No.546006

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第四十九話 次元震に巻き込まれ…

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2013-02-18 23:41:16 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:31743   閲覧ユーザー数:28260

 「どっせええええええいっっ!!」

 

 「ギャオオオオオッッ!!」

 

 ズズ~ン

 

 最後に大きな声をあげ、魔獣は遂に地に伏した。

 …現在、俺はとある管理外世界(・・・・・・・・)において凶暴な魔獣を退治したところである。

 中々に骨のある相手だった。アルテミスやヘパイストスでもあまりダメージを与えられず、倒すのに時間が掛かってしまったな。

 

 「結構、魔力使ったな」

 

 「これ以上に凶暴で強い魔獣を相手にするなら宝具を使った方がいいよユウ君」

 

 「だな」

 

 ダイダロスの言葉に頷く。

 

 「……でも今日はこれで引き上げるか。もう日も暮れ始めてきてるし」

 

 「そうだね。早く博士と彼女達(・・・・・・)のところに戻ってあげようよ」

 

 「ああ。ダイダロス、転移先の座標設定よろしく」

 

 転移魔法を使って俺は転移する。

 転移した先には木製の一軒家がある。

 周りには他に建物はおろか民家すら見当たらず、荒野が広がっている。

 

 コンコン

 

 「グランツさーん(・・・・・・・)。今戻りましたー」

 

 返事は無いが、すぐに家の中からパタパタと玄関に小走りで駆け寄ってくる足音が聞こえる。

 

 ガチャッ

 

 家の扉が開き、中から二人の女の子が姿を見せる。

 一人は髪の色が赤色で髪型はおさげ。髪の先端は青いリボンで結んでおり、前髪を青と白の縞模様のヘアバンドで留めている。ちなみに俺と同い年。

 もう一人はピンク色のロングヘアーで花の形をした髪飾りを頭の左右に付けている。歳は俺より一つ年下だ。

 

 「「おかえりなさい(おかえり)、勇紀さん(勇紀)」」

 

 笑顔で言葉にしてくれる二人に対し

 

 「ただいま。アミタ(・・・)キリエ(・・・)

 

 二人の少女の名前を口にする。

 そう……俺が現在いる管理外世界の名前は『エルトリア』。

 何故俺がエルトリアにいるのかというと話は二日程前に遡る。

 

 

 

 ~~回想シーン~~

 

 「…という訳でお前達を現行犯逮捕する」

 

 俺とワッキーさんは以前からマークしていた連中を108隊の隊員さん達と共に取り囲み、密輸物を運搬してるところを現行犯で逮捕した。

 密輸された物はミッドでは危険物扱いされている薬の材料で、調合すれば俺達の世界で言うところの覚せい剤・麻薬の類になる。

 

 「…しかしこれはまた結構な量ですね」

 

 押収した密輸物の入っているダンボール箱が積み上げられていく様を見て言う。

 

 「全くだ。全部処理する方は大変だよ。勇紀、お前に全部任せていいか?」

 

 「いや、ワッキーさんも手伝って下さいよ!?」

 

 連行されていく犯人達を見届けた俺達はこれから密輸物の処理とそれらに関する報告書の作成などを考えると気が滅入ってしまった。

 ワッキー一等陸士の事は

 

 『階級付けて呼ばなくていいぞ』

 

 と言われたので遠慮無く『ワッキーさん』と呼んでいる。ついでに俺の事も呼び捨てで呼んで貰う事にした。

 ちなみにゲンヤさんの事もプライベートの時は『ナカジマ三佐』ではなく『ゲンさん』と気軽に呼んでいる。逆に俺は『勇坊』と呼ばれる始末。

 ゲンヤさん曰くでは俺は『息子』みたいなものらしい。

 そう言えばForceのトーマに対しても『息子が出来たら嬉しい』みたいな事言ってたしな。まだスバルとギンガだけとはいえ、娘ばっかりの環境だったし。

 

 「今日は残業だな、確実に」

 

 「仕方ないですよ」

 

