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恋姫†無双 関羽千里行 第2章 15話

Red-xさん

恋姫†無双の2次創作、関羽千里行の第15話になります。
新年一発目の更新です。
関東でも雪が降ったり寒い日が続きますが皆さん体調には気をつけて下さいね。
それではよろしくお願いします。

2013-01-22 21:46:09 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2887   閲覧ユーザー数:2312

第2章 15話 ―汜水関の守将―

 

一刀「...」

 

 連合軍が汜水関に攻撃を始めてから今日で何日目になっただろうか。当初ある程度の苦戦は想定の範囲内だと楽観視されていた汜水関攻略は予想を裏切り難航を極めていた。というのも...

 

兵士「敵襲ー!」

 

 夜襲をかけられているのにもかかわらず伝令兵の声に落ち着きさえ感じられるのは、夜襲されるのがこれが初めてではないこと、またこの事態がある程度想定されていたからだろう。天幕でそれを聞きつけた俺はすぐに伝令に確認を取る。

 

一刀「相手の数と率いる将は?」

 

伝令兵「敵の規模は今回も不明、将は馬の旗が確認されました。現在、関羽様が迎撃に向かっています。」

 

一刀「そうか...正直翠がここまでやるとは思わなかったなぁ...」

 

伝令兵「??」

 

 連合軍が苦戦を強いられている理由。それは董卓軍に西涼連合が合流したことに他ならなかった。最初の接敵の際、漢の忠臣として名高い彼女らが董卓軍に肩入れすることが判明し、連合軍は混乱に陥った。その混乱も今は彼女らが董卓に帝を盾に無理やり戦わされているということで、ある程度決着がついてた。もちろんそれは憶測にすぎないし、馬超たち西涼連合と直接交戦した愛紗たちによれば彼女たちが嫌々戦っているとは考えられないということだった。そのことは軍議でも指摘してみたが、既に攻撃を始めており、今更後には引けない諸侯にとってはそんなことは馬耳東風といった具合だった。

 

 そういった混乱を差し引いても、予定ではとっくに汜水関は攻略していたはずだった。なぜなら西涼連合は牙を中心とした構成であり、本来董卓側にとって関に籠るだけでいいこの戦いでは本来の実力を発揮できないとみな踏んでいたからだ。しかし、彼女らは夜陰に紛れた夜襲や、ヒットアンドアウェイを繰り返すという先鋒によって連合軍を確実に消耗させていった。それはさながら現代におけるゲリラ戦であった。初め、俺からしてみれば彼女らしからぬ戦法に多少驚いたが、後ろにいるであろう彼女の存在を考えれば得心がいった。軍師賈詡である。彼女なら自分の最も大切なあの子を守るためならなんでもしただろう。それが己の矜持と反する戦い方をしてもらうために地べたに額をなすりつけて頼むようなことであっても。

 

 思いがけず苦戦を強いられた連合軍は昼夜を問わず代わる代わる攻め続ける波状攻撃をしかけていたが、諸侯は自軍の消耗をなるべく抑えたいという思惑があるためうまく連携が取れず、その隙を突かれ続けているのであった。あまつさえ、これだけの苦戦をしいれられている上にこれと同等以上の関をさらに攻略しなければいけないということに士気は下がる一方だった。現実に、戦がこれ以上長引けば将来的に考えてそもそも戦闘の継続ができないのだ。

 

一刀「こんなことになるとはね...こうなるともうどうなるか俺には分からないな...」

 

 翌朝の軍議にて。

 

 汜水関攻略の打開策について話し合っていた諸候たちの顔には疲弊や苛立ちの色が見えていた。そんな中に衝撃的な一言が投げ込まれた。

 

??「私に任せてくれれば汜水関程度なら抜けるわよ。」

 

 自信満々にそういってのけたのは誰あろう、曹孟徳であった。

 

曹操「ウチにいい技術師がいてね、その娘の今組み立てている専用の攻略兵器ができれば攻略はうんと楽になるはずよ。麗羽のところから資材も出してもらえているね。もっとも、組み上がるまではあと一週間かかるみたいだけど。」

 

