No.581975

IS インフィニット・ストラトス BREAKERS 第四話 俺に力を貸せっ!!

raludoさん

IS インフィニット・ストラトス BREAKERS 第四話 俺に力を貸せっ!!

どうしても一夏にこのセリフを言わせたかった。

2013-05-31 19:58:47 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1749   閲覧ユーザー数:1696

 

 

一夏こと俺は専用機〝白式〟の前で立っていた。

 

「時間が押している。フォーマットとフィッティングは実戦でやれ。できなければ負けるだけだ」

 

千冬姉が後ろから急かす。

 

「実戦でやれって言われても……いや、分かった実戦でやる」

 

そして、白式に触れる。

 

初めて触れた時のような感覚は無かったが、理解できる。これが何なのかを。

 

俺は白式に背中を預けるように体を傾ける。

 

すると、白式が俺の体に合うように装甲を閉じる。

 

そして白式と〝繋がる〟。まるで昔から自分の一部だったかのように。

 

一つ一つセンサーを起動する。ハイパーセンサーも問題なく起動。

 

ハイパーセンサーの起動と同時に相手の機体情報が表示される。

 

「――ブルー・ティアーズ」

 

表示された機体名を声に出す。これがセシリアの――。

 

「ハイパーセンサーはしっかりと起動しているようだな。一夏、気分はどうだ?」

 

千冬姉の声がわずかに震えていた。ハイパーセンサーでやっとわかるほどに微かであったが。

 

「大丈夫だ、千冬姉。行ける」

 

千冬姉に言葉を返すと、先ほど戦闘を行っていた紅牙がやってきた。

 

「問題なさそうだな、一夏」

 

「おう、ばっちり勝ってくる。戻ったらその強さの秘密、教えてもらうからな!」

 

「……いいだろう」

 

紅牙が不敵に笑う。まるで、これぐらいやって見せろ、と言わんばかりに。

 

「じゃあ、……箒」

 

「な、なんだ」

 

「行ってくる」

 

「あ……ああ、勝ってこい」

 

その言葉に頷きを返して、俺はカタパルトに向かった。

 

 

 

 

彼――紅牙は一夏君がカタパルトで射出されるのを確認して、観客席へとやってきた。

 

「紅牙、こっちよ」

 

私――更識楯無は彼を呼ぶ。ちょうど話したいこともあったし。

 

「ここにいたのか刀奈」

 

「ええ。ふふ、格好よかったわよ♪」

 

私がウィンクをしながら言うと、彼は照れたように頭を掻きながら言う。

 

「まあ、お前のこととなるといくら俺でも我慢できないというか」

 

だけど私は容赦なく口をはさんだ。

 

「なら、なんで私とは本気で戦ってくれなかったの?」

 

笑顔でそう言い放った。目は笑ってないけどね。

 

「……え~と」

 

紅牙は冷や汗を浮かべながら視線を逸らす。

 

「さて、白状してもらいましょうか」

 

私はニヤリとした笑みを浮かべながら彼に迫る。

 

具体的にはぴったりと体を彼の腕に密着させながら。

 

「……わかったよ。だけど、手加減したわけじゃない。本気だった」

 

「嘘。さっきのほうが断然強かったわよ」

 

「ああ、刀奈と戦ったのは〝素〟の俺だ。さっきのはBREAKERSとしての俺だ」

 

「ほえ?」

 

私は彼の言っていることがわからなかった。

 

「まあ、〝素〟で戦う俺は弱いんだよ。何せ特攻寄りになるからな。……理由は、まあ刀奈ならわかるよな?」

 

「あっ……」

 

そう、紅牙が特攻寄りになるのには理由があった。昔、ある事件のせいで……。

 

「だから、普段はちゃんとBREAKERSとしての戦い方に徹底しているんだけど、刀奈と戦ったときは、その……久々に刀奈に会えて舞い上がっていたというか、なんというか」

 

照れながら目を逸らして話す紅牙。

 

正直言って可愛かった。

 

「ふふ、嬉しいこと言ってくれるじゃない♪」

 

