No.582124

焔の魔導師 第5話

クロスさん

日常?編です。

2013-06-01 00:21:22 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1383   閲覧ユーザー数:1334

第5話

 

クロストside

 

バニングス家に拾われて1週間。

メイドさんたちの手伝いをしているが、どこか物足りないというか。

恩返しがしたいのだが、客に手伝わせるわけにはいかないと楽な仕事しかさせてくれない。

 

「うう~ん。」

「何を悩んでいるのかな?」

「鮫島さん・・。」

 

鮫島さんにはよくお世話になっている。

アリサにはよく犬の世話を頼まれるが。

 

「鮫島さん、執事って楽しいですか?」

「楽しいかどうかはわかりませんが、やりがいはありますよ。」

「やりがい・・。」

「その分、大変ですがね。」

 

鮫島さんは笑いながら話す。

話しながらも仕事をしている。

 

「鮫島さん!」

「ん?」

「僕に執事を教えてください!!」

 

 

 

鮫島side

 

クロ君が執事を教えてくれと言った日から半年。

今、クロ君は自室で勉強中だ。

 

「鮫島、クロ君はどうかね?」

「才能の塊ですね。1教えれば5で返してきますよ。」

「そうか、これはアリサを任せてもいいかもしれないな。」

「そうですね。」

 

クロ君には執事において必要なことはほとんど教えた。

護身術も料理も学問も。

そして心も。

クロ君はきっと私を超える執事になるだろう。

 

「ではあとは頼むぞ。」

「はい。」

 

さてクロ君の勉強を見なければ。

 

 

アリサside

 

クロが執事になりたいと言った時は驚いた。

だけどそれ以上に嬉しかった。

クロは側にいるだけでやすらぐと言うか。

と、とにかく落ち着くのよっ!悪い!!////////

 

「どうしたの、アリサちゃん?」

「な、なんでもないわすずか。」

 

話しかけてくれたのは『月村すずか』。

クロが家に来てからできた友達の1人。

学校で喧嘩してそれから仲良くなった、親友と言える友達よ。

 

「クロのことを考えていてね。」

「クロってアリサちゃんの家に居候してる子だよね。」

 

今話しかけてきたのは『高町なのは』。

私とすずかの喧嘩に割って入ってきた子よ。

家は『翠屋』と言う喫茶店で、そこのケーキはとてもおいしい。

それでもクロの作るケーキは別格だけどね。

 

「いたの?なのは。」

「酷いっ!?さっきからいたよアリサちゃん!!」

「クロ君がどうしかしたの?」

「すずかちゃん!?」

 

はぁ、やっぱりなのははいじられてる時の顔がかわいい・・。

 

「クロが家に来てもう半年だなって思ってね。」

「クロ君は学校に来ないの?」

「ん~、まだ決めてないみたい。」

「クロ君って普段どうしてるの?」

「鮫島にいろいろと教わってるみたい。」

 

だから最近はあまり会えない。

あいつは私が遊ぼうと言っても勉強や訓練だと言って部屋に閉じこもったり、鮫島と一緒にいたり。

まったく、あいつは私の執事になるんじゃないの!!

 

「すずかちゃん、アリサちゃんが怖いよ。」

「私も同じだよ、なのはちゃん。」

 

ふふふっ、今度はどんなお仕置きがいいかしら?

ク~ロっ❤

 

 

クロストside

 

ぞくっ!?

 

「どうかしましたか、マスター?」

「いや、ちょっと寒気が。」

 

偶に感じるこの寒気はなんなのだろうか?

 

「今はイメージを膨らませてください。新しい魔法を作ろうと言ったのはマスターですよ。」

「解かってるよ、ロイ。」

 

今僕は限りある休み時間を使って新しい僕専用の魔法を作ろうと考えている。

焔の錬金術は確かに便利だが、接近戦ではどうしても不利になりやすい。

だからこそ、焔で武器を作れないかと思ったのだが。

 

「やっぱりすぐにはできないね。」

 

ロイのおかげで暑さは無いし、形も少しなら維持できる。

でもなかなか形が定まらない。

つまる所、自分でどのような形が1番なのかわかっていないんだ。

鮫島さんと剣の訓練もしたが、やはり日本刀のような形がいいのか?

 

「う~ん。」

「なに悩んでんの?」ぎゅ

「何故抱き着くのでしょうか、ミモザさん。」

「ん~、それはクロ君がかわいいからかな。」

 

聞いた話だが、ミモザさんは可愛い物に目が無いらしい。

 

「それで?クロ君は何を悩んでるの?」

「戦うのに最も適した武器は何かと悩んでいたんです。」

「へ~、武器作れるの?」

「イメージがはっきりすれば、ちゃんと形になるんですけど。」

 

僕は焔を手の上で人の形にする。

 

「こんなこともできるんだ~。」

「はい。」

「ん~、クロ君に似合う武器か~。」

 

ミモザさんは考えてくれている。

 

「レーヴァテイン。」

「へ?」

「知ってる?神話の中の炎の剣なんだけど。」

「知ってますけど、形が解からないと。」

「ん~ほらそこは想像力で。」

 

ミモザさんはどこか適当な所がある。

 

「わかりました、やってみます。」

「がんばれ~。」

 

僕は集中する手に魔力を籠めながら形を創造する。

レーヴァテインは魔剣。

魔剣と言うからにはかなり禍々しい造形なんだろう。

それこそ、吐き気がするようなほど。

 

 

そして。

 

「マスター、目をあけてください。」

「ん。」

 

目を開けて見た感想は、はっきり言っていい物ではなかった。

もはや剣なのか、槍なのかわからない程に大きい。

でも、わかる。これは凄い威力があるって。

 

「おお~すごいね~。それがクロ君の新しい魔法?」

「はい、ありがとうございますミモザさん。」

「ん~、私は何もしてないよ~。」

「でもヒントになりました。」

「ん~じゃあ、デザート作ってもらおうかな。」

「わかりました、部屋持って行きますので待っててください。」

「は~い。」

 

そう言って、小走りで行くミモザさん。

まったくあの人は。

 

「しかしとんでもない物ができましたね。」

「そうだね。」

 

魔剣レーヴァテイン。

まるで。

 

「僕の心みたいだね。」

「そんな訳ありません!マスターの心は川の水のように清らかです!!」

「ありがと、ロイ。」

 

でもね、ロイ。

僕の心はやっぱり汚いと思う。

だって両親を殺した管理局がこんなに憎いんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「どうしたの、アリサ?」

「ふふっ、クロが最近私と遊んでくれないな~と思ってね。」

「で、でもそれは。」

「わかってる勉強とか忙しいんでしょ?それはわかるよ、でもね。」

「でも?」

「休憩時間も構ってくれないのはどうしてかな?カナ?」

「え、ちょっ。」

「クロ、ちょっとOHANASHIしようか?」

「ぎゃ―――――――!!」

 

この夜、バニングス邸では断末魔が聞こえたと言う。

 

 

後書き

 

主人公は執事になるようです。

はっきり言ってこんな設定でいいのか?と思う時があります。

でも読んでもらえてうれしいです。

前回のコメントでバリアジャケットは?というコメントがありました。

バリアジャケットはちゃんと展開できますよ。

その辺はまた書かせていただきます。

 

次回は主人公がやっと職につきます。


 
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