No.496625

超次元ゲイムネプテューヌMk2+ BlackFateその25

またネロの影薄くなるなー…
主人公って何だったっけ。

2012-10-15 22:07:59 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:940   閲覧ユーザー数:878

~プラネテューヌ近郊 中央山脈麓~

「はぁ、はぁっ、は……!」

 

プラネテューヌを出てすぐ近く。ゲイムギョウ界中央山脈の真下の森の中。

モンスターの生息も少ないこの場所を急ぎ足で駆ける一人の姿があった。

 

血眼になり息を荒げて走る様は、誰が見ても必死だと思わせる姿だった。

 

「は、っく…っは、ぁ…!」

 

息を切らし、時々ひざががくりと折れながらも走り続ける一人の少女。

薄紫色の短髪を振り、走りし続ける。

その少女の名は、ネプテューヌ。プラネテューヌ現代女神そのひとだった。

 

ネプテューヌ。現在の四女神の中でもっとも明るく、そしてもっとも本性が読めないとされる女神。

基本的に何を言っても【どうせボケの一種だ】と思われる彼女はある意味腹の内が読めないと、イストワールから言われている。

たとえ何か画策してようとも、【しょうもないことをたくらんでいるのだろ】程度にしか疑われない。

普段の素行、見せる性格というのはそれほどまでに印象として重要なのだ。

実際のところ彼女にとってはすべて素なのだが今は置いておこう。

 

常に笑っている、つまり笑顔からは想像できないほどに彼女の表情は必死の一言で表せた。

息も荒げ唾ももはや出ないほどに出尽くし、疲労からの鼻水まで既に口まで伸びていた。

 

「げほっ、っは、あぁ、はぁ……」

 

ふと足を止め、近場の樹によりかかり、座り込む。

とたんに脱力して倒れこんだその姿は最早死人にも見えるほどだった。

 

ネプテューヌがここまで血相を変えて走っているのにはもちろん理由がある。

突然、プラネテューヌの協会に彼女の姉、キャストリームが現れたからだ。

ネプテューヌにとって、姉とは恐怖の対象だった。女神にふさわしくない、イストワールは生成する女神を間違えたと称し、一歩ずれれば迫害ともいえる仕打ちをしてきた。

イストワールから聞いた女神、キャストリームから教えられた女神。この二つはあまりにも違いがあった。

その結果、ネプテューヌはそのどちらでもない女神になったのだがそれはまた別の話。

キャストリームという存在は、ネプテューヌにとってトラウマというほかないものだ。

それは、どんな危険なモンスターが相手でもそれを上回る絶対的な恐怖。一目見たとたん、数十年来の恐怖がよみがえったのだ。

はじめは動けなかった。見るだけで足が竦み、ひざが笑った。

ネプギアが迎撃を始めた。イストワールが話し始めた。

少しずつ、体の自由が出てきたのを確認して、こっそり逃げ出した。

一刻も早く、キャストリームから逃げ出さなければならない。そうしなければ、最悪命はないと思ったから。

 

一度倒れてしまったからか、ネプテューヌの体はピクリとも動かない。

虚ろな目は何も写していないのかと思えるほど動かず、微かな呼吸とそれに伴い動く胸だけがネプテューヌが生きているということを示していた。

 

―――ザッ、ザッ、ザザッ。

 

ふと、ネプテューヌの耳にある音が入ってきた。

足音、あまりにも連続しているあたり複数人と思われるものだ。

自らに近づいてくる音は確実に聞こえていたが、既にネプテューヌに対応する気力、体力ともに残っておらずそのまま倒れ続けるしかできることはなかった。

 

「――――――ーさん!?」

 

一人、ネプテューヌにとって聞き覚えのある声が聞こえた。

確か未来から来たというラステイションの女神、ネロの声だった。

 

「―――?何で―――な…?」

 

後から、ラステイション女神候補生ユニの声も聞こえた。

なんでこんなところに。そう思う直前、ネプテューヌは意識を手放した。

~その頃 プラネテューヌ プラネタワー最上部~

風荒ぶプラネタワーの屋上。

おそらく人工物としてはもっとも高高度に到達しているだろうこの場所に、一人の少女が佇んでいた。

 

