No.509087

リテラエルネルア『第八話』

今回暁の正体と新キャラがでます。ハーメルンにも投稿しています。

2012-11-17 01:49:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1275   閲覧ユーザー数:1257

 大空を飛び回る四人はガジェット航空Ⅱ型の大部隊と対峙していた。

 「中距離マルチショット行くぞ!!」

 魔力のフレアを羽ばたかせ、魔力を込めたルドラとアグニを構えると前衛に注意を促す。

 前衛の二人が射線上から離れたのを確認するとルドラの引き金を引く。

 翠の魔力弾が幾つも発生し前方のガジェット達に当たり爆発する。

 「もう一丁ぉ!!」

 続いてアグニの引き金を引き、朱の魔力弾が同色の尾を引き連れながら射線上にいたガジェット達を撃破した。

 「おいおい……、なんつうでたらめなやり方だよ」

 

 あの一瞬で十数体撃破したやり方を見てヴィータは呆れた。

 

 「多数ならルドラの方が向いてるからな」

 

 左手に持つルドラをガンスピンしながら言葉を放つ。

 

 通常射撃だけなら両方とも余り変わりはしないがチャージショットを放つというなら話しは別だ。

 

 アグニは高威力重視、ルドラは対多数重視といった改良を施し、今までの死地を共に乗り越えてきたのだ。

 

 「後方火力支援いきまーす!!」

 

 後ろでなのはがチャージを終え、発射準備をしていたので二人は散開した。

 

 二人の間をなのはが放った魔力砲が通り、多数のガジェット達を巻き込み爆発が軌道上に起こる。

 

 「……はっきり言うぞ、高町のあれの方が出鱈目じゃないのか?」

 

 ビッ。 と効果音が付きそうな勢いでなのはに親指で指す。

 

 「確かに、なぁ…」

 

 過去になのはの砲撃を喰らった経験がある者にしか分からない気持ちだ。

 

 「え!? な、なんのことかな?」

 

 自分が何を言われてるのか分からずに戸惑うなのは、自覚はないのか?

 

 「……まぁ良いさ、続き続き」

 

 困惑するなのはを余所に引き続きガジェット撃破に取り掛かる。

 

 ここまでは順調だ、だが変化は突如として訪れた。

 

 ゾク…――

 

 「!!」

 

 体を襲う寒気が暁の気持ちを切り替えた。

 

 「神崎さん、どうかしたんですか?」

 

 雰囲気の変わりように一番早く気づいたのはなのはだった。

 

 「……」

 

 「どうしたの、なのは?」

 

 あらかた掃討したフェイトがなのはに聞くがその時にフェイトも気づいたようだ。

 

 「神崎さん、眼が……」

 

 暁の眼が赤く光っていた事に。

 

 「きたな」

 

 「え?」

 

 呟くように放たれた言葉が聞こえなかったなのはは疑問符を浮かべた。

 

 「クラウ・ソラス」

 

 【了解】

 

 双銃を待機状態にして暁はクラウ・ソラスを出現させた。

 

 「悪い、少しの間離れるぞ」

 

 そう告げた暁は魔力を一次解放してどこかへと飛んで行った。

 

 「「えぇ?!?」」

 

 状況が理解できない二人は驚きの声をあげた。

 

 「おい、神崎の奴どこ行っちまったんだよ!?」

 

 それを見たヴィータが駆け付け事情を聞いた。

 

 「わ、わかんないよ…。 何か呟いたと思ったら飛んで行っちゃったんだよ」

 

 「ちぃ、とりあえずアタシが神崎の奴を追うからここは任せたぞ!!」

 

 「う、うん。 ヴィータちゃん、お願い……気をつけてね」

 

 「任せろ!!」

 

 ヴィータは暁の後を追うべく、暁が向かった方角へと飛んでいった。

 

 

 

 

 「――気配の感じからここらへんなんだがな…」

 気配の出所を探し草原を歩いていた暁。 あたりは雨雲が広がっており今にも降り出しそうであった。

 「クラウ・ソラス、周辺探査をかけてくれ」

 【了解】

 クラウ・ソラスに探査を頼んだ次の瞬間―――

 [ガァアアアッ!!]

