No.498013

魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と StrikerS編 第十二話

奴等がやって来た!

2012-10-20 00:19:32 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:5331   閲覧ユーザー数:4464

 

 

 

     時は少し戻り、DOG隊と機動六課が模擬戦していた時、とある世界での夜

 

 

 

     綺麗な満月を見つめて立ち尽くしている一人の男がいた。手には大人が持って震う事すら厳しい大きな剣が握られていた。

 

 

??? 「・・・・。」

 

 

    彼は何を考えているのだろうか。

 

 

    そして、彼の後ろにある森の中から一人の男が出てきた。

 

 

??? 「・・・こんな所に居たのですか?」

 

??? 「・・・・グルンベルドか。」

 

 

     グルンベルトと呼ばれた男は先に居た男より身長が高い。およそ2mを軽く越えている。そんな大男の装備も凄い物だった。

 

 

     全身を覆うプレートメイルに、竜の頭を模した兜、そして右手には大きな戦槌、左手は巨大な盾。その風貌は歴戦の戦士のようだ。

 

 

グルンベルド「ゾッド殿、そろそろ進軍のお時間ですぞ。」

 

ゾッド  「・・・もうそんな時間か。分かった、今行く。」

 

 

     ゾッドと呼ばれた男は長い間、月を見ていたようで進軍する時間がきてしまっていた。

 

ゾッド 「主の言うに、もうすぐで次の戦場に辿り着く。」

 

 

     ゾッドが野営地に戻ると、そこには人というにはあまりにも異様な者達が居た。

 

 

ゾッド 「・・・行くぞ。」

 

グルンベルド「分かりました。全員、進軍だ!!」

 

     グルンベルトが全員に進軍の合図を出した。

 

 

     進軍の途中、グルンベルドがゾッドの横に付いて言った。

 

 

グルンベルド「次の戦場が楽しみですな。しかし、我々と張り合う程の強者は現れないものですかな?最近の人間では相手になりません。」

 

ゾッド 「所詮は人間だ。無理を言うな。」

 

 

     まるで自分たちは人間では無いかの様に言う。

 

     だが、それもそのはず。彼等は見た目は人間の様だが、本当は人間ではないのだから。

 

 

     ――――戦魔兵(せんまへい)、彼等は自分たちの事をそう呼んでいた。

 

     この世界に君臨する畏怖と血に染まった神と言う名の魔神、ゴッドハンド。その中の頂点で魔王である白き鷹。

 

     その名はグリフィス。彼は自分の国を作るためにあらゆる手を使って侵略する。

 

     彼等はその僕なのだ。

 

 

     さて、順調に進軍していた矢先、それは唐突に起こった。

 

ゾッド 「・・・む?」

 

グルンベルド「ゾッド殿、どうされました?」

 

ゾッド 「・・・・妙な感じがする。」

 

 

     ゾッドは進軍を止め、辺りを警戒している。

 

 

グルンベルド「・・・何も感じませんが?人間でもいたのですか?」

 

ゾッド 「いや・・・・何も居ない上にそんなちゃちな物なら気にしない。だが・・・嫌な予感がする。」

 

 

     ゾッドの長年積んできた経験と本能が警報を鳴らす。だが、周囲には何も無い。

 

 

ゾッド 「・・・・。」

 

 

     それでも嫌な感じは止まらなかった。

 

     そして・・・・それは起きた。

 

 

ゾッド 「なにっ!?」

 

グルンベルド「こ、これはっ!?」

 

 

     ゾッドの足元が突然光り始めた。だが、それはゾッドだけに留まらなかった。

 

 

グルンベルド「これは・・・魔術か!?」

 

 

     ゾッドが率いる全員の足元が光っていた。そして、ゾッド達全てを包み込んだ・・・・・。

 

 

 

 

 

??? 『クックック。精々・・・役に立ぁってもらおぉうか。』

 

 

 

 

 

 

ゾッド 「・・・ここは?」

 

 

     ゾッドが目を開けると、そこは何処かの森だった。

 

     しかし、上を見ると空が見えなかった。

 

     代わりにあるのは天井。ここは森であるにも拘わらず室内でもあるのだ。

 

 

グルンベルド「ゾッド殿、ここは一体?」

 

ゾッド「・・・分からん。」

 

 

     ゾッドが現状を把握しようとすると突然モニターが現れ、金髪で長髪、そして白衣を着た男が映し出された。

 

 

??? 『ようこそ、魔法世界へ。』

 

ゾッド 「・・・何者だ?」

 

??? 「これは失礼しました。私の名前はジェイス・ソーサラーと申します。偉大な最高評議会に尽くす者です。」

 

 

     長髪の男は名乗った。

 

 

ゾッド 「答えろ。ここは何処だ?」

 

ジェイス「ここはミッドチルダという世界です。貴方達は漂流したのですよ。」

 

ゾッド 「漂流・・・だと?」

 

ジェイス「はい。ここは貴方達が居た世界とは全く別の世界です。恐らく、次元震という現象に巻き込まれて世界を飛び越えたのでしょう。」

 

