No.514563

ソードアート・オンライン After Story ~100層到達を目指して~ 第1話

suikaさん

さて、今回はキリトとヒースクリフの話の回の前編という形です。なんだか色々と違いますが、そこはご容赦を・・・・。
それでは、どうぞ!!

2012-12-03 00:42:31 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1559   閲覧ユーザー数:1513

 

 「んんっ・・・。こ、ここは・・・・・。」

 

 不意に意識が覚醒した。

 

 辺りを見渡してみると、そこにはSAOのグラフィックは一切存在せず、何も無いただの

 

真っ白な空間だった。

 

 「俺は、何でこんなところに・・・」

 

 俺はここにきた経緯を思い出そうとしたが、何故か思い出すことができなかった。そし

 

て、俺が記憶を辿っていると――

 

 「君は、ゲームの『クリア』をかけて私と戦闘を行って相討ちとなり、ここにいるのだ

 

よ。キリト君。」

 

 突然、聞き覚えのある声が聞こえた。咄嗟に声のした方向に振り向くと、そこにはヒー

 

スクリフこと『茅場晶彦』がいた。俺は奴を視界に捉え、疑問に思っていたことを

 

口にしようとした瞬間、頭を鋭い痛みが襲った。

 

 

 

 

 

「ぐっ!?」

 

 あまりの痛さに右手で頭をおさえたが、その痛みも数秒で消え去った。直後、俺の頭に

 

記憶という名の奔流が押し寄せた。そして、俺は全てを思い出した。ヒースクリフと死闘

 

を繰り広げたこと。お互いに剣を刺し合い、相討ちになったこと。そして、涙を流す彼女

 

――アスナの姿も。

 

 「思い出したかな?」

 

茅場は、タイミングを見計らったように聞いてきた。

 

 「ああ。思い出したよ。」

 

 俺は、冷静かつ端的に答えた。

 

 「そうか・・・・・。」

 

 奴は、一言そう呟いた。そして、しばしの沈黙が訪れる。

 

 「何か聞きたいことがあるのではないのか?」

 

 

 

 

 

先に沈黙を破ったのは茅場だった。

 

 俺は小さくうなずくと、頭に浮かぶ疑問を口にした。

 

 「まず、ここはどこなんだ?」

 

 俺は、一つ目の疑問を口にした。

 

 「ここか?そうだな・・・。強いて言うならば、私が君と話をするために作った空間と

 

でも言っておこうか。」

 

 茅場は、感情の籠っていない声でそう答えた。その答えにまた新たな疑問が生まれたが、

 

俺はそれをのどの奥に押し込み、一番の疑問を口にする。

 

 「なんで、このゲームを、<ソードアート・オンライン>の世界を作ったんだ・・・?」

 

 この質問に茅場は僅かに苦笑すると、ゆっくりと答え始めた。

 

 「子供の頃からの空想を現実にするため、というのが一番近いかな・・・。私は長い間、

 

空に浮かぶ鉄の城を実現させたいという欲求を満たすために、このゲームの開発・研究を

 

進めてきた。そして、それが実現すると同時にもう一つの欲求が生まれた。」

 

 

 

 

ここで、茅場は一度言葉を切り一息を吐いた。

 

 「それで、その欲求っていうのは何なんだ?」

 

 茅場が一息吐き終ったのを確認すると、俺は話を再開するべくこの話題を展開する。す

 

ると、茅場はゲームの中と同じ冷たい瞳で俺を見下ろしながら話を再開した。

 

 「私が持ったもう一つの欲求・・・。それは、生に執着する人間の行動だ。人間は、死

 

から逃れようとするとき、普段では考えられない力を発揮する。私はその力を見、この身

 

で体験したかったのだよ。そして、この欲求は達成された。キリト君、君のおかげだよ。」

 

 そう言って、茅場は話を終えた。だが、俺はこの気持ちに嘘をつきたくなかったので、

 

訂正をするべく発言する。

 

 「おい、一ついいか?」

 

 「何だ?」

 

 「お前の話の中で一つ訂正したい部分がある。」

 

 

 

そう言っていた茅場に、俺はあることを言った。

 

 「あんたは何で驚いてるんだ?以前これと似たことをいってただろ?」

 

 そう言うと、茅場は苦笑を浮かべた。

 

 「あれは冗談のつもりだったんだがな・・・。」

 

 そう呟いた後、奴は「ところで、」と言って話題を変えた。

 

 「私は、君に言わなければいけないことがある。」

 

 「なんだよ?」

 

 「先ほどの戦闘で、私は君が勝ったら全てのプレイヤーをログアウトさせることを約束

 

したが、どうやら私と君が引き分けたことでシステムに何らかのエラーが生じ、ログアウ

 

トを受け付けなくなってしまったようだ。」

 

 「なっ・・・に・・・。」

 

 俺は、その言葉が理解できなかった。いや、この場合は理解したくなかったと言う方が

 

正しいかもしれない。

 

 

 

 プレイヤーのログアウトをかけて、皆が解放されることを願って奴を倒したにも関わら

 

ず、それが実行不可能。その現実に、俺は苛立ちを隠せなかった。

 

 「おい!!ふざけるなよ!!お前は俺たちを――」

 

 「まだ話は終わっていない。」

 

 俺は苛立ちを茅場にぶつけようとしたが、それは奴によって遮られた。

 

 「まだ誰もログアウトできないと言っている訳では無い。」

 

 彼のその言葉に、俺は舌打ちをしどうにか怒りを抑えると、奴の話に耳を傾ける。

 

 「ログアウトする方法が一つだけある。」

 

 その言葉に、俺の頭にはある予想が浮かんでいた。だが、俺の予想が正しければ――

 

そう考えていた俺に、予想通りの言葉が発せられた。

 

 「その方法とは――

 

 

アインクラッドの頂上である≪100層≫に到達することだ。」

 

 

 

 

 

<あとがき>

 

 

 

みなさん、こんばんは。suikaです。

今回は、前回のあとがきの予告通りにヒースクリフと会話を行う回を独自に改変して投稿させていただきました。茅場晶彦が色々と変わっていますが、ご了承ください。

さて、次回からはいよいよオリジナル展開の開始です。

それでは、次回の話までさようなら~

 


 
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