No.582462

とある傭兵と戦闘機のお話~(SW編第五話)ソラノ迷イビト

害虫討伐作戦の翌日、主人公は戦闘機・・・もとい娘のフィアと街に繰り出した。しかし待っていたのはやはりトラブルだった
基地に戻ってもトラブルやらなんやらかんやらで主人公は色々苦労人になりつつあった
そして、元の世界でも物語の針が進み始めるーーーー

2013-06-01 21:43:39 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2633   閲覧ユーザー数:2464

 

 

 

 「さて、今日はフィアのお洋服買いに行こうか」

 

朝起きてから、ミーナ中佐から真っ先に外出許可を取り付けた私はフィアを連れて街に出る事にしたのだが

 

 「今回は武装は拳銃以外は許可しません」

 

 「逆に拳銃所持は許されるんですね・・・」

 

って事で保管庫にて弾薬の補充をしていた

 

ちなみに拳銃は コルトM1911A1ガバメント・・・選んだ理由としては手に馴染みやすいから

 

ちょっと反動が強いのが難点だけど、相手の武器破壊とかならかなり頼れる45口径弾使用だ

 

先日謎の大量消費をしてしまった為弾薬箱を漁る

 

 「あー7.62X54Rじゃない・・・30-06でもない・・・45・・・ロングコルトじゃん違う違う」

 

いろんな弾薬がありすぎて弾薬庫がカオスな事になってるのは多国籍統合戦闘航空団ならではだと思う

 

でも国ごとに分けてないと補充大変だろうに

 

 「ん?あ、あった」

 

足元にある埃被った弾薬箱のフタを開けて中身を確認する

 

 「コレコレ。さて、それじゃあ・・・」

 

それともう一つの目的で武器庫の方に行く

 

 「えっと・・・連射が利く武器・・・できればセミオートのないかな」

 

リーエンフィールドだけだったらちょっと厳しいから

 

割と手前にあった新しい木箱を見る

 

 「M1ガーランドあるじゃん」

 

新しい木箱に納められていたのはかの有名なM1ガーランドライフルだった

 

宛名の所にシャーロット・イェーガーって書いてあるから後でシャーリーに許可取らないといけないね

 

それと、思わぬ物も発見してしまった

 

 「・・・コレ私がもらった剣じゃん」

 

前にこっちに来た時、扶桑艦隊の艦長さんから譲り受けた西洋剣が無造作に放られていた

 

ひどい扱い方だと思いながら手にとって鞘から抜く

 

 「いい物ってこんな扱いしてもずっと綺麗なんだね」

 

それは錆一つなく、新品同様の輝きを惜しげもなく放っていた

 

日本刀の方は見つからなかったが、それでもちょっと嬉しかった

 

 「さて、待たせるのも悪いしそろそろ行こう」

 

扉を閉め、ハンガーへと向かう

 

 

 

 

 「おう嬢ちゃん、いま娘ちゃんとお話してた所だぜ」

 

 「すみません、子守をまかせるような事して」

 

 「おかあさんこのおじさん凄くやさしい人ですっ!!」

 

 「へえ~っ」

 

 「ボロボロだったわたしにいろいろしててくれましたからっ」

 

 「・・・・・・」

 

なんか・・・ジト~

 

 「なっ!?何だその目は!!やめろ誤解だそんな目で俺を見んなぁぁぁぁッ!!」

 

 「おいおい・・・そんな趣味だったとは・・・」

 

 「待ってくれ!!そりゃ誤解だ!!」

 

 「「「ナカーマ!!」」」

 

 「おい今何人かロリコン疑惑浮上しやがったぞ!?」

 

 「ダウェンポート・・・お前そんな子供が趣味だったのか・・・」

 

 「テメーも一緒に作業してただろうがハミルトン!!」

 

 「「「オマエモロリコーン」」」

 

 「よっしゃお前等表へ出やがれ、今すぐ粛清してやらァ!!」

 

乱闘が始まったのは言うまでもなし

 

 「それじゃあ行きますんで~後はよろしくロリコンポートさん」

 

 「畜生・・・何で俺だけこんな扱いなんだ・・・」

 

ハテ、ナンノコトヤラ

 

私も静かなハンガーより騒がしいハンガーの方が好きだからね

 

そうして私はライフルと西洋剣・・・めんどくさいからロングソードって呼ぼう

 

それを整備班長に預けてフィアと一緒に車に乗り込む

 

 「それじゃあ行こう」

 

 「はいっ」

 

こうして私達は街に繰り出した

 

 

 

 

 

街に着いた私を待っていたのは何故かお祭り騒ぎの出店やら露店だった

 

 「え~・・・何事?」

 

 「わぁ~すごいにぎわかです」

 

前に来た時よりも賑わっており、他の街の復興も始まっていた

 

 「いい国になりつつあるなぁ」

 

やっぱり行動力ある公女様は仕事が早い

 

ああいう人が、向こうで国の指揮とってたらあるいは戦争なんて始まらなかったのかもしれない

 

 「さて、洋服店はどこかな?」

 

ちょっとその辺の露店の人に聞いてみた

 

 「すみません、この辺に洋服店はありますか?」

 

 「あ、えっと、そこの通りを右に曲がればこの街で一番大きい洋服店がありますが・・・」

 

 「教えていただいてありがとうございます。それでは」

 

