No.546104

ALO~閃光の妖精姫~ 第15魔 舞う漆黒の者達

本郷 刃さん

第15魔です。
アスナ達VSサラマンダー部隊、軍配はどちらに上がるのか・・・って、分かりきったことですねw

どうぞ・・・。

2013-02-19 09:04:21 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:12513   閲覧ユーザー数:11503

 

 

 

 

 

 

 

 

第15魔 舞う漆黒の者達

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーファSide

 

まさかサラマンダーに付けられていたなんて。

領地内を異種族の集団が通行すること自体は可能だ。

けれどこの場合はスイルベーンにサラマンダーが入り込んでいたことになる。

しかしスイルベーンでは敵対関係にあるサラマンダーをNPCガーディアンが見つけたら、斬り倒すようになっている。

それらを回避するには通行証のようなものがあり、高位の役職についている者などでなければ発行できない。

それ以外にはパーティーメンバー内にシルフが居る場合にのみ、戦闘行為にならなければ見逃してもらえるというもの。

それがあったからこそ、ハジメさんはスイルベーンにおいてもガーディアンの攻撃を受けなかった。

つまり、内通者がいなければサラマンダーの部隊による尾行なんてありえない。

 

「湖です!」

 

考え込みながら走っていたら、いつのまにかルグルーの周りにある湖付近に辿り着いた。

ユイちゃんが言わなかったらこけたりしたかもしれない。

 

「間に合うと思うかい!?」

 

「このまま全力で走れば、多分間に合うと思います!」

 

ハクヤさんの質問に手早く答えて、あたし達は駆ける足に力を込めた。そして橋に差し掛かった。

 

「ここ、気を付けてくださいね! 水中に大型のモンスターがいますから!」

 

後ろに居るみんなを確認しながらそう叫んだ、その時だった。

背後から2つの光が高速で通過した。

光はわたし達の目指す都市の入り口前に着弾すると、巨大な岩壁へとなった。

 

「リーファちゃん、アレは!?」

 

「土魔法の障壁、これは物理攻撃では破れないんです! 魔法攻撃をたくさん撃ち込めば壊せますけど…」

 

アスナさんが驚きながら訊ねてきたので焦りながらも答えた。

確かに魔法攻撃をたくさん撃ち込めば壊せる、

だけど後方にはサラマンダーの部隊が……既に深紅の鎧とローブを被った集団が迫って来ていた。

 

「飛べなければ、破壊も難しい…ですね」

 

「……水中は無理なのか?」

 

「無理です。超高レベルの水竜型モンスターが棲んでいて、

 ウンディーネの援護があればいけないこともないですけど、この人数の援護をアスナさん1人では…」

 

ヴァル君に続いてハジメさんが訊ねて、あたしはかなり難しいことを伝えた。

 

「なら、戦うだけっすね…」

 

「それしかないけど、ヤバいかもしれないよ…。

 高位の土魔法を使えるサラマンダーがいるということは、手練れのメイジがいるってことだよ」

 

こちらにはSAOをプレイした歴戦の猛者がいるとはいえ、相手は高位魔法を使える者がいる。

一方的な火力の魔法で攻撃されては一溜まりも無い。

7人のサラマンダーが重厚なアーマーに身を固め、右手に金属の大盾を持っている。

後方にはローブを纏った者達が陣を引き始めている。

ルナ君以外の4人は魔法戦に慣れておらず、あたしも地上戦には慣れていない。

このままではいけないと思い、あたしはルナ君に作ってもらった長刀の『シルフィル』を抜き放った、が…。

 

「待って、リーファちゃん」

 

「アスナさん?」

 

アスナさんに制止を掛けられた。

 

「今の状況を考えると、相手はホーミング系の魔法を使う可能性は低く、

 また範囲魔法は接敵すれば味方を巻き込むことになるから使用も限られている、で合ってるかな?」

 

「は、はい」

 

アスナさんの凛とした雰囲気に呑まれそうになりながらも頷いて応える。

 

「それなら、リーファちゃんにはわたし達のサポートをお願いしてもいいかな?