 半信半疑といった様子の諸候。しかし、

 

麗羽「その通りですわ。ですからその間の軍事行動はこれまで通り波状攻撃をしつつ、戦力を温存しましょう。」

 

 連合軍の実質的なリーダーである袁紹がそう付け加えた。確かに、それが事実ならこの泥沼な状況を打開できる。諸侯は彼女たちの堂々とした様子に期待を抱いているようだった。最も、失敗した所で諸侯には痛くもかゆくもないのだ。むしろ失敗すればそれは大口を叩いた曹操と袁紹にその責任をすべてなすり付けられる。諸侯は概ねその提案に賛成した。

 

 その一方で俺はこの状況に危機感を抱いていた。曹操の言う通り、恐らくその兵器とやらが完成すれば攻略は容易となり勝利できるだろう。しかし、それは同時にこの戦いが終わった時、「曹操のもたらした兵器によって」勝利を得たという評価になる。そうなればこの戦で名声を得ようという思惑はかなわないことになる。

 

 そのことに一部を除いた諸候は気付いていないようだった。その一部というのはもちろん雪蓮である。俺と雪蓮は他の諸候に気付かれないようにアイコンタクトをとった。そうして軍議が解散し天幕を出ようとした時、俺が一瞬曹操の方に目を向けると、曹操はこちらを挑発するような瞳でこちらを見つめていたことに気付いた。

 

雪蓮「っもう!むかつくったらないわね!見た?あの曹操の態度。」

 

雛里「あわわ...」

 

冥琳「腹が立つのはわかるが、今は抑えなさい、雪蓮。怖がってるじゃない。」

 

美羽「むむ?雪蓮は何を怒っておるのじゃ?」

 

雪蓮「...はぁ。」

 

 美羽の一言に毒気を抜かれたかのように、雪蓮が椅子にぺたりと坐り込む。俺たちは軍議の後、再び集まって会議を開いていた。もちろん議題は承知していたはずだが、若干一名分かっていないようだったので説明するところから始まった。

 

一刀「美羽はなんで雪蓮さんが怒っていたと思う?」

 

美羽「むう。曹操がえらそーにしゃべっておったから怒っているのではないかの?」

 

一刀「まあ正解といえば正解なんだけど...さっき曹操はなんて言ってたか覚えてる?」

 

美羽「確か兵器とやらができればあの七面倒な関を通れるとかいう話だったかの。」

 

一刀「そうそう。それで俺たちはなんでここに集まってるんだっけ?」

 

美羽「馬鹿にするでない。それは都でやりたい放題しておる董卓を妾たちみなでぼっこぼっこにするためじゃろ?それと雪蓮がこの戦で戦果をあげて名声を手にするとかいっておったな。」

 

一刀「じゃあさっき曹操が言ってた兵器ってのが完成したらどうなると思う?」

 

美羽「だから関を通れると...おお!わかったのじゃ!その兵器とやらが完成すると曹操のおかげで関が通れたという話になるということじゃな!それで曹操がえらそうにしていたから雪蓮が怒っていたのじゃな!」

 

一刀「正解!」

 

 正解にたどり着けた美羽の頭を撫でまわす。だが、

 

一刀「おっと、すまない。一国の主に対して失礼なことをしたね。謝るよ。」

 

目の前の彼女は仮にも国を束ねる者である。その彼女にたいして不用意に触れるというのは無礼な行為にあたるだろう。

 

美羽「ベ、別によいぞ!妾は寛大じゃからな。(そ、それにお主に頭を撫でられるのは気持ちよかったし...)」

 

一刀「そうか、ありがとう。」

 

 何か最後に言っていたようだったが何と言っていたのかはよく聞き取れなかった。

 

雪蓮「はいはい、いちゃいちゃしないの。それよりやっぱりむかつくわね。あれ、絶対ここまで苦戦することを見越して今日言ったわよ。この状況であんなこといったらみんな言うこと聞くに決まってるもの。この前洛陽に入った軍がどうのって言ってたのも実は把握してたに違いないわ。それでいて私達に後一週間で抜けるもんなら抜いてみろって挑発してるのよ。それにさっき、出ていく時に楽しみにしてるわなんて小声で言ってきたのよ。むかつくったらありゃしないわ。」