 「あっ!!ちょっと待ってください!!」

 

店の人に呼び止められて振り向く

 

 「あの、何か?」

 

 「えっと・・・人違いなら申し訳ありませんが、もしや ”蒼の霞” 様でありませんか?」

 

げ、早速正体バレちゃった

 

 「さぁどうでしょうね?それでは」

 

まあ誤魔化せばどうにかなるからね

 

とりあえず露店を後にした私は言われた店の前に来た

 

フィアの手を引いて、店のドアを開ける

 

 「いらっしゃいませ~どんな洋服をご所望ですか?」

 

 「あ~・・・この子に似合う服をお願いします。値段は気にしなくていいです」

 

とりあえず店員さんに任せて、私は自分の服を見てまわった

 

 「動きやすく耐久性に優れなお且つ数がある・・・」

 

見た目関係なしで

 

そんな感じで服を選んでいくと結局はYシャツ一枚に辿り着くんだけどね

 

 「・・・あとはパン・・・あぁこっちじゃズボンだった」

 

不思議、パンツがズボンだってさこっちの世界では

 

そしてウィッチ用のズボンは何でも特殊な編みこみがされていて防御力アップが施されているらしい

 

・・・下着の防御力って何だろうって思うのは野暮?

 

 

 

 「それにしても二人共似ていらっしゃいますね。姉妹様でしょうか?」

 

 「あー・・・えっと・・・」

 

 「おかあさんですっ」

 

 「おっ・・・おかあさん!?」

 

 「あ、はい・・・娘です」

 

 「ず、随分とお若いことで・・・ちなみにおいくつですか?」

 

 「六歳です」

 

妥当な線で見た目判断だけど

 

 「あなたは?」

 

 「十六です」

 

 「・・・(パタッ」

 

ありゃ、店員さん倒れちゃった

 

とりあえず店員さんを別の店員さんに預けてお会計

 

 「うぅ・・・困ったときはウチに相談しに来なさいね・・・」

 

なんかとんでもない誤解を招いたんですけど

 

 

 

 

店を出た私は少し街のお祭り騒ぎしている中心部から外れた広場に来ていた

 

 「・・・・」

 

人気の無い、中心部の騒ぎが小さく聞こえるこの場所は事実上人っ子一人居ない

 

私とフィア、そしてーーー

 

 「出てきなさいよ。ずっと後を付けて来てたんでしょ?」

 

フィアを抱き寄せて、ホルスターから拳銃を抜く

 

 「・・・我々に気が付いていたのか」

 

それに答えるように、建物の脇から出てきたのは黒ずくめの大人達

 

 「もちろん。最初の店で聞かれた時にピンと来ましてね・・・あの店の主人、あなた達のお仲間でしょう?」

 

明らかに反応が胡散臭かったからね

 

 「その段階から気付くとは・・・流石は伝説のウィッチ様だ」

 

へぇ・・・それを狙っての行動ねぇ・・・

 

 「それで?何のために私を?」

 

 「現公女に私達は追放されて耐え難き屈辱を受けているのだ・・・

 

  しかし、連合軍の上層部が死に物狂いで探しているウィッチがこの街をうろついているというではないか」

 

 「ふむ」

 

 「我々がそのウィッチを上層部に差し出せば我等の栄光は再び戻ってくるのだよ」

 

 「へー」

 

 「それでだ・・・素直に我々について来てくれないか?」

 

 「うん、お断りします」

 

行くわけないじゃん

 

 「だって、あなた達って他国からの支援資金ぼったくって私腹肥やしてたクズですよね?

  

  こんなご時世に腐った根性してる害虫にしてやれる事なんてゴミ箱に捨ててあげるぐらいしかできませんよ」

 

超笑顔で渾身の毒を放つ

 

先日ミーナ中佐が言っていたロマーニャ政府大幅改革時に追い出された連中だろう

 

使える人材だったらまだしも使えない金食い虫なんて害虫以外の何でもない

 

 「貴様・・・小娘の分際で我等由緒あるロマーニャ騎士団を愚弄するか・・・!!」

 

 「へぇ~国家予算横領が国の名前を冠する騎士団のする事なんですか~そうなんですか~へ~」

 

向こうの顔に血管出てるんじゃない?

 

こっちも拳銃のセーフティー解除して引き金に指かかりっぱなしだけど

 

 「力ずくでも同行してもらうが、よろしいかな?」

 

めっちゃ歯軋りしてますけど騎士団(笑)さん

 

 「それじゃあこっちも質問させていただきます」

 

 「ほう?何だね」

 

魔法力完全開放

 

 「終点は牢屋かあの世のどちらがよろしいでしょうか?」

 

ただ際限なく、魔法力を混ぜ合わせた空気を広場に満たすように放出させる

 

 

 

 

 

その日、街全体を青い光の空気が覆った

 

 

 

 

 「お母さんやりすぎです・・・」

 

 「いや・・・まさかこんな事になろうとは・・・」

 

目の前の骨抜き状態になって崩れ落ちた腐れ野朗共

 

そして、広場に刻み込まれた魔方陣の跡が否応無く何かがあったって言わしめんばかりだ

 

やらかしちゃったなぁ・・・中佐にどやされちゃう

 

 「うぐ・・・貴様何を・・・」

 

おっと一人、連中の統領みたいなやつがまだダウンしてなかった

 