ゾッド 「・・・・。」

 

 

     ゾッドは考えた。あの光が起きた後に全く違う場所に出たのだ。それに、戦魔兵を全て収容する部屋を作る事は自分が居た世界の

     技術では不可能。ジェイスの言う事は少しは信じられる。

 

 

ジェイス『どうです?ここで一つ取引しませんか?』

 

ゾッド 「・・取引だと?」

 

ジェイス『ええ、そうです。貴方達が帰る方法を私は知っています。』

 

ゾッド 「・・・。(ピクッ)」

 

 

     無表情だったゾッドが一瞬反応した。

 

 

ジェイス『それは今すぐには用意できません。しばらくの猶予がいるのです。ですが、確実に帰る事ができる方法です。

     ただ、それまでの間・・・私のすることに協力して欲しいのです。』

 

ゾッド 「・・・それを信じろと?」

 

ジェイス『信じられないのならそれで構いません。貴方達が帰る事が出来ないだけですから。ですが、帰る理由が貴方達にはあるのでしょう?』

 

 

     ジェイスが嫌な笑みを浮かべる。

 

ゾッド 「・・・・・・・・・・・。」

 

 

     ゾッドはしばらく考えた。ここが別世界であることは何となく実感できた。そして、今自分がすべきことは主の命令を

     遂行すること。しかし、それには元の世界に帰る事ができなければ達成出来ない。

 

     それならば、とゾッドは決断した。

 

ゾッド 「・・・いいだろう。ただし、貴様の言った事が嘘だったならば・・・。」

 

ジェイス「分かっています。それに、私も嘘は言ってませんしね。」

 

ゾッド 「・・・・どうだかな。」

 

ジェイス「ふふふ・・・。では、契約成立ですね。ああ、そうそう。食料はこちらで用意しますから心配しないでください。

     では、後ほど連絡します。」

 

 

     そう言ってモニターは消えた。

 

 

グルンベルド「・・・ゾッド殿、よろしかったのですか?」

 

ゾッド 「仕方あるまい。ここが別世界なのはお前も薄々感じているだろう?我々に世界を渡る力は無い。そして我々が優先すべきは

     主の命令だ。ならばどんな手を使ってでも元の世界に帰るだけだ。」

 

グルンベルド「・・・承知しました。」

 

 

 

 

     そして時は現在に戻る。

 

 

 

零冶  「と、言う訳だ。明日のホテルアグスタ警備に俺達が参加する訳になったが、俺達は外で鉄屑の相手だ。」

 

 

     零冶はブリーフィングルームで任務内容の説明をしていた。

 

 

エリス 「つまり、私達が出るのはその新型が現れた時・・・ですわね。」

 

零冶  「その通りだ。先日のⅣ型が現れたのは恐らく試作なんだろうな。俺が敵なら明日で実戦テストを兼ねて敵の情報を取ろうとする。」

 

バライカ「ですが、データを取らせないにしても派手にやる訳にもいかないのですよね?」

 

零冶  「ああ・・・あまり派手にやるとオークションが中止されるかもしれないからな。」

 

ヘンリー「それなら、機動六課だけに任せてもいいのでは?」

 

 

     ヘンリーがそう言うと零冶は苦い顔をした。

 

 

零冶  「それもそうなんだが・・・万が一という場合もある。念には念を入れた方がいいだろう。」

 

ヘンリー「そうですか・・・。」

 

キール 「まぁ、いいじゃねぇかヘンリー。俺達の実戦での行動をあいつ等に見せてやればもう少し意識が変わるだろうよ。」

 

零冶  「それもある。と、言う訳で任務に気合いが入るように、ちょっとした罰ゲームを用意した。」

 

 

     そして零冶が不敵な笑みを浮かべる。その笑みにDOG隊全員が冷や汗を掻いた。

 

 

零冶  「明日、撃墜数が一番低い奴は・・・・・・・・・俺が選んだ竜3体と訓練な♪」

 

 

     悪魔の声が室内に響く。

 

 

エリス 「りゅ、竜と!?」

 

バライカ「しかも複数!?」

 

キール 「殺す気かよ!?」

 

ヘンリー「しかも隊長の選ぶ竜って・・・・絶対、古龍種以上ですよね?」

 

 

     4人は再び悪夢の訓練に絶望した。

 

 

零冶  「大丈夫だ問題無い。それに安心しろ。選ぶのは精々、クシャナかナナ、テオ、ブラック、クイーン、アビにあとピーちゃんと

     キュロスの中からしか選ばないから♪」

 

キール 「安心できる要素が全く無ぇ!?」

 

ヘンリー「大丈夫ではありません問題が大ありです。」

 

エリス 「また・・・あの悪夢が・・・・。」

 

バライカ「・・・もう嫌ぁ。」

 

 

     最低レベルでブラックだが、それすらも強敵。ちなみに、4人は1対1で古龍種に一度も勝った事は無い。

 

 

零冶  「ははは!頑張れよ!」

 

 

     零冶は他人事のように笑っていた。

 


 
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