No.503026

IS x 龍騎〜鏡の戦士達 Vent 21: 臨海学校

i-pod男さん

臨海学校編です、どうぞ。

2012-11-01 11:37:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1612   閲覧ユーザー数:1536

そして臨海学校当日、旅館、花月荘の前にバスが二台とその周りに五台のライドシューターが停車した。その中からは如何にもと言う服装の五人が現れた。後ろから荷物を運び出すと、他の全員が出るまで待った。

 

「あー、良く寝た。やっぱりGPSと自動操縦(オーパイ)は便利だね。」

 

「運転に集中した方が良いですよ、ボス。」

 

「森次、お前そう言うけどさ、昨日俺がどれだけの激務をこなしたと思ってんだ。書類の山だぞ、山。俺社長なんかになるんじゃなかったぜ・・・・・」

 

「それだったら私も兄さんも仕事が無くなってしまう。」

 

「確かにな・・・・ってマドカ、お前いつから一夏の事を兄さんて呼ぶ様になった?」

 

「まあ、俺達も色々とあったって事で・・・・な、マドカ。」

 

一夏はマドカの頭を撫でてフワフワした髪の毛を梳いてやる。マドカは擽ったそうに身を揺すった。

 

「ま、仲良き事は良き事かなだ。おめでとう。さてと。一夏、午後は武装と『アレ』のテストがあるから、今日は準備しとけよ?」

 

「分かりました。」

 

「ラウラ、君とクラリッサにもオルタナティブ・ゼロに馴れて貰いたいからね。」

 

「はい。」

 

部屋割りを決め、水着に着替えると浜辺に出た。だが、一夏はその途中でメカニカルな宇佐美々が砂から生えているのを見つける。それをとりあえず引っ張ってみると、空から何かが・・・・・

 

「うおおおお?!」

 

一夏は飛び退いて、煙の中から現れたのはデフォルメされた巨大な人参だった。その中から不思議の国のアリスから迷い出た様な服装をした紫色の頭髪を持つ女性が現れる。

 

「た、束さん?!」

 

「やあやあ久し振りだね、いっくん。所で箒ちゃんは?」

 

「そこら辺にいると思います。でも、一つ良いですか?」

 

「何でも聞いて〜?何何?」

 

「ここに来たって事は、箒に・・・・専用機を作ったって事ですよね?」

 

ウィングナイトの掌の部分が開き、エネルギーがチャージされる事により発光し始める。

 

「うん、そうだよ?」

 

「何で・・・・!?彼女があれ以来精神的に不安定になった事位分かってるでしょう?それなのに!こんな事をして・・・・・どうなる?!」

 

「ごめんね。いっくんは大事だよ、でも箒ちゃんも大事なんだ。だから・・・」

 

「オーディンも警告した筈ですよ。」

 

「シロちゃんに貰った封印のカードはここに有るから大丈夫。」

 

だが、後ろからワイヤーが伸びてそれをかすめ取られてしまう。森次である。

 

「いつそれを出すか、ずっと待ってたぞ。束。」

 

「シロちゃん・・・・」

 

「よう、久し振りだな。実際に会うのは。所で、お前があいつの専用機を作ったのは、あいつに強請られたからか?それだけ答えて欲しい。」

 

「ううん、私が自分で勝手にやったんだよー、妹の為だもん。」

 

「そうか・・・・・森次、返してやれ。俺達もコイツに死なれちゃ困る。」

 

森次は頷き、束にカードを投げ返してやる。一夏もウィングナイトの武装を解く。

 

「また後で会おうぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー・・・・・気持ち良い・・・・」

 

あの騒動の後、一夏は薄手のパーカーに某アメコミ蝙蝠男のエンブレムが入った水着を着ていた。大きなタオルを砂に広げてビーチパラソルで日陰を確保し、寝そべっている。当然右腕にはISが装着されており、カードデッキもポケットにしっかりと押し込んである。

 

「兄さん、隣・・・・私も良いか?」

 

「ああ。良いぞ。」

 

白いワンピースタイプの水着を着たマドカが隣に腰掛ける。同じ様に上着を羽織り、そのポケットからはカードデッキがはみ出している。

 

「どうした、そんな顔して?お前らしくもない。」

 

