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魔法少女リリカルなのはTime Leapなの? 〜過去に戻った高町なのは〜 【無印 After & A's Before】 第五十六話

新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。

任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。

なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!

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2012-10-16 22:38:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1595   閲覧ユーザー数:1533

 翌日、私はアリサちゃんとすずかちゃんの二人と一緒に今日も第124管理外世界に来ています。

 

 第124管理外世界の洋館の中に入ると、私は一度二人と分かれて地下から昨日完成しておいたすずかちゃんのデバイスを持ち、アリサちゃんとすずかちゃんを待たせている応接間に移動します。

 

 

「すずかちゃん、持ってきましたよ」

「本当に!?」

 

 

 応接間に入り、私はすずかちゃんにそう言います。すずかちゃんは私が来たのを見てか、なぜか立ち上がって私の方へ近づいてきました。

 

 

「えぇ、一応これなんですが……」

「……綺麗」

 

 

 私は右手に握っていたすずかちゃんのデバイスを渡します。

 

 すずかちゃんに渡したデバイスですが、アリサちゃんと同様に持ち歩いても平気なようにして、同じようにペンダントやインテリジェントデバイスにしてあり、私のレイジングハートとぐらいの大きさがある無色透明な雫の形をして、その周りにこれまた無色透明な六枚羽の翼が付いている物でした。

 

 なぜ無色でそのようにしたのかというと、すずかちゃんが夜の一族だという事も少し関係あったりしますが、その話は後にしましょう。

 

 

「まぁ、すずかちゃんにはこのような形が良いかなと思いましてね。何か不満でもありましたか?」

「ううん。わざわざ私の為にこんなデバイスを作ってくれてありがとう」

 

 

 すずかちゃんはどうやら私に向かって感謝しているようでした。それほどの事なんて全くしてないのですけどね。

 

 ……それよりも、さっきから隣で機嫌が悪そうな顔をしているアリサちゃんの方が気になるのですが。なんでそのような顔をしているのかさっぱりわかりません。

 

 

「さて、それでは一応デバイスを起動させて、どのような感じか試してもらうために一度庭に出ますけど良いでしょうか?」

「うん、私は構わないよ」

「アリサちゃんは?」

「……別に良いわよ」

 

 

 ……だから、なんでそんなに機嫌を悪そうにしているのですか。

 

 

「別になんでもないわよ」

「さにげなく魔法で心を読まないでください。それじゃあ、行きますよ」

 

 

 私は入ってきた方向へ振り向いて、アリサちゃんとすずかちゃんの二人と一緒に庭へと向かいます。

 

 応接間を出ると、偶然にもアリシアちゃんにも会ったので、アリシアちゃんに庭で魔法の練習をすると言ったら一緒に行くと言われましたので、四人で庭に向かう事となりました。

 

 

「この辺りで良いですかね?」

 

 

 庭の中央付近にて私は足を止め、アリサちゃん達の方へ振り向きます。

 

 

「で、これから何をするの?」

「アリサちゃんはほんの数分ですが一人で練習してもらいます。まぁ、数分なのでしなくても構わないのですけど」

「分かったわ」

 

 

 アリサちゃんは私の言葉を聞いてすぐにフレイアを起動させて服装がバリアジャケットに変わり、私たちから少し離れていきます。っていうかさっきまで不機嫌だったような気がするのですけど、大丈夫なのでしょうか?

 

 

「それで、すずかちゃんとアリシアちゃんは今日がデバイスを起動するのが初めてだと思いますので、まずはデバイスを起動させる所からですね。それじゃあ、やってみましょうか」

「「うん、分かった」」

 

 

 アリシアちゃんが昨日プレシアからデバイスを貰ったのに、起動させていないのはプレシアが私の指示でやらせた方が良いと思ったからだそうです。別にそれくらい昨日やっても良かったと思うけどね。

 

 すずかちゃんは先ほど私から貰ったデバイスを首から外して手に持ち、アリシアちゃんはポケットに入れてあった自分のデバイスを取り出します。

 

 

「……そういえばすずかちゃん、デバイスの名前って決めてあるのですか? アリシアちゃんの方はプレシアが決めていたらしいので」

「う~ん……実はもう考えているんだよね」

「そうでしたか。なら良いですけど、とりあえず起動させましょうか」

 

 

 私がすずかちゃんに話して邪魔してしまいましたので、私は今度こそ邪魔しないようにします。

 

 そしてすずかちゃんとアリシアちゃんはデバイスを起動させるのでした。

 

 

「サイズハルバード。セットアップ!!」

「ダンシングブラッド。セットアップ!!」

 

 

 すずかちゃんとアリシアちゃんの着ていた服装がそれぞれのバリアジャケットに変わっていきます。

 

