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No.523371
Trinitat プレビュー版
hide,さん 2012-12-26 02:41:20 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:956 閲覧ユーザー数:946 |
プロローグ
「あーあー。まーた、負けちゃったよ」
黒いナニカが、暗闇の中で囁く。まるでそれは、ゲームを楽しんでいる無邪気な子供のように。まるでそれは、命なんてものを考えもしないまま虫を踏み潰す幼児のように。
「次はどうやって遊ぼうかなぁ?」
無邪気な黒いモノは、考える。次はどうやって楽しもうか、次は彼らがどこまでたどり着けるのだろうか。そんな事を思い馳せながら…。
「…うーん。思い浮かばないなぁ…、そうだ。本でも読むかー」
何もない空間から本を取り出し、あーでもない、こーでもない等と愚痴を溢しながら読むナニカ。
「へぇ、アッチやソッチの世界じゃ、こんな面白い事やってたのかー。…あっれ?」
数秒の間の後、すぐに本を放り投げ、ナニカはふて寝してしまった。
「………なんだよ、また抑止力じみたモノに防がれてるんだなぁ! ぷんぷん」
“ツマラナイ、嗚呼、ツマラナイ。なんだって、こいつらが出しゃばってくるのか。…でも、よく考えてみろ。世界をいっそ面白くするのだから、混ぜたりしてはどうだろう?きっと、ありえないモノが出てきて、それはそれは面白い世界になるんじゃないか?”
急にガサゴソと悪い事を思いついたナニカはすぐに作業に取りかかる。粘土をこねくり回すように空間を掴んでは混ぜ、掴んでは混ぜを繰り返す。さながら、オーケストラの指揮者のようだ。
「いっそ、混ぜちゃえば面白くなるでしょ? ………え? ツマラナイなんて知らないよ。ボクはやりたくてやるだけだもの」
暗闇の世界が色々な色彩を帯びてくる。それは、幻想的で、でも破滅的で、ただただ気持ち悪くて。そんな色とりどりの世界の中心で、黒いナニカは嘲笑う。
狂った人形のように。ゼンマイのような音を立てて。
「…でも、こっちだけ強いのも問題アルよなぁ~。よし、決めた! せっかくだし、ゲストも出しちゃおう! 大盤振る舞いだよ、ねぇ、神をも断つ剣クン? …ふひ、ふひひひ。面白くなってきたぞぉー」
その日、不思議な世界は創られた。
【混沌】と呼ばれるナニカの手によって。
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冒頭のプロローグです。お話は途中で終わるので、それを踏まえてご検討下さい。 29日東S-54a Linal Drive にて300円で頒布します!