No.572881

マジ恋への転生者

第十六話

2013-05-04 17:28:52 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:4292   閲覧ユーザー数:3871

 

 

 

 

 

~川神学園・2―F~

 

 

三人称Side:始

 

 

あんな事(多馬大橋での出来事)いつもと変わらないHRの時間だった――

 

 

しかし、2人の生徒が校庭に現れたのを切欠に、静かな朝が途端に騒がしくなっていく。退屈そうに外を見ていた岳人が卓也に話しかける

 

 

ガクト「なんかモモ先輩のクラスがゾロゾロと出てきたぜ」

 

卓也「どうしたんだろうね」

 

 

その騒ぎに、2-Fの生徒たちも校庭を気にし始めた。まだHRが終わっていないため、窓際の生徒しか外の様子を確認できない

 

 

梅子が窓際に寄り、校庭の様子を確認しながらつぶやく

 

 

梅子「おかしいな。今朝は決闘を行うなど聞いていないが」

 

F組生「先生! ここから見学してはダメでしょうか?」

 

梅子「ふむ。……まぁいいだろう。伝えたいことはもうないからな。見たい者は、移動しても構わんぞ。他はHR中だから、外に出ることは許さんぞ福本ー!」

 

 

梅子は挙手した生徒に許可を与える。しかし、外に出ることは許されず、鞭で拘束される育郎。他の生徒たちは、即座に窓際へ移動を開始した

 

 

一子が姉の姿を見つけ、声をあげる

 

 

一子「あっお姉様ともう一人……誰かしら?」

 

大和「ん? あれは屋上で出会った美少女」

 

 

大和は百代の隣を歩く対戦相手と面識があったようだ。岳人が校庭から視線をはずし、後ろを振り向く

 

 

ガクト「なんだよ! 大和はもう知り合いか!? 後で紹介頼むぞ!」

 

京「大和、また知らない女の人とフラグ立ててる」

 

 

それに続いて、京が外の様子を伺いながら口を尖らせた。クリスが、いつぞやの騒ぎを思い出し笑う

 

 

クリス「初めて見る顔だな」

 

一子「ねぇねぇ見て。武器がたくさん並べられているわ。もしかして、全部使うのかしら?」

 

 

一子の言葉通り、校庭の中央にたつ女生徒の後方には、様々な武器が置かれていた。どうやら、彼女が使うようだ。ルーが2人の間に立ったことで、戦いがもう始まるとわかった生徒たちは、固唾をのんで見守る

 

 

『(――――この気配……まさか納豆小町?もとい燕姉。こんな時期に西から?重爺からは何もきいてないぞが、それに天衣姉居るな)』

 

 

合図がかかった瞬間、女生徒の闘気が大きくなる。迷彩はその外見と闘気に心当たりがあったが、とりあえずはその2人の戦いを見守ることにした

 

 

戦いが始まった。その女生徒は武器を見事に扱っていることである。彼女はヌンチャクを使っていたか思うと、今はもう薙刀を掴み振っていた

 

 

卓也がその姿を見て、首をひねる

 

 

卓也「僕どっかであの人見たことあるな。なんだっけ?」

 

『納豆小町だろ?』

 

 

即座に迷彩が答えを示す。卓也は、そのキーワードにピンときたようで、携帯を取り出した

 

 

卓也「そうだ! 西の有名人! メイは京都にいたんだもんね。えっと……これだ」

 

 

素早く検索を行って、納豆小町のポスターを画面に表示させた。それを岳人が、横から覗き込む

 

 

ガクト「うおぉー可愛いじゃねぇか。それくれ! 携帯に送ってくれ! ハァハァ」

 

卓也「自分で検索してとればいいのに」

 

 

こんな事を平然と言う割にモテようとするなど図々しい限りである

 

 

2人がそんなやりとりをしている間にも、女生徒の武器は弓矢へ、そして次に槍に変わる。ここで、梅子がその女生徒は3-Fに転入してきた松永燕――黒髪黒目の京都美人。大きな目が陽気さを感じさせる。腰には武器でも入りそうな装備がある――だと紹介し、その技の豊富さに賞賛を送った

 

 

みなが注目している中、燕の武器は次々と変わる。太刀に鞭、三節昆、スラッシュアックス、手裏剣、撒菱、刀の居合、苦無とそのすべてを使いこなし、魅せる戦いをしていたが、それは長く続かなかった

 

 

一子「あれ? 松永先輩が武器を下ろしたわ。どうしたのかしら?」

 

 

熱心に見ていた一子が、京に話しかける

 

 

京「HRももう終わりだからじゃない?」

 

 