 俺は局員とは言え子供だから残業出来ない。ワッキーさん達は最低でも3時間ぐらいは頑張らないといけないだろうな。

 『ワッキーさん頑張れ』と心の中でエールを送っておく。

 

 「とりあえず証拠品は全て押収。で、帰ってから書類仕事するぞお前等ー」

 

 「「「「「了解ッス」」」」」

 

 ワッキーさん現場指示の元、テキパキと動き始める隊の皆さん。

 何気にこの人、人を扱うのが上手いんだよな。指揮官適正は高いのかも。

 ついでにワッキーさんは陸戦B+ランクの魔導師。現場でも重宝する戦力の一つだ。『身体強化』や『ソニックムーブ』といった近接戦闘用の魔法に『誘導弾』や『バインド』といった魔法もそつなくこなす。

 俺としてはもうこの人、Aランク魔導師でも可笑しくないと思うんだけどなあ。

 

 「ところで勇紀。お前、たまには俺達と晩飯食いに行かねえか?」

 

 「…今日は残業で、書類やら報告書やらをある程度纏めないといけないのに、食いに行く暇あるんですか?隊舎の食堂で食べればいいんじゃあ…」

 

 「今すぐに提出する訳じゃないんだ。今日一日ぐらいは放っておいても大丈夫さ」

 

 呑気に言うワッキーさん。

 

 「まあ、俺は構いませんよ。家族にちゃんと連絡入れとけば許可も貰えると思いますし」

 

 「決まりだ。今日は飲みに行くぞ」

 

 「俺、未成年ですからね!?」

 

 ワハハと呑気に笑うワッキーさんは俺の突込みにも『気にするな』の一言で片づけてしまった。

 気にしないといけない事だし。

 その時だった。

 

 「っ!!?ユウ君!微弱な次元震の反応を感知したよ!」

 

 「次元震!?何処で?」

 

 「ここで」

 

 とダイダロスが告げた瞬間、

 

 ゴゴゴゴゴゴッ

 

 突如、次元震が起こり始める。

 

 「ちょ!?マジかよ!?」

 

 咄嗟に俺は転移の魔法陣で皆を非難させようとする。

 事件の証拠品は現場に残す羽目になるが仕方ない。次元震に巻き込まれたら次元漂流確定だ。

 だけど…

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

 

 更に大きな次元震が発生し

 

 「あ…ああああああああっっっっ!!!!!?」

 

 俺は次元震に巻き込まれ、そこで意識を失った………。

 

 

 

 「……ん………」

 

 目が覚めたら見知らぬ場所にいた。

 先程までワッキーさん達といた場所とは違い、辺り一面が何も無い荒野に俺は倒れていた。

 

 「ここは?俺は確か…」

 

 「ユウ君、大丈夫!?何があったか覚えてる?」

 

 「何が…って……」

 

 ダイダロスが声を掛け、俺はゆっくりと自分の身に起きた事を思い出して行き、

 

 「…ああ、次元震に巻き込まれたんだった」

 

 別の世界に飛ばされたという事を認識した。

 これで俺は次元漂流者確定。ついでにあの規模の次元震だとワッキーさん達も巻き込まれただろう。

 108部隊の隊員達が揃って行方不明とか…。地上本部にとっては痛すぎる結果だな。

 

 「とりあえず人を探すか」

 

 いつまでもここにいたって仕方ないし、もしかしたら皆も同じ世界に飛ばされて来てるかもしれない。

 後、ここが管理世界か管理外世界なのかも調べないと。

 管理世界ならすぐにミッドと連絡が取れるけど管理外世界だと厳しいな。

 やれやれ、まだ局員になって2ヶ月も経ってないっていうのに……。

 そう思いながら空を飛びつつ人を探す。念のため拒絶観測(キャットボックス)も使って人目につかないように。

 

 「うーん…ダイダロス。周囲に生命反応は?」

 

 「無いよ。うんともすんともしない」

 

 「ここ…無人世界かな?」

 

 「何とも言えないね。もう少し色々回って探してみようよ」

 

 「だな」

 

 それから更に十数分飛び回っていた。

 