 

 物凄い咆哮と共に落雷が起きた。

 

 「………ブリッツか!?」

 

 落雷地点を見ると、雷電を身体に走らせ凶悪な双眼をした雷を使役する悪魔が暁を睨み付けていた。

 

 「この状態じゃ、近接はむりだな」

 

 夥しい雷電が身体を被っているため近づく事が出来ない、攻略としてはどうにか雷電を止め一気に倒す必要がある。 そのためにクラウ・ソラスを戻し、待機状態の双銃を出した。

 

 [ジャッ!!]

 

 凄まじい速度で飛び掛かるブリッツ。

 

 「相変わらず速いな…!!」

 

 電爪を避け雷撃の余波を喰らわないよう間合いをとりながら引き金を引く。

 

 「そして相変わらず堅いな、くそ!!」

 

 悪態をつきながらも応戦する暁。

 [ガァアアアッ!!!]

 射撃で対抗していたが突如としてブリッツの様子がおかしくなった。

 ブリッツの身体が雷電による黄色から赤い色に変化したのだ。

 

 「なっ!?」

 

 ブリッツと何度か交戦経験がある暁でさえもこのいきなりの変化に驚きの声をあげた。

 

 「こいつ、様子が違う!!」

 

 一度ブリッツから離れる。 これまで戦ってきたブリッツは追い詰められるとこのように赤く光るのだが今回そこまでダメージを与えた訳ではないし、そこまでダメージがあるとは言えない。 故に今回の事態には暁に緊張が走る。

 「神崎!! なんだそいつは!?」

 「ヴィータ!?」

 声のする方向を見ると赤いバリアジャケットを身につけたヴィータがこちらに向かって飛んできた。 新たなタイプのアンノウンを見てヴィータは暁に聞いた。

 

 「!?」

 

 一瞬だけブリッツから目を離してしまいブリッツの行動を見逃してしまいハッとした。

 ブリッツは両腕を広げ手にエネルギーを集中させていた。 しかし標的となるのは目の前の暁ではない、眼がヴィータの方を向いていたのだ。

 

 「ヴィータ、逃げろ!!」

 

 「は?」

 

 危険を感じ退避を促すが何を言ってるのか分からずヴィータは空中で停まった。

 

 バリバリッ!!――

 

 はっきりと電撃の音が聞こえるほどにエネルギーを溜めたブリッツが両の手を合わせ攻撃態勢に移つり電撃砲がヴィータを襲う。

 

 「ちっ、馬鹿が!!」

 

 ヴィータに悪態をつきながら暁は魔力のフレアを出して超高速で飛び上がりヴィータを蹴飛ばした。

 

 「がはッ!! テ、テメェなにしやが―――!!」

 

 いきなり蹴飛ばされたのが気にくわず突っ掛かるが目の前の状況に気がついた。

 

 自分が今居た場所に暁が電撃を受け落下していったのだ。

 

 「か、神崎ぃいッ!!」

 落下していく暁を助けようとヴィータが近づこうとしたが赤い格子状の何かに阻まれそれ以上近づけなかった。

 「な、なんなんだよこれ!?」

 

 悪魔が自分のテリトリーとして形成する結界で発生元である悪魔を倒すか悪魔自身が消さない限り消えることはない。

 

 「くそ…、久し振りに痺れたぞ…この電気野郎」

 

 痺れが残る身体を震わしながらアグニを杖がわりにして立ち上がる。

 

 [グァアッ!!]

