No.517344

IS x アギト 目覚める魂 04: 新入生

i-pod男さん

入学編です。そしてオリジナル主人公のISが・・・

2012-12-11 10:04:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3094   閲覧ユーザー数:2946

そして時は流れ、遂に到来したIS学園。秋斗は現在IS学園に向かうのモノレールの駅で小沢と会っていた。使えるルートは航空機、船以外にはこのモノレールしか無い。未来のIS乗りを預かっているのだ、警備は半端無く堅い。

 

「はい。確かに届けたわよ。大事にしなさい。あ、後G4-X ZEROの事だけど、バックルが嫌なら手首に当ててバングルにすれば良いから。」

 

「ありがとうございます。」

 

渡された小さなトランクの中身を確認すると深々と頭を下げる。向こうで必要な荷物は全て送ってあるので、専用機やらが入ったトランクと、モノレールに乗る間に読む本以外は手ぶらだ。『ネロ』を右手中指と親指に嵌め、左手首にバングルを当てた。すると、中からベルトが勝手に伸長して手首に巻き付いてそれを固定する。

 

「ほう・・・・ISモードとバトルモードの切り替え・起動キーが、これって訳か。どうせなら指紋の方が良かったが・・・・ま、まだ先だな。あ、やばい俺制服貰ってないわ・・・・」

 

ブツブツとマニュアルにぱらぱらと目を通しながらそんな能天気な事を言う秋斗。

 

「門牙さーん!」

 

「来たか。」

 

「一応は・・・・・・」

 

「ここから先は、色々と大変になる。お前も当然色々と巻き込まれるだろう。同族(・・)として俺もある程度はバックアップしてやるが、自分の身は自分で守れよ?まず自分が生き残らなきゃ人の心配をする余裕はないからな。」

 

「はい。」

 

「良い面構えだ。あの時とは大違いだな。(だが、一体どこでアギトの光を・・・・まさか、あの船で・・・・?いや・・・・あの時・・・・だが、あるいは・・・・『読み取る』事が出来なかったから、違うかもしれないが、無意識に忘れようとしているのか・・・様子を見るしかないな。)」

 

学園に到着すると、一年一組の教室の外で待たされた。一夏は制服を着ていたが、秋斗は相変わらずの白い革製のライダージャケットの上下を着ていた。頭の上にはサングラスが乗っており、カチューシャの様に前髪を押し上げている。そして現在進行形でコインを指で弾き上げながら遊んでいた。

 

「入って来い。」

 

歓声やら悲鳴が聞こえて来たが、それも直ぐに鎮圧された。千冬に呼ばれると、二人はゆっくりと教室のドアを開き、中に入って行った。教壇の横に立つと、見渡す限りの女子、女子、女子の群れ。視線に物理的なダメージを与える事が出来るなら、この様な感じだろう。居心地が悪くて仕方が無い。女が三人揃えば姦しいとは言うが、これはその度を遥かに超越していた。

 

「俺は門牙秋斗だ。見た目も身長もこんなだが、一応齢十八のISを動かせる男だ。呼び名は別になんだろうと構わない。ただし変なあだ名はつけるな。聞きたい事は色々とあるだろうが、先に色々と答えておこう。俺は彼女無しで、同い年から年上が好みだ。一歳下なら、ギリギリストライクゾーンだな。趣味は囲碁、将棋だ。特技は室内遊戯全般。予習はして来た物のIS何て触れるのは試験会場以来だから、そこら辺は淑女の皆様にサポートをお願いします。じゃ、以後よろしく。」

 

「門牙、制服はどうした?」

 

「実は俺のサイズに合う物がなかったみたいで、届いてないです。カタログで制服が白って見えたので、コレで来ました。」

 

ライダージャケットの襟を掴んで千冬の質問にサラリと答えると、一夏の肩を軽く叩いて頷く。

 

「織斑一夏です。特に特技と言える物も趣味らしい趣味もありません。ISを偶然起動出来た事以外特に列挙する事はありません。どこにでもいる普通の十六歳の男です。色々迷惑はかけると思いますが、これからよろしくお願いします。」

 

静かに、だが教室全体が聞こえる様に自己紹介をする。

 

「もう少しマシな自己紹介が出来んのか、お前は?」

 

「・・・・本当の事言って何が悪いのさ。」

 

とつぶやき、空いている席に座った。だが、一夏は気付かなかった。いや、気付いていたがワザと気付いていない振りをした。自分を凝視している人物が約二名いると言う事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業は思いのほかスムーズに進んだ。流石徹夜の予習を何度か繰り返して来た甲斐があって理解も出来る。授業が続いてチャイムが鳴ると、短めの休み時間になった。

 

「ふう・・・・」

 

一夏はポケットから音楽プレイヤーを取り出してヘッドホンを掛けた。

 

(やっぱ良いな、マキシマムザホルモン。)

 

そんな事を思いながらボーッとしていると、長いポニーテールの生徒が自分に近付いて来た。ヘッドホンを外すと、彼女に目を向ける。

 

「・・・・・・久し振りだね。何か用、箒?」

 

一夏のその目は、全てがどうでも言い、興味のある物なんて一つも無い。そんな事を物語っていた。幼い頃の明るさは、面影すら無い。

 

「少し良いか?」

 

「ま、良いよ別に。」

 

特に断る理由も無いので箒に連れられて屋上に行った。

 

「で、何さ?」

 

「お前は何故そこまで変わってしまった?」

 

箒の表情が曇る。

 

「昔のお前は、もっとこう、明るかったのに・・・・・何故・・・何があったのだ?」

 

だが一夏は答えなかった。

 

「・・・・・じゃあ聞くが、お前は人が六年間の間に絶対に変わる事が無いと、本気で思ってるのか?箒。」

 

そんな当たり前の質問に、彼女は言葉に詰まる。そうだ。誰だって肉体的にせよ精神的にせよ、何かしら変わる物だ。変わらない物はあるかもしれないが、やはり変わらない物より変わる物の方がある。

 

「確かに、俺は変わったさ。善くも悪くもな。でも、変革は誰にでも訪れる。まあ、剣道は最近になって続けている、と言う事は教えておくよ。」

 

相変わらずの無表情で抑揚の無い声だ。

 

「用事がそれだけなら俺は戻る。やる事がまだ少し残ってるんでな。」

 

箒を通り過ぎて教室に戻った。教室に戻る間、何故か胸の奥がザワザワとしていた。

 

(嫌な予感がする。当たらなければ良いが。)

 

だが無情にも一夏の持つ特異な能力は、嘘をつかない。その旨のざわつきは、次の波乱が起こる前触れだった。

 


 
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