 「もう…無人世界と見て間違い無いんじゃないか?」

 

 「そうかも……ッ!?」

 

 突然ダイダロスが言葉を詰まらせる。

 

 「ユウ君、あったよ生命反応!!」

 

 「っ!そうか。ならここは無人世界じゃないって事か?」

 

 「それはどうだろ?現地の生物かもしれないし」

 

 「とにかく行ってみる価値はあるよな」

 

 「うん!」

 

 俺はダイダロスの指示する方向に向かって飛ぶ。

 すぐ視界に飛んできたのは凶暴そうな現地生物に襲われている一人の男性だった………。

 

 

 

 ~~???視点~~

 

 ハアッ…ハアッ…。

 まさかこんな所で凶暴な魔獣と遭遇するなんて。

 私は研究者としてこの星が患っている『死蝕』を解明、除去するために色々な研究を行い、薬品を作り出しては試している。

 今回も新しい薬品を調合するために少し遠出をして調合するための原材料を摂ってきたのだ。

 行きは何の問題も無く取って来れたのだが、帰る途中で魔獣に遭遇してしまい、追い掛けられていた。

 逃走の最中に護身用の道具もいくつか使用してみたけど…相手を僅かに怯ませるだけ。いや、怒りを倍増させた分余計に最悪な状況になりつつある。

 

 「クッ…。このまま逃げても状況は変わらない。…どうにかしないと」

 

 正直、ずっと走り続けていてもう体力は限界に近い。

 それにこのまま魔獣を撒いて逃げる事は不可能だと理解している。

 

  「グルルルルル…」

 

 魔獣も私の方を見据え、その大きな口からは涎を垂らし、私を完全に『餌』として認識している。

 こうなったらやるしかない!

 無理だと理解していても万が一という奇跡が起きるかもしれない。

 私は薬品の原材料が入ったカバンをその場に置き

 

 「うおおおおおっっ!!」

 

 カバンから取り出した小さなナイフで魔獣に向かって駆け出す。が…

 

 バシイッ!

 

 「ぐああああっっっ!!」

 

 私の横腹に何かが当たり、吹き飛ばされてしまう。

 そのままゴロゴロと地面を転がり、少しして止まるが

 

 「ゴホッ…ゴホッ…」

 

 激しい痛みが全身を襲い、満足に立ち上がれない。

 必死に顔だけ動かして魔獣の方をみると、私を吹き飛ばしたのは魔獣の尻尾だと理解した。

 

 ズシン…ズシン…

 

 足音を響かせながら魔獣は私に近付いてくる。

 ただでさえ逃げる際も全力疾走していた上に、魔獣にやられた一撃でもう私の全身は悲鳴を上げ、立つ事もままならない。

 徐々に意識も薄れ、目が閉じていく…。

 …ああ、ここで終わるのか。私の人生は…。

 

 「アミタ…キリエ…済まない」

 

 家で私の帰りを待っているであろう二人の娘の名を口にし、謝る。

 

 「グアアアアアッッッ!!!」

 

 魔獣が大きな口を開け、私を食べようとした瞬間…

 

 「天の鎖(エルキドゥ)!!」

 

 ジャララララララ…ガシイッ!!

 

 「グアッ!?」

 

 何処からか声が聞こえ、

 

 「大丈夫ですか!?」

 

 その言葉を最後に私の意識は闇に墜ちていった………。

 

 

 

 ~~???視点終了~~

 

 危なかった…。この人危うく喰われかけてたよ。

 バインド唱えてたら間に合わないだろうと判断して咄嗟に宝物庫から天の鎖(エルキドゥ)を出して現地生物を縛り、拘束した。

 

 『天の鎖(エルキドゥ)

 

 原作『Fate/stay night』で金ピカ慢心王(ギルガメッシュ)が追い詰められた時に好んで使う宝具。伝承において神獣『天の雄牛』を捕らえ、『神を律する』とまで謳われる鎖。数少ない『対神宝具』の一つで相手の神性が高い相手ほど制約・拘束力が高まる。神性を持たないものにとっては少々頑丈な鎖。バーサーカー(ヘラクレス)を相手にした際には、通常は霊体化すれば物理的拘束を受けなくなるところを、霊体化できなくした。また、令呪を用いての転移も無効化した。

