No.572054

真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第六節:でぇと。ステップアップ!

syukaさん

何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。

2013-05-02 05:57:48 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:5625   閲覧ユーザー数:4176

まえがき コメントありがとうございます。今回は愛紗とのデート編ですね。急ピッチで桃香が追いかけます。最近、体調不良でモチベーションが上がったり下がったりラジバンダリーですので執筆スピードが日によってまちまちです・・・。左肩は痛いし鼻は詰まるし目は痒いし・・・仙豆が欲しい。まぁ、それは置いておきましょう。それではごゆっくりしていってください。

 

 

おはようございま~す。桃香です。ただ今、ご主人様のお部屋の前まで来ています。昨日は愛紗ちゃんがご主人様のお部屋にお泊りしているらしいので、様子を見に行こうと思います。

 

「おじゃましま~す。」

 

物音を立てないようにご主人様のお部屋に入ってみました。さて、ご主人様は・・・ぐっすり眠っています。

 

「可愛い寝顔~♪・・・うっ。」

 

愛紗ちゃんがご主人様にくっついて寝ています。腕にしがみついて、足まで絡めてる!私もそこまでしたことないのに~!

 

「けど・・・愛紗ちゃんも頑張ってんだね。」

 

最初は無骨だから~って言って遠慮してたみたいだったけど、何かが吹っ切れたみたい。私も頑張んないと!!

 

「ふぁぁ・・・。私もちょっと眠くなってきちゃった・・・。ちょっとお邪魔して・・・。」

 

愛紗ちゃんの反対側に私も入って・・・お休み~。

 

・・・

 

「んっ・・・んんーーー!!」

 

よく寝た~。愛紗はまだ俺の隣でぐっすり眠ってる。くすっ、可愛い寝顔しちゃって。

 

「ん?」

 

何かもう片方の腕にも重みが・・・って、桃香!?

 

「ん~~~、ご主人様ぁ・・・みゅ・・・。」

 

いつの間に・・・夜中に部屋を間違えたのかな?まぁ・・・気持ちよさそうに眠ってるし、起こすのも可哀相だな。二人ともまだ起きそうにないから・・・もうちょっと寝とこう。

鈴、起きてる?

 

『あぁ、起きているぞ。』

 

愛紗か桃香が起きたら俺も起こしてくれないかな?

 

『分かった。だが、私は目覚まし係ではないのだが・・・。』

 

そこは気にしちゃ駄目だよ。

 

『うぅむ・・・何か腑に落ちぬ。』

 

おやすみ~・・・。

 

『まったく・・・これでは子供と変わらぬではないか。純真という点ではずっと子供でいてほしいがな。このあどけない寝顔と共に・・・。』

 

・・・

 

「兄様たち、遅いですね。」

 

今日は昨日の大会が終わったので、皆さんに元気になってもらおうと腕によりをかけたのですが・・・。兄様と愛紗さん、桃香様と胡花ちゃんの姿が見当たりません。胡花ちゃんは分かるんですが、愛紗さんが遅いのは珍しいですね。

 

「どれ、わしが様子を見てこようかの。良い酒の肴が見つかるかもしれんしな。」

「私も行こうかしら♪」

 

 

紫苑さんも桔梗さんも、どこか嬉しそうですね。私もこっそり行こうかな・・・。

 

「わ、私も行きます!」

「あら、珍しいわね。流琉ちゃんもこういう事に興味が出てくるお年頃なのね♪」

「こ、こういう事!?//」

「紫苑さん、あまり流琉ちゃんをからかってはいけませんよ?」

「そう言う清羅ちゃんも楽しそうね♪」

「勿論♪」

「・・・私、からかわれているのでしょうか。」

「流琉が可愛がられとるっちゅうことや♪」

「霞さんまで・・・とりあえず、兄様たちを起こしてきます!」

 

私は少しだけ急ぎ足でご主人様のお部屋へ向かった。後ろから紫苑さんと桔梗さんが軽く笑いながらついてきてます。・・・ちょっと不安になってきました。

 

・・・

 

ご主人様のお部屋の前まで来ました。

 

「流琉、入らぬのか?」

「は、入ります!」

「ご主人様、失礼しますね。・・・あらあら。」

 

兄様が寝台で横になっているのは問題じゃないんです。桃香様と愛紗さんが横から抱きついてるんです・・・。羨ましい。いや、朝ごはんの時間だから起こさないと。

 

