No.496656

IS x 龍騎〜鏡の戦士達 Vent 3: 革命とヘッドハンティング

i-pod男さん

お待たせしました。第三話です。どうぞ。時間が進む中、司狼は・・・・?

2012-10-15 23:20:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2602   閲覧ユーザー数:2436

それから数年後・・・・ISは世界進出した。ISの性能は、束が世界中の政府にハッキングし、日本に向かって放った二千発以上のミサイルをたった一機が叩き落とした事により世界中に証明された。だが、その場にはもう一人いたのだ。謎の人物が。ソレは、青紫の狼の様な姿で、撃ち漏らしたミサイルを全て一撃で破壊したのだ。これは後に『白騎士事件』と呼ばれた。

 

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ・・・・」

 

部屋に設置した鉄棒で一夏は懸垂をしていた。

 

(あの時以来・・・・あの人には会えなかった。何度も探したけど、置き手紙だけで姿が消えたって束さんも言ってたし・・・・)

 

一夏は、司狼の言葉通り強くなった。バイトを掛け持ちしながらも鍛錬に勤しみ、暇があってはミラーモンスターを葬り、ダークウィングを強くしていた。その日以来、体の傷が増え、千冬に心配されたがいつも誤摩化した。最近では年季の入った黒い革製のロングコートを好んで着る様にもなった。

 

「っし、行くか。」

 

デッキをポケットの中に押し込み、リュックを持つと、試験会場に向かった。一夏は学費が安く、就職率が高いと言う一石二鳥の私立藍越学園の入学試験を受けに行くのだ。

 

「おいおい・・・・何でこんなに道が入り組んでるんだよ・・・・?」

 

如何せん、試験会場はカンニング防止の為に別々の部屋を用意している。その為道がややこしく、無駄と思ってしまう位広いのだ。

 

(ここは一度道を聞いた方が良いか?)

 

適当に手近にあったドアを開ける。中は薄暗く、様々な機械のランプが明滅していた。スクリーンの光りにぼうっと照らされて、巨大な何かが地面に鎮座しているのが分かる。

 

「これは・・・・・IS、か?」

 

ふとそれに触れてみると、頭の中に情報が流れ込んで来る。

 

(何だこれ・・・?!情報が・・・・・頭の中に流れ込んで来る・・・!!)

 

「君!ここで何してるの!?ここにいちゃ・・・・嘘・・・?!起動、している?!ISは女性にしか反応しない筈なのに・・・」

 

(何・・・?!まさか、ISが起動したのか?俺が触っただけで?!)

 

一夏は呆然と立ち尽くしていた。何が起こった?一体自分は何をしてしまったんだ?一夏の足は自然と出口に向き、全力で走っていた。

 

(そんな馬鹿な・・・・!!俺がISを起動するなんて・・・・!!!)

 

ある程度走った所で、近くにあったベンチに座り込んだ。

 

「何で・・・・・俺が・・・・?」

 

キイイイィィイイイィィィィイイイィン・・・

 

一夏は直ぐにデッキを構え、鏡面化している所を見回す。そして、見たのは・・・・もう一人のライダーだった。黄緑色の体に、腰にも同じ黄緑色のデッキが嵌っている。柔軟でアクロバティックな動きで猿型のモンスター、デッドリマーを翻弄していた。両手に持っているヨーヨーを使って体を縛り上げたり、それ自体を叩き付けたりと、明らかにただ者ではない。

 

「俺も行った方が良いかな・・・?」

 

Vバックルを出現させると、右拳を握り、曲げた右腕を内側に振り被った。

 

「変身!」

 

デッキをバックルに装填し、ナイトに変身すると、デッドリマーに攻撃を仕掛けた。

 

「お前誰だ?」

 

明らかに年上の声だった。

 

「誰でも良いだろ?それに、同じライダーなら助け合いでしょ?」

 

『ソードベント』

 

ウィングランサーを一度振り回して構えた。

 

「まあ、良いだろう。ちょっと相手をしていろ。俺が止めを刺す。」

 

『クリアーベント』

 

左腿のバイオバイザーにカードをベントインしたベルデは、姿を消した。

 

「あ・・・?まあ良いか。」

 

『ナスティーベント』

 

ダークウィングのソニックブレイカーでデッドリマーは頭を抑えて苦しみ始める。

 

『ファイナルベント』

 

振り子の様に逆さ吊り状態でスイングして来たベルデは、デッドリマーを掴み、空中で錐揉み回転しながらパイルドライバーを決めた。デッドリマーが落ちた所は小さなクレーターが出来ている。

