No.491753

SAO~菖蒲の瞳~ 第二話

bambambooさん

二話目更新です。

Q.定期テスト期間中なのにこんなに更新してていいんですかね?

A.手が動いてしまったんだから仕方がない。

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2012-10-03 21:33:05 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1654   閲覧ユーザー数:1569

 

第二話 ~ 少女との出会い ~

 

 

【アヤメside】

 

「――シッ!」

 

体当たりを仕掛けてきたイノシシのようなモンスターに向かって《ペック》を放つ。

 

相手の突進の勢いと、当たりどころが良かったのとで、半分くらいあったHPは一気に0になる。

 

そして、パンッ、とガラスが砕けるようにポリゴンが弾け飛んだ。

 

「やっぱり、最初の頃のモンスターはまだまだ弱いな…」

 

今の戦闘で、俺のHPバーは減っていない。

 

最初こそ、攻撃パターンやレンジ、剣技を使う際のタメを作るタイミングが分からず、掠るくらいはしていたが、慣れてしまえばあとはワンサイドゲームだった。

 

攻撃が単調だから、面白みが少ない。

 

だが、自分の体を使って戦闘するというのは爽快だった。

 

欣喜雀躍である。踊りはしないが。

 

「…そろそろ帰るか」

 

視界右下にある時計を確認する。

 

予定よりは早いが、まあいいだろう。涼も待っている。

 

俺はその場に背を向けて始まりの街へ歩みを進める。

 

しばらく進んだとき、少し離れた場所で少女が戦闘をしているのを見つけた。

 

相手は俺がさっき倒したイノシシである。

 

「………」

 

俺は何となく、その戦いを見物することにした。

 

「…それにしても、あれだな」

 

緊張しているのか、それとも怖いのか、どうにも動きが堅い。

 

筋が悪いわけじゃない分、余計にもったいない。

 

それに、剣技に頼りすぎているようにも思える。

 

………。

 

「はぁ…」

 

俺は少女の方へと歩き出す。

 

どうやらお節介が発動したようだ。

 

 

【?side】

 

イノシシのようなモンスターが、私に向かって突進してくる。

 

動きは直線的だから、それを避けるのはとても簡単なことだった。

 

でも私は、それがとても怖くて、足が竦んでしまい、いつも危なっかしい避け方しか出来ないでいた。

 

「きゃっ!?」

 

そしてついに、私は足がもつれて転んでしまった。

 

それを好機と見たらしいイノシシは、迷わず私に突進を仕掛けてきた。

 

ここはゲームの中で、怪我はしないし痛みも無い。

 

それでも、恐ろしさだけは現実と全く一緒で、私は竦んでしまい動くことが出来なかった。

 

イノシシがすぐ側まで迫ってきて、私は目を、ギュッ、と瞑った。

 

(お父さん…お母さん…!!)

 

――ドガッ!!

 

そんな鈍い音が鳴り響いた。

 

でも、衝撃は私には伝わって来なかった。

 

「大丈夫か?」

 

そう声を掛けられてゆっくりと目を開けると、綺麗な菖蒲色の瞳と目があった。

 

 

【アヤメside】

 

少女が転んだのを見た瞬間、イノシシは少女に突進をしかけた。

 

(マズい…!)

 

俺は少女を助けるべく全速力で走るが、少女の下へたどり着くには僅かに距離が足りないようだった。

 

(たどり着けないなら…先に倒す!)

 

だが、リーチの短い短剣では届かないし、投げては効果を発揮しない。

 

そう思った俺は、ほぼ無意識のうちに飛び蹴りを放っていた。

 

――ドガッ!!

 

偶然にも、その飛び蹴りのモーションが規定のものと検出され、剣技が発動した。

 

紫色の輝きを持った蹴りは、イノシシの横っ腹に命中。

 

残りHPを吹き飛ばし、イノシシは消滅した。

 

「いつの特撮ものだよ…」

 

取り敢えず、ツッコミは入れておいた。

 

それに、果たして《蹴り》を《剣》技と呼んでいいのだろうか……。

 

「…と、それよりも」

 

俺は未だ目を瞑り、座り込んでいる少女に声を掛けた。

 

「大丈夫か?」

 

そう声を掛けると、少女はゆっくりと目を開ける。

 

すると、目があった。

 

「………」

 

少女はマジマジと俺を見つめ続ける。

 

居心地が悪い。

 

「……どうかしたか?」

 

そう言うと、少女はハッとした表情になり、手をわたわたと振り回した。

 

このゲームの感情エフェクトがオーバー気味なためか、顔が真っ赤である。

 

「先ずは落ち着く」

 

あまりの慌て振りだったため、俺は凉にやっていたように、ぽんぽん、と頭を優しく撫でた。

 

「あ、はい…」

 

呆気に取られながらも、少女は頷いて落ち着きを取り戻した。

 

依然として、顔は赤いままだが。

 

「先ずは自己紹介。俺はアヤメ。君の名前は?」

 

「えーと、綾…じゃなくて。私、シリカって言います」

 

 

オリジナル設定

 

《スキル》

・スタート時は装備武器スキルと格闘スキルのみ。

 


 
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