紫色の長いツインテールと、右目を覆う眼帯。そして背中に装備された身長を大きく凌駕する大鎌。

少女、リーラハートことサーダナは何をするでもなくプラネテューヌを見下ろしていた。

 

「……我に何か用か、死人。」

 

サーダナの呟きの直後、その周囲にキャストリームの使うビットが現れた。

その全てが既に刃を展開し、すぐにでもサーダナを撃とうとできる状態だった。

 

「何故過去の遺物であるあんたがここにいるの?」

 

屋上と内部をつなぐ階段を上り、キャストリームが姿を現した。

すぐ近くにはキャストリームの監視か、ネプギアの姿もある。

二人の姿を見たサーダナは目を見開き、愉しいと言いたげな表情を浮かべた。

 

「過去の遺物なのは互いだろう。それより何だ。こうして姉妹が集まったのだ、歓談というのも一興だろう?」

「どの口が!!」

「落ち着けと言った」

 

サーダナが鎌を握った。戦い始めるのかと思いネプギアも刀に手をかける。

2対1に見えた1対1対1。最初に動いた者があとの二人に殺されるであろうこの状況。

 

一分経ったかと思ったところ、最初に動いたのはサーダナだった。

鎌をくるくると回し、挑発するようにキャストリームに向ける。

 

「っ・・・・・・!!」

 

それをそのまま挑発と受け取ったキャストリームがサーダナの周囲に展開するビット群に攻撃させた。

四方からの至近距離レーザー。多少弾かれても一発はあたるだろうと踏んで放ったそれは

サーダナがキャストリームの視界から消失するという事態と共に空を切った。

 

「消え…!?」

「まぁ落ち着け。」

 

キャストリームの背後から声がした。

と同時に、キャストリームののどにつめたい感触があった。視界の端に、サーダナの鎌の柄が見えた。

 

「そういった武器は汎用性はあるが至近距離の戦いに向かない。覚えておけ。」

 

宥めるようなサーダナの声。

妹を宥めるような雰囲気のサーダナだが、手に持ち、キャストリームの喉に当たっているのは身の丈以上の大鎌。

まるで雰囲気が合致していない。

 

「…殺せば?」

「我の目的は女神の殲滅ではない。言っただろう?遠き姉妹同士、談話にでも励もうかと。勝者特権だ、付き合ってもらうぞ遠き妹よ。」

「……チッ」

 

サーダナが鎌を消し、元の位置に戻りすわりこんだ。

どうみても納得できなさそうな表情のキャストリームも諦めた様子でビットを消し、元の位置に座った。

 

「さて、気をとりなおしてプラネテューヌの女神が三人揃ったんだ、やるとすれば…コレだよなぁ?」

 

そういってサーダナが取り出した(どこからかはわからないが)のは酒瓶。

それも一升瓶だ。三本出したそれをそれぞれキャストリームとネプギアの目の前に置いた。

サーダナの目は完全に『飲め』と言っている。

 

「…この光景、傍から見ればおかしいところしかないよね」

「背、一番高いの私ですしね。」

 

なおこの場の三人の身長順はネプギア≧サーダナ>キャストリーム。

ここにはいないネプテューヌはサーダナとキャストリームの間に入る。

末妹がもっとも身長が高いといってもそれでもどうあがいても少女程度の身長。

普通に考えてこの場の全員飲酒できるとは思えないだろう。

が、実際にはできないのはネプギアのみである(その理由も苦いから。ある意味飲まないに近い)。

 

「…そういえば、現女神はどこに言った。あいつがいなくては本題に入れないではないか。」

「ネプテューヌなら逃げたよ。」

「…。」

 

キャストリームの報告にサーダナは呆れ顔。ネプギアは暗い顔で俯いていた。

その直後に一升瓶に入った酒を喇叭のように咥えて飲むあたりサーダナはそこまで気にすることでもないようだ。

大してネプギアは飲む気もなかったような様子だったのだが自棄になったかサーダナと同じように喇叭飲みをし始めた。あっという間に目が据わっている。

 

