No.490450

SAO~菖蒲の瞳~ プロローグ

bambambooさん

初めまして。バンバンブーと申します。

TINAMIでの投稿はこれが初めてになります。

中途半端な文章力ですが、よろしくお願いします。

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2012-09-30 17:02:40 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2045   閲覧ユーザー数:1826

 

 

プロローグ ~ The present from my sister ~

 

 

2022年11月6日は俺、《浅居正武(アサイ マサタケ)》の十七回目の誕生日である。

 

「はい兄さん。誕生日おめでとう!」

 

そしてその日のお昼前、俺は中学二年生生の妹の(スズ)から誕生日プレゼントを貰った。

 

「涼、ありがとな」

 

「空けてみてよ兄さん!」

 

そう涼に言われ、俺はプレゼントの包みを丁寧に剥がして中身を取り出す。

 

「お前、これ…」

 

「手に入れるの大変だったんだよ?」

 

包みの中に入っていたのは、本日発売のVRMMORPG――《ソードアート・オンライン》だった。初回ロット数一万本と言う少ない本数なのに、よく手に入れることができたものだ。

 

「えへへ~。凄いでしょ?」

 

眼鏡の奥の瞳に、得意気な色を灯して涼は言った。

 

俺はこのゲーム存在を知ったそのときから、このゲーム(SAO)をプレイしたいと思っていた。

 

そのSAOが今目の前に、しかも誕生日プレゼントとして手に入れることができた。

 

こんな素晴らしい誕生日が、今まであっただろうか。

 

朝がやや苦手な俺は、今日買うことを半ば諦めていたが、まさに『果報は寝て待て』だ。

 

兎にも角にも、今はこのゲームを手に入れてきてくれた涼に精一杯の感謝を伝えよう。

 

「ありがとう涼。大変だったよな? 本当にありがとう」

 

「兄さんが喜んでくれたなら、私はそれで十分だよ!」

普段は無表情な俺だが、この時ばかりは、頬が緩むのを抑えることはできなかった。

 

 

午後1時。SAOの正式サービスが始まる時間になった。

俺は自分の部屋に戻り、SAOのゲームハードである《ナーヴギア》を頭に被った。

 

 

ベッドに腰かけ、そのベッド横ある椅子に腰かける涼に声をかける。

 

「5時くらいには帰ってくるから、母さんによろしく」

 

「分かった。楽しんできてね兄さん」

 

「帰ってきたら、お前にもやらせてやるからな」

 

「ホント!? やった!」

 

二本の三つ編みが揺れ、その場で飛び上がりそうな勢いで喜ぶ涼の様子を見て、苦笑をする。

 

「じゃあ、行ってらっしゃい兄さん」

 

「行ってきます」

 

それから俺は、ベッドに横たわってナーヴギアの開始コマンドを呟く。

 

「《リンク・スタート》」

 

途端に、視界が黒で埋め尽くされる。

 

そして、その暗闇の中央にある虹色のリングを期待一杯で潜り抜けた。

 

しかし、俺を含む一万人のプレイヤーは知る由もなかった。

 

このリングの先に待ち受けているのが、己の命をかけた《デスゲーム》だということを。

 

 
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