 

 「グオオオオオオッッッ!!!!」

 

 ギシッ…ギシギシッ…

 

 現地生物は必死にもがき、鎖を外そうとするが絡みに絡まった縛鎖はそう簡単に外れない。

 元々の強度に加え、俺が強化魔法で更に天の鎖(エルキドゥ)の強度を底上げしてるから尚更だ。

 

 「ユウ君、この人は全身に打ち身や傷跡なんかがあるけど、命に関わるほど大きなものじゃないよ」

 

 「なら修正天使(アップデイト)は使わなくて済むんだな?」

 

 俺はホッと一息ついて安心した。どうやらそこまでの重傷ではなく、今は気を失ってるだけみたいだ。

 とりあえず現地生物は拘束して動けないので今の内に治療魔法でこの男の人の傷を塞ぎ、治療し始める。

 

 「……こんなトコかな」

 

 あらかた治療を終え、倒れている人を守る様に前に立ち、目の前の現地生物を睨みつけ天火布武(テンマオウ)を展開する。

 

 「ふう~…」

 

 右手を強く握りしめ、拳に炎を纏わせる。

 そのままゆっくりと下げた拳を

 

 「火拳!!」

 

 そのまま一気に前へ突き出す。

 

 ボウンッ!!

 

 巨大な炎の一撃が天の鎖(エルキドゥ)によって縛られている現地生物に直撃する。

 

 「グギャアアアアアアッッッ!!!」

 

 天の鎖(エルキドゥ)を解き、現地生物を解放してやるとそのまま現地生物は走り去っていく。

 俺は一応、周囲を警戒しながらも襲われていた男性が目を覚ますのを待つ。

 とりあえずはここが何処なのかを把握しないと。

 俺が現地生物を追い払ってしばらく待つ。

 

 「…う…ううん……」

 

 気絶していた男性が目を覚ます。

 

 「…わ…私は…一体……?」

 

 「目が覚めましたか?」

 

 ゆっくりと身体を起こす男性に俺は声を掛ける。

 

 「…っ!?君は!?それにあの魔獣は!?」

 

 魔獣?さっきの凶暴な現地生物の事かな?

 

 「それなら俺が追い払いましたけど」

 

 「それは本当かい!?」

 

 驚いた様子で聞いてくる男性に俺は頷いて返す。

 

 「君みたいな子供があの魔獣を追い払うなんて、世界は広いものだ。私は何もできず簡単にやられてしまったというのに」

 

 「いや…俺の見た所、貴方は戦闘が出来る様な人じゃないでしょ?ならその結果も仕方ないと思いますよ」

 

 それに治療魔法かけている最中に日輪庭園(ヘリオスガーデン)でこの人のコンディション見たけど、かなり疲労してたみたいだし。戦おうとする前は必死こいて逃げに徹してたんじゃないかと思う。

 

 「とりあえず、俺が貴方を家まで送りますよ」

 

 「いや、見ず知らずの君にそこまでしてもらう訳には…」

 

 「でも、あんな凶暴な生物がまた襲ってきたら対処出来ないでしょう?」

 

 「うっ…」

 

 痛いところを突かれたみたいな表情を浮かべる。

 俺としては色々聞いておきたいが、聞きたい事はこの人を送る最中、もしくは送ってから少し時間を貰って聞けばいい訳だし。

 

 「その…本当にいいのかね?」

 

 「勿論ですよ!!」

 

 笑顔で頷くと

 

 「じゃあ、お願いするよ」

 

 了承してくれた。

 

 「では早速…」

 

 「あっ!少し待ってくれないか!私の荷物も持っていかないと」

 

 男性はさっきまで魔獣がいた方に近付いて行き、落ちていたカバンを拾い上げる。

 

 「いやー、中身も無事だ。良かった良かった」

 

