No.528576

ゼロの使い魔 ~魔法世界を駆ける疾風~ 第二十一話

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
新年始まって一回目の投稿です。
昨年はたくさんの読者の皆さまに読んで頂きありがとうございました。
お楽しみいただければ幸いです

2013-01-06 17:49:54 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:8779   閲覧ユーザー数:8080

馬車が軽い振動と共に停止する。どうやら学院に到着したらしい

義父上が御者に確認をとった後、皆が馬車から降りる

 

「御者には休むように言ってある。馬も疲れているからな。さあ、オールド・オスマンのところへ向かおう」

 

その言葉を聞いたカトレアとテファが、不意に顔を上げる

 

「お父様。私は学院の中を見学したいです。生まれてこの方、学院など通った事がありませんので」

「じゃあわたしも!今まで、屋敷かウエストウッドの村しか見たことないから!だめですか?」

 

カトレアは幾分うつむきながら、テファは首を傾げながら是非を問う

義父上は悩んでいるようだ。幾ら病気が治ったとはいえ、幾ら人と変わらない外見になったとはいえ。

自分の目の届かないところに娘たちが行ってしまうのは、相当不安らしい

 

「う~む。しかし案内の者も、護衛もおらんし…。幾ら学院とはいえ、万一のことが無いわけではないしな…」

 

義父上は知恵を絞って妙案を出そうとしている

その思案を遮る声が上がった

 

「護衛はあたしがやりますよ。あたしは此処で働いていたし、腕にも自信はあります」

「案内は私がするわ!ちい姉さまと一緒に学園を歩きたいし!」

 

名乗りを上げたのは、マチルダとルイズだった

成る程。マチルダは自分で言ったとおり此処で働いていたし、盗賊として名を馳せていた事から実力は折り紙付きだ

ルイズは現役の学生。荒事には向かないだろうが、案内としては最適だ

このコンビなら、安心して任せられるな

 

「…そこまでいわれては、断る理由も無いな。わかった。では頼むぞ。マチルダ、ルイズ」

 

二人は声を揃えて返事をした

そして四人は学園を探索に行った

また、残った俺とエレン、義父上に義母上の四人はオールド・オスマンの居所、学院長室へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぉっふぉっふぉ。どうしたのじゃ、ヴァリエール公爵。このような老骨に何ぞ用でもあるのかの?」

 

学院長室に着くと開口一番質問―いや詰問をされた

なにせオスマンが途轍もない威圧感を放ちながら此方をギラリと光るような眼光で睨んできているのだ

話し方こそ穏やかではあるが、その姿には確かに畏怖の念を抱かざるを得ない

 

「何、オールドオスマンよ。私の娘達が遂に婚約をしてな。あなたには随分と世話になったし、報告でもしようかと思ってな」

「ほう、婚約とな。それは重畳。…む?今おぬし娘『たち』と言わなんだか?」

 

その威圧をものともせず義父上はいたって普通にオスマンに話しかける

対して態度を崩さないまま、オスマンはたずねる

 

「ああ。長女のエレオノール、次女のカトレア共に婚約したのだよ。同じ者とな」

「な、なんじゃと!?男の永遠の夢である一夫多妻かの!許すまじじゃな………!!!」

 

なぜかオスマンから嫉妬に近い殺気が部屋中に発散される

エレンには殺気がいかないように俺が前に立ってるけど、何故だろうか。冷や汗が、止まらない…!!

 

「おっと其れは置いといて、お主の次女は難病に犯されていたのではなかったか?確かその病気を治した者が婚約する、という話じゃった筈じゃが」

「その病気が治ったのだよ。彼のおかげでな」

 

義父上が前に出るように俺を促す

いや、なんか今出て行ったらスクウェアスペルの連発喰らいそうな雰囲気なんですけど

 

 

 

あ、っちょ義母上杖抜かないでください。え?万が一に備えてサイレントをかけておく?お願いしますでも万が一ってなんですか

エレンも泣きそうな顔しないで。ね?

ああ分かりましたよ行きますよ

 

「…どうも、オールドオスマン」

「っ!…なんとお主か。一夫多妻を強いている不届き者は……!!」

 

ほらオスマンの体から強大な魔力が放たれてる。部屋が圧壊しかけてますよ

魔法を使う前段階でこの魔力量ってどういう事よ?しかも何か呪文詠唱してますよ?

 

一応写輪眼を発動して様子を見ておく。まさか学院長に攻撃を加えるわけにもいかない

 

「ふぉっふぉっふぉ…わしの僻み妬み嫉みの結集のスクウェアスペルを受けてみるが良い…。『フレイム・パンサー』!!」

 

オスマンが詠唱を終えると同時に、その隣に―――何と言えばいいのだろうか。まるで炎を纏った猫が現れた

だが、その体長は見るからに猫の大きさを超えているし、四肢はしなやかながらも力強い

魔法独特の誇張表現かもしれないが、オスマンが言った魔法の名前からするとアレは間違いなく豹だ

 

「行け!襲え!喰らえ!ハーレムを堪能する愚者に死の裁きを!!」

 

その号令を待っていたかのように焔の豹は襲い掛かってくる

反射的に印を組み、迎撃の忍術を発動する

 

「『雷遁・黒班差(くろぱんさ)』!!」

 

此方は対抗して、黒い雷で形作られた豹に迎撃をさせる

焔の豹と黒雷の豹は互いに噛み付き合い、引っ掻き合う。力は互角か、と唇を噛み締めたときに突風が吹いた

見ると義母上が杖を抜いて立っている

迸る魔力の奔流。さながら其れは全てを吹き飛ばす竜巻の如き物だった

エレンは目の前で行われる激しい激闘に腰を抜かしている。目に涙さえ浮かべていた

義父上も手伝いたいのは山々だが、義父上は土のメイジ。室内ゆえに全力を出せない事が歯痒かった

だが、役には立てずとも娘は守るという気概か、杖を抜き呪文詠唱を始めていた

 

「ラナ・デル・ウィンデ…『エア・ハンマー』!!」

「フル・アース・マッド『アースハンド』」!!

 

義母上が放った不可視の風の棍棒が焔の豹を打ち据えて霧散する

焔の豹が消えた事により学院長に黒雷の豹が喰らい付き、感電させ動きを封じる

そして最後に床から『ニョキッ』とばかりに石の腕が生え、学院長を拘束する

 

 

 

 

 

部屋に残ったのは、石に拘束された学院長と呆然としている俺達。そして散々な状態となり、見ていたくもない学院長室の惨状だった

新年明けましておめでとうございます!

今回からにじファンで書いていたものの続き、という事に成ります

思えば昨年は大変でした。

行き成りのにじファンのサービス停止やら移転先を探さなきゃいけないわ…

さて、今年はどんな一年になるのでしょうか

 

 

それでは次回の投稿をお楽しみに


 
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