「兄様、朝ごはんの時間ですよ。起きてください。」

 

兄様の体をゆさゆさと揺すってみます。

 

「ん・・・?」

 

兄様の瞼がゆっくりと開いてきました。

 

「・・・流琉?」

「はい、おはようございます。」

「ん・・・。おはよ~。」

「流琉ちゃん、もう少し様子を見ても良かったんじゃない?」

「お館様がどのように反応するか、見てみたかったのだがな。」

「紫苑に・・・桔梗もいたのか。」

「おはようございます、ご主人様。」

「おはようございます、お館様。朝から両手に花とは良いですな。私も混ぜていただきたいと思うのだが。」

「両手に花というより、起きたら桃香がいつの間にか隣に寝てたんだよ。」

「桃香様もやりますね。私も今度こっそり寝台にお邪魔しようかしら♪」

「俺の前で言ってるからこっそりじゃないよね。」

「そこは深く考えなくても良いですよ。良い目覚めを提供しますわ♪」

「う、うん//」

 

む・・・私も紫苑さんみたいに言ってみたいなぁ。

 

「私が起こす前に起きてしまったな。」

「鈴・・・おはよう。お腹すいたの?」

「私を食いしん坊か何かと勘違いしているだろ。まだ寝ぼけているようだな。」

「お腹・・・空いてない?」

「用意されているのであればご相伴に預かろう。とりあえず、お前が起きたのだから二人も起こすべきではないか?」

「そうだね。桃香、愛紗、起きて~。」

 

二人の体を軽く揺するとほぼ同時に瞼がゆっくりと開く。

 

「ん・・・ん~?ご主人様・・・おはろうございまふ。」

「桃香、舌が回ってないよ。」

 

思わず苦笑いが出てしまう。そして相変わらず寝癖が酷いことになっている。

 

「ん・・・んっーーー!!」

 

愛紗も目を覚ましたみたい。背伸びをしてコキコキっと刻みのいい音が聞こえてくる。

 

 

「愛紗、おはよう。」

「あっ、おはようございます。ご主人様。」

「愛紗ちゃん、機嫌が良さそうね。」

「そんなことは・・・っ?」

 

愛紗がキョロキョロと部屋を見渡す。

 

「どうしたの?愛紗ちゃん。」

「・・・なぜ桃香様たちがご主人様の部屋に?」

「ご主人様と愛紗ちゃんの様子が気になって♪」

「私も桃香様と同じですわ♪」

「紫苑と同じくだな。」

「わ、私はただ兄様たちを起こしに来ただけですよ。そしたら何故か桃香様もご一緒されてて・・・。」

 

ふむ、俺の二度寝が原因で流琉が待ちきれなくなったのね。

 

「一刀も早く支度をせねば流琉が機嫌を損ねてしまうぞ?」

「それはないですから。とりあえず、朝ごはんが冷めてしまいますので、出来るだけ早くお庭の方に来てくださいね。」

「それでは私たちも戻っておきましょうか。」

「そうだな。お館様よ、朝のたぎっている時間に二人を襲ってはなりませんぞ。」

「しないよ!!//」

「はっはっは!!」

 

桔梗も快活な笑いをしながら俺の部屋を出て行った。桔梗と紫苑は何しに来たんだろうか・・・。

 

「ご主人様、私もお腹空いた~。」

「そうだね。俺もお腹空いたし、そろそろ行こうか。」

「私は一度部屋に戻って着替えてきます。」

「分かった。とりあえず、俺も着替えるから桃香は外で待っててくれる?」

「は~い。」

「・・・鈴も外に出ててね。」

「私もなのか?」

「そこで不思議そうに首を傾げないでよ・・・。」

 

往生際の悪い鈴を外に追い出し、俺も着替えを済ませる。・・・朝からちょっと疲れた。

 

・・・

 

俺たちも身支度を済ませ、庭へと向かった。

 

「皆、お待たせ~。」

「おはよう・・・って、鈴々と恋はもう食べ始めてるんだね。」

「お腹ペコペコで我慢できなかったのだ!」

「(もきゅもきゅ)」

「あはは。まぁ、予想の範囲内だけどね。とりあえず桃香、寝癖直すからそこの椅子に座って。」

「うん。いつもごめんね~。」

 

いつものように寝癖を直し、手櫛で髪を整えていく。

 

「桃香お姉ちゃん、いいなぁ。」

 

