No.534672

ソードアート・オンライン フェイク・オブ・バレット 第六話 本戦

やぎすけさん

大変遅くなりました。

2013-01-21 23:29:00 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2308   閲覧ユーザー数:2220

デュオ視点

BoB本戦開始から、すでに20分が経過している。

最初のスキャンの時に、俺は遮蔽物のない場所にいたため、周りにいたプレイヤーからの集中砲火を受けた。

それをどうにか回避した後、右手でM82A2、左手でコルト・パイソンハンターを連射して襲撃してきたプレイヤーを片付けた。

現在は茂みの中に潜って、ホフク前進で移動している。

すると、茂みの奥で潅木の中をじわじわと移動しているプレイヤーを発見した。

その手には、短機関銃の【ヤティ】が握られており、全身に分厚いアーマーを装備している。

こちらには気づいていないようで、警戒しながらも茂みの奥へと向かおうとしている。

俺はすぐさまM82A2を構えると、照準を頭に合わせる。

そして、引き金を引こうとした次の瞬間、予想外の事態が起こった。

突如飛来した弾丸が、プレイヤーの腰に下がっていたグレネードを撃ち抜いたのだ。

 

デュオ「まずい!!」

 

思わず声を上げると、全速力でその場を離れる。

すると、先ほどまで俺のいた場所はグレネードの爆発によって吹き飛んでいた。

 

デュオ「はぁ・・・危うく木っ端微塵にされるところだった・・・」

 

俺は息を整えると、爆発で集まってくるであろうプレイヤーを警戒しながら移動を始める。

その時、2度目のスキャンが行われた。

最初のスキャンの時は、多数のプレイヤーを相手にしていたため見ることができなかったが、今回は周りに遮蔽物があるので端末を取り出して地図を覗きこむ。

一番近くにいるプレイヤーは2人だが、かなりのスピードで移動しているところを見ると戦闘中のようだ。

周りを調べるとシノンは森林地帯に潜伏中。

この距離からして、先ほどのプレイヤーを狙撃したのはシノンだろう。

 

デュオ「あいつ・・・次やったら蜂の巣にしてやるからな・・・」

 

顔を引き攣らせてそう呟くと、俺は近くで戦闘中のダインとペイルライダーの向かっていると思われる鉄橋へと向かった。

俺は今、鉄橋の近くに隠れて2人の戦闘を見ている。

一見しておそらくは2人とも死銃ではないと思う。

ダインは橋を渡り終わって伏射姿勢に入っていた。

対するペイルライダーは無防備に橋に侵入したかと思うと、橋を支えるロープを片手だけでグイグイ登り始めた。

 

デュオ「あんな戦い方もあるのか。装備の重量を抑えて3次元戦闘を可能にする。なかなか考えたな。」

 

観ている俺はちょっと驚いた程度だが実際に戦っているダインはそうはいかない。

慌てて銃口を上に向けるが伏射姿勢だったというのが災いした。

伏射姿勢は上方への命中度が著しく低くなるため、ダインのばらまいた銃弾はすべて外れた。

 

ダイン「なろっ!」

 

ダインもすぐに銃弾をリロードするも、ペイルライダーが持っていたショットガンのディレイ効果のために反撃ができず、敢えなく敗退となった。

 

デュオ「さすがに本戦まで来るプレイヤーだけあって、なかなかに強いな・・・ん・・・?」

 

突如ペイルライダーが倒れた。

ダインのようにDeadタグは出てないから死んではいないだろうが、倒れたまま動かない。

よく見ると、ペイルライダー体からスパークが迸っている。

 

デュオ「麻痺か・・・!?」

 

電磁スタン弾があるとは知っていたが、あれはかなりの大口径しか使えない上に一発当たりの値段が高いため大会では見る機会がないと思っていた。

しかしそうなると、装甲が薄いペイルライダーを電磁スタン弾で撃つ理由がわからない。

電磁スタン弾を撃つことができるほどの大口径ならば通常弾で、しかも一撃で仕留めることができた。

一度、電磁スタン弾で麻痺させてから、改めて精密狙撃するのだとしても、第二射までの間隔が空きすぎている。

 

デュオ「どういうことだ?」

 

俺が呟いた次の瞬間、その答えが姿を現した。

現れたのは全身をギリーマントで包み、顔に骸骨を模したマスクを被っているプレイヤー。

赤く光るゴーグルがまた不気味さを醸し出している。

 