 

 ブリッツは電気の特性を活かし目で追えないほどの速度で地を駆け、宙を蹴り――

 

 「………ごふッ」

 

 凶爪がふらつく暁の胸を貫いた。

 そして天が悲しむかのように雨が降り出した。

 

 

 

 

 「――あ?」

 

 「どうした? ってこの感じは……アキラ?」

 

 ダンテは違和感を感じ、ネロは己の右腕の反応に懐かしいものを感じた。

 

 「とんだミラクルだ。 俺達アキラと同じところに飛ばされたみたいだな」

 

 「だが、どこに居るんだかわからねぇよ」

 

 「確かにな」

 

 二人は道中出会った悪魔達を倒しながら森を抜け、一先ず人の居るところに向かっていた。

 

 (だが、アキラの奴……悪魔化したな)

 

 ダンテは暁に起こった異変に眉間に皺を寄せた。

 

 

 

 

 「神崎ぃ!? おいしっかりしろ、おい!!!」

 降り敷く雷雨のなか倒れゆく暁を見て結界の外で叫ぶヴィータ、なんとか中に入ろうと結界をグラーフアイゼンで叩くがなんの効果もない。

 [ギャギャギャギャ!!]

 

 ブリッツは獲物を倒した高悦感から高笑いを上げた。

 倒れた暁を中心に流れ出た鮮血が池を作り出した。 通常この出血量では即死の域に至る事をヴィータは理解している。

 

 「畜生、またなのか!? またアタシは守れなかったのか!!」

 

 自身の嫌な記憶がフラッシュバックする。 何年か前になのはが重傷を負いそれから誓った想い、今回目の前で新手のアンノウンが暁の背後から胸を貫いた。

 

 その状況が酷似しているため心理的にダメージを受けていた。

 

 「神崎ぃッ!!!」

 

 ドクンッ――

 

 「え?」

 

 何処からか聞こえる鼓動音、それは心理的ショックを受けていたヴィータの鼓膜を刺激した。

 

 「………そこまで叫ばなくても聞こえるっての」

 

 「お前、まだ生きて……」

 

 「勝手に殺すなよ…」

 

 ゆっくりと立ち上がる暁にヴィータは何が起こったのか理解できないでいた。

 

 [グァ……]

 

 先程まで高笑いを上げていたブリッツが暁の気配を警戒していた。

 

 「神崎、もういい立つな!!」

 

 「大丈夫だ、傷ならじきに癒える」

 

 立ち上がった暁は後ろにいるブリッツを睨み付ける。

 

 あの出血量から素人目から見ても即死なはずだ、なのに暁は平然と立ち上がったのだ。

 

 「あぁくそ……。 プッ おいテメェ、覚悟は良いんだろうな?」

 

 口に残る血を吐き出すとキッと眼を鋭くすると暁を中心に風が吹く。

 

 「文字通り、出血大サービスだ―――」

 

 暁の身体が淡い光に包まれ――

 

 「――遠慮なく受け取れよ!!」

 

 光り輝いた後には先程までの容姿とは異なる外見をした暁がいた。

 

 「か、神…崎……?」

 

 容姿は髪が腰まで伸び耳も細く伸び、服装も黒を基調としている。 そして一番の違いが禍々しい程の気配を放っている魔力である。

 

 「《時空にして漆黒が命じる、彼の者を束縛せよ》」

 

 暁がなにかの詠唱を唱えるとブリッツの周りに鎖のような物が空間から現れ、ブリッツの四肢と首に巻き付き捕らえた。

 

 [ギィアアアッ!!]

 

 苦悶の声を上げ振りほどこうと足掻く。 しかしどれほどの力が加えられているのか鎖はびくともしない。

 

 ブリッツから更なる力が放たれ赤く光るがそれはすぐに収まった。

 

 「無駄だ、例え自爆しようともその力は封じるさ…」

 

 暁は背を向け、ゆっくりとブリッツから離れる。

 

 手の平を前に翳し、魔法陣を展開し再度呟く。

 

 「接続―リンク―」

 暁は自らの工房空間に接続し目当ての武器を手にする。

 「!?」

 突如大気が震えたことを訝しんだと共に恐怖がヴィータを襲った。

 これは、記録映像でみたベオウルフに匹敵――いやそれ以上の恐怖にヴィータは竦み上がる。

 本能的に警戒する。『あれは危険だ』と脳が告げる。

 暁の腕が引き抜かれる度に脳内に鳴り響く警鐘が強くなる。

 完全に姿をあらわにしたそれはすべての生あるものを刈り取らんとする圧倒的な存在感を放つ。

 形で言えば鎌なのだが今の暁の姿でそれを持っていれば死を運ぶ死神と遜色ない風貌だ。

 「真名解放『ディマイズサイズ』」

 暁が手にする鎌の名を言うとそれに呼応するかのように刃の部分が三つに増えた。

 それにより尚も強くなる恐怖にヴィータは思わず後退りする。

 ブリッツが更に激しく暴れるが虚しく、緩む気配がない。

 すると暁がブリッツに近づき、鎌を脇構えの要領で構えると―――

 