その疑問に京が答えた瞬間、HR終了のチャイムが鳴った。そして、2人が互いの健闘を称えあい握手をすると、それを見学していた生徒から歓声があがる。他のクラスも2-F同様に観戦していたようだ。その歓声を聞いた燕が、ルーへと近づいていく

 

 

川神生「ん? なんか松永先輩がマイク握ったぞ」

 

 

生徒の一人がつぶやいた

 

 

燕がマイクを持ち、「あーあー」とマイクテストを始めると、歓声をあげていた生徒たちは、空気を察し静かになっていく

 

『(あー、きっと宣伝するんだろうな。こうゆうチャンスは逃さない人だし。商魂たくましいところは、相変わらずだな)』

 

 

迷彩は燕がなぜマイクを握ったのか大方の予想がついた。そして彼の予想通り、彼女は声援に感謝したあと、自身が売り出している松永納豆の宣伝を行う。健康に良いのは言わずもがな、自分がここまで粘れたのはこれのおかげ、試供品もあるからと生徒に向かって売り込んだ。そんな彼女に対しても大きな歓声が沸き起こる

 

 

『松永納豆、西ではかなり有名だからな。ポスターと一緒に』

 

 

その後、生徒達は1限目の授業をするべく、席へと戻って行った

 

 

三人称Side:了

 

 

 

 

~昼休み~

 

 

Fクラス一同は各自ご飯を食べていた。しかし殆どの者は机に突っ伏している。理由は途轍もなく暑いからである。因みに気温35度だ

 

 

私とショウ・大和・ガクトは風がある屋上に出ていたが、風は現在吹いておらず、我慢できなくなったガクトが大和にお願いする

 

 

ガクト「蒸し暑い! 大和、なんか涼しくなる魔法唱えてくれ」

 

大和「そんなもの習得した覚えがない!」

 

 

そして、再度服をパタパタさせる大和。そこに、ショウが勢いよく立ち上がった

 

 

翔一「仕方ねぇなぁ。 ガクト! 俺が! この苗字に風の入った風間翔一が風をよんでやるぜ!」

 

 

ビシッとポースを決めると、翔一は一人うなり始める

 

 

ガクト「さすがキャップ! 人の出来ないことをさらっとやってのける。そこに痺れる憧れる!」

 

 

ガクトがやんやと声援をおくった。大和はそんな2人を保護者のような目で黙って見守っている

 

 

そして、ついに完成したのか、翔一が天へと両手を振りかざした

 

 

翔一「ぬぬぬぬ。俺の眷属たる風よ。吹けぇ!」

 

ガクト「吹き荒れろ風!カモン!レインストーム!」

 

 

ガクトも両手を翳してなんか言い出す

 

 

大和「……なんかキャップの台詞は与一っぽいし、風吹かないし。ガクトのはあれか? 暴風雨呼ぼうとしてるのかな?」

 

 

すかさず大和は2人にツッコミを入れた。それに同じ言葉を返す2人。

 

 

翔一・ガクト「「ま、これは時間差で効果が出るんだよ」」

 

『いや、ショウのはともかく。ガクトのは効果出ちゃダメだろ』

 

 

私も突っ込みを入れる

 

 

当の本人たちはやりきった顔をして、食後のデザートに夢中だった。

 

 

ガクト「というか、このロールケーキおいしいな」

 

翔一「川神七名(迷)店の一つ、狐狗狸のロールケーキだ。ガクトも気に入ったか? しかし、量がないのが残念だ。ぐぬぬぬ…………よし買ってくる!」

 

ガクト「あ!俺も行くぜ!」

 

翔一は思い立ったが吉日と言った様子で、すぐに行動を開始した。2人の言葉を聞かずに、柵を飛び越えて木を使って屋上から降りて行く。その後を追うように消えるガクトするとそれを合図にしたかのように、屋上に風が吹きだした

 

 

『まさかホントに吹き出すとは。こうなるとガクトの分が発動するかもしれんな』

 

大和「止めてくれ、ホントに発動しそうだから」

 

『まあ、発動したら。その時はその時だ』

 

 

そう言ってゴロンと寝転がる

 

 

暫くだらけていると

 

 

燕「やや。また会ったね。そして、お久しぶりだねメイちゃん」

 

天衣「やあ」

 

 

燕姉と天衣姉が出入り口から現れた。太陽を背に風にゆれる黒髪と銀髪の美少女は、とても絵になっている

 

 

『久しぶり。燕姉に天衣姉」

 

大和「あれ? 3人は知り合い? というより、今度は俺が言う番だが、メイに姉さんいないよな?」

 

 

私の呼び方に疑問をもつ大和。もちろん、彼も起き上がっていない。モモ先輩ならば、ここでイタズラなど何かしらのアクションを起こしそうである

 

 

