【5】
さて。
今回は、貧乳党VS巨乳党の人材引き抜き合戦『SIDE:貧乳その一』をお送りする(対象がわかれているので、実は合戦でもなんでもないですが)。
もはや地の文で多くは語るまい。←(「例によって会話だけだよ」、ということです。さらに「台詞の前には、話者の名前を付けてあるよ、人数が多いせいで書き分けが大変だからね」、ということでもあります)
……さあ、ではさくっと行こう。
<SIDE:貧乳>
――前回までのあらすじ。
はわわっ、巨乳党ができちゃいました! 私たちも仲間を増やさなきゃ!
……もはや手段は選びましぇんっ!
桂花:雛里! 我らの同朋たる者で、いまだ貧乳党に加盟していない有為の人材の名を挙げなさい!
雛里:はいです、桂花さんっ。……まずは蜀から、鈴々ちゃん。さらに呉、思春さん。両袁家では美羽ちゃん、猪々子さん。董卓軍より月ちゃん、ねねちゃん。そして数え役満しすたぁず、地和さん。最後に南蛮王美以ちゃんに、三猫さんたち……ですっ!
小蓮:へー、結構いるみたいだけど……。あ、ねぇねぇ、魏の凪とか、うちの亞莎とかはどうなの? 小っちゃいでしょ?
桂花:ダメっ! あの二人は却下よっ!
小蓮:えーっ、なんでっ!? 人数は多い方が良いんじゃないの?
風:ふむー。まー、それはそうなのですが……凪ちゃんは、あれでけっこうあるのですよ。硬いかたーい鋼鉄の胸当ての奥に、ほどよく実った柔らかな果実を隠し持っているのです。
桂花:そうよ! あいつは裏切り者なの! 昔、まだ貧乳党を結成したばかりの頃、みんなで凪を囲んで糾弾してやったことがあるわ! ……まぁ、それでも稟よりはマシなわけだけど。
朱里:はわわっ! それと亞莎さんはあの服がいけましぇ……いけません!
雛里:そうだよね朱里ちゃん……! あんなに胸が開いていたら、私たちの奥義『あわわ。胸が小さく見えるのは、着ている服のせいなんです』が使えないよっ……!
朱里:その通りです! 重要な策を自ら放棄するあのような格好、断じて認めるわけにはいけません! 我ら貧乳軍師の名にかけてっ!
桂花&雛里:そうだそうだー!
風:……ぐぅ~。
小蓮:……で? どうする? 誰をどう勧誘するのか、ってことだけど。
朱里:そうですね。……いくつかの手順や方法がありますが、まずは簡単なところから攻めて行くのが良いかと。
小蓮:……具体的には?
朱里:それは、ええと……。
✝✝✝
朱里:鈴々ちゃん。貧乳党に入ってください。入ってくれたら肉まんあげますよ!
鈴々:わかったのだ! ……じゅるり、なのだ。
✝✝✝
朱里:とりあえず、こんな感じですね。これで一人、仲間が増えましたよ。はわわ!
小蓮:えっ!? いまの想像じゃないのっ!?
朱里:違いますよ?
桂花:違うわよ。
雛里:違いましゅ……。
風:違いますねー。まぁ、この方が簡単ですから。主に、書くのとかが。
小蓮:『書くの』って、何のこと?
風:いえいえー。別に大したことではないので、お気になさらずー。さて、では次は風が行きましょー。
✝✝✝
風:文醜将軍、文醜将軍ー?
猪々子:ん? なんだー? あたいに何か用か?
風:いえー。用事があるのは顔良将軍なのですがー。
猪々子:あー、まぁそうだよなー! 他国の軍師と話しても、あたいじゃ何にもわかんないもんなっ! はははー! ……けど悪い、何かいま、斗詩の奴いないんだ。
風:(そうでしょうねー、いない時を見計らいましたから)おおっ、そうなのですか? おかしいですねー、結構探しているのに……。あ、それはそれとして、文醜将軍?
猪々子:どうした? まだなんかあんのか?
風:はいー。実はこの前、顔良将軍が『ああ、文ちゃん貧乳党に入ってくれないかなぁ? そうすればもっと好きになって、あんなことやこんなことをしてあげちゃうのになぁ』と、つぶやいているのを聞いてしまったのです。
猪々子:な、なんだってー!?
