No.565913

【獣機特警K-9IIG】ミクとミルク

自キャラ同士がくっちゃべってるだけ。
http://www.tinami.com/view/565421 と同時系列。
ミク http://www.tinami.com/view/557165
ミルク http://www.tinami.com/view/556092
このは http://www.tinami.com/view/556116

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2013-04-14 01:34:46 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:875   閲覧ユーザー数:814

 桜の花びらが舞い散っている。

 ミク・デハヴィランドは、桜祭りが行われている公園へと向かっていた。自然に笑みがこぼれる。

「ん?」

 公園の入口に、一人の女の子が立っているのを、ミクは見つけた。イエネコファンガー型のロボットだ。

「あれって、たしか…」

 ミクの家の近くに住む、ミルク・ボーイングだ。公園に入ろうか入るまいか迷っているようにも見える。

「こんにちは!」

「みっ!?」

 いきなり背後から声をかけられて、ミルクは跳ね上がった。振り向くと、白いウサギ型ファンガーの女性が立っている。

「えっと、ミクおねえちゃん?」

「どうしたの? 桜祭りやってるよ。公園に入らないの?」

 ミルクは少しためらっているようだった。彼女の視線の先に、ある親子の姿がある。シーナ・ヴァイス警視正と、ラヴェンナ・ヴァイスの親子だ。

「あー…」

 ミクは何かを察した。

「ね、ミルクちゃん、ちょっとお散歩しよう。ジュース買ってあげる」

「え?」

 きょとんとするミルクの手を引いて、ミクは公園から少し離れた遊歩道に向かった。

「オレンジジュースでいい?」

「うん…ありがと」

 ミクは、ミルクのためにオレンジジュースを、自分はカフェラテを自動販売機で買った。

「…」

 ミルクは黙ったまま、ジュースを飲んでいる。

「ね、ラヴェンナちゃんたちと何かあったの? お姉さん、相談に乗ってあげるよ」

 ミクは水を向けた。実際の所、ミルクが悩んでいる理由は想像がつく。

「…あのね、この前、ヘビみたいなオバケをつれた男の子がね、ミルクのこと、『許されない機械』って言ったの。ロボットってきらわれてるの? …ミルクって、ここにいちゃいけないのかな…?」

 ミルクが握りしめている缶に、大粒の涙のしずくが落ちた。

 あの日、エルメシオン教の狂った教皇、メディウスの放った言葉が、幼い心を深く深く傷つけていたのだ。

 黙りこんでしまったミルクを見て、ミクは世間話のように話し始めた。

「お姉さんの大切な人はね、ロボットなんだ。かっこいいし、運動神経もいいし、ゲームだって作れる素敵な人。おねえさんは、テオ君が…その人が大好きだよ」

「テオって人、ミクおねえちゃんの『カレシ』? ミクおねえちゃんって、『リアジュー』だったの?」

「どこでそんな言葉覚えたの?」

 ミクは苦笑いした。そして話し続ける。

「あのメデューサ…オバケをやっつけたリク君とソラちゃんもロボットだよ。でも、ロボットとかファンガーとか人間とか、そんなことは全然関係ないの。リク君もソラちゃんも、そしてテオ君も、あたしの大切な友だちなの」

 真剣な表情でミクは語り続ける。

「テオ君やリク君やソラちゃんが…大切な人たちがいなくなったら、あたしはすっごく悲しいな。ラヴェンナちゃんも、このはちゃんも、ミルクちゃんがいなくなったらすごく悲しいんじゃない?」

 ハッとしたようにミルクが顔をあげる。

「…ミルクちゃん!」

 後ろからかけられた声に、ミルクは振り向いた。そこには、ラヴェンナと、戸ノ上このはが立っていた。ミルクの、友達だ。

「おそいよ! いっしょに桜祭り、見にいこっ!」

 ミルクの顔に、笑みがはじけた。

「うんっ!」

 3人の小さな女の子たちは、しっかりと手をつないで駆け出した。その手が離れてしまうことは、二度とないだろう。

 その様子を微笑みながら見送るミク。3人の姿が見えなくなってから、ミクは一瞬厳しい表情になった。物陰に隠れ、誰にも聞かれていないことを確認すると、彼女は通信機を耳に当てた。

「…カナコお姉ちゃん、ユキヨお姉ちゃん、タカトお兄ちゃん、聞こえる? …うん。前も言ったけど、やっぱりあたしは…怪盗バニーは…」

 

 ラミナ市内に数箇所点在する、エルメ教の秘密教会。

 そこに、一通の手紙が投げ込まれた。

 

 親愛なるメディウス教皇猊下(げいか)

 ご機嫌麗しゅう存じます。我々トリッカーズは、生命を尊ぶエルメシオン・リリジオンの教義に賛同しております。

 ただ、残念なのは、便利な科学技術を全て否定していることで、これでは我々が面白おかしく盗みを働くこともできません。商売上がったりでございます。

 加えて、心を持ったロボットの存在まで否定されては、我々の良き遊び相手であるK-9隊をからかうという、我々の最大の娯楽まで奪われてしまいます。

 その点について我慢ならないので、我々は、貴方と、エルメシオン・リリジオンに対して宣戦を布告する次第でございます。

 スポーツマンシップに則り、お互い正々堂々と戦おうではありませんか。

 

 生命は偉大なり(バモラ・エルメシオン)

  怪盗トリッカーズ


 
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