No.563708

【童話】『なまえ』

黑克さん

とある母子の会話。この場合、キャラクターは主人公の性別でいいのかな? カンキチだけのお話は【日本画】の【挿絵】があります。

2013-04-07 15:58:23 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:363   閲覧ユーザー数:363

僕はダダをこねた。

「お母さん、僕、チヒロと同じのなんてヤダヨ!」

 

「違うものなんてどこにもないけれど

同じものなんてどこにもないわ。」

 

 

「だから、名前を付けてごらんなさい。」

僕は色んな名前を付けた。

 

傘のカンキチ

クツのシュー太郎

ランドセルのクロ

空が泣くと、僕は傘のカンキチと手をつないで歩いた。

カンキチは空の声を聞きながら一緒になって泣いていた。

僕も何故だか悲しくなった。

クツのシュー太郎とはいつも一緒に出かけた。

いつもどろんこまみれになって一緒に遊んだ。

体を洗ってやろうとすると、風呂嫌いなのか、シュー太郎はするすると手から逃げた。

ランドセルのクロは学校のお供。

クロが重たいといけないって

教科書を置いて帰ったら

課題が提出出来なかったよ。

本当に困ったヤツだ。

みんなみんな大好き。

けれど、

傘のカンキチは折れてしまった。

クツのシュー太郎は小さくなってしまった。

ランドセルのクロはもう卒業。

いつまでも手を離さない僕に

お母さんが頭をなでてくれた。

 

僕はわんわん泣いて

言ったんだ。

ありがとう

ありがとう。

さようなら

 

僕の友達。


 
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