 …あんなトコに荷物あったんだ。全然気付かなかった。

 火拳の巻き添えにならなくてホント良かった。

 

 「ん?どうかしたのかね?」

 

 「いえ…それよりどちらへ向かうのでしょうか?」

 

 「アッチの方だ。ここからだと徒歩で後3時間といった所だよ」

 

 「じゃあ行きましょうか」

 

 俺は男性に浮遊魔法をかけ、身体を浮かせる。

 

 「な…何だ!?何が起こっているんだい!!?」

 

 「ご心配無く。魔法を使っただけですから」

 

 俺は驚いた様子の男性を宥めつつ男性の家に向かって飛び出した…。

 

 空を飛んで行くとあっという間に男性の家に辿り着いた。

 周りには何も無い所に建っている木製の一軒家。

 

 「アミター。キリエー。今帰ったよー」

 

 この男性には家族がいるみたいだな。

 ………ん?

 アミタ?キリエ?

 『なのはGOD』に出てきたキャラに同じ名前の奴いたな確か。

 

 ガチャッ

 

 「「おかえりなさい博士」」

 

 扉を開け、姿を見せる子達を見て俺は固まった。

 その二人はどっからどう見ても『なのはGOD』に出てきたアミタとキリエだった。

 そして同時に理解もした。

 俺が今いるこの世界は……エルトリアだという事に。

 

 

 

 ~~回想シーン終了~~

 

 そんなこんなで二日経ち、今俺はグランツ・フローリアン博士のトコでお世話になっている。この星に知り合いなんていないし、俺が別の世界から来た事を話した後に『どこかで野宿します』と答えたけど『命の恩人である君に恩返しがしたい』と言われ、断ると凄く悲しそうな顔で見てくるもんだから俺が折れざるを得なかった。

 というか出会った当初はこの人がグランツ博士だと判らなかったよ。『なのはGOD』原作のイベントCGでは、顔の部分がキリエの持つヌイグルミで隠れてたし。

 アミタ、キリエとは同年代である事と、『博士を助けた恩人』という事もあってかすぐ仲良くなる事が出来た。それはもう、下の名前で呼び合うぐらいに。

 そして俺以外の陸士隊の人がこの世界に飛ばされていないか探す一方、『なのはGOD』原作でレヴィがやっていた魔獣退治も行っている。気が向けば遺跡探索もいいかもしれない。

 そんな俺は現在料理を作っている。

 この時期はまだアミタも料理があまり得意ではないみたいなので教えながら調理を行う。

 

 「うーん…」

 

 「???どうかしたんですか?」

 

 「いや…『俺の世界と同じ食材が存在するのは何故なのだろうか?』と少し疑問に思って」

 

 この世界に存在している料理も俺達の世界と似ている様な物がかなりある。

 

 「それ、一昨日も昨日も言ってましたよ?」

 

 クスクスと笑いながらアミタは調理する手を止めず、器用にジャガイモの皮を剥いていく。

 皮を剥いたりする仕草は様になっている。本人曰くでは『料理の味付けが上手く出来ない』との事。

 ちなみに夕食のメニューはカレー。カレーはこの世界には無い料理だったからな。カレールーも無いし。

 だから俺が宝物庫からカレールーを取り出し、振舞う事にした。

 

 ジーーーーッ

 

 「……で、キリエは何でこっち見てんの?」

 

 「…別に(二人共楽しそうだなあ)」

 

 さっきからコッチを見ている。

 

 「お前も手伝いたいのか?」

 

 「…私、料理得意じゃないもん」

 

 「そうか…ならキリエにも教えてやろうか?」

 

 「ホント!?」

 

 「別に一人教えるのも二人教えるのも変わらないしな。それに料理は出来る様になっておいて損は無いし」

 

 「じゃ、じゃあ教えて!」

 

 トコトコと俺の側にやってきたキリエに、まずはジャガイモの皮の剥き方から教える。

 

 「包丁使う際は当たり前の事だけど指を切らない様にな」

 

 「う、うん」

 

