No.517707

恋姫†無双~私だけを見てください~ 第4話

マットさん

色々と諸事情があって、こんなに遅くなってしまいました。

仕事の休日出勤……パソコンの不良……etc.

今回から地道にやりたいと思います。

2012-12-12 15:52:54 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3262   閲覧ユーザー数:2773

 

私と一刀様は宿屋で混乱していた人達を落ち着かせていきました。最初の内は皆さん、どうしたらいいのかが分からずに、慌てていましたが今では何とか落ち着きを取り戻して静かになりました。

 

 

……あと、一刀様が鎮静をしていた女は皆、顔を赤らめていました。……物凄く不快な気分でした。……女は全員、賊に殺されればいいのに……

 

 

そんな事を考えていたら、外の方がだんだんと騒がしくなってきました。……どうやらあの男の人が人集めを終えてきたみたいですね。

 

 

「…人が集まって来ましたね。……一刀様、外の様子を見に行きましょう。」

 

 

「…あ、ああ。」

 

 

私は一刀様と一緒に宿屋の外に出ました。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「…これは、すごい数だなぁ~」

 

 

一刀様が宿屋の外の人だかりを見て、そう呟いていらっしゃいました。

 

 

私達の目の前には、ガヤガヤと騒いでいる100人ほどの民衆が集まっていました。

 

 

一刀様はこんなに多くの民衆を見たのは初めてなのでしょうから、驚いていらっしゃる気持ちも分かります。……でも、貴方はこれから、これよりもず~~~~~~っと多くの人達を治めて行くんですから。

 

 

「……おい、一体これから何が始まるんだ?」

 

 

「そんなの知るかよ、俺はすぐにこの場所に来るように言われて来ただけなんだからな。」

 

 

「早くしないと賊が街に侵入してきちゃうのに……」

 

 

ざわざわ……ざわざわ……

 

 

街の人達は、これから何が行われるか分からないまま、ただひたすらにざわめいていました。

 

 

「それで、零里……この後は一体どうするんだ?」

 

 

一刀様が私に次にどうしたらいいのかを聞いてきました。私はそんな一刀様にこう言いました。

 

 

「これからこの人達に、一刀様が『天の御遣い』である事を伝えた後に、この人達を戦わせるように発奮させます。……私が先に一刀様の事を紹介しますから、一刀様は私が来るように合図をしたら来てください。」

 

 

「ああ、分かったよ……けど俺、こんな大勢の前で話をした事が無いから緊張するな……」

 

 

一刀様は、大勢の中で話した事が無いから緊張していらっしゃるようです。何だか朱里だった頃の私を見ている様でした。私は一刀様を元気付ける事にしました。

 

 

「大丈夫ですよ、一刀様。私も結構緊張しているんですから……それにこれから国の為に動くとなれば、これ以上の人の命を預かる事になるんですよ。」

 

 

「…そうだよな、ありがとう零里…元気付けてくれて。」(ニコッ)

 

 

一刀様は私に笑顔を向けてくれました。…う、嬉しいです///

 

 

「///…そ、それほどでもないです。そ、それじゃあ私が先にお話しますね///」

 

 

そう言って民衆の方へ向き直りました。……まだ顔が熱いです。

 

 

「皆さん聞いてください!!」

 

 

私がそう叫ぶと民衆の皆さんは私に注目しました。

 

 

「皆さんも知っているように、今この街には賊が攻め寄せてこようとしています!!……それなのに今、皆さんは自分の身の安全の為に、長い間住んでいたこの街を見捨てて逃げようとしています。どうして貴方達は街を守る為に、立ち向かおうとしないのですか?」

 

 

……端から見れば『何言ってるんだ』って思われる事を私は言っているでしょう。当然、そんな私に対する皆さんの反応は……

 

 

「何言ってやがるんだ、そんな事当たり前だろう!!」

 

 

「自分の命の方が大事だと思って何が悪いんだ!!」

 

 

と、言ったものでした。……ここでそろそろ、一刀様の出番としましょう。

 

 

「しかし、安心してください。……今この街には『天の御遣い』が降臨なされたのです。」

 

 

私はそう言うと、一刀様の方向を向いて手招きをして、一刀様を誘い出しました。

 

 

 

 

~一刀SIDE~

 

 

俺は零里に手招きをされて、零里の隣に立つ。すると、零里がまた話し始める。

 

 

「この御方こそ、この世界に現れた『天の御遣い』北郷一刀様なのです!!」

 