璃々ちゃんが俺の隣で桃香をどこか羨望の眼差しで眺めている。

 

「璃々ちゃんもご主人様に手櫛してもらう?・・・って言っても寝癖ついてないか~。」

「璃々はいつもお母さんに直してもらってるの。寝癖がついたままじゃだらしないからって。」

「・・・私、ご主人様がいないとだらしない女の子になっちゃう!」

 

その発言からして自分で直す気はないんだね・・・。

 

「けど、璃々ちゃんの髪って短いから寝癖もそんなに酷くならないんじゃない?私のは結構長いから毎日ビヨンビヨンになっちゃうから困るよ~。」

「直すのはいつも俺だけどね。」

「えへへ♪」

「髪の短い璃々でも寝癖はつきますよ。」

 

 

「へぇ。」

「寝癖の残った髪では外を歩かせられませんので。かく言う私も、手入れは欠かしていませんが。」

「紫苑の髪も綺麗だもんね。サラサラの髪だし、お淑やかな感じがよく出てる。」

「まぁ、ありがとうございます。ご主人様に褒めていただけるなんて、嬉しいですわ。」

「主よ、朝っぱらから口説きに行くとは・・・なかなかやりますな。」

「人聞きの悪い言い方しない。だって、紫苑の髪、綺麗でしょ?」

「ふふっ♪星ちゃんもご主人様に褒めていただきたいのですよ。」

「・・・そうなの?」

「なに、朝の挨拶にと顔を出しただけのこと。特に他意はありませぬ。それと、無事に掌の傷は塞がったようですな。」

「うん、心配かけちゃってごめんね。」

「鈴の力が宿っている主のことだ。傷は治っていると分かっていても、実際に見ないと少し落ち着かなかったものでな。とにかく、安心しました。」

 

星は再び踵を返し、霞や翠のもとへと戻っていった。

 

「星ちゃん、ほっとしたようですね。」

「そうだね、良かった。」

 

星の安心した表情も見れたし・・・寝坊助を起こしに行こうかな。

 

・・・

 

胡花を起こし、庭に戻ると愛紗も支度を終えたようで月たちと談笑していた。

 

「あっ、ご主人様。お茶です。」

「ありがとう。いただくね。」

 

月からお茶を受け取り、少し口に付ける。

 

「月の一刀を探す速さは相当ね。」

「ご主人様のことですから♪」

「はいはい、ご馳走様。」

「薔薇、昨日はよく眠れた?」

「えぇ。」

「あんた、月と劉協様に暗示でも掛けたんじゃないでしょうね?」

「いきなりどうしたのさ?」

 

俺にジト目で視線を送ってくる詠。・・・ほんのり目の下にクマが出来てる。

 

「昨日の夜、二人から延々とあんたのことを聞かされたわよ。」

「詠ちゃんも参加すれば良かったんだよ♪」

「ボクは月たちみたいに、こいつにべったりじゃないからついて行けないって・・・。」

「月はともかく!私はべったりじゃないわよ!//」

「いや、昨日のあれを聞いたら全く説得力ないですよ・・・はぁ。」

「私も参加したかったなぁ。」

「胡花も物好きね。ボクは一時ご遠慮願いたいわ。」

 

どんだけ話せば詠にクマが出来るんだろうか・・・。というか、俺以外に話のネタはなかったの?

 

「私、べったりじゃないもん・・・(ちらっ)。」

「べったりでもいいんじゃない?うちの妹に比べたら・・・。」

 

何をするにも一緒だったからなぁ。というか、後ろからひょこひょこついてきてたって言った方が正しいな。

 

「薔薇が妹なら毎日が飽きなさそうではある。」

「・・・どういう事よ?」

「色んなものに興味を持って、お出かけの毎日になりそうだなぁ。と思ってね。可愛いから周りの視線も釘付けになりそうだしね。」

「も、もう!//そういう事をほいほい言わないで!聞いてるこっちが恥ずかしい//」

「そんなに恥ずかしがらないでいいのに~。」

 

今日も成都は平和だなぁ。

 

 

・・・

 

朝食を食べ終え、俺は月と薔薇。それに桃香と食後のお茶を嗜んでいる。他の子たちは警邏だったり兵の調練だったり、様々だ。

 

「やっぱり食後はお茶にかぎるね。」

 

後でお昼寝したくなる気分。あっ、まだお昼前なんだけどね。

 