 キリエは危なっかしい手つきで少しずつ皮を剥いていく。ちょっと見ててハラハラするな。

 まあ、万が一指を切ってもすぐに治療するから問題は無いけど。

 

 「勇紀さん勇紀さん」

 

 「何だアミタ?」

 

 「皮を剥き終えたので次は何をすればいいんですか?」

 

 「んー…次は人参も同じ様に皮を剥いて、それが出来たら少し大きめに切ってくれるか?野菜は煮込んでる間に小さくなっていくから」

 

 「分かりました」

 

 アミタは人参を手に取り、皮を剥き始める。

 

 「勇紀、剥けたよ。次は何をしたらいいの?」

 

 「勇紀さん。大きさはこのぐらいでいいですか?」

 

 交互に質問されるのでそれらにちゃんと答えつつ、二人に料理を教えながら時間は過ぎていく。

 そして鍋に切り終えた野菜・肉を入れ、カレールーを溶かしながら鍋の底が焦げ付かない様にゆっくりとかき混ぜている。

 

 「仲がいいねえ三人共」

 

 「「「あ、グランツさん(博士)」」」

 

 俺達は同時に声がする方へ向くと今日の研究はもう終わる事にしたのかグランツさんが微笑みながら立っていた。

 

 「何やら良い匂いがするけどそれは何ていう料理なんだい?」

 

 「『カレーライス』って言って俺の世界の料理ですよ」

 

 「へ~、勇紀君の世界の料理か。今まで嗅いだ事の無い匂いだったんだけど、君の世界の料理で良かったよ。初めはアミタがまた失敗したのかと思ったからね」

 

 「博士!笑いながら言わないで下さい」

 

 『む~』と膨れながら怒るアミタ。

 ちなみに普段はこのグランツ博士が料理を作っているらしい。

 『研究一筋!!』って感じのする人だけど意外に家事は出来る方だとか。

 

 「ゴメンゴメン。しかし楽しみだね。異世界の料理には興味をそそられるよ」

 

 「まあ、期待に添えられる様に頑張りますよ」

 

 鍋の中をかき混ぜる手を止めずに、顔だけグランツさんの方に向きながら答える。

 

 「博士、今日は私も手伝ったんだよ」

 

 「そうみたいだね。でも普段はあまり料理なんてしたがらないキリエにしては珍しいね」

 

 「私だっていつまでも料理が出来ないなんて嫌だもん」

 

 「でも今日は勇紀さんに皮の剥き方を教えて貰っただけでしょ?」

 

 「でも怪我しないでちゃんと剥けたもん。ね、勇紀?」

 

 「そうだな。手つきがちょっと危なっかしかったけどちゃんと出来たな」

 

 「そうでしょそうでしょ」

 

 『えっへん!』と胸を張って主張するキリエ。

 

 「…本当に仲良くなったねえ」

 

 何か感慨深く言ってるグランツ博士。

 

 「ところで勇紀さん。これはいつまでかき混ぜてるんですか?」

 

 「んー…まだしばらくは時間かかるかなあ」

 

 何せ煮込み始めてまだ間もないからな。

 

 「ならアミタ、キリエ。二人は先に風呂に入ってきたらどうだい?」

 

 「そうだな。グランツさんの言う通り、二人は先に風呂に入っていていいぞ」

 

 カレーはじっくり煮込み、出来てから少し寝かせた状態で食べるのが一番美味いと俺は思う。

 このままここで三人居ても仕方ないと思うし。

 

 「お姉ちゃん、どうする?」

 

 「私はもう少し、ここで見ていたいですけど…勇紀さん、本当に何かする事は無いんですか?」

 

 「ああ。ここは俺一人で大丈夫だし」

 

 「……分かりました。なら私とキリエは先にお風呂に入らせてもらいますね?」

 

 アミタはキリエを連れてキッチンをパタパタと小走りで駆けて出て行く。

 

 「やれやれ。本当に元気な娘達だよ」

 

 「元気なのは良い事じゃないですか」

 

 「違いないね。それに君が来た事が嬉しいのかもね」

 

 「俺が?何故です?」

 