風:ええ。そうなのです。……ところで、ホントーに偶然なのですが、いま貧乳党では新規党員を募集してましてー。
猪々子:まじで!? そ、それ、すぐ入れるのかっ!?
風:はいー。文醜将軍なら風の口利きでぱぱっと入れるのですよ。……どうしますかー?
猪々子:もち、入るっ! ……んふふ、待ってろよ斗詩ぃ!
✝✝✝
風:はい、これで仲間が増えましたー。
小蓮:……いや、それは良いんだけど。……思いっきり騙してない、これ?
風:いえいえー。そんなことはありません。結果、風が言った通り「あんなことやこんなこと」になったので、無問題なのですよー? ……ただ、顔良将軍にはちょっと申し訳なかったかも知れませんが。
小蓮:……風。あんた、何したの?(ごくり)
風:ああ、それは……ちょっとお耳をかしてください。……ぽにょぽにょぽにょぽにょぽにょ。
小蓮:ふんふん、ふんふん。……ちょっと、それヤバ……ふんふん……え゛っ!?
風:と、まぁこんなところでしょーかー?
小蓮:…………(がくがくぶるぶる、がくがくぶるぶるっ)
朱里:はわわ。シャオちゃんが震えてますね、雛里ちゃん。
雛里:あわわ。そうだね、朱里ちゃん。……じゃあ、次は私、行って来るよ。
✝✝✝
雛里:ねねちゃん、ねねちゃん。
音々音:ああ、雛里ですか? いったい何の用で……ひっ!?
(~中略~)
雛里:……良かった。入ってくれるんだね、ねねちゃん。
音々音:あ、あ、あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばっ。
✝✝✝
雛里:やった、私やったよ、朱里ちゃん!
朱里:うん! 良かったね、雛里ちゃん!
小蓮:…………(な、何があった!? ねね、明らかにおかしくなってるんだけど!? ……でも、シャオはもう何も言わないの。だって怖いもん。軍師コワイ軍師コワイッ)。
桂花:ふふん、皆順調のようね。それじゃ、次は私が行きましょう。貧乳党党首、そして華琳様の軍師としての私の力、見せてあげるわ。
✝✝✝
桂花:よいしょ、よいしょ。……ふぅ、いい感じの落とし穴が掘れたわ。あとはこの穴に、蜂蜜をなめるしか能のない袁家のアホ娘をおびき寄せて捕まえれば……ふふふ、完璧ねっ! ――さて、それじゃ早くここから出なくちゃ……あ、あれ?
✝✝✝
美羽:ふんふふーん♪ ……む?
七乃:お嬢様? どうかなさいましたか?
美羽:うむっ! ほれ、あそこの地面に、なにやら穴が開いておるのじゃ。
七乃:あー、本当ですねー? …………。危ないですから、近寄らないようにしましょうねー。
美羽:そーじゃな。下手に近づいて万が一穴に落ちたら、さっき主様に貰ったこの蜂蜜が台無しになってしまうしの。
七乃:そうそう。さ、お嬢様? 早くお部屋に戻って、蜂蜜水を作っちゃいましょう♪
美羽:うむうむっ! ……んう? のう、七乃? 何か、あの穴から声が聞こえるような……?
七乃:えー、そうですかー? 私にはなにも聞こえませんけどー? ……きっと気のせいですよ♪
美羽:そ、そかの? まぁ七乃がそう言うのであれば、そうなのであろ。ではささっと部屋に帰るのじゃっ!
七乃:はーい♪
✝✝✝
朱里:…………はわわ。
雛里:…………あわわ。
風(宝譿):…………ちっ、使えねぇなぁ、あの猫耳。皮剥いで三味線にしてやろぉかぁー?
小蓮:…………(ぶるぶるぶるっ! な、何なのっ、『しゃみせん』っていったい何なのっ!? っていうか、何で三人ともシャオを見ながら言うわけっ!?)
風(宝譿):それはな、孫家の嬢ちゃん? 嬢ちゃんがまだなにもしてねぇからだぜ? ……三味線に、してやろぉかぁー?
小蓮:(心読まれたっ!!?)
朱里:……三味線になれー。
雛里:……三味線になりやがれーです。
小蓮:あ、あははっ! シャオ行って来るねっ!!(やぁぁ、もう怖いマジ怖いよぉ、助けて一刀!? そしてしゃみせんってホント何っ!?)