 

「デス、バニッシュ。」

 

「バイオグリーザ・・・・・?」

 

「ほう、良く知ってるな。」

 

保護色で透明化していた二足歩行のカメレオン型モンスター、バイオグリーザが舌でエネルギーを捉えてそれを咀嚼しながら現れた。二人はミラーワールドから出ると、変身を解いた。一夏の前に現れたのは、オールバックの小柄な男だった。だが、カモフラージュグリーンのライダージャケットの上からでもガタイの良さは見て取れる。そして目付きから修羅場を潜り抜けて来た強者であると言う事も。ビリビリと覇気が伝わって来ているのだ。

 

「アンタ、一体・・・・?」

 

「お前、織斑一夏か?」

 

「何で俺の名前を・・・・」

 

「そうか。やはりか。いずれまた会おう。俺は三緑森次(みろくしんじ)だ、よろしく。お前のとある知り合いの下で働いている。連絡先はここに書いてあるから気が向いたら電話しろ。お前の助けになってくれる筈だ。」

 

「はあ・・・・」

 

「じゃあ、俺はちょっと急ぐんで、失礼。」

 

緑色のカワサキ・ニンジャに跨がると、走り去った。

 

「AD・VeX7社・・・・・あの新しい企業か・・・・」

 

携帯を引っ張り出すと、そこに電話をかけた。

 

『はい、AD・VeX7です。』

 

少し低めの男の声が聞こえた。

 

「三緑さんからの紹介で、彼の上司が俺の知り合いだって聞いたんですが・・・・」

 

「少々お待ち下さい。」

 

一分程してから、別の男が電話に出た。

 

『おー、久し振りだな。一夏。俺の社員の一人に出くわしたそうじゃないか。ダークウィングの調子はどうだ?後、ISも動かしたんだって?』

 

「(この声・・・まさか・・・・!)司狼さん?!」

 

『覚えててくれたんだ、嬉しいねえ。実はさ、俺の会社もIS事業に手を広げてる訳だ。で、聞いた所によると、お前、ISを動かしたそうじゃ無いか。』

 

「何でそれを・・・?」

 

『俺に分からない事なんか無いんだよ。ヘッドハンティングで優秀な仕事仲間を見つけたからね。でも、今のままじゃ、お前ヤバいぞ。バックに何も無ければ、お前は狙われる。何せ二人目のイレギュラーだからな。』

 

「二人目?もう一人は」

 

『俺だよ。詳しい事は直接会ってから話す俺から会いに行く。だから、その間余り無茶な真似はするなよ。』

 

「・・・・はい。」

 

『じゃあな。』

 

電話を切ると、一夏は直ぐに家に戻った。テレビを点けると、どのチャンネルでも自分の事が報道されていた。世界中継、それも生放送だ。それを見て、一夏は改めて自分がどれだけ規模が大きい嵐の渦中にいるかを思い知った。

 

「荷物を纏めた方が良さそうだな。」

 

古ぼけたスーツケースとボストンバッグに必要な物を突っ込み、玄関近くに置いた。丁度そこでインターホンが鳴る。

 

「織斑一夏さんですね?」

 

「はい・・・・」

 

スーツにサングラスと言う出で立ちの男に不信感を抱きながらも、そう答えた。

 

「社長がお待ちです。」

 

車の中から、見慣れた男が現れた。赤が少し混じった紫色のレザーコート、妖し気な笑みを崩さない顔。何年も会っていないと言うのに老けた様子が全く無い出で立ち。数年前にデッキを渡されてそれっきり姿を消した、御鏡司狼が目の前に立っていた。

 

「あ・・・・!!」

 

「乗れよ。中で話そう。お前の姉さんには会社の奴が連絡する。」

 

運転手が荷物を持ってリムジンのトランクに運び込み、一夏は司狼に手招きされるまま中に乗り込んだ。中はミニバーに食べ物、更にはテレビも付いていた。

 

「さてと。しばらく会わなかったが、元気そうで何よりだ。まあ、一先ずは今まで良く生きていた。言いたい事は色々とあるだろうが、お前に仕事のオファーがある。」

 

「仕事・・・・?」

 

「ああ。今お前は、善くも悪くも世界中の注目の的だ。しばらく自宅(ここ)には戻らない方が良い。それに、俺の会社の方が安全だ。あっちには俺を含めたライダー達もいる。」

 

「ライダー達?!俺以外にもいるんですか?!」

 