 アリシアちゃんはフェイトちゃんと同じようなバリアジャケットで、スカートに少し青みがかっていたりしています。デバイスもあまりフェイトちゃんと形が変わらず、魔力光も青いです。なんかそれ見ていると違和感あるのですけどね……

 

 一方のすずかちゃんなんですが……

 

 

「あれ、全く変わってない!?」

 

 

 そう、一瞬すずかちゃんの回りで光ったから、バリアジャケットに変わったのかと思ったのですけど全く姿が変わっておらず、先ほどからすずかちゃんが着ていた私服のままであったのです。髪は先ほどよりも伸びていましたが、それ以外はあまり変わっていませんでした。

 

 すずかちゃんは自分の姿があまり変わっていないことに驚いていましたが、さすがに私もそれには驚きました。そんなプログラムは入れていませんし、すずかちゃんが思ったような姿になるようにしていたはずなのです。

 

 

「……一体、どういう事なんでしょうか?」

「さぁ、なのはから聞いた限りだと、バリアジャケットって自分を守るためにある防護服みたいなものでしょ? それなのに服が変わらないのはおかしいわよね?」

「いつからそこに居たのですか!?」

 

 

 いつの間にか私の隣にアリサちゃんがバリアジャケットの姿のまま居て、私は気配が全くなかったことに驚きました。

 

 っていうか、私だけではなくてすずかちゃんもアリシアちゃんもおどいていますし。私と対面して居たはずなのに隣に居たアリサちゃんに気づかなかったことに驚いている感じです。

 

 その様子を見てすぐにアリサちゃんが魔法を使ったことが分かりましたけど、一体どうやって……

 

 

「ちょっと魔法の練習をしていたのだけど、もしかしたら相手の思考を読めるのならば、自分の気配を消せるように弄れるのではないかなって思って三人に対してやってみたのだけど、意外に上手くいったものだからいつになったら気づくかなって思いながら、さっきからなのはの隣に居たのだけど、全く気付かないから声を掛けたの。だけどさすがに相手の脳を弄るからかなり苦労したけど」

「……いや、いやいやいやいや、苦労したどころの問題ではないないでしょそれ!?」

 

 

 前々から他人の思考を読めるのは分かっていましたけど、そんな事まで出来るってすごすぎると思いますよ!? しかもいきなり三人とか本当に!!

 

 

「でも、相手が私を意識していたら多分これ通じないと思うよ。私の事を意識してたら三人いっぺんに掛けたよりも魔法と私の脳を使わないと無理だし」

「いや、それでも凄すぎです。あとさにげなく思考を読まないでください」

「うん、そうした方が良かったかも…… さっきの魔法で結構疲れてるから」

 

 

 そりゃそうでしょうね。魔法と脳をかなり使っているのにさらに、思考を読み取ろうとしているのですから余計疲れるでしょうね。

 

 

「それで話し戻すけど、私もなのはと同じ意見を思ったわ。どうしてすずかはバリアジャケットが変わらないの?」

「……そうですね。今はアリサちゃんの魔法よりもそちらの方が大事です。とりあえずデバイスはすずかちゃんの右腕に金属でできているような金色のブレスレットに埋め込まれているようですから、デバイスを起動したのは分かりますし……」

「あ、本当だ」

 

 

 本人が気づいてなかったのですか……

 

 あと細かな事を言っていきますと、先ほどまで無色であったデバイスの色ですが、すべて赤い色に染まっていました。

 

 

「とりあえず、どんな魔法が使えるのか見せてもらいます? アリシアちゃんはフェイトちゃんで大体分かっているので良いのですけど、すずかちゃんはバリアジャケットの事もありますから少し気になりますので」

「うん、ちょっとやってみる」

 

 

 そう言うと、すずかちゃんは目を瞑って魔法を意識し始めます。

 

 少しするとすずかちゃんの地面にミッドの魔法の紋章が現れていき、魔力が一点に集中していくのがなんとなく感じられました。

 

 

「……なるほどね。大体私の魔法が分かったかもしれない。なのはちゃんとアリサちゃん、ちょっとそこから移動してくれるかな?」

「えぇ、別に構わないですけど……」

 

 

 私とアリサちゃんは言われた通り離れます。すずかちゃんの先には庭を抜けて森になっており、一体何をするのだろうと思いました。

 

 

「……ねぇ、なんか急に寒くない?」

「言われてみればそうかも」

 

 

 アリサちゃんはそう言ってから自分の魔法で炎をだし、アリシアちゃんは両手を反対側の両腕にそれぞれ触りながら少し震えていました。

 

 確かにこれは寒いっていうレベルですね。私もこのままでは凍えてしまい……ってまさかこれって。

 

