第百九技 食事
キリトSide
NPCのウェイトレスが注文を取りに来たので俺はフルコースメニューを頼んだ。
アスナも同じものを頼んでいた。折角アスナとの食事なのだから見栄えが良いものの方がいい。
「えっと…今日は、その……ありがとう」
「いや、別に大した事はしてないさ…」
アスナが小さな声で礼を言ってきた。俺は特に礼を言われる事はしていないと思い、軽く返した。
「そんなことないわよ。『睡眠PK』だってあるんだから…」
彼女が言った『睡眠PK』とは、寝ている相手の指を使ってウインドウを操作して
その際に決闘の内容を『完全決着モード』に設定して、眠っている相手を一方的に攻撃し、
HPを0にして殺害するという手口だ。
本来は『アンチクリミナルコード有効圏内(通称「圏内」)』においては犯罪を行う事は不可能だが、
こういったシステムの穴を見つけて犯罪を行う者達があとを絶たない。
『睡眠PK』とはその一種である。
「PoHのバカはよくやるからな…」
「「「「「!?!?!?」」」」」
「ん、どうかしたか?」
俺が言った言葉にアスナだけでなく客達全員がこちらを向いて引いた表情をしている。
「どうかしたか、じゃないわよ!? なんでPoHにそんな…!?」
アスナが言った言葉で理解した、みんな俺が普通にPoHをバカ呼ばわりしたから驚いたのか。
「大したことじゃない。ただ何度も殺し合った仲だよ」
「「「「「……………」」」」」
みなさん絶句しているようだ。俺とてあんな奴とは会いたくもない。
ただ『狩人』としては見過ごせないからな。まぁ、キリトとしてもあいつとは何度も殺し合った仲なのだが。
「早く捕まってくれるとありがたいんだけどな」
「……きみ、結構大変なんだね…」
同情されてしまった。大変なのは仕方が無い。
『ビーター』で攻略組というのは恨みを買いやすいからな。話を逸らそう、うん。
「それにしても、随分と眠ってたな」
「そう、だね。あんなにたっぷり寝たのはSAOが始まってからは初めてかな…。
いつもは長くて三時間くらい寝て、だけど怖い夢を見て飛び起きちゃうのよね」
「やっぱりか…」
「気付いてたの?」
「ああ。前にも似たような事になっていた子がいたからな」
俺が『月夜の黒猫団』に協力していた時にサチが同じような症状に陥っていた。
サチは、ケイタがサチと一緒に寝るということで彼女もなんとか持ち直す事ができたのだ。
「なんにせよ、また最高の気象設定になったら日当たりのいいところで寝たらいいさ」
「そうね…。その時はまたガードをお願いしようかな?」
「それなら喜んで引き受けさせてもらうよ」
「え、ぁ…うん///」
してやったりといった表情をしたアスナだったが、俺の回答が予想外だったのか頬を微かに紅潮させていた。
可愛いと思うのはやはり惚れたからなのだろうな。そこにNPCのウェイトレスが前菜のサラダを持ってきた。
レタスやトマトのような野菜などを使った色とりどりのサラダにテーブルの上にあるドレッシングのようなものをかける。
「ゲームの中だから、別に生野菜を食べなくても問題無いと思うんだがな…」
「美味しいじゃない」
別段俺も不味いということはないんだが、なんというか物足りないというのかな。
「せめてマヨネーズとか慣れ親しんだドレッシングとかがほしい…」
「あ~、それわかるよ。ケチャップとソースもほしいよね」
「だな。なにより……」
「「醤油はほしい………ぷっ」」
俺とアスナは同じことを言って同時に吹き出した。和やかな空気が流れようとしたその時、
「きゃあああああ!!!」
「「っ!?」」
突如として女性の悲鳴が響き渡った。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
PoHをバカ呼ばわりする本作のキリトさん、尊敬できますねw
え~次回からは本格的に事件の話しになります。
原作とは違う鋭く賢いキリトさんにご注目ください!
それでは・・・。
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第百九話です。
アスナとの食事風景になります。最後には・・・。
どうぞ・・・。