「いや・・・・ただ何か嫌な予感がする。あの篠ノ之箒とか言う女の事で。社長も言っていた。兄さんが倒したからと言って、素直に引き下がる筈が無いと。」

 

「確かにな・・・・オーディンにも調べさせているが、やはり専用機は作られたそうだ。それも、第四世代と言うふざけた物だった。」

 

「第四世代・・・・今の私達の仕事が無駄になって」

 

「それは無い。司狼さんがあの人から第四世代のデータを貰ってる。聞いた所によると、ウィングナイト(こいつ)もそうらしい。全く、束さんもふざけた事をしてくれる。後、似合ってるぞ、その水着。」

 

「社交辞令ならいらない。」

 

「織斑くーん、白鳥さーん!ビーチバレーやろうよー!」

 

「おう、ちょっと待ってろ!マドカ、行くか?」


「兄さんが言うなら・・・・」

 

渋々と言った様子だが、マドカは差し出された手を掴んで立ち上がった。

 

「じゃあ、三対三で連続スパイクとか禁止ね?11ポイントマッチだから。」

 

「ゲームなら、俺も参戦したいかなぁ〜?」

 

「おお、司狼さん!良いよ良いよ、やりましょう?」

 

と言う事で、ビーチバレーの勝ち抜き戦は暫く続き、一夏、司狼、マドカのスリーマンセルは無敗伝説を築いた。

 

「一夏!」

 

「ん・・・・?」

 

少し疲れたのか、タオルの上で寝そべっていた一夏が顔を上げると、シャルロットがオレンジ色のセパレートタイプのビキニを着ていた。隣には・・・・・ミイラかバスタオルお化けと言うべきか、完全に体を覆い隠して銀色のツインテールが見えている位である。

 

「それ・・・・ラウラか?」

 

「うん、司狼さんが水着を選んだらしくて。」

 

「へー。」

 

「そーれーっと!」

 

ラウラの体からシャルロットとマドカがタオルを剥ぎ取り、下手をするとランジェリーにしか見えない様な黒いフリルの着いたビキニ姿のツインテ ラウラが現れた。顔を赤らめてモジモジしている。

 

「へえ。良いと思うぞ、俺は?」

 

「まあ、ラウラは元々可愛いしね?」

 

「それは言えてるな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕食・・・・・

 

「うーん、やっぱり刺身は美味い。流石はIS学園、羽振りが良いな。」

 

森次が舌鼓を打ち、清酒を呷る。正にジャパニーズである。

 

「これは・・・ヒラメか。こっちは・・・・おお、マグロだ。質が良いな。」

 

「正に和を体現した人だね、森次さんて・・・・」

 

隣に座っていたシャルロットがひそひそと言う。

 

「まあ、久々の和食で嬉しいんだろ。あの人プライベートでも酒は滅多に飲まないタイプだから。しかも普通に燗酒だし・・・・」

 

「カンザケ?」

 

聞き慣れない単語に彼女は首を傾げた。

 

「ああ、そういや知らないよな。燗酒は、言うなれば日本酒をお湯で暖めた物だ。あんまりやり過ぎるとアルコールが飛んでしまうから加減が難しいが、上手く行けば結構美味いらしい。俺は当然飲んだ事ないけど。」

 

「うっ・・・・」

 

「ん・・・・?セシリア、お前、正座馴れてないから足痺れてるだろ?」

 

「そ、そんな事はありませ・・・あう・・!?」

 

「つまらん意地を張るな。突いただけでここまで反応しているなら、碌に立てまい。テーブル席の方に移動する事を進める。料理が冷めるぞ。作った奴に失礼だ。」

 

「一夏、だったらお前が食べさせてやれ。それならお前も文句無いだろう?」

 

「ちょ、司狼さん!そんな事したら千冬姉の」

 

「私の、何だ、ん?言ってみろ、織斑・・・・」

 

(ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・)

 

いつの間に背後に回ったのか、千冬がそこに腕組みして仁王立ちで立っていた。後ろに見える一個大隊は只の幻覚だと信じたい。

 

「いえ、何でも無いです。」

 

「オルコット、痺れが辛いならばテーブル席に移動しろ。」

 

「は、はいぃ・・・」

 