 

一刀「俺たちを試してるのは間違いないな。たぶん、自分と張り合うだけの器を備えてるか見極めようとしてるんじゃないかな。」

 

雪蓮「でしょうね。あの子、絶対天下を獲るのは自分だーって思ってるわよ。...ふう。とにかく、後一週間以内にあの関を抜くのよ。」

 

 雪蓮は曹操に対する怒りを収めたのか、一息つくとさっと顔を引き締めた。この切り替えの速さは王として流石だと俺は思った。

 

美羽「しかしこれだけ苦戦しておるのに今から一週間以内に抜くというのは難しくはないかの?」

 

雪蓮「そうね。馬超が関を出てきたところを叩ければいいんだけど...」

 

 今のところ、馬超たちが関の外に出てくるのは完全にあちらにとって都合がいい時で、それ以外はひたすら関に籠っている。つまり戦の主導権を完全に握られてしまっているのだ。だからこそ、こちらの消耗が激しくなっているのであった。一方、連日連夜の波状攻撃はあちらにも精神的にも肉体的にも負担を与えているはずだが...

 

一刀「俺に一つ提案があるんだけどいいかな。」

 

雪蓮「いいわよ、言ってみて。」

 

一刀「これは勘なんだけど。この戦で一番もやもやしてるのってす...馬超さんなんじゃないかなぁって思って。」

 

雪蓮「あら?どうして?」

 

一刀「だって、散発的な攻撃でまともな戦が殆どないだろ。馬超さんほどの武人ならこんな戦闘ばっかじゃなんというか...欲求不満になってるんじゃないかな。」

 

雪蓮「確かに、その気持ちは私にもわかるわ。私も前線で戦いたいのにいつも冥琳が止めるんだもの。」

 

冥琳「はぁ...性分なのはわかるけど、貴方はもっと自分の立場を考えなさい。」

 

雪蓮「ね?」

 

一刀「そうそう。だから馬超さんもちゃんと戦いたいと思うんだ。だから馬超さんの前で正々堂々戦えーって挑発するのはどうだろう?」

 

冥琳「でも、馬超は今までその手の挑発には全く乗ってきた試しがないが?」

 

一刀「だから釣り針を大きくするんだ。例えば、大陸でも有名な江東の虎の娘とか...」

 

冥琳「!!北郷殿、いくらなんでもそれは...」

 

雪蓮「あら、いいじゃない。私も欲求不満なんだし、いい機会だわ。」

 

冥琳「雪蓮!それに有名ということなら北郷殿、貴方自身にさらに貴方の元には関羽という猛将もいるではありませんか。」

 

一刀「うーん、そうできればよかったんだけどね。ダメ元で1回やってみたんだけど、相手にされてなかったし。馬超さんにはあんた死ぬよ?なんて言われちゃったし。」

 

 その時の事を思い出して恥ずかしさがこみ上げてくる。後で祭さんには気にするなって背中をバシバシ叩かれたっけ。俺がそんなことを思い出している間に俺の意図を察した雛里が後を続ける。

 

雛里「それと、残念ですが愛紗さん...関羽さんの名前ってまだそれほど有名ではないんです。私たち軍師みたいに情報を大事にしている人たちの間では知られているみたいですけど、それ以外だと京の周辺くらいでしか知られていなくて。だからこそこの戦で戦果をあげたかったんですが...つまるところ、馬超さんを釣るには馬超さんが戦いたくなるような武力だけじゃなくて、そもそも挑発を聞いてくれるような知名度も必要なんです。」

 

一刀「でも冥琳さんの心配はわかる。だから無理にとは言えないよ。」

 

冥琳「...」

 

雪蓮「釣り餌ならやってあげるわ。冥琳もこれくらいしないと一週間であの関を抜くのは無理ってわかってるんでしょ。」

 

冥琳「...はぁ。今回だけよ。」

 

雪蓮「ありがと♪だから冥琳って好きよ。」

 

冥琳「雪蓮ったら、ほんと調子がいいんだから。」

 

