No.581561

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-05-30 13:37:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:577   閲覧ユーザー数:561

 

 

 

 

episode175 好ましくない再会

 

 

 

 

 

それから時間は経って夜・・・

 

 

 

 

ピー!ピー!ピー!ピー!ピー!

 

「・・・・」

 

ネェル・アーガマ内にある隼人の部屋で、電子音が鳴り響く。

 

「・・・・」

 

隼人は布団の中から眠そうな顔で出てくると、時計を見る。

 

(こんな夜中になんだよぉ・・・)

 

時間は午前二時を回っており、眠そうな目を擦りながら枕の真上の壁にあるモニター横のスイッチを押す。

 

『いやぁごめんね、はっくん。すやすや寝ている時に起こしちゃって』

 

モニターの奥には困った表情の束が映っていた。

 

「何の用ですか。それより今何時と思っているんですか・・・」

 

『いやぁ・・・それがね――――』

 

 

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!』

 

と、モニター越しにヴィヴィオの泣き声がする。

 

「・・・・!?」

 

その泣き声で眠気が払われた。

 

『いやぁあの手この手で何とかヴィヴィオちゃんの夜泣きを止めようとしているんだけど、全然収まらなくて困っているんだよねぇ。だから来てくれるかな?』

 

さすがの束もお手上げの状態だった。

 

「・・・了解・・・」

 

隼人はすぐに部屋を出てヴィヴィオが居る病室に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

病室に入った途端にヴィヴィオの泣き声が部屋の中に響いていた。

 

「で、どのくらいから泣いているんですか?」

 

あまりもの大きさに隼人は耳を両手で塞ぐ。

 

「それが・・・三十分ぐらい」

 

束も同様に耳を塞いでいた。

 

「何で宥めきれないんですか!」

 

「いやぁ色々とやったんだけど、全然泣き止まなくて」

 

「にゃはは」と苦笑いする。

 

「だから、バトンタッチ!」

 

と、隼人の右肩にポンと手を置く。

 

「・・・はぁ」

 

隼人は耳を塞いでいる両手を下ろしてヴィヴィオに近づく。

 

「どうしたんだ、ヴィヴィオ?」

 

「あ・・・」

 

するとさっきまで泣いていたヴィヴィオが隼人を見た途端泣き止んだ。

 

「何か怖い夢でも見たのか?」

 

「・・・うん」

 

泣きじゃくるもゆっくりと縦に頷く。

 

「怖かった・・・」

 

「そうか」

 

隼人は腰を下げて目線を合わせると、ヴィヴィオの頭を撫でて落ち着かせる。

 

 

「おやすみ」

 

「・・・おやすみ・・・なさい」

 

隼人はヴィヴィオを寝かせると、束の元に来る。

 

「それにしても、どうしてはっくんだけ泣き止むんだろう」

 

「そう言われても・・・」

 

「・・・まぁ、このまま夜泣きがなくなってくれたらいいんだけど・・・」

 

「そう願いたいですね」

 

そう呟くと隼人は病室を出た・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし――――

 

 

 

 

 

 

 

「・・・この状態・・・どうしたものか」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

千冬と束、隼人は少し寝不足気味で、三人同時にあくびをする。

 

それから二日間ヴィヴィオの夜泣きは収まらず、隣の病室で寝ていた千冬達は寝不足に遭っていた。

 

「はっくんが来てからじゃないと泣き止まなくてねぇ」

 

「そのお陰で俺は夜中に起きる羽目に」

 

「私だってヴィヴィオの泣き声で夜中に目を覚ましてしまう。これじゃここぞと言う時にまともに戦えんぞ」

 

「えぇ・・・」

 

「どうする、ちーちゃん?」

 

「どうもこうも・・・方法はただ一つだろ」

 

「・・・・」

 

ピクッと隼人は反応する。

 

「隼人が来るとヴィヴィオは泣き止むのだろ」

 

「まぁ、そうですね」

 

「それは隼人が居ないから夜泣きをするのでは無いのか?」

 

