No.570345

【掌のバレエ萌え小説】パンツバレエを踊るわたし

碓井央さん

バレエ少女によるモノローグ小説

2013-04-27 12:03:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1405   閲覧ユーザー数:1388

短いスカートのヒロインがパンツを見せまくる「パンツアニメ」というのがあるそうです

だとしたらわたしが踊ってるのはパンツバレエです

厳密に言うとバレリーナのそれはツンと呼ばれる衣装の一部でパンツではありませんが……見かけはパンツそのものです

下にタイツを穿いていたって、スカートの内側にかいま見える『それ』の印象はやっぱりパンツです

そう見えるようになってます

だからわたしはパンツを見せるバレエ、パンツバレエを踊る女の子です

パンツを見せている、といちばん意識するのはパ・ド・ドゥのときです

パ・ド・ドゥは男の子と女の子のペアの踊りです

たいてい王子様とお姫様の恰好をしています

王子様に支えてもらうのでお姫様役のバレリーナはしっかりポーズをとったりできます

だからパンツもしっかり見えてしまいます

たぶん見せる前提の振付になっているのです

ためにするポーズであり、振付なのです

本番の舞台で踊っているとき、観客席からの視線が突き刺さるのを感じます

観客席は舞台から暗いので、たとえそちらに眼を向けたとしても何も見えません

でも、視ているのです わたしのパンツを視ているのです

女の人は踊りの「全体」を観ているのかもしれません

でも男の人は間違いなくそこを「視て」います

突き刺さる視線を感じるたびに恥ずかしくて背筋が震えそうになります

もっと困るのは相手の王子様役の男の子が興奮しているのを感じてしまうときです

息遣い、視線、身体が重なる時の感触、すべてから彼の興奮を感じます

彼は間違いなく頭のなかでわたしを犯しています

でも外から観ればわたしたちは甘く純粋な恋の踊りを踊っている王子様とお姫様なのです

なんという裏切り、見かけと中身の違いすぎるわたしたち

でも観客の皆さんも袖から視ている先生もクラスの他の生徒も

本当は分かっているのです 分かった上で視ているのです

わたしはパンツを見せるバレエ、パンツバレエを踊る女の子です

でも、このパンツバレエをわたしはやめられないのです どうしてもやめられないのです

もう踊らなくてもいいと言われるまで踊り続けるのです

 


 
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