「月ちゃんの淹れるお茶、美味しいね~。」

「朝廷でお茶入れてくれてもいいわよ?」

「私はご主人様の隣にいたいので行けません♪」

「言い切ったわね。」

「言い切ります♪」

「月はよそには出しません!」

「ご主人様、愛娘を嫁に出さないお父さんみたいだよ。」

「私がご主人様のお嫁に行きます!」

「いつでも大歓迎だからね!」

「桃香、こんなこと言ってるけどいいの?」

「私もご主人様に貰ってもらうからいいの♪」

「・・・(私も貰ってもらおうかしら)」

「すみません、ご主人様。今よろしいですか?」

「ん?」

 

声のした方を振り向いてみれば愛紗が立っていた。珍しく青龍刀を持ち合わせていないみたい。

 

「どうしたの?」

「先日の大会の景品ですが・・・。わ、私と・・・でぇとしてください!//」

「うん、いいよ。ということで、行ってくるね。」

「はい、行ってらっしゃい。」

「愛紗ちゃん、いいなぁ・・・。」

 

・・・

 

俺は愛紗と共に市をぶらりと回ることにした。なんだかいつもと同じじゃないかな?と少し思ったけど、愛紗の機嫌も良さそうだし、いっか。

 

「そ、その・・・ご主人様。」

「ん?」

「腕を組んでもよろしいでしょうか?その・・・せっかくのでぇとですし。」

「うん、いいよ。」

「失礼します//」

 

愛紗が俺の腕に腕を絡ませてくる。必然的に距離が近づいて、愛紗のいい香りが鼻腔をくすぐってくる。・・・背後から変な視線を感じるんだが。

 

「むむむ・・・愛紗ちゃん、いいなぁ。」

 

・・・桃香が物陰から俺たちを見てる。あれは尾行をしているつもりなのだろうか?丸見えなんだが・・・。愛紗も気付いているようで苦笑いを浮かべている。店番のおっちゃんや露天のお姉さんたちもばっちり気付いてるわけで、微笑ましい光景を見ているかのような目で桃香を見ている。知られてないと思っているのは本人ばかりだな。

 

「愛紗、どうする?」

「・・・ご主人様が構わないのであれば続けていきたいです。」

「うん、桃香にはちょっと申し訳ないけど。じゃあ適当にぶらつこうか。」

「はい。」

 

俺たちはとりあえず桃香を構わず、市を散策し始めた。

 

「あっ、ご主人様たち移動し始めた!」

 

こそこそこそこそ。ぱっ!じとーーー。

 

「桃香は絶対隠密とか向いてないよね。」

「そ、そうですね・・・。」

 

構わずと決めたんだけどなぁ・・・。どうも気になってしょうがない。足音も聞こえるし独り言も聞こえる・・・。

 

 

「桃香お姉ちゃんは何をしてるのだ?何かの遊びか何かなのだ?」

「微笑ましいわね~。」

「お母さん、桃香様は何をしてるの~?」

「自分の中の葛藤と戦っているのよ。」

「?」

「璃々も大人になったら分かるわ。」

 

・・・

 

俺たちはひとまずどこかに落ち着こうということになり、茶屋で腰を落ち着かせている。

 

「たまにはこうしてのんびりするのもいいね。」

「そうですね。戦がない日々もいいものです。・・・民からしてみれば、戦がないのが日常なのでしょうが。」

「俺たちはそのために戦ってるんだ。戦があって当たり前とは思っちゃいけないよ。今の情勢を考えると戦がいつ起こってもおかしくないから、そう考えるのも仕方のないこととは思うけどね。」

「戦のない日々・・・そう考えると嬉しく思う半面、将としては少し物足りないと思いますね。」

「その時は昨日みたいに模擬戦でもすればいいよ。霞や翠もおんなじ事を考えそうだしね。」

「ご主人様とはしたくありませんよ。」

「分かってるって。」

 

二人で談笑していると店員さんがこちらにやってきた。あれ?もう注文した分は全部来たはずだけどな・・・。

 

「お待たせしました。恋人限定、夏の思い出・甘酸っぱい青春が詰まった夏の果物の飲み物です。お二人でお飲みくださいね。」

「・・・なんで成都にこれがあるんだ?すみません、つかぬことを聞きますが、うちの誰かから入れ知恵されてこの献立が入ったんですか?」

「なんでもうちの店長が韓飛様から恋人限定でこれを出してみては?と言われたみたいで。それで店長がノリ気で商品化したんです。私個人としてもオススメですよ♪こちらは韓飛様から北郷様方へ出してくださいと頼まれましたので、お代はいただきません。」