私は彼に抱き付いた。だって、少なくとも普段の戦い方ができないくらいには私に会って舞い上がっていたということなんだから、嬉しくないわけがない。

 

「……もう怒っていないのか?」

 

紅牙が不安げに私のほうを見る。ああ、もう。可愛いなあ///

 

「ふふ、最初から怒ってないわよ、はむ♪」

 

私は笑顔でそう返した後、彼の唇を塞いだ。もちろん私の唇で。

 

まあ、周りの目もあるから舌を絡めるようなキスはしないけどね。

 

「……すごくうれしいんだが、そろそろ離れてくれないか?周りの視線が……」

 

「イヤ♪」

 

そう言い、私はさらに強く抱き付く。

 

「ほら、一夏君の試合を見よ?」

 

ふふ、やっぱり彼といると幸せ♪

 

 

 

 

「よっと。待たせたなセシリア」

 

俺、織村一夏はアリーナの中央、ブルー・ティアーズの前に来ていた。

 

「……」

 

あれ、反応がないな。

 

「おーい、セシリアー?」

 

再度呼びかけてみるも反応がない。

 

「ふう、構わん織斑。さっさと始めろ」

 

千冬姉が通信を通して指示してくる。心底呆れているようにしているのは気のせいか?

 

「了解っと。えーと、武装はっと」

 

「……」

 

俺は展開可能武装一覧を出し、武装を確認する。……あれ、近接ブレード一本しかない?

 

「……」

 

まあ、これしかないのだから仕方ない。

 

「……」

 

近接ブレードを展開っと。

 

俺の右手には一振りの近接ブレードが展開された。

 

「……はっ!?」

 

あ、セシリアが気付いた。――先手必勝!

 

「はあああっ!」

 

俺はセシリアに突っ込み、近接ブレードを上から振り下ろす。

 

「!!」

 

セシリアは間一髪のところで避けた。

 

「な、なんですの!?」

 

「いや、織村先生がやれって」

 

「~~~まあ、いいですわ。わたくしも最初から全開で行かせてもらいますわ!」

 

そう言いながらセシリアスターライトmk.Ⅲを構え、放つ。

 

「うおっ!?」

 

ギリギリのラインで躱すが、避けきれず、掠る。

 

「まだまだですわ!」

 

その後も立て続けにトリガーを引き、雨のようなレーザーが俺を襲う。

 

「わっ!?く、くそ!」

 

俺は近接ブレードとスラスターを駆使し、回避に徹するが、凌ぐことさえかなわない。みるみるシールドエネルギーが削られる。

 

「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!」

 

そう言いながらもセシリアの射撃がやむことはない。

 

「く、何とかしてダメージを減らさないと!」

 

俺は相手の隙を見つけるために、回避に徹し続けるのだった。

 

 

 

 

「――二十七分。大分しぶといですわね」

 

「そりゃどうも」

 

残りシールドエネルギー67。実態ダメージ中破。あと一撃でも貰えば、俺の負けだろう。

 

幸い、相手のビットは先の戦闘を見ていたこともあり、何とか二つは破壊した。

 

だが、あと四つもビットがある。状況は絶望的だ。

 

だけど――。

 

――だけど、諦めるわけにはいかない!

 

「……何でですの?」

 

セシリアがまるで不気味なものを見るような目で俺を見てくる。

 

「なんであの人もあなたもそのような真っ直ぐな瞳をしていますの!?状況は圧倒的にこちらが有利。あなたの勝ち目なんか残されていないんですのよ!?」

 

セシリアが喚き散らす。まるで男性にこんな人物がいるはずがないという感じに。

 

「だからと言って、諦めるかよ!俺はあいつらに約束した!勝つって!そして昔、千冬姉にも言った!誰かを守ると!だから、こんなところで諦められるか!」

 

だから――。

 

俺に力を――。

 

「だから白式!俺に力を貸せっ!!」

 

俺がそう言い放つと、俺の思いに答えるかのように白式が光に包まれる。

 

「な、なんですの!?」

 

光りが徐々に薄れていき、その光がなくなるとそこには白式がいた。真の姿で――。

 

――フォーマットとフィッティングが終了しました。確認ボタンを押してください。

 

な、なんだ・フォーマットとフィッティング?あっ、千冬姉が言っていたやつか!