『ああ。一応、燕姉と天衣姉は立ち位置的に私の妹弟子にあたるんだが。出会って数日後、『私達は君の妹弟子だけど年上。つまりお姉さん。だから今日から姉さんと呼ぶように』と訳分からないこと言われ、気が付いたら姉さんと呼んでおり、今に至るというわけだ』

 

大和「(それってチョット洗脳されてないか?)」

 

燕「小6のメイちゃんは可愛かったからねー。身長も今ほど伸びてなかったから、もうマスコットって感じでさ。それにほら、私達って一人っ子だったし」

 

 

燕は私の言葉にうんうんと頷いて、大和のほうへと体を向ける

 

 

燕「そういえば、ちゃんと自己紹介してなかったね。私は松永燕。よろしくね」

 

天衣「私は橘天衣。燕同様よろしく」

 

大和「2-Fの直江大和です。よろしくお願いします」

 

燕「礼儀正しいね。いい子いい子。ふふっ」

 

 

微笑みながら大和の頭を撫でる燕姉

 

 

『(あらら、燕姉に狙いつけられちゃったよ)』

 

天衣「メイ。こっち来て」

 

 

呼ばれたので天衣姉の近くまで行く

 

 

『どうしたの?』

 

 

そう聞くと私をしゃがませ、無言で手を私の頭に伸ばして撫でる

 

 

『ん 何で撫でる?』

 

天衣「久し振りに撫でたかったから」

 

『そうですか』

 

 

暫くは天衣姉のなされるがままだった

 

 

燕「類は友を呼ぶって感じなのかな。大和くんってさ、年上に好かれたりしない?」

 

大和「どちらかというと、そうかもしれません」

 

燕「わかるわかる。なんか可愛いもんね。メイちゃんは、ちょっと生意気になっちゃったからなぁ」

 

 

燕が横目で私を捉える。私は天衣姉の近くから元居た場所に戻り、胡坐をかいて座りなおした

 

 

『別に構いませんけど? 大和が可愛がられても、むしろ私を弄る人が減って助かります。ええ、ぜんぜん構いませんが』

 

燕「やだ、この子拗ねてるの? 可愛い」

 

 

そう言いながら燕姉が私の頭に手を伸ばす。燕姉は、ニコニコしながら撫で続ける。私は特に拒絶する訳でも無く。なされるがままにしている

 

 

わずかな沈黙のあと、私は寝転ぶ大和に向かって話しかける

 

 

『どうだ大和? 燕姉と天衣姉のスカートの中は覗けたかい?』

 

大和「おま!? 何言ってんだ? そ、そんなわけないでしょうが」

 

 

図星をつかれたのか、大和はバネでも仕掛けられているように跳ね起きた。燕姉と天衣姉は、獲物を狙う目つきで彼を見据える

 

 

燕「大和君も可愛い。ねぇ、年上に飼われたい願望とかある?」

 

大和「!? ……もう飼われてます。ていうか、それに近い関係で姉御分がいるんです」

 

燕「あれま。へぇ……面白いね大和君。……温厚そうに見えるけど、やるときはやるぞって感じがする。うん、いいね!」

 

『まあ、東西交流戦の時単騎で三郎に突撃掛けたくらいだからな』

 

天衣「流石百代の舎弟一号」

 

大和「あ、知ってたんですね。と言うか一号?舎弟は俺だけの筈なんですが」

 

天衣「百代が二号はメイだって言ってた」

 

『………………………舎弟に成った覚えはないな』

 

天衣「そうなの?」

 

燕「あぁ、そう言えばそんなことも言ってたね」

 

 

あの先輩は

 

 

大和「メイ、姉さんがすまんな」

 

『いや、私は気にしてないし。別に良いよ』

 

大和「そう言ってもらえると助かる」

 

燕「んーやっぱり何処に行ってもメイちゃんは苦労人だね」

 

天衣「そうだね」

 

『分かってくれるのは3人と学長とルーさんとタツだけだよ』

 

 

そのまましばらく談笑していたら急に燕姉と天衣姉が出口へと向かう

 

 

燕「じゃあ、私たちは転入初日で色々と忙しいからそろそろ行くね。あと大和君、私の事は燕先輩でいいよん」

 

『ん、分かった』

 

天衣「じゃあね、メイ、大和君。私も天衣先輩でいいから」

 

 

そう言って屋上から二人は出て行く

 

 

『さて、私達もそろそろ戻るか』

 

大和「そうだな」

 

 

その後に続くように私達は屋上を後にした

 

 

 

 

後書き

 

 

橘天衣を燕・百代と同い年にして川神学園に入れてみました

 

 

何か変な所等ありましたらお教え願います

 

 

 


 
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