第九十二技 黒き閃光
シリカSide
≪プネウマの花≫を手に入れて街の前の橋まで戻ってきました。
行きとは違って帰りはモンスターの数も少しは減っていたので楽でした。
だけど、そこでヴァル君があたしを静止させました。どうしたんだろう?
「どうしたの?」
「隠れていないで姿を現してはどうですか?」
え? どういう事? 隠れているって…。ヴァル君がそう言うと木の陰から誰かが出てきた。
「ロザリアさん!?」
「私の
そんな……どうして彼女がここに? そんな風に疑問に思っていると…。
「≪プネウマの花≫は手に入れたみたいね。じゃあ、早速渡してもらおうかしら」
「な…、なにをいってるんですか!?」
彼女はそう言ってあたし達に近づいてくる。この人は何を…。
「そうはいきませんよ、ロザリアさん…。
いえ、
「えっ!? でもロザリアさんは
確認するために彼女を見てみても、ちゃんとカーソルはグリーンだ。
「簡単な手口だよ。グリーンのメンバーが獲物をみつけ、オレンジが狩るんだ…。
昨日、僕達の話しを聞いていたのは貴女の仲間ですよね?」
「それじゃあ、ここ最近一緒のパーティにいたのは…」
あたし達に狙いを定めていたの?
「へぇ、よくわかったわね。その通り……私達の今回の獲物はシリカ、あんたなの」
「っ!?」
あたしを……狙って…。
「あんたがパーティを抜けた時はどうしようかと思ったけど、レアアイテムを取りに行くっていうからね。
それにしてもアンタバカなの? そこまで知っててその子と一緒にいるなんて…」
そうだ。そんな危険な事を知っていたのに、なんでヴァル君はあたしと一緒に…。
「僕も貴女を探していたからですよ。
十日前にギルド『シルバーフラグス』が襲われて、リーダー以外の四人が殺されました。
生き延びたリーダーの方は毎日、朝から晩まで最前線の転移門広場で泣きながら仇討ちをしてくれる人を探していました。
その人は犯人達を殺すのではなく、牢獄に入れてくれと言っていました。
そして、彼らを襲ったのが…貴女率いる『タイタンズハンド』です」
あたしはそれを聞いて驚いた。彼はその事を踏まえてあたしの側にいてくれたんだ。
「あのビンボーなギルドのね~。だからなんだっていうのよ」
あたしは彼女の言葉に怒りを覚えた。
傲慢な人だとは思ってたけど、人を殺して、しかもなんとも思わないだなんて!
「貴女は……仲間を殺された人の気持ちが分からないんですか…?」
「分かるわけないでしょ~。第一、ここで死んだからって本当に死ぬかもわからないのに」
「あなたって人は…!」
「そんな事よりも自分達の心配でもしたら…?」
ヴァル君の言葉に当然のように返すロザリアさんを見て、あたしは怒りを覚えた。
そして彼女が言うと他の木の陰から七人の男性プレイヤーが出てきた。
内六人のカーソルがオレンジになっている。
「ヴァル君、人数が多すぎるよ! ここは脱出を!」
あたしは彼に脱出する事を提案したけれど…。
「大丈夫だよ…。僕が逃げてって言うまでは≪転移結晶≫を準備して待ってて」
「う…うん。って、ヴァル君!」
あたしが結晶を取り出すとヴァル君は背中に背負っていた槍を左手に持って、一人で相手に近づいて行ってしまった。
「ヴァ、ヴァルだと!?」
あたしが彼の名前を呼ぶと何故か相手の人達が驚いている。どうしてだろう?
「黒い陣羽織に黒ずくめ…。それに薙刀型の槍。もしかして【黒き閃光】!?」
【黒き閃光】? ヴァル君の異名なのかな? でもこんなに驚くなんて。
「こいつ、ソロで最前線に挑んでる『ビーター』の…攻略組だ!?」
「えっ!?」
あたしはその言葉を聞いて驚いた。
シリカSide Out
To be continued……
後書きです。
次回はヴァル君による、怒りの鉄槌です。みなさんお待ちかねですねw
どんな風に鉄槌を下すかは見てのお楽しみに。
ではでは・・・。
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第九十二話です。
ヴァルの目的が明らかに・・・!って、みなさんご存知ですけどねw
では、どうぞ・・・。