 

零里は高らかに宣言した。

 

 

そんな零里の言葉に民衆は……

 

 

「その男が『天の御遣い』だと!?」

 

 

「何だか弱そうだな……」

 

 

「だが、あの服……あんなに光を反射する服は見た事が無いぞ。」

 

 

そんな風に未だ信じられないと言う感じで俺の事を見ていた。そんな中、一人の男がこう言った。

 

 

「それじゃあ、『御遣いを支える神』は何処にいるんだ?」

 

 

そう……御遣いが居るのであれば、当然それを支える神も一緒に居る筈だ。その答えに零里は自分の胸に手を当てて……

 

 

「それはこの私、御遣い様に仕える事を決め……一刀様の為に全てを捧げると決めた……司馬懿仲達です!!」

 

 

そう言って宣言した。

 

 

 

 

~SIDE OUT~

 

 

「一刀様の為に全てを捧げると決めた……司馬懿仲達です!!」

 

 

私は『御遣いを支える神』が何処に居るかを聞いた男の人に対してそう告白しました。……うぅ~恥ずかしいです///……すると、また別の男の人が声をあげました。

 

 

「はぁっ!?アンタみたいな姉ちゃんが神様だと?冗談を言うのも程々にしてくれ!!」

 

 

……見てみるとその男の人は、街の人を呼びに行った人でした。男の人はそう言って、告白をした私の話をまだ信じられないようです。……少し力を見せつける必要がありそうですね。

 

 

「……分かりました。では、貴方が私と戦ってくれますか?それでもし、貴方が私に勝ったら私の事を貴方の好きなようにしてくれて構いません。貴方が望むのであれば、この私の体も好きにして貰って構いません。」

 

 

そう言うと他の皆さんは「へっ!?」と驚かれました。それもそうです……女の子に勝負を申し込まれて、勝てたら体も含めて好きにして良いと言うのですから。この言葉を聞いた男の人は……

 

 

「…本当だな、その言葉に嘘は無いんだろうな姉ちゃん、グヘヘ……」

 

 

そう言って笑いながら私に真偽を確かめてきました。

 

 

……正直、気持ち悪いです。

 

 

「……はい。私は嘘を言いません。」

 

 

私はその男の人に少々怯えながらも、言葉が確かだと言うことを伝えます。その言葉を聞いた男の人は……

 

 

「……よし、だったら俺がアンタの力をみてやるよ。後で無かった事にしろなんて聞かねえからな……ゲヘヘ、でもその前に……」

 

 

そう言って男の人は、懐から短剣を取り出すと一気に走り出しました。……まさか!?

 

 

「アンタの力を出し切らせる為に、まずはその天の御遣いとか名乗る兄ちゃんを殺してからだ!!」

 

 

そう言って男は真っ直ぐに、一刀様の所へ向かって行きました。

 

 

「くっ!させません!!」

 

 

私も咄嗟に、一刀様に向かう男に向かって走り出します。……そして

 

 

……グサッ

 

 

……そんな擬音が聞こえたように感じ、その直後に私の左の掌に痛みが走りました。

 

 

……私の左掌に短剣が刺さったのです。

 

 

「れ、零里!!」

 

 

一刀様は驚いて私に向かって叫んでいました。…そんな中、男がこう言ってきました。

 

 

「おいおい、先にくたばるんじゃ無ぇよ。アンタが先に死んじまったら、この俺の楽しみが無くなるんだしよぉ~……それにどの道、俺のモノになるんだったら、こんな兄ちゃんは要らねえだろ。」

 

 

……こいつはどうやら一刀様の事は初めから認めてないで、ただ単に私が欲しかっただけのようです。……言うなればこいつも、この前会ったクズと同じだったんですね。……このクズにも『お仕置き』をしないといけませんよね。

 

 

「だからアンタは、素直に俺のモノになればいいんだ…「言い残す事はそれだけですか?」…ハァッ?」

 

 

クズが話している所を私が質問をして、クズが顔を歪めました。

 

 

「…言い残す事はそれだけですか?って言ったんですよ。」

 

 

そう言って私は短剣を刺された左の掌で、短剣ごとクズの右手を掴みました。

 

 

「!?い、いててててて……!!は、離せ!!」

 

 

急に手を掴まれたクズは痛がりました。……大して力も入れてないのに痛がるなんて、思った通りのクズですね。

 

 