「何を驚いてる?当たり前だろう?」

 

さも当然だと言いた気な顔で返す。

 

「まあ、適切な奴らを探すのに随分と苦労したぜ。大抵は元がつく軍人、高級官僚、工作員、法曹界のドン、ああ、今では情勢に不満を持ってるIS技術者も何人かいるな。全員ISの所為で斬り捨てられた、可哀想な連中だ。だが、この世の中は人間が動かしている。だから間違いが起きる。その間違いは、そいつらを捨ててしまった事、そして俺にそいつらをヘッドハンティングさせてしまった事だ。今で俺とお前を含めたライダーは・・・・それなりにいる。会社に到着したら、全員に会わせるから、焦るな。IS学園への入学はまだ少し先だが、準備(・・)が必要だ。お前の専用機の調整と、簡単にISの説明をする。」

 

「今学園って言いました?」

 

「ああ。知らないのも無理無いか。IS操縦者育成用のプログラムで、全寮制の学校だ。」

 

「学校・・・・ですか・・・・」

 

「ついでに言うと、織斑千冬はそこで教師として働いている。ドイツであんな事があったのにな・・・」

 

「ダークウィングのお陰で助かりましたよ。」

 

「そりゃ良かった。で、どうする?社宅はあるし、警備も充実してる。テストパイロットとして当然給料も払う。」

 

「分かりました。よろしくお願いします。」

 

「おう。ああ、あと都合上俺も入学する事になった。俺もISを使えるって事マスコミにバラしたからな。お前のすぐ後位に。」

 

「何でそんな・・・!!」

 

「その方が面白いからに決まってるだろう?快楽主義者とまでは行かないが、俺は人生を面白おかしく生きられれば良い。最低限のルールは守るが、人生楽しまなきゃ損、損ってな。」

 

「相変わらずですね。束さんにはもう会ったんですか?」

 

「ああ。相変わらずぶっ飛んだ奴だった。おっと、そろそろ着くな。」

 

巨大なビルの前にリムジンが停車し、二人は降りた。そこではスーツや普段着を着た男女が立っていた。

 

「さてと、ライダー達の自己紹介と行こう。まずは、この会社の社長である俺。仮面ライダーヴォルフ。契約モンスターはデュアルーパス・アズラとアマラ。」

 

「もう会ったが、改めて。隠密及びボディーガードの三緑森次、仮面ライダーベルデ。契約モンスターは、バイオグリーザだ。」

 

「俺は情報操作、及び諜報部の部長、津野宮憲司(つのみやけんじ)、仮面ライダーインペラー。契約モンスターはギガゼールとその他多数のガゼール達。特技は足技全般。分からない事があったら、俺の所に来てね。」

 

黒のシャツに茶色のファーコートを着た眼鏡の男が親指、人差し指、そして小指を立てて挨拶する。

 

「顧問弁護士及び仮面ライダーガイの斉藤臣(さいとうしん)です。契約モンスターはメタルゲラス。共々に、どうぞよろしく。」

 

髪を後ろで纏め上げて声が少し低いネズミ色のスーツを来た二十代後半の男が礼儀正しく挨拶をする。

 

「テストパイロットのマドカだ。仮面ライダーファム。契約モンスターはブランウィングだ。」

 

千冬に顔立ちが良く似た自分よりも少し幼い少女が殆ど白い衣服を着て挨拶をした。表情は無愛想だが。

 

「最後になったけど、研修生の仮面ライダーライア。契約モンスターはエビルダイバー。又の名を、五反田弾だ。」

 

ソフト帽を目深に被って顔を隠していた弾が得意気に笑みを見せて、軽く手を振る。全員がそれぞれのカードデッキと契約モンスター達を出現させる。ある意味壮観だ。

 

「・・・・・新入テストパイロットの織斑一夏です。仮面ライダーナイト、契約モンスターはダークウィング。でも、他の人達は良いとして、弾、何でお前がここに・・・?!それに、千冬姉にそっくりな人もいるし!!」

 

「まあまあ、それは追々話す。マドカは一応俺達と一緒に学園に行く事になっている。仲良くしろよ?俺はちょっと書類の整理がまだ残ってるから先に戻る。(まずまず、と言った所か。これは・・・・・一荒れ来るな、学園で。それに、一夏の周辺を洗ってみたが、幼馴染みの女が二人か・・・・それも一人は束の妹でもう一人はあのツインテールの女とはな。しかも国家代表候補と来た。自衛用の物も持たせておいた方が良いか。)」

 


 
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