 私がある事に気づいたのですが、その刹那にかなり遠くに会った木々の一部が凍り始めている事に気づきました。さらには庭にある植物にも霜が付いており、回りが寒くなっている事がすぐにわかりました。

 

 

「……多分、これだけじゃない。まだまだ行ける」

「え?」

 

 

 私は突然すずかちゃんが言った言葉がどういう意味なのか理解できず、聞き返そうとしたのですが、そのあとすぐにあり得ない事が起こりました。

 

 なんと、先ほど凍らせた木々が一瞬のうちに切断されて倒れていったのです。何が起こっているのか全く理解できず、すずかちゃんは一体何をしたのかもさっぱり理解できませんでした。すずかちゃんは目を瞑っていただけで、変な動作とかは全くしていなかったので気になりました。

 

 

「……こんなもんかな?」

 

 

 それからすずかちゃんは瞑っていた目を開いて周りを見渡しました。その時すずかちゃんの眼はいつもと違って虹彩寄り中が赤くなっていました。

 

 とりあえず、一体何をしたのかをすずかちゃんに聞くことにしましょう。

 

 

「えっと……何をしたんですかこれ? 凍らせたのは分かったのですけど、木々を切断するのは庭にある花とか見れば分かるかもしれない」

「庭にある花?」

 

 

 私はすずかちゃんに言われた通り横を囲んでいた庭の花を見てみることにします。僅かながらなんですが、一部の葉っぱが切られたような跡がありました。

 

 

「……なるほど。凍らせている間に別の魔法を使ったのですね、見えない魔法を放つかのように」

「なのはちゃんの言ってる事は一部あってるけど、少し違うかな? 確かに魔法を放ったけど、その魔法にはそれほど威力がないから」

「どういう事?」

 

 

 今まで黙っていたアリサちゃんが私が言おうとしたことを代わりに聞きます。

 

 

「簡単に言えば、放った魔法は切断するものではなくて、空間を捻じ曲げるためにあるの」

「成程……って」

 

 

 いま、とんでもない事を言ってませんでした!? 空間を捻じ曲げるって……

 

 とりあえずすずかちゃんが使える魔法がなんとなく分かりました。氷系の魔法と空間を使用した魔法が使えるという事ですか。

 

 

「……ちなみに、どのくらいの程度で魔法を使いました?」

「え、えっとね……驚くかもしれないけど、かなり手加減してあれくらいなの。魔力もそれほど消費してないし……」

 

 

 なんとなくそうだと思いましたよ。すずかちゃんは魔力総量的には私と同じでしょうが、少ない魔力でかなりの威力を出せる魔法を使えるのではないかと少し思ったのですよね。夜の一族だからこそ何があるか分かりませんでしたし、すずかちゃんのデバイスだけあれ(・・)を付けていて本当に正解でした。

 

 

「でも、さすがに威力を弱めてもこれくらいだと、やっぱりいろいろと困るのだけど……」

「それについては大丈夫です。すずかちゃんのデバイスには自分でリミッターを付けられるように私がプログラムしましたから」

 

 

 元々リミッターを付けた理由が夜の一族だからたとえ私と同じくらいの魔力総量だろうと、私以上に魔法を放てるのではないかと思ったのです。予想通り手加減してあれくらいの魔法を使うのですから、リミッターを付けておいて正解ですね。

 

 

「そうなんだ。それでどうやるの?」

「起動している間ですと分からないのですが、一応私が考えたのはデバイスの色が一部無色透明であるとリミッターを掛けている事によります。リミッターは七段階ありまして、六枚羽の六つと中央の雫の一つの計七つがの内、無色透明の数だけリミッターを掛けている事になりますので」

「うん、大体分かったかも」

 

 

 すずかちゃんは私の説明を聞いて、理解してくれたようです。っていうか、将来的に私よりすずかちゃんの方が強くなるのは気のせいでしょうか……

 

 まぁ、それは気にしないことにしましょうか。とりあえず今日私がやりたいことはやりましたし、魔法の練習については皆さんに任せますか。

 

 

「それじゃあ、私はこの後やる事がありますので、これから先はアリサちゃんに任せますね」

「え!? あれって本当に言ってたの!?」

「何で私がそんな冗談をいう必要があるのですか…… とりあえず頼みましたよ」

 

 

 私はアリサちゃん達から離れていき、洋館の方へ戻っていくことにします。

 

 まぁ、さすがに二人のうちどちらかがすずかちゃんと模擬戦的なことはしないだろうと思いますし、すずかちゃんはリミッターを使った魔法に慣れてもらいたいですしね。アリサちゃんもそれくらいは分かるとは思いますけど。

 

 そんな事を想いながらも、私はさっさと自分のやるべきことをやる事にしました。


 
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