デュオ〈死銃・・・!〉

 

俺たちがGGO(この世界)来た理由であり、ゲーム内から殺人を行う犯罪者。

そして、SAOサバイバーの1人にして、元ラフィン・コフィンのメンバー。

 

デュオ〈出たな・・・クズ野郎・・・〉

 

俺はすぐにM82A2を構えると、死銃の心臓部分に照準を合わせる。

 

デュオ〈てめえの思い通りにさせるか・・・!!〉

 

俺は心の中で叫びながら、トリガーを引き絞る。

すると、同時に別の方向からも銃声が響き、2つの弾丸が死銃に向かう。

しかし、死銃は驚くべき行動に出た。

体を斜め右後ろに傾けて、2つの弾丸を回避したのだ。

 

デュオ「何・・・!?」

 

たった数十m程度の距離から放たれた対物ライフルの弾を、他の弾と同時に避けるなど普通はできるはずがない。

それを行うとすれば、弾道予測線がない限りキリトでも不可能だ。

つまり、奴は俺とシノンを1度目視しているということだ。

 

デュオ「ちっ・・・!」

 

俺はM82A2を投げ捨てると、腰から光剣を引き抜き死銃に飛び掛る。

 

デュオ「させるかぁぁぁぁぁ!!」

 

飛び上がると同時に上に構えた、光剣のスイッチを入れる。

ぶぅんと低い振動音を立てて、バイオレットブルーのエネルギーの刃が伸びる。

俺は出現したプラズマの刃を思い切り振り切った。

だが、死銃は俺の剣を回避すると、後ろに飛んで距離をとる。

死銃を仕留め損なったプラズマの刃は、八つ当たりでもしたかったのかペイルライダーの体を分断した。

ペイルライダーにDeadのタグが出現するのにもかまわず死銃を睨み付ける。

 

デュオ「お前が死銃だな。」

 

すると、そのプレイヤーはシュウシュウといった感じの風の音のような音を立てる。

そして笑う気配がしたかと思うと、答える。

 

死銃「そうだ。俺が死銃だ。お前、レッドプロミネンスだな。」

 

デュオ「ずいぶんと懐かしい名前だな。やはりラフ・コフの生き残りだったか。」

 

俺はこの揚々の少ない声も風が吹くような笑い声も知っている

 

死銃「お前と会うのは、あの討伐戦以来か?」

 

デュオ「さあな。だが、相手はしてないな。もし俺が戦ってたら、俺かお前のどちらかが死んでいた。」

 

死銃「だろうな。お前は【悪】というものに対して過剰なまでの狂気を向ける。」

 

デュオ「“悪い奴”はよくても“悪人”は嫌いなんでな。」

 

俺と死銃は軽口を叩き合うが、俺も死銃もお互いに殺気を放っているため空気が重い。

死銃から放たれる濃厚な殺気。

VRには殺気などというものは存在しないはずだが、確かに俺は威圧感を感じていた。

それを押し返すように、俺は言い放つ。

 

デュオ「せっかく予選突破して来たところ悪いが、本当の殺人を犯すようなクズにはご退場願おうか。」

 

俺は剣を構えると、プラズマの切っ先を死銃の首元に向ける。

すると、死銃はシュウシュウといった不気味な音を立ててから言い返してきた。

 

死銃「それがおまえの剣か?」

 

デュオ「ああ、そうだな。闇妖精の俺には似合わない光剣だ。」

 

死銃「両手剣使いのお前には、さぞ使いにくいだろうな。」

 

デュオ「てめえを斬るには十分だ。」

 

死銃「ならばその剣ごとお前断ち切る。以前はお前の狂気が俺を斬りつけたが、今度は俺の狂気がお前を殺す。今すぐ戦いたいところだが今は引こう。次に会ったときに必ず・・・」

 

奴の口が音のない声で殺してやると言った。

そして、死銃の姿は消えた。

比喩表現ではなく本当に消えたのだ

システム上は人の動体視力を上回るような速度は出せないはずなので、透明になるような装備などの類だろう。

 

デュオ「とにかく、キリトたちと合流しよう。このままだと、あいつやシノンも危ない。」

 

俺は光剣を腰に戻し、急いで廃墟となった都市部へと向かった。

 

あとがき

すみません。

センター試験や引越しなどで忙しくてまったく投稿できませんでした。

これからもテストの影響で更新が不定期化すると思います。


 
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