「・・・・」

 

「そういえば・・・そうとも考えられるね」

 

束は顎に手を当てて考える。

 

「それに、お前だけにしか懐いてないのだろ?」

 

何か意味ありげな笑みを浮かべて隼人を見る。

 

「・・・・」

 

隼人はイヤーな予感しかしなかった。

 

「あぁそういう事。それならはっくんが適任だね♪」

 

束も千冬の意図に気付いたのか右手に左拳をポンと置く。

 

「・・・まさか、俺がヴィヴィオの面倒を見ろ、と?」

 

「それ以外に何がある?」

「そういう事♪」

 

二人は声を揃えて言う。

 

「な、何でですか!?」

 

隼人は驚き半分で声を上げる。

 

「お前以外に適任者は居ないだろ」

 

「だ、だからって言って・・・」

 

「それに、お前以外でヴィヴィオの世話がうまく行くと思うのか?」

 

「・・・それは・・・」

 

 隼人は言い返そうにも言い返せない。普通に考えてもうまく行くはずがないと言うのは目に見えている。

 

「心配は無いだろ。颯の時だってうまくいったのだからな」

 

「それが理由の一つですか!?何か酷い!?」

 

「まぁまぁ。とりあえず、決定ね♪」

 

そうして束が終わらせた。

 

「・・・うそ~ん」

 

隼人は深くため息を付く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

ヴィヴィオは隼人の部屋に連れてこられてからも、どうも落ち着きが無かった。

 

「とりあえず、今日からここがヴィヴィオの寝る場所だ」

 

隼人はイスに座ると、ヴィヴィオを見る。

 

「・・・・」

 

「まぁ、最初は落ち着かないだろうな。時期になれるさ」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

 

(何だろう・・・この気まずさ・・・)

 

会話が続かず、どう言えばいいか困惑する。

 

 

 

 

 

 

「兄さん!」

 

と、扉が開くと颯が入ってきた。

 

「颯か。もう怪我は良いのか?」

 

「うん。まだ伝達ケーブルの一部が直ってないから少し痛みはあるけど、外見は殆ど直ってる」

 

と、颯は右腕を見せると、確かに外見上痕は残ってない。

 

「そうか。良かったな」

 

「うん。篠ノ之博士のお陰だよ。・・・あれ?」

 

と、颯は隼人のベッドに座っているヴィヴィオに気付く。

 

「兄さん・・・その子って・・・」

 

「あぁ。俺が遺跡で見つけた女の子だ。知っているだろ?」

 

「あ、うん。姉さんやリインフォースさんから聞いたけど・・・その子が・・・」

 

颯が見ると、ヴィヴィオも颯を見る。

 

少し颯をジロジロ見るも、隼人と違うと分かって顔を伏せる。

 

「あれ?兄さんと私の違いが分かるのかな?今だと外見殆ど同じなのに・・・」

 

 隼人が髪を短くしたので、より一層隼人と颯、シノンの違いが分かりづらくなっている。まぁ眼帯の有無や髪型の違いが唯一の相違点。

 

「違いが分かるんだろうな。本能的な何かで」

 

「そうなのかな?」

 

颯は疑問を浮かべるも、ヴィヴィオに近付いてしゃがむ。

 

「それより、どうしてこの子が?」

 

「・・・俺が面倒を見ることになったんだよ。一番懐かれているから」

 

「あぁなるほど。私と同じパターン?」

 

「その通りだよ」

 

「はぁ~」と深くため息を付く。

 

「そ、そうなんだ・・・」

 

颯は苦笑いする。

 

「そ、それで、その子の名前ってあるの?」

 

「あぁ。ヴィヴィオだ」

 

「ヴィヴィオちゃんかぁ。私は兄さんの妹の颯。よろしくね」

 

「・・・・」

 

颯は笑みを浮かべて言うも、ヴィヴィオは少し警戒する。

 

「やっぱり少し警戒しているのかな?」

 