 「さあ、何でしょうか?」

 

作り笑顔で何ともない顔をしながら返す

 

 「小娘ごときが・・・!!」

 

そのクズは拳銃を取り出して私の方向に向ける

 

そして、その銃口が火を吹くより先に私の銃から弾丸が射出される

 

空気の塊ではなく、金属の塊がその男の肩を打ち抜く

 「ぐあぁぁぁッ!!」

 

その叫び声は、恐らく街の方には届かない

 

先程放出した魔法力は濃度の濃い場所の空気を”その場に固定する”

 

つまり空気が全く動かない・・・故に声や音などの空気を媒介とするものの動きや発生を封じる

 

音も届かない・・・そして、助けを請う声も届かない

 

 「それじゃあ帰ろうか」

 

 「はいっ」

 

 

 

その後巡査官さんにゴミ回収を任せた時のやりとり

 

 「この人達に襲われました」

 

 「ふむ、それで?」

 

 「返り討ちにしました」

 

 「はいそこおかしい」

 

それでも何も言わずに預かってもらえたからいいんだけどね

 

 「はーい集団で子供襲う変態は問答無用でム所送りにしてやっからな~」

 

このゴミ達はなんか別の罪状で刑務所行きになりそうだけどさ

 

 

 

 

 

 

基地に帰った私を待っていたのは何ともいえない空気だった

 

 「・・・・・・」

 

 「・・・・・・」

 

 「・・・何か言おうよ誰か」

 

沈黙だけだった

 

と、言うのも仕方が無いと思う

 

私も最初はそうだったから

 

 「まず所属と名前、ついでにコールサインも答えて」

 

 「・・・・・」

 

 「ハァ・・・」

 

沈黙するのは目の前のパイロット

 

 「そこのF-22のパイロットさん、何とか言ってくれないとこっちも対応しようが無いんだけど」

 

 「!?なんでラプターの・・・」

 

 「とりあえずヘルメット取ろうね。ついでにアクティブボイスチェンジャーも」

 

声の口調から、私と同じくらいの人間ってのは分かるけど 

 

 「・・・わかりました」

 

パイロットはヘルメットを外し、喉に付けていた装置も取り外して私達に向かう

 

銀髪ショートヘアーの、私と同じような女の子だった

 

 「もう一度質問、所属の部隊、あなたの名前、そしてコールサインを教えてください」

 

 「・・・ISAF空軍第118戦術航空隊所属メビウス中隊一番機 コールサインはメビウス1」

 

 「メビウス1って・・・あんた、まさかあの ”死神” か!?」

 

と、声を上げたのはダウェンポートさん

 

 「死神?」

 

 「あんたの居た時代から4年後に起きた戦争、大陸戦争の英雄だ」

 

って事はIS学園の資料で見た大陸戦争の当事者なのかな

 

 「大陸戦争から4年前・・・ベルカ戦争?」

 

と、目の前のパイロットが私を疑問の目で見る

 

 「私は、ベルカ戦争でウスティオ所属のマーセナリーパイロットをやってたの」

 

 「・・・まさか、あなたがあの赤い犬?」

 

 「赤い犬?」

 

ガルムのエンブレムの事かな?

 

 「おかあさん、この子知ってる」

 

 「え?」

 

フィアがハンガーに格納されたF-22ラプター・・・猛食類の名を冠する世界最強のステルス戦闘機に触れながら私に告げた

 

 「私はこの子と、たたかったことがあります」

 

 「何を言ってるの?この子は」

 

ラプターのパイロットも知らないようだ

 

 「おぼえてないの?あの特殊制空任務の所属不明機・・・」

 

特殊制空任務・・・私が受けたそれは一つしかない

 

あの時任務を終えた空に侵入してきた一機の戦闘機

 

その戦闘機との激しい戦闘の末、お互いに弾薬を消費し尽して勝負は着かなかった

 

そして、その戦闘機とすれ違いざまに見たエンブレム・・・無限に繋がる青いリボンのようなエンブレム

 

 「・・・これがあのリボン付き?」

 

 「はい、ほらあそこに」

 

と、フィアが指差す垂直尾翼に描かれたエンブレムを確認する

 

 「皆リボン付きって言うけどこれメビウスの輪なんですよ」

 

 「へぇ~」

 

何気ない、そして普通に馴染みこんでいるこの人

 

 「まあ、私もあなたと同じような境遇だから・・・敵対するつもりはないよ」

 

 「そうですか・・・ところであなたは?」

 

 「私はーーーウスティオ空軍第6航空師団第66飛行隊 ”ガルム隊”一番機 TACネームはサイファー」

 

 「やっぱり・・・あなたがあの伝説の鬼神ですか」

 

 「伝説って・・・大した事してないのに大層な名前付けられてるんだろう」

 

 「味方戦力の40%損失から巻き返せば鬼神と呼ばれてもおかしくないですよ」

 

ちなみに味方40%損失って状態はいわば壊滅って意味らしい

 

 「そんな事も知らないであの空に行ったって・・・」

 

 「仕方ないじゃん・・・まだパイロットになって二年だし」

 

 「あなたも私と同じですか・・・」

 

どうやらこの銀髪の子も同じような境遇らしい

 

 「所で名前は?」

 

 「あ、そういえばまだ言ってませんでしたね」

 