一夏が結果的に彼女をテーブル席までエスコートする事になった。食事が済むと、パッケージのテスト稼働等を行う為の作業が始まった。一夏はTDウィングを更に改良したビーム、徹甲ダーツを放ち、更にはプラズマエネルギーを用いた刃を発するリボルウィングを使っていた。射程距離はかなり遠く、プラズマブレードは実体剣を簡単に切り裂ける程の出力を誇っている。

 

「良いな、これ。」

 

装備が近接オンリーな一夏には願っても無い武器である。専用機持ち達もそれぞれ本国から送られて来たパッケージを使う事になっているが、専用機持ちの筈では無いのに、箒も呼ばれた。

 

「先生、何故彼女が・・・・・まさか・・・・?!」

 

「・・・・篠ノ之、お前には」

 

「ちーーーーーーーーーーーーーちゃーーーーーーーーーーん!!!!やっほーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!とう!!」

 

常人とは思えない様なスピードで坂を駆け下り、更に回転しながら飛び降りた何者かが千冬に飛びかかって来た。だが千冬は面倒臭そうに身をかわし、アイアンクローで自分の名を呼んだ人物の顔を掴む。

 

「黙れ。」

 

「ぐぬぬぬ・・・・相変わらず容赦の無いアイアンクローだね!」

 

あの握力のアイアンクローからどうやって抜け出したのか、今度は箒に向かって行く。

 

「やあやあ久し振りだね。」

 

「・・・・・どうも。」

 

「自己紹介位しろ、生徒達が困っている。」

 

「もー、しょうがないな。私が天才の束さんだよ。はろ〜。終わりー!まそれはそうと、大空をご覧あれ!」

 

空から菱形のコンテナが落ちて来て、中から現れたのは赤いISの機体だった。

 

「これが・・・・」

 

「そう!現行ISのスペックを全て上回る第四世代のIS、その名も『紅椿』!!フォーマットとフィッティングはすぐ終わらせるからちょっと待っててねー♪後、いっくん、白式見せてー。」

 

「白式じゃなく、ウィングナイトですよ。結構気に入ってるんで。」

 

一夏はISを展開してそう言い返す。

 

「ほうほう・・・・シロちゃんも凄いねー、ここまで私のISを改造しちゃうなんてさー。それにしてもやっぱりフラグメントマップは不思議な形をしてるよねえ、男の子だからかな?」

 

「どうでしょうね?」

 

「身内だからって専用機が貰えるの?」

 

「ずるいよね、代表候補生でまだ貰えない人だっているのに。」

 

「おやおや、君達。有史以来人間が平等だった事なんて一度も無いよ?」

 

そう愚痴った生徒数人を束が黙らせる。確かに、歴史の一部にはどこにも不平等の三文字が有る。今回もその内の一つとしか割り切らななければならないだろう。

 

「確かにそうだ。だが、その歴史に悪影響を与えた元凶は他ならぬお前だ。違うか?」

 

だが、束はどこ吹く風と言った様子で紅椿の作業を終わらせる。

 

「んじゃ、試運転するから、乗ってみてー。箒ちゃんのイメージ通りに動く筈だよ〜。右が雨月、左が空裂で、どっちも実体剣だけど、突きとかでエネルギー刃を出せるからねー。」

 

そして束の言葉通り、機体は素早い動きで空を駆け、再び降りて来た。

 

「お、織斑先生!これを!」

 

ブック型端末を持った山田先生が息せき切って走って来た。スクリーンを見た千冬は表情が険しくなる。

 

「全員に告ぐ、テストは中止だ。一般生徒は自室にて待機!専用機持ち達は私と来い!」

 

司狼はこの時終始束から目を離さなかった。

 

「森次、どうだ?」

 

「憲司の言った通りですね、ボス。軍用第三世代、シルバリオ・ゴスペル・・・・・福音が、原因不明の暴走を始めました。アメリカとイスラエルからはこの件をIS犯罪対策室に一任すると言っています。」

 

「そうか。」

 

「ですが、同時にIS学園の専用機持ち達とも協力しろとの事です。」

 

「やはり政府は自分の首を惜しむか・・・・まあ、良い。面白くなって来た・・・・!」


 
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