「そうだな。まぁ、他のみんなよりマシな方だな」

 

「そうなの?」

 

怪訝な表情で聞き返す。

 

「あぁ」

 

「もし、姉さんだったらどうなるのかな?」

 

「どうだろうな。あいつ仏頂面だからな。むしろヴィヴィオが怖がったりしてな」

 

 

 

 

 

 

「仏頂面で悪かったですね、ゼロ」

 

と、扉が開いて少し険しい表情のシノンが入ってきた。

 

「い、何時の間に・・・」

 

「つい先ほどから」

 

「盗み聞きとは趣味が悪いな」

 

「そういう性分ですから」

 

少し前に進むとヴィヴィオに気付く。

 

「・・・あぁ。ゼロが見つけた子ですか」

 

「そうだが?」

 

「・・・・」

 

ヴィヴィオは颯同様にシノンをジロジロ見るも、やっぱり違うのが分かってか俯く。

 

「颯や私を見てもゼロと見分けるか。中々勘の鋭い子ですね」

 

「勘と言うより、本能だろう」

 

「似たようなものです」

 

 

 

 

 

「それより、何の用だ?」

 

「そうでした。ジェスタの増加アーマーの調整を願います。一人では時間が掛かってしまうので」

 

「そうか。分かった」

 

隼人はイスから立ち上がると、ヴィヴィオの前に来てしゃがんで視線を合わせる。

 

「ちょっとの間離れるが、大人しくしているんだぞ」

 

「・・・うん」

 

不安げな表情だが、ヴィヴィオはゆっくり頷く。

 

「颯。すまないが、俺が居ない間ヴィヴィオを見てくれるか?」

 

「任せて」

 

颯は縦に頷くと、隼人は立ち上がってシノンと一緒に部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、中々面倒な事を任されたものですね」

 

「面倒、か」

 

上部右格納庫で隼人はシノンのジェスタに増加アーマーをコントロール装置でアームを操作して装着していた。

 

「俺はそれほど・・・面倒とは思ってないな」

 

「言葉では面倒に見えましたが?」

 

シノンはコンソールでシステムのチェックをすると、増加アーマーとジェスタのシステムを繋げる。

 

「お前にはそう聞こえたかもしれんが・・・・・・俺的には面倒に思ってない」

 

「・・・・」

 

「むしろ・・・どこか嬉しい気がする」

 

「・・・・?」

 

シノンは怪訝な表情を浮かべる。

 

「自分でもよくは分からない。なぜそう思うのか・・・」

 

アームを操作して背中の武装ユニットをジェスタに搭載する。

 

「理解出来ませんね」

 

「まぁ、気にしなくてもいいだろう」

 

そうしてジェスタの全ての増加アーマーとユニットの装着をし終える。

 

「任された以上最後まで遣り通すさ」

 

「・・・あなたらしいですね」

 

シノンは少し口角を上げる。

 

「そういうシノンも、少しは感情を出すようになったんじゃないか?」

 

「それはどうでしょうかね」

 

シノンは顔を隠すようにコンソールを覗き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にはっくんに任せてよかったのかな」

 

「あぁ。あいつは責任感が強い。任せられた事を今まで途中で投げ出したりしなかった」

 

と、中央格納庫で束はエピオンの最終調整をしており、千冬はその隣でその様子を見ていた。

 

「まぁ、確かにはっくんは責任感が強いけど、それでも小さい子の面倒を見させるかな?」

 

「確かに少し無茶だったかもしれんが、ヴィヴィオの事を考えればこれしか方法が無い」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

「それより、レヴァンティンはどうなった?」

 

「一応刀身は交換し終えたけど、やっぱり今後の事を考えると、秘密ドッグで新しく硬度と切れ味を上げた刀身を作らないとね」

 

「そうか・・・」

 

「それと、新しく機能を追加しようと思うの」

 

「新しい機能?」

 

「そう。まぁちーちゃんは気に入るか分からないけどね」

 

「・・・・」

 

「レヴァンティンにもう一つのレヴァンティンを追加しようと思うの」

 