正面で向かい合い、互いに自己紹介をする

 

 「私はヘイト・ルナイス・・・階級は少佐です」

 

 「私はフィリア・フェイリールド。階級は傭兵だから無い」

 

握手を交わして、お互いを確認する

 

なんか、同じような仲間が居るって心強いよね

 

類友ってやつなんだろうか・・・違うね

 

 

 

 「すげー・・・大戦の英雄がそろい踏みだ」

 

 「円卓の鬼神とリボンの死神か・・・取材したら凄まじい記事が書けそうだ」

 

 「しかもその二人が共に交戦経験アリってのがな・・・引き分けだったらしいが」

 

もはや子供だった事には驚かない

 

むしろエースっていうのは見た目子供の方が多いんじゃないかと思い始めているのだ

 

 「そーいやブレイズも見た目あんくらいだったかな・・・いやぁまさかな」

 

 「・・・(恐らく私が墜ちた後、SOLGの落下も阻止されたのだろうな・・・)」

 

ハミルトンは予想していた

 

SOLGと呼ばれる戦闘衛星を操作していたコントロール信号が途絶すれば

 

SOLGは衛星軌道から外れて首都に落ちるようにプログラムセットしてあった事を知っていた

 

それがウォードック・・・ラーズグリーズによって阻止されるという結末を予想した

 

それは事実だがそれを見届ける前にこっちに呼び出された彼がその真実を知る術はないのだが

 

 「つーかこの二人組んだらヤバイ事になるんじゃないか?」

 

 「国二つくらい無くなる」

 

 「洒落になってねーよ・・・」

 

 「片方が一個航空師団並みの戦力で、それにサシで分けの人間だったとして単純計算でも二個航空師団の戦力だからな」

 

 「あだ名が誇張でも何でもねーな・・・それにしてもあいつらいくらなんでも若すぎないか?」

 

 「思う事は一緒だ・・・それでも英雄には変わりないだろ」

 

 「ちげーねー」

 

ちょっとの事では驚かない、ある意味”悪魔と呼ばれた英雄”を覚醒させるきっかけとなったチョッパーと

 

それに撃墜されたハミルトンは案外気楽に構えていた

 

 

 

 

 

 「ちょっと質問いいですか?」

 

 「答えられる事ならね」

 

 「その子は妹さんですか?」

 

 「いや、わたしの娘」

 

 「ちゃんと答えてください」

 

 「いや・・・だから私の子供だって」

 

 「・・・嘘でしょ?」

 

なんかフィアと私を凄い交互に見てるんだけど

 

 「あーっとね、この子F-15Cなんだよね」

 

 「・・・どういう事ですか?」

 

それからかくかくしかじかこーゆうかんじに説明して

 

 「そうなんですか・・・って言える人はいないと思います」

 

 「ま、そりゃそうだよね。だから信じるも信じないも自由って感じかな」

 

 「はぁ・・・あの子もこの子みたいになるのでしょうか・・・」

 

あの子ってラプターの事かな?

 

そうして彼女はラプターに手をあてる

 

そして・・・青く輝く光に包まれて、ラプターはストライカーユニットになった

 

私の機体に起きた変化と同様に

 

 「これは・・・」

 

 「ストライカーユニット、この世界の敵に対抗する為に開発された・・・魔法の箒」

 

 「世界の敵?」

 

 「世界の敵・・・この世界で人類と敵対する、人ならざるモノ」

 

私は彼女の正面に立って、私は聞いた

 

 「その空を飛ぶ為の翼を、人ではなく敵を破壊する事に使う意志はある?」

 

まだこっちに来たばかりで何も知らない彼女に聞いた

 

 「・・・戦うしかないのですか?」

 

 「あなたも戦争を生き抜いたなら分かるはず。生きるという事は、戦うという事だって」

 

 「・・・・」

 

彼女は押し黙る

 

 「それで、戦い抜いた先に残るのは?」

 

 「そんなの分かる人間はいないよ。勝利か敗北か、自分の生か死か」

 

 「・・・・」

 

 「それでも歴史と呼ばれる結果は残る」

 

 「そんな不確定なものの為に戦えと?」

 

 「少なくとも戦わずして結果だけ求めるのは傲慢だと思う」

 

 「・・・なら、戦う。それしか私に残された道はないのでしょう?」

 

 「そうだね。私達に残された道は戦いしかない・・・だからーーー」

 

一呼吸置いて、私は彼女に言った

 

 「生き残ろう」

 

本当に、私達に残された道がそれしかないのだから

 

撤退はできない・・・許されない

 

こうして、私と同じ空の迷い人が一人こっちにやってきた

 

 

 

 

 「それでさ、うちの部隊に居たメビウス8っていう人なんだけど超人でしたよ」

 

 「なんで?」

 

 「とりあえず、戦闘ごとにベイルアウトしてました」

 

 「えぇ~・・・」

 

 「・・・・(ブルブル)」

 

あ、緊急脱出の単語にフィアが凄い怯えてる

 

ベイルアウトするって事は機体を捨てるって事だからね・・・一生の別れと同じだもんね

 

 「でもそれで毎回次の作戦までに帰ってくるんですよ」

 

 「何それ怖い」

 

 「・・・その子はどうなったんですか?」

 

涙目のフィアがヘイトに聞いた

 

 「その子・・・ああ、うーん・・・大抵敵にぶつけて・・・」

 

 「・・・うえぇぇぇぇん・・・ひどいよぅ・・・」

 

ああ、フィアが泣き出しちゃった

 

車が正面衝突した場合って大抵大破するよね

 

マッハの機体が正面衝突するとどうなるかっていうのは・・・

 

と言うより、簡単に言うけどそれ敵陣ど真ん中から味方戦線まで逃げ切れるって事だからね?