 強化と回復をお願いしたいんだけど。今のわたしはサポートには向いてないからね」

 

「え、あ、その…」

 

アスナさんの言うことは正しくもある。だけど古参のプレイヤーとしては悩んでしまうところでもあった。

でも、それも次の彼女の一言で吹き飛んだ。

 

「お願い、リーファちゃん。わたしは貴女を信じるわ、だからわたしを…ううん、わたし達を信じて…」

 

あたしは…不安だったのかもしれない。

この状況が、どんなことになるのかが、負けてしまったら最初からになってしまうから、

だから不安だったのかもしれない。

それをアスナさんは、みんなは吹き飛ばしてくれる。

ルナ君もヴァル君もハクヤさんもハジメさんもユイちゃんも、みんなが笑顔を向けてくれた。

だからあたしは…、

 

「分かりました、任せてください!」

 

応えてみせた。あたしは出現した壁ギリギリにまで下がり、壁に背中を預けてみんなに強化魔法をかけた。

移動速度の上昇などが主である。そしてアスナさん達は武器を抜いた。

 

リーファSide Out

 

 

 

アスナSide

 

ユイちゃんはわたしの胸ポケットから出るとリーファちゃんの傍に移動した。

わたしは愛剣である細剣『クロッシングライト』を抜刀した。

ルナリオ君は『ヴェンダイヤ』を、ヴァル君は『神龍偃月刀』を、

ハクヤ君は『アイスエイジ』を構え、ハジメ君は『カミヤリノマサムネ』を抜刀した。

これほど緊張感のある戦闘はSAO以来だと思う。

ALOにログインした当初の戦闘やモンスターとの戦いではここまででは無かった、この適度な緊張感が心地良い。

既にサラマンダーの部隊は陣を形成している。

前衛に壁戦士(タンク)が7人、後衛に13人の魔法使い(メイジ)

それに対してこちらは5人が前衛、リーファちゃん1人が後衛、しかもリーファちゃんは補助専門ではない。

普通にみればわたし達の方が圧倒的に不利だろう、

けれどそんなものは実戦(・・・)を生き抜いたわたし達5人には良くある状況だった。

それに男の子達は既に笑み(・・・)を浮かべている、まるで今から行う戦いが待ち遠しいかのように。

わたしも指揮を執るのは久しぶりだ、SAOでもキリトくんと結婚してからはほとんど指揮をしていなかった。

鈍っていないかが心配だけれど、彼らならば自分達でも判断できるので信頼しておこう。

わたしは愛剣を真上に向けてから、相手に向け、宣言した。

 

「攻撃、開始!」

 

戦闘が始まった。

 

 

 

「接敵してタンクを破ります、魔法は各自で回避!」

 

「「「「了解!」」」」

 

わたしの指示に応えるルナリオ君達、まずは壁戦士を崩せるかを試す。

男の子達は足に力を溜めこむ姿勢を取ると、それを一瞬で解放させた。

 

「「「「神霆流歩法術《零間(れいげん)》」」」」

 

ルナリオ君とハクヤ君は真正面からハンマーと鎌を叩きつけた、その一撃に大きな音と振動が起こり、

湖に波紋が広がるけれど、タンク部隊は僅かに後ろに押し動かされHPが2割程減少するも、

すぐに後衛のメイジ部隊が治癒魔法で回復させた。

しかしその間にヴァル君とハジメ君は左右両脇の隙間を通り抜ける。

メイジ部隊がそれに気付き2人に向けて直射型の攻撃魔法を放つが、

 

「「神霆流歩法術《影霞(かげかすみ)》」」

 

2人は回避する。それを確認したわたしは動き出すことにした。

 

「リーファちゃん、回復と援護をお願いね! あと、防御の魔法で自分の身を守って!」

 

「は、はい!」

 

「ママ、頑張ってください!」

 

「任せなさい!」

 

リーファちゃんに指示を出し、彼女が頷くと今度はユイちゃんからの声援、これは負けられない。

わたしは最速を以てして駆け出した。

わたしが動くのを目撃したメイジ部隊はわたしにも火球の雨を降らせてくる……が、

 

「っ、この…程度!」

 

SAOでキリトくんから学んだステップを駆使して全弾回避する。

驚きの表情を見せるメイジ部隊。

これでも【閃光】の名を付けられていたのだ、これくらいで傷が付くものならばキリトくんの隣には立てない!