 

 一閃―――

 

 

 斜めに斬り上げるように振り抜いた鎌は風切り音と共に降り続く雨の中、ブリッツを斬り裂いた。

 雨の音がうるさく感じるほどの静寂の中変化は起きた。

 ブリッツの体が微塵に砕け散ったのだ。

 悲鳴や断末魔をあげる事を許されない攻撃によってブリッツは消滅した。

 変わりに赤い人の悲鳴を上げているような顔がモチーフされたオーブが大量に散らばった。

 しかしそれは地面につかずそのまま暁に吸い込まれていった。

 結界の大元が居なくなった結果、空間を遮っていた赤い結界は硝子が割れるような音を出しながら砕けた。

 

 「………」

 

 「……何呆けてんだよ」

 

 悪魔を倒し、結界もなくなったというのになんの反応が無いヴィータに暁は聞いた。

 

 「お前、本当に何者だ!?」

 

 グラーフアイゼンの先を向け訝しげに聞くヴィータに暁は苦笑いした。 確かに風貌から言って先程の暁とは似ても似つかない、唯一似ている所があれば幼さが残っている顔立ちぐらいだろう。

 

 「まぁこの格好だしな、そう思う気持ちも分からなくはないな。今元の姿に戻る」

 

 再び淡い光りが暁を包むと陸士服を着た元の暁に戻った。 貫かれた傷はなくなり綺麗な肌が見えているが服は穴が開いているうえ、前面が血によって濡れていた。

 

 はっきり言って気持ちの良いものじゃない。

 

 だが、強くなってきた雨で血を洗い流した暁は清々しい表情をしていた。すると通信が入り回線を開くとなのはが映し出された。

 

 『神崎さん、ヴィータちゃん聞こえる?』

 

 「あぁ、聞こえるぞ」

 

 暁が反応するとなのはは安堵の表情と息を吐いた。

 

 「良かったぁ、いきなりどこかへ行っちゃうんですから心配しましたよ…」

 

 「悪い悪い、悪魔の反応があったからな。 とりあえずその悪魔は倒したからそっちに合流するわ」

 

 通信を切ると暁はヴィータに向き。

 

 「……何か言いたそうだな」

 

 身構えるヴィータにそう言った。

 

 「お前は……何者だ…!」

 

 ヴィータの問い掛けに暁は頭を掻きながら苦笑いを浮かべた。

 

 「ご覧のとおり見た目は人間だがその実は人間ではないってことさ。 そういえばヴィータ、さっき俺の名前を叫んでたよな?」

 悪魔の力を解放する前の事を思い出しその話を掘り返す。

 

 するとヴィータは顔を真っ赤にした。

 

 「ばばばば馬鹿いってんじゃねぇよ!? 誰が叫んだんだよ!!」

 

 面白いくらいに動揺し慌ててたので暁は心の底から笑った。

 

 暁はヴィータをからかいながら帰還すべくその場から飛び去った。

 

 

 

 

 ブリッツとの戦闘から二時間たった後、その場所に一人の少女がやって来た。

 雨はあがり、空は快晴となっているなかこの草原は雨によりぬかるんでいた。

 「やっとみつけた。 なんだってこんな世界に来たのかしら?」

 青紫色の髪を後ろで結わい、風に靡かせながら辺りを見回す。

 

 「世界を移動したんならそりゃあ見つかるわけないわね…」

 

 少女はハァ…とため息を吐き、呆れた。

 

 「暁ちゃんの魔力は……あっちか」

 

 暁の魔力を探り、微かに感じた方角に少女は移動を開始した。

 

 果たしてこの少女は何者で、何が目的なのか…。

 

 


 
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