 

私は・・・ムリダナ

 

 「・・・むしろその人陸戦の方が強いとか?」

 

 「私はそう思ってあまり考えないようにしてます」

 

ええ・・・なにその人外

 

てなわけで同じ境遇の人、と私は完全に和解していた

 

というのも、ここまで同じ境遇の人間ってのも珍しいからかも

 

 「とりあえずラプター使ってみてよ」

 

 「えっと・・・どう使えば?」

 

 「そこに足を差し込む感じで」

 

とりあえずヘイトはストライカーになったF-22・・・ラプターの装着口に方足を差し込む

 

しかし、ストライカーはウンともスンとも言わずに沈黙するのみ

 

と言うより足が入りきってないんだよね・・・つまり魔法力が使えないって事か

 

 「・・・動きませんよ?」

 

 「うーん・・・一日こっちで寝てれば使えるかも?」

 

 「どういう理屈ですかそれ・・・」

 

うーん・・・まぁ

 

 「とりあえず、明日になって考えない?」

 

 「はい、わかりました・・・」

 

こうして、この日の会話の続きは明日にお流れになった

 

 

 

 

  

    

 

とある天幕の中、木箱を机にして新聞を見ている部隊があった

 

 「ふむ・・・蒼の霞か・・・面白そうだな」

 

 「向こうの記事だけど、あの英雄のウィッチがロマーニャに居るらしいのよ」

 

新聞を見ながらその乾燥しきった木製のイスがギシッと軋んだ音を立てる

 

彼女が髪の手入れを怠らないのは自分の為ではない

 

見せ物としての役目を果たす為にそうしているだけなのだ

 

そして、ここはアフリカ戦線、第31統合戦闘航空団ーーー通称、ストームウィッチーズ

 

その部隊員が寝泊りするために設営された天幕の中で、その部隊のエースが言う

 

 「私より強いと思うか?」

 

 「さあ?自分で確かめて来たらどうだい?」

 

と、カメラを持ったウィッチが書類を差し出す

 

 「あなたに司令と、整備班の新人さんに辞令よ」

 

木製のイスに腰掛ける少女

 

帽子を深くかぶった少女は少し顔を上げた

 

 「私に・・・ですか?」

 

 「二日後、あなた達には連合軍総本部に出頭してもらうから」

 

 「あ~スズさんがやっとこの地獄からおさらばですか~」

 

 「私は何で出頭させられるんだ?」

 

 「マルタ島攻略に関する話し合い・・・と、いう名の上層部のご機嫌伺いって事かな」

 

 「マルタ島・・・という事は501と?」

 

 「そうなるかもしれないね~。どうする?」

 

 「そんな事決まっている!!501にはアイツが居るからな!!」

 

椅子を倒さんばかりに勢いよく立ち上がる

 

そしてその長く伸ばした金髪が煌びやかに宙を舞う

 

 「という事は私は異動ですか・・・」

 

 「そのようだね。あなたが来てから二年が経ったけど、秘密はちゃんと守ってる?」

 

 「もちろんです、加東さん、今までお世話になりました」

 

 「あら?まだ旅立つ日まで二日あるわよ?」

 

そこに居合わせたメンバーが笑う

 

その中で、アフリカの星と呼ばれる魔女は静かに想いをはせていた

 

 「それにしてもお別れか~・・・最初はなんかゴツイ服装してたりしてたよね~」

 

 「あっ、あのスーツってまだありますか?」

 

 「もちろん、大切に仕舞ってあるよ」

 

 「そうですか・・・ちょっといいですか?」

 

こうして、アフリカの夜は過ぎていった

 

 

 

 

   翌日

 

 

 「何か変な鳥と会いました」

 

 「よし、それじゃあ本番行ってみようか」

 

 「ノリがおかしいですよ?」

 

このくらい気軽な方がいい気がするんだよねぇ

 

と、言うわけで朝っぱらからハンガーで起動試験

 

 「昨日と同じ手順でお願いね」

 

 「はい・・・」

 

疑心暗鬼ながらも、ヘイトはストライカーを装着する

 

すると、青い光を帯びながらエンジンのタービンファンが回転を始めた

 

そして頭から生えるのは、何か鋭い猛禽類が持つような羽

 

 「・・・なんかくすぐったいですね」

 

 「最初はそんなものだよ。すぐに慣れるから安心して」

 

そのまま離陸チェックに入る

 

 「F-22は手入れがなぁ・・・格納ユニット、高速機離陸態勢スタンバイ」

 

 「こっちじゃステルス塗料なんて存在しないしな・・・各システムオールクリア、ユー・ハブ・コントロール」

 

 「アイ・ハブ・コントロール。メビウス1、テイクオフ」

 

ゴオッとエアインテークに空気が吸い込まれる

 

ラプターはアフターバーナー炊かないでも音速で巡航できる、”スーパークルーズ”という能力がある

 