✝✝✝
小蓮:地和っ! 大人しく貧乳党に入りなさいよっ!(ぶるぶるぶるっ)
地和:え、えぇっ!? な、何よシャオってば藪から棒にっ!
小蓮:とにかく入れっ! あんたが入ってくれないと、シャオ、『しゃみせん』にされちゃうかも知れないんだからっ! 命、かかってるんだからっ!!(がくがくがくっ)
地和:よ、よくわかんないけど、必死さだけは伝わって来る……。んー、ま、入ってあげても良いかな? もともと興味あったしね。
小蓮:や、やったっ! やったよっ! シャオ、これでこの先も、生きて行ける……。
地和:但し! ちぃが入るには条件があるわ!
小蓮:え? 何、条件って? ……あ、もしかして、お金? お金なの? それは悪いけど……さー、いったい幾ら積めば入ってくれるっ!? 百? 二百? それとも千っ!? 万!?
地和:いやちょっと!? 誰もお金なんて言ってないわよ! だいたい、ちぃ……金ならあるっ! 伊達に年何ヶ月も大陸まわって歌ってるわけじゃないの! 巡業中にかかるお金は国が出してくれるし、戻って来たら戻って来たで一刀にご飯おごってもらったりしてるから、もう溜まる溜まる! ウッハウハよ!
小蓮:へー、そうなんだ? でもそれじゃ、他の何かってこと?
地和:その通りっ! ――『貧乳党に一刀も入れる』、これが条件。あ、入れるって言っても、他の男たちみたいな貧乳信者じゃなくて、ちゃんとしためんばーとしてってことよ。どう?
小蓮:……は?
地和:「は?」じゃなくて! 一刀が貧乳党に入れば、共通の話題も出来るし、何より一緒にいられる時間が増えるじゃない!
小蓮:はっ!? そうかっ!? ……いやでも、一刀って……貧乳?
地和:貧乳よ、貧乳だわっ! だっておっぱい全然ないしっ!
小蓮:むむっ、た、確かにっ! うん、ちょっと他の皆と相談してみる! じゃ、また後で!
✝✝✝
小蓮:――って、ことなんだけど。
朱里:はわわっ!? ご主人様を党員に……。
雛里:あわわっ!? こ、これは盲点でしゅた。……ど、どう思いますか、風さん?
風:ふむー。ふむむむむむっ! ……まぁ、常識的に考えたらちょっと無理ですかねー? いくら胸がないと言っても、お兄さんは男の人ですから、当たり前なわけですしー。それに党首――桂花ちゃんが首を縦に振るとも思えません。
小蓮:そ、そっか。
風:……だがしかーし! この案件が魅力的なことに変わりはないのですよー。
朱里:……ですね。
雛里:……はいっ!
小蓮:そ、それじゃあ?
風:ふむー。ちょうど、後残っている月ちゃんに思春さん、それと先に桂花ちゃんが失敗した美羽ちゃんは、元々勧誘が難しいだろうと想定していた方々です。
朱里:南蛮組は、美羽さん次第でどうとでもなると思いますし……残りの方々とご主人様を篭絡する手管、これより煮詰めて行きましょう!
雛里:私と、朱里ちゃん。そして曹魏唯一の正統派軍師・風さんと、わがまま無双的な意味で孫家最強とも言えるシャオちゃん。……我ら四人の力を合わせれば、どんな困難にも立ち向かって行けるはずですっ!
小蓮:うん、シャオ微妙に褒められてない気がする!? ……でも、そうよね! シャオたちは、やれる! シャオたちなら、やれる! 皆っ、心をひとつにして――鬨を上げろぉぉぉぉぉぉっ!!?
朱里&雛里&風:おおーーーーーっ!!
✝✝✝
桂花:…ぐすっ、ぐすっ。お、落とし穴……で、出られなっ、ひっく、ひっく! か、華琳様……ううん、もうこの際、春蘭でも、北郷でも……だ、誰でも良いから、誰か……誰か、助けてっ…………! うっ、うっ……。
――続く。
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貧乳大乱。
書けば書くほど長く、そしてどんどん混沌化して行く今日この頃。
――みなさん、いかがお過ごしですか?
と、言うわけで、小ネタ集その9をお送りします。
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