 

そう思いながら確認ボタンを押すと、一斉に情報が頭の中に流れてくる。

 

そうか、白式。これがお前なんだな。

 

真の姿となった白式はさらに深い白になりウイングスラスターが盛大に展開され、手とウイングの一部にに青の配色がなされている。

 

「ま、まさか……一次移行!?あ、あなた、今まで初期設定だけの機体で戦っていたって言うの!?」

 

「ああ、千冬姉にフォーマットとフィッティングは実戦でやれって言われていたしな」

 

唖然とするセシリア。

 

「さあ、行くぜ、白式!」

 

俺は近接ブレードを構え、隙だらけのセシリアに向かって斬りかかる。

 

その一撃をセシリアが躱す。

 

そこで違和感。

 

近接ブレードの形状が変わっていたのだ。

 

不思議に思い、武器データを表示する。

 

そこには〝近接特化ブレード・《雪片弐型》〟と記されていた。

 

雪片……?それって千冬姉の……。そうか、そういうことなんだな。

 

「俺にもこれが使えるっていうことなんだな!」

 

そして俺はかつて千冬姉が使っていた最強のアビリティー、〝零落白夜〟を起動させた。

 

すると、刀身が縮み鎬に入った亀裂がはっきりと分かれる。そこから青白いエネルギーの刃が形成された。

 

俺はそれを構え、セシリアへ再度斬り込んだ。

 

 

 

 

「なっ!?あれは、あの形状は……!」

 

観客席にいる俺は驚きを隠せなかった。

 

一夏の一次移行。そこは別に驚いていない。驚いているのはその形状だ。

 

なんで、なんであんなにも〝あれ〟に似ているんだ!?

 

「紅牙、どうしたの?あの機体がどうかしたの?」

 

刀奈もここまで取り乱している俺が珍しいのか、心配そうに顔を覗き込んでくる。

 

「い、いや、大丈夫だ。ちょっとあの形状に見覚えがね……」

 

そう、似ているのだ。俺のよく知っているISに。

 

あれの同系統なら間違いなく兎――束さんが関与しているはずだ。ということは?

 

そこでアリーナの一夏が零落白夜を発動した。

 

――やはり、束さんが作った機体だ。じゃなければ、姉弟揃って同じワンオフ・アビリティーなるものか。

 

それにしても、一次移行からワンオフ・アビリティーが使えるなんてな。

 

「この試合、見物だな」

 

「ええ、まさか一夏君がここまで粘るとは思わなかったわ」

 

俺達は一夏達の試合に注目した。

 

 

 

 

「はあっ!」

 

俺は零落白夜を使った一撃を放つ。それは、セシリアのライフルを斬り裂き、確実にセシリアを追い詰めていた。

 

「これで、終わりだああっ!」

 

俺は手持無沙汰になったセシリアに向かって、居合いの要領で斬りかかった。

 

しかし、俺は忘れていた。まだビットが残っているということに。

 

セシリアは隠していたミサイルビットをを前面に移動させ、発射。

 

俺は何とかそれらを斬り裂き、さらに近付こうとするが、残った二基のビットがそれを阻止。

 

二基のビットが放つ光条の中を駆け抜け、横一閃を放つ。

 

が、セシリアが二基のビットを身代わりとして前面に配置する。

 

「そんなもの!」

 

俺は放った横一閃でビットを斬り裂き、返す刀で後退したセシリアに再度斬りかかる。

 

「っ!!」

 

その時の一夏の追撃の速さはもはや素人の速さではなく、熟練した剣士の速さそのものだった。

 

その速さにセシリアは付いて行けず、思わず目を瞑る。

 

――が、その時ブザーが鳴った。

 

『試合終了。――勝者、セシリア・オルコット』

 

 

 

 

 


 
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