「二刀流か」

 

「まぁ、ドッグに着くまではいつも通りだけどね」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「これでよし、と」

 

そうして作業を終えて、束はエピオンを待機状態である赤と黒のリストバンドに戻す。

 

「まぁ普通に戦闘は行えるけど、ちーちゃんはまだ完全じゃないんだからね。戦闘になっても無茶はしないでね」

 

束はリストバンドを拾い上げると千冬に差し出す。

 

「分かっている」

 

千冬はリストバンドを受け取るとそれを右手首に着ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダァァァァァァァァァァンッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

すると突然中央カタパルトの隔壁が爆発して吹き飛ぶと風が入り込んでくる。

 

「何っ!?」

 

「・・・・」

 

千冬はとっさにエピオンを展開しようとする・・・・・・

 

 

 

 

「っ!」

 

すると吹き飛ばされた隔壁の隙間より一体の機体が入ってきた。

 

「あれは・・・!」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「・・・・」

 

風が入り込む中・・・・・・フリーダムは千冬を見る。

 

「付いて来い、千冬」

 

「っ!」

 

フリーダムはそれだけを言うと隔壁の隙間から格納庫より飛び出る。

 

「何でちーちゃんの名前を――――」

 

 

しかし束が言い終える前に千冬はエピオンを展開し、隔壁の隙間から外に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何が起きている!?」

 

ブリッジでは大騒ぎになっていた。

 

「中央格納庫の隔壁が破壊され、そこからアンノウンが!」

 

「何だと!?なぜ今まで気付かなかった!」

 

「申し訳ございません!ですがさっきまでレーダーには全く反応がありませんでした!」

 

「レーダーに反応が無いだと・・・?」

 

アーロンは驚きを隠せなかった。

 

「現在織斑千冬のエピオンが発進し、アンノウンを追いかけています!」

 

「千冬が・・・?」

 

 

 

 

『神風隼人!発進する!!』

 

と、右格納庫の隔壁が開き、隼人のバンシィ・ノルンがカタパルトより飛び出した。

 

(あの機体は・・・以前一夏を助けた機体か。だが、なぜ今度は襲撃を・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

千冬はレヴァンティンを抜き放つと、フリーダムより少し離れて止まる。

 

「・・・・」

 

フリーダムは仁王立ちの様に宙を浮いていた。

 

 

「待っていたぞ・・・」

 

「・・・・」

 

千冬は警戒してフリーダムを睨みつける。

 

「・・・一夏を・・・助けたそうだな」

 

「・・・あぁ」

 

「それについては・・・感謝する。だが、それとこれは違う」

 

「・・・・」

 

千冬はレヴァンティンの柄を両手で持って構える。

 

「お前は一体・・・・・・いや、悩むまでも無い」

 

「・・・・」

 

「そんな姿になって、それで正体が分からないとでも思ったのか」

 

今の千冬にはフリーダムの正体に確信がついていた。

 

「・・・やはり、一夏から聞いた内容だけで察したか。さすがだな」

 

「・・・やはり・・・そうなのか・・・」

 

千冬は両手で持つレヴァンティンの柄を握り締める。

 

 

 

「今更・・・何の用だ」

 

「・・・・」

 

「よく平然として、私や兄さん、一夏の前に現れたものだな!!」

 

怒りの篭った怒声をフリーダムに向ける。

 

「・・・・」

 

「どうなんだ!!なぜ今更自ら捨てた子の前に現れた!!」

 

 

 

 

「・・・・」

 

フリーダムは右手に持つビームライフルを千冬に向ける。

 

「・・・何のつもりだ」

 

「私と戦え」

 

「何だと・・・」

 

ガリッと千冬は歯をかみ締める。

 

「恨むのなら、私を倒して見せろ」

 

「貴様・・・」

 

「だが、勝てるか?子が父に」

 

「・・・・」

 

その辺りに張り詰めた空気が流れる・・・

 

 

 

 

 


 
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