No.491080

ソードアート・オンライン デュアルユニークスキル 第十一話 欠けている心

やぎすけさん

デュオの意外な一面が明らかに

2012-10-01 22:41:48 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2879   閲覧ユーザー数:2532

デュオ視点

俺が帰ってきてから、シリカとエルフィーの様子が明らかにおかしい。

2人とも顔は真っ赤だし、何よりまともな会話ができていない。

しかもシリカはかなりの重症のようで、ずっと俯いたまま口をパクパクさせている。

 

デュオ「お前ら、ほんとに大丈夫か?」

 

ここまでなっているとさすがに俺も心配になって訊いてみた。

 

エルフィー「だ、大丈夫だよ。ねえシリカちゃん。」

 

エルフィーはそう言いながらも俺と目を合わせようとはしない。

 

シリカ「は、はい・・・大丈夫・・・です・・・?」

 

デュオ「いや、完全にダメだろ。最後、疑問形になってるし・・・いったい何があったんだ?」

 

エルフィー「べ、別に何もないよ・・・」

 

デュオ「何も無いわけないだろ・・・」

 

エルフィー「わ、私、今から人と会う約束があったんだった!」

 

エルフィーは急に立ち上がると早口でそう言う。

明らかに誤魔化している時の言い方だ。

 

デュオ「人と会うって、もう9時だぞ・・・ってもういない・・・」

 

俺が言うよりも早く、エルフィーは出て行ってしまった。

 

通常視点

 

デュオ「どうしたんだエルフィーは・・・?」

 

デュオは扉を閉めてからシリカに向き直る。

シリカはまだ俯いたままで、顔もまだ赤い。

ちょっと気になったデュオは、自分の額をシリカの額にくっつける。

 

シリカ「ひゃっ・・・!!でゅ、デュオさん・・・!?」

 

デュオ「やっぱりこれじゃわからないな。て言うか、SAOの中で風邪引くわけ無いか。」

 

シリカ「ほ、本当に大丈夫です・・・」

 

シリカはそう言うとまた俯いてしまった。

その時デュオはシリカの前に置かれているマグカップが空になっているのに気づいた。

デュオはシリカの向かい側に座ると、ストレージからルビー・イコール呼び出してシリカのカップに注ぐ。

 

シリカ「えっ、あっ、ありがとうございます。」

 

デュオ「好きだろ。これ。」

 

そう言うと、もう一つのマグカップを呼び出して自分の分を注ぐ。

それからしばらくの間、何も話さずにただ時間が過ぎていった。

すると、ようやく正気に戻ったシリカが俺に質問してきた。

 

シリカ「あのデュオさん、訊いてもいいですか?」

 

デュオ「どうぞ。」

 

デュオはカップを置くと、シリカを見る。

シリカは一瞬躊躇ったが、意を決したようにデュオを見て言った。

 

シリカ「デュオさんはエルフィーさんのことが好きですか?」

 

デュオ「うん。だって嫌いな人と仲良くできるほど、俺は優しい人じゃないよ。」

 

シリカ「そういう意味じゃなくて、その・・・恋愛とかの意味で・・・」

 

デュオ「そういうことなら好きじゃない。そもそも俺には恋愛感情がないんだ。」

 

シリカ「えっ・・・?」

 

シリカは顔を上げると、キョトンとした顔になる。

 

デュオ「いや“もうない”って言った方が正しいな。」

 

シリカ「どういうことですか・・・?」

 

シリカは言葉の意味を理解できていないようだ。

説明してほしいという感じの目をデュオに向けている。

その顔はさっきとは逆に青くなっているようにも見える。

 

デュオ「俺は何年か前に、物心付いた時からの親友を傷つけてしまって、その時から人を・・・いや自分を信じられなくなってな。」

 

デュオは思い出したくない過去の記憶を思い出してしまった。

どんな時でも、自分の味方だった親友を傷つけ、

それをきっかけにどんどん壊れていった自分を。

 

デュオ「それ以来、俺はずっと人と関わることを避けてきた。そしたらいつの間にか恋愛や信頼といったものがわからなくなったんだ。」

 

その話を聞いたシリカはひどく傷ついたような顔をしていた。

 

シリカ「あ、あの・・・その・・・」

 

シリカは何か言おうとするが、言葉が出てこない。

その様子に気づいたデュオはいつもの表情に戻ると立ち上がりながら言った。

 

デュオ「ごめん。こんな話聞いても仕方ないよな。おっと、もう0時を過ぎてる。今日は疲れたしもう寝ようか。」

 

シリカ「・・・じゃあ、あたしはこれで・・・」

 

デュオ「もう遅いし、泊まっていけば?」

 

シリカ「えっ・・・?・・・いいんですか・・・?」

 

デュオ「部屋はいっぱいあるし、それに宿代が勿体無いだろ。」

 

シリカ「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

 

デュオ「わかった。じゃあついてきて。」

 

デュオはそう言うとシリカを奥の部屋に案内する。

デュオがシリカに用意した部屋にはティーテーブルとそれに椅子が一脚あり、

左の壁では備え付けのランタンが光を放っている。

だがベッドが無い。

 

デュオ「ちょっと待ってて、今ベッドを出すから。」

 

デュオはストレージから、先ほどエギルに頼んで買ったベッドを呼び出して設置する。

ベッドを設置した後の部屋はシリカがお世話になっていた風見鶏亭の一室に似ているが

こちらのほうが圧倒的に広い。

 

デュオ「使ってなかったから、最初にいじった時のままだけど。」

 

シリカ「いえ、充分過ぎるほどですよ。」

 

デュオ「そうか。じゃあ俺はもう一つの部屋で寝るから。」

 

シリカ「はい。おやすみなさい。」

 

デュオ「うん。おやすみ。」

 

デュオはそう言ってシリカの部屋を出た後、

自分の部屋に戻って、眠った。

 

翌日

デュオは珍しく朝の6時という、デュオにしてはかなり遅い時間に目を覚ました。

ちなみにデュオは目覚まし用のタイマーをセットしていないため、

起きる時間はその日によって違うが、5時以降に起きるということはあまりない。

デュオは体を起こすと、いつもの服に着替えてから部屋を出る。

 

デュオ「ふわぁぁぁ・・・久しぶりによく寝た・・・」

 

大きく欠伸をしながら、シリカの部屋に入る。

そこでは下着姿のシリカが自分の使い魔であるピナを抱いて

静かな寝息を立てていた。

 

デュオ「朝食作ってから起こすか。」

 

デュオは部屋を後にすると扉を閉めて、リビングに向かう。

食材アイテムを確認した後、適当な朝食を作る。

調理が終わったらそれをテーブルに並べ、再びシリカの部屋に向かう。

 

デュオ「シリカ、朝ごはんできたよ~。」

 

扉をノックしながらデュオはそう言う。

すると扉が開いて、頭にピナを乗せたシリカが出てきた。

 

デュオ「おはよう。」

 

シリカ「おはようございます。

 

デュオ「朝ごはんできてるから一緒に食べよう。」

 

シリカ「はい!」

 

デュオとシリカはリビングに向かい、そこでいろいろな話をしながら

一緒に朝食をとった。

その時の2人の姿は新婚の夫婦のようだった。


 
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