 

「ヴァル君、ハジメ君、壁を作る(・・・・)タンクの3人を打ち破ってください!」

 

壁戦士の後方に回り込んだ2人はわたしの声に頷き、7人の内右から2番目と左から2番目を一撃で刻んで倒し、

直後に2人に向けて攻撃魔法が放たれるが、2人は壁戦士の1人を盾にしてみせた。

味方の魔法攻撃を喰らった中央のタンクがやられたことで、直線の壁になっていたものが崩れて4人となる。

穴あき状態のタンクは最早用を成さず、ハクヤ君は鎌で、ルナリオ君はハンマーで体勢を崩した戦士を倒した。

接敵したわたしは残った2人の壁戦士の装甲が無い部分、僅かに開いた目の部分に剣を刺し込んで刻み倒した。

これでタンク部隊は全滅、残るは13人のメイジ部隊。しかし奴らが一斉に魔法を打ち出した。

その数にやられるかと思ったその時、わたし達の周りを光の蝶が覆いつくして炎から守ってくれた、リーファちゃんだ。

そしてルナリオ君がスペルワードを唱え始め、結界が消えるというその瞬間、

彼の手の前から大きな岩石が現れて、メイジ部隊に向けて岩石が飛んでいった。

その岩石の後ろをわたし達は追いかける。

メイジ部隊は岩石を破壊する為に魔法を打ち込んで壊した……が、

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

驚く奴らの前に、わたし、ルナリオ君、ハクヤ君、ヴァル君、ハジメ君が躍り出る。

 

「バ、バカな!? た、退却、退却だーーー!?」

 

サラマンダー部隊のリーダーらしき男が叫ぶが、この領域は……わたし達の領域(テリトリー)だ。

 

「死んでもいいゲームなんて……ぬる過ぎるわ!」

 

わたしの言葉を皮切りに5人でメイジ部隊を攻撃する。

わたしは最速の一閃で2人を斬り、ルナリオ君はハンマーで2人を空中に叩き上げ、ハクヤ君は鎌で2人を斬り刻み、

ヴァル君は偃月刀によるたったの一薙ぎで2人を薙ぎ払い、ハジメ君の剣閃によって2人が斬り倒され、

さらにそこへ駆けつけたリーファちゃんも長刀を用いて1人を刻んだ。

 

「ひ、ひぃっ!?」

 

リーダーらしき男はすぐさま湖の方に向けて走り、そのまま水中へと飛び込んだ。

あれ、水の中って確か……。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

「「「「「……………」」」」」

 

今の断末魔の叫びで分かりました、水竜さんの胃袋に収まったみたいだね。

さて、これで13人中12人が終わったから残るは1人…。

 

―――ジャキィンッ!

 

「ひ……」

 

「チェックメイトです」

 

わたし達6人が取り囲んで武器を突きつけた。わたし達の勝利だ。

 

アスナSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

神霆流・技説明

 

神霆流・歩法術《零間(れいげん)》

歩法術の一つ。体を低姿勢にして、足に貯めた力を一気に解き放って移動する技。

 

神霆流・歩法術《影霞(かげかすみ)》

特殊な歩法による回避術。ほんの少しの足捌きで行う。

 

 

 

 

 

後書きです。

 

はい、戦闘でしたがアスナ達の無双で圧倒しましたw

 

それと最初のリーファの思考の中であった『パーティー内にシルフがいれば、

敵対行動さえしなければ問題無い』というのはオリジナルの設定です。

 

一応『神霆流』の技説明も載せておきました、前に登場した技ですけどね。

 

さて、次回は生き残った火蜥蜴を買収っとw

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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