一刀「雪蓮さん、ありがとう。」

 

雪蓮「この戦が終わったらまたお酒おごってね♪」

 

一刀「ははは。冥琳さんに怒られないよう程々にね。」

 

 こうして馬超を釣り上げる作戦の段取りが始まった。

 

 

 

作戦決行日。俺は雪蓮さんの挑発に同行するために陣を出ようとしていた。そこへ、

 

霞「遅いで一刀!そないトロトロしとったら日が暮れてまうやん!」

 

 霞が自分の馬を伴いウズウズとした様子で待っていた。

 

一刀「いや、霞が楽しみなのはわかってるけど早く行ったところで時間は決めてあるんだからさ。」

 

 今回、同行する一刀の護衛として霞がついていくことになったのだが、それは霞本人の強い希望によるものだった。

 

霞「だって、この作戦がうまくいったら錦馬超の戦が間近で見られるんやろ?もうはよ見たくてたまらんわ。ホンマのところはウチが戦いたいんやけどな。」

 

 霞は同じ馬術を扱う者として名高い馬超の戦が見たいということで、この同行に志願したのであった。もっとも、他の皆も同行したいということで、北郷軍内で壮絶な戦い...もといじゃんけん大会が行われたようだが。熱意が一番あったから勝てたというのは本人談。こんなんでいいのか、ウチはという不安が頭をよぎる。

 

華雄「全く、今からそんな調子ではいざ戦いとなって足元をすくわれることになるぞ。」

 

 霞が護衛に決まり、誰が言い出したかもう一人決めようということで開催された第2回じゃんけん大会の優勝者が華雄であった。2回目は明らかに1回目で勝てなかった誰かの負け惜しみである。流石に3回目ともなると関に対する攻撃に支障が出るということで止められたが。

 

 一刀「じゃあ、行こうか。」

 

今思えば、霞と華雄ってあっちではここを守る立場にあったんだよな。これも何かの因果なのだろうか。そんなことを考えながら合流地点へと向かうのであった。

 

 

その後、一刀は雪蓮の部隊と合流し、護衛の二人を軽く紹介した。霞と雪蓮さんはお互い馬が合うのかすぐに打ち解け真名を交換し、酒談議で意気投合し大いに盛り上がっていたが、作戦前でそれはなんとか抑えてもらった。一方で華雄はというと雪蓮さんとは何か因縁があるようで、

 

雪蓮「あら、久しぶりね。貴方も思うところがあるでしょうけど、今回のところは仲良くやりましょ。」

 

華雄「ふん。貴様と仲良くする気などない。だが、今私がごねれば我が主君にも迷惑がかかろう。借りはまた別の機会に返すぞ。」

 

雪蓮「こっちは貸した覚えなんかないんだけどな~。」

 

 少し苦い顔で笑みを浮かべる雪蓮とムスッとしている華雄。その雰囲気に少々立ち入りづらいものを感じ、俺はどういうことか霞に小声で訊いてみた。

 

一刀「(華雄、雪蓮さんと何かあったの?)」

 

霞「(う~ん、ウチもよう知らんなぁ。なんかあったとすればウチと会う前ってことになるんかな。)」

 

一刀「(そっか。この先なにもないといいけど...)」

 

霞「(まあ華雄も一刀に迷惑がかかるようなことはせんやろ。華雄も忠義が厚いやつやしな。)」

 

 そうして自己紹介をすませ、関に向き直る。

 

雪蓮「それにしてもやっぱり喰えない子ね。私たちが共同で出撃する旨をあっちに伝えたら2つ返事で許可を出すなんて。」

 

一刀「まあまあ。今回は乗せられておこうよ。他にどうしようもないんだしね。」

 

雪蓮「そうね。冥琳や美羽の部隊も待ってることだし、早いとこ始めましょうか。」

 

雪蓮は関に向かって前進すると馬超をおびき出すため、演説を始めた。

 

雪蓮「聴け!敵将馬超よ!我が名は孫策伯符!江東の虎の娘なり!」

 

 

 

 一方その頃汜水関内では。交代の警備によって兵の間に疲れはさほど見られなかったがある一部では不満がたまっていた。その一部とは馬超その人である。

 