隠密特化設計や特殊塗料など徹底されたステルス性に最新アビオニクス、グラスコックピットに加えて

 

二次元偏向ノズルを備えて機動性を確保

 

良い事づくめのその性能は世界最強の制空戦闘機と謳われる程の物だった

 

ただ、いいものには欠点が付き物

 

そんな性能重視の設計や最新技術の検証、ステルス塗料の低い耐久性や高価格っぷりのせいで

 

高価格と呼ばれていたイーグルの約二倍の超高価な機体になってしまったらしい

 

さらに、整備が大変故にランニングコストも含めると・・・すばらしい高級機体になるね

 

しかし先述の通り、性能は抜群である

 

そして目の前の、ストライカーの形になったラプターとヘイトは空に舞い上がった

 

 「よし・・・こちらガルム1、メビウス1 応答を」

 

 「こちらメビウス1 感度良好、機体にも問題はないみたいです」

 

 「こちらガルム1了解、引き続きテストを実行して」

 

 「メビウス1了解 それにしてもどんな原理で飛んでるんでしょうか私・・・」

 

 「こちらガルム1 気にしたら負け」

 

 「メビウス1 ウィルコ」

 

そうなんだよなぁ・・・あれでどうやって飛んでるんだろう?

 

よくよく考えてみると不思議だなぁ~・・・アレ、私知らないうちに考えないようにしてる?

 

それから空に飛行機雲を描くヘイトをただ見上げながら思った

 

地上から見上げる空は味気がしない・・・

 

私の居場所は・・・どこだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 一方、元の世界の方はと言うと・・・

 

 

 「おーいフィリアー、留守か~?」

 

とある部屋の前に立つ少年・・・織斑一夏はとある物を持ってその扉の前に立っていた

 

手に持つものは、フィリアが大切にしていた手帳

 

古いがこまめに手入れされており、ボロボロになっているという訳ではない

 

 「あいつ俺の部屋に落としてから取りにも来ないで・・・そんなに要らないものなのか?」

 

結局扉の前でメールの返信待ちをしていると、セシリアがこっちにやってきた

 

 「あら、ごきげんよう一夏さん」

 

 「よう、どうかしたのか?」

 

 「いえ、フィリアさんにちょっと用がありまして」

 

 「そうか。でも留守みたいだぞ?」

 

 「私もメールを送ったのですが、返信がこないので部屋に直接参りました所存ですわ」

 

 「そうなのか・・・ちなみに何の用だったんだ?」

 

 「一夏さんこそ、どういったご用件でフィリアさんに?」

 

 「いや、あいつ俺の部屋にコレ忘れててさ・・・いつまでたっても取りに来ないから届けに来た」

 

そう言いながら、ポケットから手帳を取り出す

 

 「それは・・・ちょっとよろしくて?」

 

 「ん、知ってるのか?」

 

 「ええ、これは・・・一夏さん、少々預からせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

 「いいけどよ・・・ちゃんと返しておけよ~」

 

 「もちろんですわ」

 

まあ、セシリアが返し忘れるとかそういうのはないな

 

とりあえず任せたな、セシリア

 

 

 

 

 「もちろんですわ」

 

そう返して、私は足早に自分の部屋に戻りました

 

そして、一夏さんから受け取った手帳・・・フィリアさんの一族が持つ血族手帳でした

 

 「全く・・・英国淑女として命の次に大切な手帳を忘れるなんて」

 

軽く、興味本位でその表紙をめくる

 

知りたかった・・・何も分からない彼女の事を

 

 「・・・ーーー!?」

 

思わず、その手帳を落としてしまった

 

書かれていた、記されていた事は紛れも無い事実の証明

 

 

 

そして、表紙裏に描かれている紋章はまさしく・・・

 

私はすぐに携帯端末からある電話番号を呼び出した

 

呼び出した相手はーーー私の恩人にして我が国の・・・

 

 

 

 

 

 

 

 「あー全く・・・ここん所書類仕事ばっかりでつまんねー」

 

俺は相変わらず、軍の維持、資金のやりくり、退役軍人の調査やらなんやら性でもないデスクワークに日々追われている

 

 「何だよ、日本との軍事演習の日時決定要項?何で向こうの部下に任せた書類がこっちに来てんだよ」

 

書類に書き込み、サインしてまた送り返す

 

そんな作業の毎日は退屈どころの問題ではない

 

 「あー・・・あの空が恋しいぜ・・・」

 

 「何さっきからブツブツ言ってるの?それがあなたの仕事なんだからきちんとしなさい」

 

 「わーってるよ、何だよお前は俺のお袋か?」

 

 「気の利く娘と呼びなさいよ」

 

 「「「それは無い無い」」」

 

そして他のデスクに座る部下達からため息と苦笑交じりに流される

 

 「あーなんかねーかなー」

 

そう思いながらコーヒーの入ったカップを口元に運ぶ

 

と、デスクの固定電話が鳴り響く

 

もちろん無視するのはまずい為カップ片手に受話器を取る

 

 「こちら米軍総司令部、フォルクだ」

 

 「第一特殊情報調査部隊、レベリアル・・・フォルク司令、そちらに送ったデータは届いてますか?」

 

 「おう、きっちり届いてる。IDセキュリティの認証コードさえ入力すれば開ける状態だが・・・」

 