 「この家の周りの状況はもう知っているだろう?私達以外に人はいないし、近くの村に行くにも片道1時間半はかかる。しかもその村にはアミタ、キリエと同年代の子はいないしね」

 

 「そうなんですか?」

 

 俺が聞き返すとグランツさんは頷く。

 

 「だから自分達と同年代の子を見るのは君が初めてなんだよ」

 

 「同年代の子以外には友達とかはいないんですか?」

 

 「こんな場所に好き好んで来る人はいないし、かといって二人だけで村に行くのも危険だからね」

 

 『成る程』と頷く。

 

 「だから勇紀君。君で良ければあの二人の友達になってやってくれないか?」

 

 「俺としては構いませんよ。ただ、この世界にいられるのは自分の世界に帰る手段が見付かるか思いつくまでの間ですけど」

 

 二人と友達になる事に異論なんてない。

 ただ、いつまでもこの星にいる訳にはいかないのも事実だ。

 地球には家族がいるし、友達もいる。魔導師組の連中には心配かけているだろう。

 

 「それだけでも充分だよ。どうか君が帰るその時まで娘達と仲良くしてやってくれ」

 

 「了解です」

 

 それからしばらく煮込んで、良い感じに出来上がったカレーを見てからコンロの火を止め、カレーを寝かせる。

 二人が風呂から上がってきた所で夕食を食べ、その日は終わりを迎えた。

 ちなみにグランツさん、アミタ、キリエはカレーを絶賛し、大層気に入った様だった………。

 

 

 

 ~~ゲンヤ視点~~

 

 「…ハア~」

 

 勇坊の奴が次元震に巻き込まれ、この世界から消えて二日が経った。

 

 「ナカジマ三佐。例の密輸を行っていた連中から密輸ルートの聞き取りに成功しました」

 

 「そうか。ご苦労だったなワッキー一等陸士」

 

 「いえ…」

 

 目の前に居る部下もいつも通りに振舞ってはいるが何処となく元気が無い。

 …いや、ワッキー一等陸士だけではなく108隊の隊員のほとんどが元気なく仕事をしている。

 理由は言うまでも無く勇坊の一件だ。

 当時、現場にいた隊員達の話ではかなりの規模の次元震が発生し、ワッキー一等陸士を始め全員『もう逃げられない』と巻き込まれることを覚悟した様だ。

 しかし実際に次元震に巻き込まれたのは勇坊一人だけ。 

 

 『正直、あの規模の次元震で巻き込まれたのが一人だけというのが信じられない』

 

 というのが隊員達の言い分だ。

 勇坊が皆を守るために何かしたのか勇坊だけが偶然巻き込まれたのかは分からないが。

 それにしてもアイツ一人がいなくなっただけでここまで隊員達を気落ちさせるとは。

 まあアイツは皆に好かれていたし、気配りも上手な奴だったからな。

 

 「……勇坊の家族も確か魔導師だったな?」

 

 「はい。彼の家族、そして友達も陸士の訓練校で短期メニューを受講しています」

 

 勇坊が次元漂流者になってしまった事は当然ながら伝えてある。

 それを聞いた家族達の取り乱し様は凄かったそうだ。

 

 「…彼は無事に帰ってこれるでしょうか?」

 

 「…さあな。何とも言えねえよ。せめて管理世界の何処かに飛ばされていたらいいんだがな」

 

 管理世界の何処かにいるなら時間が掛かっても連絡が届く可能性はある。連絡が来ればすぐに迎えに行く事も出来るしな。

 だが、二日経って音沙汰が無い以上管理外世界に飛ばされてる可能性が高いな。

 ……勇坊、無事でいてくれよ。

 俺達は何も出来ず、ただ勇坊の無事を祈る事しか出来なかった………。

 

 

 

 ~~ゲンヤ視点終了~~

 

 ~~あとがき~~

 

 ワッキー一等陸士の容姿ですがとりあえずは『魔法先生ネギま』に登場する『バルガス』というキャラの髪型がアフロ版で行きたいと思います。

 


 
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