「どうしたんですか?……私はまだ力を殆ど出していませんよ?……それなのに痛がるなんてそれでも男ですか?……違いますよね、貴方はただの『クズ』だからこんな事で痛がるんですよね。……だからそんな情けないクズは、私の力を証明するための『生け贄』になったもらいましょう。」(ニコッ)

 

 

私はそう笑顔で言うと、掴まれたクズを含めて他の民衆も顔を青ざめていく事が分かりました。

 

 

「ヒッ!?……あ、あの、俺を一体どうするんでしょう?」

 

 

クズが怯えながらそう言うと、私は少しでも恐怖感を与えないように笑顔で言いました。

 

 

「(ニコッ)こうするんです……獅子戦吼!!」

 

 

私は予め自分の右手に溜めていた氣を、クズの身体に獅子の形状にしてぶつけました。

 

 

「!!?グヘッ!?」

 

 

クズは私の技を受けて、勢いよく吹き飛んで民家の壁に当たって跳ね返りました。

 

 

「……ゴホッ!!……ゴホッ!!」

 

 

クズはむせ返りながらも、起き上がろうとはしませんでした。本当ならこのまま止めを刺したかったのですが、そうすると民衆の皆さんが私を恐れすぎて力を貸してくれなくなる恐れがあるのでやめておきました。……命があるだけでもありがたく思って欲しいですね。

 

 

私は青い顔をしていた民衆の皆さんの方を向いてこう言いました。

 

 

「私の目の前で、この一刀様を『殺す』などと言わないでください。今回は、皆さんが私達の力になる事を前提として特別に生かしてあげましたけど、今後一刀様の事を狙ったり、一刀様の事を馬鹿にしていたら……どうなるかは分かりますよね♪……それじゃあ、この中で聞いていなかった残りの街の皆さんにも私達に従うように言ってきてください♪」(ニコッ)

 

 

私が笑顔で言うと、民衆の皆さんは何故か震えながら一斉に頷き、離れていきました。……??皆さんはどうして震えていたんでしょう?……私は笑顔で言ったのに。

 

 

 

 

「……零里。」

 

 

あ、一刀様が私に声をお掛けになりました。私は傷の事を心配されないように左の手に、自分の氣を溜めて傷の部分の再生速度を速めて自己治療をする『集気法』を行って傷を治しました。

 

 

「あ!一刀様……さっきの傷の事でしたら私は全然、大じょ「(パシンッ)」ヒャッ!!」

 

 

一刀様が傷の事を心配していたと思っていた私は、心配ない事を一刀様に伝えようとしたら、いきなり一刀様に頬を叩かれました。

 

 

「か、一刀様……一体何を……」

 

 

私はどうして自分が叩かれたか分からず、たた呆然と一刀様の事を見ていました。……そして、私は気付きました。

 

 

 

 

 

 

……一刀様が、泣いていました。

 

 

 

 

 

 

「一刀様……」

 

 

私が声をあげると、一刀様が喋りだしました。

 

 

「……零里は、俺の事が好きなのか?」

 

 

「……えっ?」

 

 

一刀様が聞いてきた言葉は、そんな当たり前の事でした。

 

 

「も、もちろんです!!私は一刀様の事が大好きです。主としても、

男の人としても……「だったら!!」……は、はい!?」

 

 

私が話している途中で一刀様が、いきなり割って入ってきて私は驚きました。

 

 

「だったら、零里は俺の事を懸命に愛してくれよ!!例えどんな事があったとしても、俺の前から離れないでくれよ!!……間違っても俺の目の前で他の男に、『自分の体を売る』ような事はしないでくれよ!!」

 

 

「あっ……」

 

 

そこまで言われて私はようやく一刀様が泣いていた理由がはっきり分かりました。……一刀様の事を認めてもらうように私は確かにクズに、自分の体を売るような事をしていました。その結果一刀様は、私が真剣に一刀様の事を愛していないのではと言う気持ちを、一刀様に与えてしまいました。……そこまで一刀様は私の事を大切に思ってくださったのに、私は……私は……

 

 

気付けば私は涙を流していました。そんな私に一刀様は抱きついて来ました。

 

 

「改めて聞くよ。……俺の事を愛してくれるか……零里?」

 

 

一刀様が言うと私は、もう我慢せずに思いっきり泣くことにしました。

 

 

「ヒッグ……はい、……ごめ……ヒッグ……ごめんな、さい……」

 

 

それからしばらくの間は私は一刀様の胸の中で泣きました。

 

 

 


 
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