立体投影画面には ”国家最重要機密”と呼ばれる文字と栄えある英国の国旗がデカデカと映し出されている

 

 「何で一人の子供を調べるのに国のブラックボックスに行き着いたんだ?」

 

 「その辺は見てから言って下さい。それと、データを盗んだのが知れたら大事になるので・・・」

 

 「わーってるっての。で、コードはどうした?」

 

 「はい、一度で覚えて下さい。コードはーーーー」

 

それから聞きながらコード入力を完了させ、最後に決定ボタンを押すのみとなった

 

 「あと、最後に忠告です。」

 

 「ん?何だ?」

 

 「司令が持つカードは・・・まぁ、見ればわかりますね。それともう一つ、飲み物飲みながらの閲覧はお勧めしません」

 

 「おう、わかった」

 

電話を切ってから映し出されている表示に目を向ける

 

 「さて・・・個人的な事だが上官権限ってのは便利だな」

 

コーヒー片手に確定ボタンに触れ、同時に映し出されるデータの数々

 

 「何で国のトップの一族のデータが・・・ブッ!?」

 

盛大に、コーヒーを前のデスクシールドにぶちまける

 

 「うわぁっ!?何だ!?ブラックが飛んできたぞ!?」

 

 「ああっ書類がやられた!!」

 

 「落ち着け、すぐに印刷担当に引き継ぐんだ!!」

 

 「ちょっ!?ああああ俺のオレオォォォォォ!!」

 

それに始まって、事務所がパニックに陥る

 

 「ちょっと!!なにやってるのフォルク司令!!」

 

 「す、すまん!!でもこれ事によってはマズい事になっちまうぞ・・・!!」

 

 「既になってるわよ!!」

 

 「違う!!」

 

ぶっちゃけ司令本部の事務所内が滅茶苦茶パニックパラダイスになってるのはどうでもいい

 

たかが機密文章や菓子がコーヒーまみれになっただけだ!!大して問題じゃねえ。そんな事よりーーー

 

 「あいつ・・・こんなもん背負って生きてたのか・・・?」

 

いや、本人はそれを知らないはずだ・・・知っていたならあんな風には周りに振舞えない

 

 「何考え込んでるのよ!?さっさと事態を収拾しなさい!!」

 

 「今それどころじゃねぇ!!」

 

冗談じゃねぇ。こいつは国家の問題だぞ!?

 

それにシステム導入試験の機密が合わさったら・・・事によっては嵐になりかねん

 

 「空軍のエースか・・・それとも空軍のジョーカーか・・・」

 

決まるのは・・・アイツの意志次第か・・・

 

 

 

 

  そして、場合によっては世界のパワーバランスを崩壊させるその熱量は

 

  軍司令・・・その根源を生み出した国の軍事力を統べるラリーの心を融解させていく

 

 

 

 

 

 「はーい、そろそろ戻って~」

 

 「了解 メビウス1、RTB」

 

ドフッという衝撃波が生まれる音と共に旋回開始、

 

そのままこちらに戻ってくる

 

 「はぁ~・・・これ結構難しいですね」

 

 「そう?空を飛ぶ感覚は一緒だよ?」

 

うーん何て言うんだろう・・・空と一体化するって感じ?

 

体を馴染ませるように、溶け込ませるように

 

そんな感じで空を求める私だけなのかもしれないけど

 

 「さて、朝食いこっか」

 

 「はい、今日のメニューって何ですか?」

 

 「行ってからのお楽しみ」

 

当番は確か少佐だったような・・・あっ

 

 「楽しみじゃなくて苦しみかも」

 

 「行ってからの苦しみって何ですか!?」

 

こうして私達は死地に赴いた

 

 

 

 

 

結論から言えば、朝食は少佐ではなくシャーリー達が腕を振るっていた

 

 「おーおいしい、いいねこのボン・・・カレ?」

 

 「ボンゴレ・ビアンコだよ!!」

 

ルッキーニに間違いを修正される

 

あのルッキーニがエプロン姿なんだよ?正直恐ろしかったけど流石はイタリア・・・ロマーニャの子だ

 

料理に懸ける執念は半端じゃない

 

・・・だから軍事力がry

 

おおっとボ●カレーって違うね、危ない危ない・・・って何が危ないんだろう?

 

 「おいしいですねコレ。えっと・・・」

 

 「シャーロット・イェーガーだ。以後、よろしくな~」

 

手を振って自己紹介をするシャーリー

 

まあ朝食は静かだね、夕食に比べたらだけど

 

ところでーーー

 

 「芳佳、どうしたの?」

 

 「・・・・・・」

 

いつも朝食時、一段と元気なはずの芳佳が何故か俯いていた

 

返事も返ってこない、目の前でしょんぼり落ち込んでいる芳佳

 

いつもの元気はどこに行ったんだろうか

 

 「・・・お姉ちゃん?」

 

 「・・・え?あ、うん・・・」

 

膝に乗っているフィアが芳佳に声を掛けるがどうやら上の空みたいだった

 

あと、何かバルクホルンさんが頭をテーブルに打ち付けたモーションを捕捉してしまうが無視で

 

何かある単語に反応してるみたいだけどさ・・・とりあえず怖いからやめてほしい、フィアもビックリしちゃうから

 

それから少し静かな朝食は何事もなく過ぎていった

 

 

 

 

 「シャーリー、ガーランド貸して~」

 