「・・・。」

 

視線を巡らせて見れば店内から清羅が俺に手を振っている。輝かんばかりの笑顔で。

 

「愛紗いいなぁ。蒲公英もご主人様とでぇとしたい~!!」

「ご主人様とのお出かけ楽しいよ~。たまに見せるご主人様の上目遣いには甘くなるんだよね~。」

「いいなぁ。」

「なぁ清羅、なんか口調が変じゃないか?」

「気にしない気にしない♪」

「・・・。け、けど、ご主人様とでぇとか。あたいは蒼兄としか出かけ・・・出かけてないか。遊んだことしかないからなぁ。そりゃ、頼りがいがあるし優しいのは認めるけどさ。あたいみたいな男勝りでもいいのかなぁと・・・。」

「ご主人様なら関係なく愛してくれるって!」

「あい・・・っ////」

「お姉様は自信をもっと持っていいの!!男勝りだけど見た目は可愛いんだから!!」

「うぅ・・・。」

 

翠と蒲公英も一緒なのか。なんか盛り上がってるけど・・・。

 

「ご主人様、これは・・・。」

「そういえばそうだった・・・。」

 

さっき朝ごはん食べたばっかりだからなぁ。それと問題がもう一つ。このトロピカルジュースだ。前見たまんま。ストローが二本さしてある。

 

「こ、これを私たちで飲むんですか?//」

「う、うん。愛紗が嫌じゃなかったら、だけど//」

「い、いえ!人目があるので恥ずかしいんです//」

「俺も恥ずかしいから・・・ね。一緒に飲もう。」

「は、はい//」

 

俺と愛紗で淡々とドリンクを飲んでいく。話せないというか、恥ずかしさで何を話せばいいか頭が回らない。

 

「じとーーーーー。」

 

桃香もちゃっかり店の中にいるし・・・。

 

 

・・・

 

「///」

「///」

 

な、なんとか飲み終えたぞ・・・。顔が真っ赤になってるだろうからまともに愛紗の顔を見れない//ちらっと愛紗の表情を伺ってみると愛紗も同じようで、顔を俯かせている。

 

「お、美味しかったね!」

「そ、そうですね!!」

「・・・。」

 

会話が続かねぇ・・・。

 

「あー!!もう我慢出来ない!!」

「!?」

 

尾行?していた桃香が立ち上がって俺たちのテーブルに近寄ってきた。

 

「二人とも!せっかくこっそり追いかけてたのに、見てられない!!」

「桃香、こっそりのつもりだったんだね。」

「・・・もしかして、気付いてた?」

「(こくっ)」

「えっ!?どこから!?」

「・・・最初から。」

「え~~~。バレてないと思ったんだけどな~。」

 

どこからその自信が出てくるんだろう・・・。

 

「とにかく!私もでぇとさせて!」

「俺は全然いいけど、愛紗は?」

「私も構いませんよ。」

「やった♪」

「とりあえず、お会計を済ませてくるね。」

「はーい♪」

 

・・・

 

とりあえず、会計を済ませた俺たちは再び市の散策に乗り出した。愛紗は右、桃香は左から俺の腕に腕を絡めている。

 

「えへへ♪」

「///」

 

両手に花ってこういうことなんだろうなぁ。・・・?いつもこんな感じなのは気のせいかな?

 

「お~い、隊長~!」

「おっ、美香。」

 

先の方から美香が手を振っている。すぐそばには瑠偉と恵もいた。いつものうちの三人組だね。

 

「劉備様、関羽様、こんにちは。」

「こんにちは、瑠偉ちゃん。」

「瑠偉たちは買い物か?」

「はい。隊長に休日をいただいたので、警邏も兼ねて日用品の買い物中です。」

「隊長たちは、逢引ですね~。」

「確信!?」

「そうにしか見えませんよ。」

「腕を組まれていれば逢引中です。と言いふらしているのと変わりません。」

「えへへ~。」

「桃香様、頬が緩みきってますよ。」

「そう言う関羽様も嬉しそうですよ?」

「うっ・・・//」

「愛紗ちゃんも顔、真っ赤だよ~♪」

「と、桃香様!!//からかわないでください//」

「隊長も隅に置けませんね~。劉備様に関羽様、私たち兵の中でも人気株のお二人なんですから♪」

「へぇ。そう言うのもあるんだね。」

 