馬超「はぁ。こんな戦ばっかじゃ流石に飽きてくるぜ。ここらでいっちょ、どっかの強い武将と派手にやり合ってみたいんだけどなぁ。」

 

??「だめだよ、お義姉さま。詠にも言われたでしょ?」

 

馬超「なんだ、蒲公英か。今はあたしの番だろ?寝てなくていいのか?」

 

 関の上から連合軍を見渡していた馬超の後ろから、彼女の従姉妹にあたる馬岱がニコニコしながら姿を見せた。本来なら交代で眠りについているはずだったがどうやら起きだしてきてしまったらしい。

 

馬岱「だって、最近お義姉さまとも全然おしゃべりできてなかったし。たまにはいいかなーって思って。」

馬超「馬鹿。そういう油断が戦の勝敗を分けることもあるんだぞ。」

 

馬岱「うー、もう。久しぶりなんだからお説教なんてあとでいいじゃん。」

 

 呆れたといった表情を浮かべる馬超に対してぷーっと膨れて見せる馬岱。その様子に馬超の頬も少し緩む。

 

馬超「連合のやつら、早いとこ撤退してくれればいいんだけどな。」

 

馬岱「そうだね。なんで月のこと攻撃してくるんだろ。わけわかんないよね。」

 

馬超「あたしには難しいことはわかんないけど、父上が言うには裏で糸を引いてるやつがいるんだってさ。でも都には月たちだけじゃなく、天子様もいるんだ。アタシたち西涼連合は攻めてくるなら守らないと。」

 

馬岱「そういえば連合には天の御遣いって言われてる人も参加してるんでしょ?どんな人なんだろうね。」

 

馬超「我らが天に戴くのは天子のみ。そんな胡散臭いやつなんか変人に決まってる。この前あたしを挑発してきたけど、神々しさもなかったし、大して強そうにも見えなかったしな。」

 

馬岱「へぇ。私は会ってみたいけどな。」

 

馬超「変わってるなぁ、お前。」

 

馬岱「ぶーぶー。お姉さまの方こそ、未だにおもらし...」

 

馬超「こら!その話はやめろって言ってるだろ!」

 

馬岱「いったーい!痛いよ、お義姉さま!」

 

 ポカポカと馬岱の頭を叩く馬超。叩かれている馬岱の方も口ではそう言いつつも久しぶりのおしゃべりで楽しそうにしていた。そんな風にじゃれあっていると、関の前に1人の武将らしき人影が進みでてきた。その後ろにも何人か付き添っている。

 

馬超「またか。今度は誰だ?そろそろ大物の1人も出てきてもいいと思うんだけどな。」

 

馬岱「だからだめだってばお義姉さま。」

 

馬超「わかってる、わかってるって。ホント蒲公英は心配性だなぁ。」

 

 そう言いつつ、進み出てきた人物に注目する馬超。馬岱も興味はあるのか耳を傾ける。

 

馬超「...へぇ。あいつが孫策か。確かに、あの孫堅の娘って言われれば納得のいく覇気があるな。」

 

馬岱「一部では江東の小覇王なんて呼ばれてるって言ってたよね。」

 

馬超「ああ、そういえば詠のやつがあげた要注意人物の中に入ってたな。見た感じ結構腕も立ちそうだ。」

 

 あらかじめ、馬超たちは関の防衛に際してこの人物が出てきた時は特に警戒するよう賈詡に言われていたのだった。しかし、ここまでほぼ完ぺきに関を守ってきているという自信と安心感で思考がなまってきていた2人は警戒を薄めてしまっていた。

 

馬超の武を貶めるような言葉を連ねる孫策。そう言った言葉に最初の頃は腹も立ったが、今になってはここ何日も聞いてきたものなのですっかり慣れてしまっていた。よって馬超の中にあるものは罵倒に対する怒りではなく、目の前に立つ武人と勝負してみたいという欲求だったのだ。

 

馬超「なぁ、蒲公英。ちょっとだけ行ってきてもいいか?」

 