 「ん?ああアレか。別にいいぞ~」

 

よし、M1ゲット

 

確か使い方ってM14とほぼ同じだよね・・・見た目殆ど同じだから

 

弾薬って確か・・・30-06スプリングフィールド弾だったっけ

 

ちなみにハンガーでの会話ね

 

シャーリーってハンガーに居る時の方が多いから

 

 「嬢ちゃん、前に預かったM1ガーランドライフルだが試射くらいしといたらどうだ?」

 

シャーリーと話していると整備班長さんがその銃を持って来てくれた

 

スプリングフィールドM1ガーランド・・・アメリカもといリベリオンが経験した幾多の戦闘を支えた名銃

 

強力な弾丸を使用し精度も上々、そして何より連射可能な点が光る

 

 「弾薬はフル装填してある。グリップ付きの予備も渡しておくから好きにしてくれ」

 

 「了解、いつもありがとうございます」

 

 「いいってもんよ。気にするな」

 

それから作業に戻っていく整備班長さん

 

本当に頭が上がらない・・・

 

 「・・・お前って本当に凄いよなぁ」

 

 「何が?」

 

 「いやだってさ、皆何だかんだでお前を慕ってるんだから」

 

 「んー・・・そうなの?」

 

 「だってさ、いつも皆お前に助けられてたんだ。この基地の皆が助けられた。それにーーー」

 

 「それに?」

 

 「皆お前の飛ぶ姿を見ていたいんだ。お前ってそういう特別な力を持ってるよ」

 

 「何それ・・・シャーリー風邪でもひいた?」

 

 「あっ!?ヒッデーなその反応!!銃返せ!!」

 

また馬鹿みたいに笑いあう

 

こんな会話を聞くって向こうじゃありえないもんね

 

それにしても・・・私は何で今ここにいるんだろうか?

 

結局原因も分からずじまい、あろう事か戻ったのは三十年後の世界だったとか

 

傍から見ればどこかの物語みたいだ

 

 「さて、試射試射~」

 

ハンガーから出て射撃訓練てを始める

 

 「さーて遂にお披露目だ!!この整備班長こと俺が作った最高強度の的!!」

 

と、言われて望遠鏡を渡される

 

 「?」

 

 「北北西見てくれ」

 

望遠鏡を覗き込んで言われた方角を見ると、小さく的のような物が海上に浮かんでいた

 

 「・・・遠」

 

 「当たり前だ。アンタの銃撃至近距離で受けたら至近弾で木っ端ミジンコだ」

 

 「・・・寒ぅ」

 

 「とにかく撃ってみてくれ。戦艦の主砲は耐えるぞ」

 

 「「「逆にそれどんな素材でできてんだよ!?」」」

 

おっと皆ではもった

 

でもちょっと面白そうなので、久々に全力で射撃してみる事にした

 

 「じゃあちょっと本気出します」

 

 「おう、いいぜ、やってみろ!!」

 

クリップに纏められた弾薬を弾倉に押し込む

 

そしてそれから魔法力を込める

 

普段は全弾に均等に込めるけど、最大威力を引き出す為に一発に集中させる

 

 ヒュオォォォ・・・

 

 「どんな威力になるかな・・・皆さん耳を塞いで口を大きく開けといてください」

 

それから全員が言ったとおりにしたのを確認して、私はセーフティーを解除した

 

 「まだまだ・・・」

 

普段の魔法力を一点集中・・・更に銃自体を保護する為に魔法力解放

 

体から溢れ出る魔法力を銃自体に全て流し込む

 

そして、私の体は青い光を纏った状態になった

 

 「ーーーーーファイアッ!!」

 

引き金を引く

 

  

 ヒュイィィィッ

 

 

銃が空気を吸い込み、圧縮された魔方陣が銃口から放出され、弾丸を射出する

 

その際咄嗟に銃口部の魔法力含有空気を固定させて音の広がりを押さえた

 

身の危険を感じたから

 

 

 ザッパァァァァン!!

 

 

着弾したと思われる水柱が遥か遠くで上がる

 

 「着弾せず・・・至近弾だな。海上で助かったぜ」

 

 「的が、でしょう?」

 

 「はははっ、でもまあ至近弾食らっても平気って事はそれなりの強ーーー」

 

 

 ズドオォォォォ!!

 

 

遅れて、先ほど上がった水柱をゆうに超える巨大な爆発が海上で発生する

 

え・・・何その遅発信管

 

 「俺的二号ーーーッ!!」

 

 「「「ターゲットの名前がダサイ!!」」」

 

すばらしきかなこの連携

 

でも、何だったんだろうアレ・・・

 

軽く戦艦の主砲を越してる気がするんだけど・・・威力

 

しかし哀れ、その爆発に巻き込まれる形で最強(仮)の的は跡形もなく吹き飛んでしまった

 

 「んーーー・・・まだ余裕があるのは何で?」

 

魔法力を全部注ぐ形を取ったにも関わらず、今だ私の体は何の異常も見られない

 

 「ま、いっか」

 

知らない、私は知らないから。

 

自分自身の力なんて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更新遅れすみません・・・

 

 前半後半分けです

 

 かきたい・・・でも時間ない・・・仕事ハードエェ

 

 色々詰め込みました。色々とね

 

 意見感想募集中

 

 よろしくお願いします

 

 

 

 


 
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