No.497137

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第百四技 衝突は始まりの時

本郷 刃さん

第百四話です。
この話しから「圏内事件」にはいるまでの数話はオリジナル要素を含みます。

どうぞ・・・。

2012-10-17 09:04:02 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:16950   閲覧ユーザー数:15901

 

 

 

 

 

 

 

第百四技 衝突は始まりの時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

昨日は酷い目にあった、まさかこの世界で酔っ払った挙句に猫化するとは。

 

あんなアイテムを製作して茅場、いや『アーガス』は一体何がしたいのだろうか……(呆れ)。

 

アスナは疲れのせいなのかまだ眠っている。

 

基本は彼女の方が早く起きるが、偶に俺の方が早く起きる事もある。

 

大概俺のせいなのだけど、彼女が起きたら謝ろう。

 

 

 

「ごめん…悪かった……」

 

「(ムス~)//////」

 

しばらくしてからアスナが起きたので謝ったのだが、やはり機嫌が悪い。

 

俺も昨日の事は覚えているが、正直曖昧な部分が多い。

 

しかも昨日の昼から夜まで続けていたのだからこうなっても仕方が無い。

 

「本当に悪かった……」

 

全力でベッドの上で土下座する。様子を窺うように彼女の表情をみるがまだ膨れっ面である。

 

「ふん/// 大体キリトくんはいつもいつも…」

 

「いや、今回はアスナが……っ」

 

言ってから俺は思った、これじゃ責任転嫁だ。

 

確かにドレッシングを作ったのはアスナだが、自制の聞かなかった俺にこそ非がある。

 

アスナは俺の為に美味しいものを作ってくれたのだから。

 

「わたし……出掛けてくる…」

 

アスナは装備を纏って家から出ていった。俺はそのまま自己嫌悪に陥ってしまった。

 

 

 

《料理》のスキルを高めていないので料理ができるはずもなく、取り敢えずお湯を沸かしてお茶を飲む。

 

昨日の昼もほとんど食べていないし、当然腹が減る。

 

かといってアスナ以外の料理を食べるのはなぁ……。贅沢なのかもしれないな。

 

「鍛練が足りないのかねぇ……精神の…」

 

酔っ払って自制が効かないのは精神の鍛練不足だろうな。師匠ならばそう言いそうだ。

 

「そういえば……前はよくアスナと言い合ってたっけなぁ…」

 

アスナと喧嘩して一人のせいなのかそんな事を考える。

 

そう、あの時は……まだ彼女と分かりあっていなかった時はよく言い合っていたからな。

 

 

 

~約半年前・第56層『パニ』~

 

俺達は現在ボス攻略の会議を行っている。

 

参加しているのは『血盟騎士団』、『聖竜連合』、クライン率いる『風林火山』、他攻略組のプレイヤーやギルド。

 

中でも異質なのが俺達攻略組非公式ギルド『黒衣衆』だ。全員が黒装束なのだから異質ともとれるだろう。

 

前回のボス攻略は参加していなかったが、どうやら苦戦したようでボスも仕留められなかったらしい。

 

そして二度目の攻略戦にて俺達も参加。しかし会議は難航している。

 

―――バンッ!

 

その時一人の少女が机を叩き、周囲の視線を集めた。

 

それは血盟騎士団副団長の……アスナだったか?

 

「フィールドボスを村に誘い込みます」

 

こいつは何を言っているんだ、村にボスを誘い込むだと。俺の疑問同様に周囲でもざわめきが起こっている。

 

仲間に視線を向けてみるとハクヤ、ティアさん、カノンさんは俺と同じように困惑しており、

ヴァル、ルナリオ、ハジメ、シャインからは怒りが感じとれる。

 

マジギレしそうな様子だ。俺は周囲の動揺も収めるために言葉を発する。

 

「本気で言っているのか? そんなことをすれば村人が……」

 

「本気です、それが狙いですから。ボスがNPCに気を取られている内に一斉に攻撃し、討伐します」

 

こいつっ!

 

「NPCとて「生きている…と?」あぁ。例えAIであっても、指示された行動であっても、彼らはこの世界の住人だ」

 

「貴方のいう通りだとしても彼らは再びリポップされるから問題無いはずです」

 

そうか…そうかよ……。

 

「俺はあんたの指示には従えないな……」

 

「今回の攻略戦の指揮はわたし、血盟騎士団副団長のアスナが取ることになっています。

 わたしの指示に従ってもらいます…」

 

俺が続けて言葉を発しようとした時だった。

 

「はっ、やってらんねぇよ。俺は抜けさせてもらうぜ…」

 

「……私も抜けさせてもらう」

 

「同じくっす…」

 

「失礼します…」

 

シャインを筆頭にハジメ、ルナリオ、ヴァルが建物から出ていった。

 

攻略組でもトップに位置する四人が抜けて周囲に動揺が起きる。まったくあいつらは……。

 

「ティアさん、カノンさん。あいつらをお願いします」

 

「はい」

 

「まかせて」

 

俺はティアさんとカノンさんに四人を任せてハクヤと残る。

 

まだ会議は終わってないからな……まだ、な。

 

「もう一度聞く。本気なんだな……?」

 

「ええ」

 

これで決まりだな。俺はハクヤとアイコンタクトを交わすと全員に向き合う。

 

「今回のボス攻略戦、俺達黒衣衆は抜けさせてもらう」

 

「「「「「っ!?!?!?」」」」」

 

俺の宣言にハクヤ以外の全てのプレイヤーが驚愕した。

 

「なっ、何を勝手に!?」

 

「悪いがこれは俺達の総意志だ。あとはあんたらで勝手にやってくれ」

 

「失礼する」

 

止めようとする副団長殿を後目に、俺とハクヤは部屋から出ていこうとする。

 

だが俺は立ち止まって全員に言い放った。

 

「俺は、例えNPCであってもMPKを行うつもりはない……子供ならばなおさらな!」

 

そうだ、この村には……子供のNPCもいるのだから。俺は再び外へと向かった。

 

部屋を出る時にみたアスナの手は……震えていた。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

「圏内事件編」に入る前の予兆といった話しです。

 

数話ほどWeb版+オリジナル要素の話しでいきたいと思います。

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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