馬岱「もうさっき言ったばっかじゃん。ダメだって言ってるでしょ。」

 

馬超「えー、でも江東の小覇王だぜ?すっごい名前かっこいいじゃん?そんなやつ倒したらアタシの名前もあがるじゃんか。」

 

馬岱「だからダメなんだってば。」

 

馬超「えー、蒲公英ノリ悪いぞ。」

 

馬岱「さっき油断したらダメって言ってたのお義姉さまじゃん...」

 

 

 一刀たちはというと。初め多少動きがあるようにも見えた関だったが、なかなかその後動きがないことに多少の焦りを感じていた。

 

雪蓮「うーん、アテが外れたかしらね。」

 

一刀「彼女の性格上、その気があるには違いないと思うんだけどなぁ...」

 

やっぱりこの世界の馬超は自分の知ってる馬超と全然違う人物なのかと袁紹と出会った時の事を思い出し悩む一刀。その横で、

 

雪蓮「でも折角きたのに何もないってのは悔しいわね。この際何でもいいから言ってみようかしら。やーいやーい、このくいしんぼー!ほら、貴方たちも何か言ってみなさいよ。」

 

 堅苦しい口調の言葉を並べるのに飽きたのか、一転して楽しそうな口調で子供じみた挑発をする雪蓮。

 

一刀「いや、それはなんか違うんじゃないかな...」

 

 今までの緊張した雰囲気が崩壊し、まるでいつも皆でじゃれ合っている時のような雰囲気が訪れる。

 

霞「まあええんちゃう?挑発の内容なんて出てきてくれたらなんでもええやろ。やーい、この馬鹿力~!ほら、華雄もやってみぃ。」

 

こちらもノリがいいというか、楽しそうに挑発する。というかこれは挑発なのだろうか...華雄はというとこんな敵の目前で戦場にあるまじき空気になっていることに多少面喰っているようだった。

 

華雄「わ、私か?私はあまりこういうことは好かんのだが...」

 

霞「なんや、ノリわるいで。ほら、一刀も言ったれや。」

 

一刀「ええ!?まあ出てきてくれないことには話にならないしな...」

 

 そう言ってあることないこと連呼する一刀一行。すると、関の上の旗が慌ただしく動き出したようにも見えた。

 

雪蓮「あれ?なんか効いてるんじゃない?馬超って案外単純なのかしら。もっとやってみましょうよ。」

 

一刀「ああ、なんかちょっとわかる気がする...」

 

霞「やーい、このお漏らし女~♪」

 

 昔、翠のお漏らしするところを見てしまった身としては当たっているようなないような、などと考えていると...

 

馬超「だ...だれがおもらしおんなだあああああああああ!!!」

 

 関の上からもの凄い声量の声が響いてきた。

 

―あとがき―

 

 気付いたら4週間たっていた。

 

 こんばんは、れっどです。読んで下さって有難うございます。まだ、あけましておめでとうございますでいいのかな?毎年いつまで使えるのか考えちゃいますね。(私の予想では中国の旧正月までは使えるはず!)更新ペースに関してはすみません。どう考えても4週に1回じゃ回らないじゃん!(壁に頭を打ち付ける)今年の目標せめて2週に1回(それでも終わるのか?!)

 

 本編について。董卓軍の援軍は翠さんたちでした。連合の会議の時名前出してなかったのに気付いた人には多分バレバレだったかもしれませんが...ここを書くために再び無印を起動したんですが、翠さんやっぱりいいですね。なんかほっこりします。多分翠さんはこんな罵り方された方が堅苦しい感じより怒りを覚えるんじゃないかなぁと思ってみたり。無印だとそんなにお漏らしネタは引っ張ってなかったんですけどね。そして蒲公英さんと合わせると仲のいい姉妹みたいで書いててやっぱりほっこりしますね。それと関の防衛線ということで色々悩んだんですが(没ネタ続出)今回のように落ち着きました。たぶんあの人ならオーバーテクノロジーで関ぐらい簡単に壊せる?兵器作れるよ、うん。という希望的観測。

 

 それでは、こんなgdgdな更新のうp主ですが次回もよろしくお願いします。

 

 


 
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