「ぷは…ふう。さて、状況を整理しようか。」

 

既に一本瓶を空けたサーダナが話題を挙げた。

若干頬が赤くなっている三人、まともに話が進むとは思えない。

 

「我ら三人、建前上は三つ巴だ。我らマジェコンヌ、貴様、ネプギアら女神。そしてキャストリーム、貴様ら第三者。この三勢力だ。」

「…知ってるんだ」

「【貴様らを提供した】のは我らだよ。」

「…。」

 

「建前上はこの三つ巴だが、その裏では違う。まず我らマジェコンヌと貴様ら第三者は事実上の同盟関係だ。そして…ネプギア。貴様はまだ我と同類にはなっていないようだな。」

 

サーダナの言葉にネプギアが目を逸らす。

サーダナ、つまりマジック・ザ・ハードと同類になる。その意味をネプギア本人は理解しているようだ。

だが、何かしらの要因が邪魔をしている、とサーダナは睨んでいる。[

事実その通りであり、女神としての吟じのような、プライドのようなものがネプギアには残っていたのだ。

 

「現女神がいればまだ話すこともあったのだがな。」

「……。」

「結局酒飲ましたかっただけ?」

「…ああ、もう一つある。」

 

ジト目…というより完全に睨んでいるキャストリームを余所にサーダナは立ち上がり、大鎌を召喚した。

二人が身構える中、サーダナは大鎌を捨てるようにネプギアの目の前に投げた。

 

「…?」

「我からの餞別だ。受け取れ。」

「敵に塩を送るつもり?」

「さてな。引き抜きかもしれんぞ?」

 

サーダナとキャストリームがにらみ合う中ネプギアが鎌を手に取る。

いつも武器を取るように鎌が光に姿を変え、ネプギアの体に吸収された。

 

「…。では、我も元々の目的のために往くとしよう。…ネプギア。」

 

立ち去ろうとしたサーダナがネプギアに声をかけた。

何かをたくらんでいるかのようなニヤケ顔で続ける。

 

「イストワールには気をつけろよ。奴は貴様を破棄しようとしている。…それだけだ。」

 

サーダナの体が紫と黒の光、汚染変化の光に包まれ、消えた。

残されたキャストリームとネプギアはサーダナが残した言葉に戸惑いを隠せなかったが、今は考えることじゃないと思い二人とも残った一升瓶の酒を飲み続けた。

 

 

 

離れた場所に置かれた、一冊の本に気づかないまま。

 

「…流石に古き女神なだけはありますね、サーダナさん。勘が鋭い。」

 

「ですがこの盤、まだ始まったばかり…。駒はまだ捨てられる時です。」

 

「最後に勝つのは、私です。プラネテューヌが生き残るためにも、ね…。」

 

本は怪しげに光り、その中に消えた。

~キャラ紹改~

 

サーダナ(リーラハート)

身長:152cm(173cm)

体重:38kg(能力上不明)

武器:大鎌

特殊能力:エミュレート(正確には鎌の能力)・重力制御

モチーフ:セガサターン

趣味:酒

好物:アップルパイ・ホットチョコレート

 

マジック・ザ・ハードがマジック・ザ・ハードになる前の存在。今はゲイムギョウ界に現界するためにこの姿を取っている。

ネプテューヌ、キャストリームよりずっと前の女神でありキャストリーム曰く【裏切り者】。

尊大な性格で一人称の【我】も合わさりかなり話す相手に不快感を与える。本人曰くわざと。

ネプギアに女神と人間の関係の真実を教え、混乱させる。さらに愛用の大鎌まで与え、相当ネプギアを気に入っている様子。何をたくらんでいるのかはいまだ不明。

エミュレートを使う鎌はマジェコンヌより授かったものらしく本人の能力は重力の多少の制御。大体0.1~3倍までは自由に変えられる。だが女神化すれば普通に飛べるため余り使われることがない。

 

女神化も可能ではあるが使われる信仰(シェア)はマジェコンヌのものであるため女神化というよりは汚染変化のほうが近い。ほぼマジック同然の姿になるが装甲が若干多く、露出度が下がっている。


 
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