 

向こうにいた頃のファンクラブみたいなものかな?時代が違っても人間、本質は変わらないんだね。

 

「ちなみに、うちの隊で一番人気は隊長ですよ。不動の一位です♪」

「へぇ、ご主人様モテモテだね♪」

「それは嬉しいね。」

「瑠偉ちゃんのひと押しです♪」

「ちょっと!・・・~~~~~//」

「ありがとうね、瑠偉。」

「は、はい!//」

「ついでに言うと二位が張遼様、三位が董卓様ですね。」

「なるほど。お姉様と可愛い妹ってとこかな。」

「あたりです!流石隊長!」

「美香ちゃん、隊長たちと話すのもいいけど早くしないと桃まん売り切れちゃうよ!」

「あっ!そうだった!隊長、失礼します!」

「ちょっと・・・もう。隊長、それでは失礼します。」

「うん、行っておいで。」

 

美香と恵は急ぎ足で。瑠偉は急ぐ二人をゆっくりと歩きながら追いかけていった。

 

「嵐のように去っていったな。」

「そうですね。」

「ご主人様って兵の子達にも人気があるんだね~。知ってたけど。」

「あはは。」

 

笑うしかない。なんだかんだ三人で陽が落ちるまで市の散策をした。

 

・・・

 

「はぁ~、楽しかった♪」

「鈴々もお兄ちゃんとお出かけしたかったのだ~。」

「今日は兵の鍛錬があったのだから仕方ないだろう。」

 

晩ごはんを食べ終えて、今は愛紗ちゃんと鈴々ちゃんと一緒に入浴中。

 

「それにしても愛紗ちゃん、今日は積極的だったね。心境の変化?」

「自分の中で割り切りをつけただけですよ。」

「やっぱり、昨日ご主人様のお部屋に泊まったのが良かったの?」

「えぇ。私もご主人様の前では一人の女でいたいのですよ。桃香様には負けられませんので。」

「私も負けるつもりはないよ!」

「鈴々も負けないのだ!」

「鈴々、何のことを言ってるか理解してないだろ?」

「ノリで言ってみたのだ。」

「あはは♪」

「くすっ。」

「にゃはは。」

 

明日も皆で楽しく過ごせますように。

 

・・・

 

「すぅ・・・すぅ・・・。」

「一刀はもう寝てしまったか。」

「えぇ。相当歩いてたみたいだから、寝かせておきましょう。」

 

今は比較的穏やかな日常が続いているからな。戦が始まる前は出来るだけ休ませておこう。

 

「ねぇ、少し聞きたいことあるんだけど、いい?」

「私の答えられる範疇ならな。」

「鈴はどうして一刀についてきたの?」

「唐突だな。まぁいいが。そうだな、一刀の心に惹かれ、自分と置かれている立場が似ているという点だ。」

「立場?」

「私は四竜の王だからな。一刀は今残る三国の中心に立つ者だ。争いを終わらせ、行く行くは三人の王の上に立てる王。それに至った際に一刀の補佐でも出来ればと思ってはいる・・・と言うのは建前だな。単純にこいつと連れ添って生きてみたいと思ったのが正直なところだ。」

「私は・・・どうなのかしら。一刀と話して心に触れ、次第に好きになった・・・っていうのかな?よく分からないわ。」

「お前はまだ若いからな。いくらでも悩めば良い。まぁ、何千年も生きている私でも解決しない問題はあるがな。」

「そのようなものかしら?」

「そのようなものだ。」

 

私がこうして人間の世に干渉する時が来るなど、私自身が想像すらしていなかったからな。悩みも増えるやもしれんし、何が起きるかも分からん。人間の世も満更ではない。

 

「劉協もそろそろ寝るが良い。明日も朝は早いだろうからな。」

「えぇ、そうさせてもらうわ。おやすみ、鈴。」

「あぁ、おやすみ。」

 

劉協も一刀の隣で眠りについた。私はしばらく二人の寝顔でも眺めておこう。闇夜に鳴く鈴虫の音を聞きながら。

 

 

あとがき 読んでいただきありがとうございます。愛紗がデレ始めました!!良い傾向です。これは桃香も負けてられませんね。さて、次回は話が進みます。最近は拠点風が多かったので、そろそろかなぁと。それでは次回 南蛮大王と元漢女 でお会いしましょう。次回もお楽しみに!

 


 
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