたログイン場所だ。

既に明日奈を連れて行く事は伝えており、それをアイツも承諾した。

依頼の内容についてまだ詳しく話していなかった明日奈とユイに説明した時は……大層怒られたものだ。

 

 

――6日前、ALOのキリト宅

 

「「キリトくん(パパ)! どうしてそんな危険な仕事を受けたの(受けたんですか)!?」」

「いや、アスナは危険だからついてくるんだろ「「言い訳しないで(ください)!」」はい…」

 

菊岡、クリスハイトからの話を説明すればまずは怒られた。

ユイはともかくとして、アスナもついてくると言っているのに…。

 

「わたしはそこまで危険な仕事だって聞かされてなかったよ!」

「どうして受けたんですか!?」

「えっと、持ち前の勘です…」

 

勢いのある2人にさしもの俺もたじたじとしてしまう。

嫌な予感、純粋かつ濃厚な殺意、それらを話せば2人共落ち着いてくれたが、

ユイはとにかく不安そうにしている。

 

「パパ、ママ。絶対に、無事に帰って来てくださいね…?」

「当たり前だ、ユイ」

「パパのことはママに任せなさい」

 

心配そうにしているユイの頭を撫でながら答え、アスナもしっかりと応えた。

無茶ばかりするのは自分でも分かっているのでここは口に出さずにおく。

 

 

――現在

 

そんなことを思い浮かべながら、バイクを運転していると病院が見えてきた。

素早く敷地内にある駐車場のバイク置き場に停めて明日奈と共に降り、景一もバイクから降りた。

俺は鍵式のイグニッションキーを抜き取り、メットを脱いで仕舞い、3人で病院内へと歩いた。

菊岡に指定された入院病棟3階の一室へと向かい、そこのドアを開けると1人の見知った女性看護師の姿があった。

 

「おっす! 桐ヶ谷君、国本君、明日奈ちゃん、久しぶり!」

 

俺達の名を呼んだのは俺や景一のリハビリを担当していた安岐ナツキさんだ。

 

「どうも…」

「……(ぺこっ)」

「ご無沙汰してます」

「なんか男の子達の返答が素っ気ないわね…ま、元気そうでなにより」

 

俺と景一の短い返答と会釈に対し、明日奈はしっかりと挨拶をした。

 

「何故、安岐さんがここに?」

「ほら、桐ヶ谷君と国本君の担当したのは私だし、明日奈ちゃんとも顔見知りだから。

 眼鏡のお役人さんが手配してくれたみたい」

 

湧きあがった疑問を尋ねてみると、なるほど…菊岡か。

そしてアイツからの伝言という茶封筒を受け取った。

内容は、報告はいつものアドレスでということ、

諸経費は依頼終了後に報酬と併せて支払うので請求するように、とのこと。

なお、追記に『美人看護師さんに手を出したら駄目だよ☆』と書いていたので、

《霍翼》を使いその衝撃で茶封筒ごと木端微塵にした。

景一は呆れ、明日奈と安岐さんは俺の顔を見て怯えたのは良いとしよう。

ALOに戻ったら菊岡のアバターであるクリスハイトを八つ裂きにしようと決意したのは、俺の胸の内に秘めておく。

 

「そ、それじゃあ、早速ネットに繋ごうか!」

 

この空気を払拭しようと思ったのか、どもりながらも口にした安岐さん。

病室にはベッドが3つあって内1つだけがカーテンで仕切られており、

傍にはいくつものモニター機器がおいてある。

 

「明日奈ちゃんはこっちね。あと男の子、脱いで」

「「何故?」」

「電極貼るから。明日奈ちゃんもそっちのベッドの方で」

「え、えっと…//////」

 

電極を貼るというのは分かった、3人同時に見た方がいいというのも分かる。

 

「上だけでいいですか?」

「……同じく」

「お、同じく…///」

「あ~、うん、いいよ。ごめんね」

 

安岐さんも察してくれたらしく、なんとか上だけ脱ぐ事で決まった。

しかしここで明日奈が…、

 

「あの…わたし、和人くんと一緒が良いです…//////」

 

そんなことを言った。それを聞いた景一は手早く明日奈が横になるはずだった、

仕切られている方のベッドに移動して横になった、こいつっ!

 

「桐ヶ谷君、ベッドをくっつけるけど…いいかしら?」

「はぁ…はい、お願します」

 

苦笑しながら言った安岐さんの言葉に溜め息を吐いてから答え、明日奈は嬉しそうにしている。

精々生殺しにならないようにしよう…。

くっつけられたベッドに横になった俺と明日奈、

俺は上半身裸で明日奈の方は上半身はブラのみである……色? 誰が教えるか。

電極を付けられてから俺達はアミュスフィアを被り、電源を入れた。

 

「それじゃあ、行ってきます」

「……4,5時間くらいは掛かると思います」

「よろしくお願いしますね」

「はいはい。3人の身体はこの安岐さんが責任を持って見張っておきますよっと」

 

俺達の言葉に軽快に答えた安岐さんを一瞥してから、言葉を紡いだ。

 

「「「リンク、スタート」」」

 

GGOへとダイブした。

 

和人Side Out

 

 

 

キリトSide

 

瞼を開くとそこにはメタリックな高層建築群が空高くへ向けて聳え立ていた。

空はというと、薄く赤みを帯びた黄色をしている。

確かこの世界は最終戦争後という設定だ、それを元にこういう空の色なのだろうと考える。

『SBCグロッケン』、GGOの中央都市というだけあって賑わいも大きい。

世界樹の上にあるイグドラシル・シティやアインクラッドの大規模都市のようなファンタジックとは違い、

未来的に本当にこうなるかもしれないと思えてくる。

コンバートを行うとその前の世界のアイテムや金は全て無くなってしまう、

そのため俺とアスナ、ハジメは予めそれらを倉庫や仲間に預けてきた。

そういえばと、自身の姿がどんなものかと思い近くの店の窓を見て……愕然とした。

 

その姿は黒の長髪、肌は白く滑らか、指もかなり細い、ほぼ女性といっても差し支えない、

現実世界の自分よりも女と言えるほどだ…。

 

「「げ、現実は残酷だ………ん?」」

 

ほぼ女性のような声音で同じ言葉が聞こえたので隣を見てみれば、

白銀のボブカット、少し薄めの黒の瞳、浅黒く焼けているが滑らかそうな肌、

指は俺と同じように細く、身長も俺と同じくらい……だがその姿に絶望している様から考えるに…。

 

「「ハジメ(キリト)か…?………はぁ…」」

 

同じことに思い至ったのか、2人して同時に溜め息。

俺達へのあまりにも酷い神の悪戯に真面目に神(作者・本郷 刃)を恨む。

ん、そういえばアスナは…?

 

「えっと、キリト、くん…?」

「へっ?………アスナ、か?っていうか可愛い…」

「にゃっ//////」

 

声を掛けられて振り返ってみると、真紅のツインテールに透き通るような水色の瞳、

肌は俺と同じく白く滑らかで指も細い、美少女と言って勿論差し支えない。

俺は勘、というよりも一種の《接続》が理由なのかアスナだと判別できた。

そして俺の一言に目の前の少女は真っ赤になった、髪のせいで頭全体が。

 

「(ぽん)いや、違った……その姿が可愛いんじゃなくて、アスナだから可愛いんだ」

「あぅ…/////////」

「……惚気るのはその辺で終わってくれないか?」

 

おっと、ついいつものペースで現実逃避をしてしまったな。

まぁこうなってしまったからには仕方がない、どのみちステータス上は問題無いし。

 

「大丈夫だよ、キリトくんもすっごく可愛いから///!」

「ぐはっ!?」

 

くっ、アスナの無邪気かつ可愛い顔から放たれた一言が槍となって俺の心に突き刺さった。

な、泣いてなんかいないからな…!

 

「とりあえず、菊岡に指定された場所に「お姉さん達、随分と運がいいね!」はい?」

 

気を取り直して、これからの行動を話そうとしたところで、物凄い勢いで走ってきた男がそう言った。

 

「そのアバター、F1300番系でしょ。滅多に出ないそのタイプ、アカウントごと売らないかい?

 今なら2メガクレジットで買うよ!」

 

F、とは女性のことを指し、どうやら珍しいパターンのものなのでアカウントを買いたいようだ。

 

「悪いが俺、男だ」

「……私もだ」

「あ、私はちゃんとした女です」

「………ってことは、それ…M9000番系かい!? す、すごい、それなら4…いや、5メガクレジットで買うよ!」

 

どうやら男なのにこの姿なのはさらに珍しいタイプらしい。

男は必死に売ってくれと頼み込んでくる。

俺やハジメとしては是非とも普通の男である彼と姿を入れ替えたいところだが、

俺達はこのアバターを手放すわけにはいかない。

 

「悪いけど、初期キャラじゃなくてコンバートだからさ、金を提示されても譲ることはできないんだ」

「そうか、まぁそれなら仕方ないな…。

 でもコンバートか…噂じゃ、そのレア番系はプレイ時間が長いほど出やすいって聞くが、

 参考までに聞かせてもらえないか?」

 

俺が断り、ハジメとアスナも断るように首を縦に振ったので男は諦めたようだが、そんな話しを持ち出してきた。

これには折角だから嘘を交えて答えよう。

 

「時間は分からないが、アミュスフィアを購入したのは発売した時だ」

「お、そんなにか…ありがとよ、参考になった。あと気が変わったら連絡してくれ、そっちの2人も」

 

購入時期を偽って答える、この回答ならば噂にある程度の印象がつけられるからだ。

男はカードのようなものを俺に渡すと去っていった、そこにはキャラ名などが書かれていたが、それはやがて消えた。

おそらく、俺のGGO内のリストに追加されたんだろう。

 

「さて、それじゃあ菊岡に指定された場所に向かうか」

「「うん(……ああ)」」

 

2人に聞いてから目的の場所を探す事にした。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

ついに和人達がGGOにやってまいりました。

 

キリトの姿は原作と同じですが、ハジメも男の娘です・・・アスナは例のF1300系にしましたがw

 

まぁね、アスナのキリトへの反応は予想通りだったと思います。

 

キリト、ハジメ・・・ドンマイw

 

次回はシノンと会って装備を整えますよ。

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 


 
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