~ 第31話 †漢旅(おとこたび)今度こそ最終章† ~
真っ黒な空間を漂っている
ここがどこだが分からない
ただ漠然と俺死んじゃったのかなと思った
結局何も残せないまま人生終わってしまったな
子義嬢や高順(こうじゅん)は俺が居なくても大丈夫だろうか
あ~・・・悔やまれる・・・
くそったれが!と何も無い空間を手で掴む
ムニョンと心地よい弾力が・・・
ん?んん・・・?調子に乗って感触を楽しんでみる
これは病みつきに・・・
「いい加減にせい!」
「い・・・・ってぇ・・・!?」
目から今星が出たよ星が!
ってそれよりも今の声は・・・?!
「雪華(せつか)さん!?」
「まったく・・・これ以上大きくなったらどうしてくれるんじゃ
白(はく)が責任とってくりゃれ?」
「いやいやいやいや!責任とるのはいいけど、何でここに!?」
「ここはおぬしの夢というか精神の中でありんす、一応わっちと融合しとるからの
こうやって白が深く眠っておるから可能でありんす」
「深く眠って・・・?という事は俺は生きてるの?」
「無論、わっちが代わりに戦ったからの~
白よ虎気(こき)を全開にするのはよいが、その野生の欲望に飲まれるでないぞ
その欲望を飼い馴らせ・・・まぁ習うより慣れてくりゃれ?」
「無茶ばかり・・・でも今後もいざとなったら雪華さんが助けてくれないの?」
「この阿呆!手助けは今回だけの特別でありんす
というか手助けはもう無理じゃから次回はもう諦めてくりゃれ」
「それは・・・どういう・・・?」
「白の代わりに戦った代償といったがよいかの
わっちの気が白の中にもう残ってないのじゃ
じゃから最後の別れをこうやって・・・おおう!?」
思わず俺は雪華さんを抱きしめてしまった
そして「ごめん・・・なさい」と泣く事しかできなかった
雪華さんはため息を一つして俺を抱き止めながら頭を撫でて
「全くいつまで立っても白は子供じゃな」ととても優しい声で言ってくれた
「さて・・・そろそろ時間でありんす」
そう言って頭を撫でるのをやめて、俺の顔を見る
「嫌だ・・・嫌だよ雪華さん・・・」
それに対して俺は本当に子供だな・・・顔を横に振って拒絶する
確かに肉体的に一度は会えなくなったが
それでも俺の身体の中、心の中に確かに生きていたから良かった
それさえも無くなってしまったら俺は・・・
「白よ聞いてくりゃれ」
俺はただ無言で涙の止まらない目で雪華さんを見つめる
「わっちという存在は白の中から消えてしまいんす
だけどわっちと白が一緒に居たという痕跡は決して消える事はないのじゃ
じゃから、白は笑ってわっちを見送ってくりゃれ
わっちは白がわっちの元に来て、本当に嬉しかった
本当にわっちと共に生きてくれてありがとう
そして・・・また会える日まで・・・暫しお別れじゃ・・・」
そういうと雪華さんは白く光輝いて、俺は再度意識が無くなってしまった
「・・・く!・・ませ!!起・・・く・・・・白!」
誰かが俺を呼んでいる声がする
俺はそれに応える為に目を開けるが・・・真っ暗だ
「くそっ!目を覚ましてくれ白!!まだ気が足りないのか!!」
さらに大きな声で完全に意識は覚醒した・・・はずだが
「白!俺が分かるか白!!」
「ああ・・・凰飛(おうふぇい)だろ?」
「やっと起きたか!無茶しやがって!!」
「すまねぇな、思った以上に無茶やったせいで身体が動かん」
感覚的に手足を動かして身体を起こそうとするけど全く動かしてる感触が無い
というか動いてないのか?
それに目は開けてるはずなのに真っ暗なまま・・・失明か?
「白、今俺が全身に針を打ってなんとか治癒してるが
お前の身体の中の気はかなり乱れているし
筋肉という筋肉もズタズタになっていて暫く動けない・・・」
「そう・・・か・・・
後、すまない目も見えないわ」
「なんだと!?くっ・・・師匠ならもっと良い治療ができるのに
俺の力がないばかりにすまん!」
「いや、十分すぎるさ・・・おまえだからこそ俺は生きてるんだろうしな」
「お前が動けるようになるまで俺が必ず治療してやるからな!」
「おう、期待してるぜ未来の名医殿」
「はっ!そんなお世辞言えるなら峠は越したよう・・・だ・・・な」
どさっっと倒れこむ音がする
それからいびきをかく声も・・・
ちくしょう、こんなになるまでずっと気を送り続けてくれてたのか
華陀(かだ)お前には一生頑張っても返せない恩ができちまったな・・・
しかし、聖域だのなんだのどうなったのか全く分からないな
それにトイレしたくなったらどうすりゃいいんだ?!
華陀にお世話になるの・・・か?いやああああああああああああああ!
色々と無くした物が多すぎるけども、華陀が起きたので事情を聞いてみた
華陀が離れた後にとてもでかい気を感じた
心配なので戻ってみると、虎の形をした気が敵を倒していた
虎の形の気が何かを銜(くわ)えて岩に突撃すると虎が霧散すると同時に
岩から大きな樹が生えた
大きな樹の根元に俺が瀕死の状態で倒れてたので針を打った
そして起きるまで気を送り続けてくれていた
普通なら華陀自身が先に倒れてもおかしくないのに不思議な事に疲れるものの
身体の中の気が無くなる事はなかったようだ
これはちゃんと聖域化されたってことなのだろうか・・・
しかし、されたとしても雪華さんはもういないってのにな・・・
それでも聖域になった事で俺が生き延びたから雪華さんの想いと共に生きよう・・・
「お、そうだそれとだな白」
「うん?まだ何かあるのか?」
「身体に感触が無いから実感できないのかもしれんが・・・」
「確かに何も感じないな、耳と声だけは大丈夫だが」
「お前の顔をちっちゃい白い虎がずっと舐めてるぞ」
「何ですとおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「くふっ、白の中から居なくなるが
わっちは白の前からは居なくなるとは言っておらんからの」
そんな雪華さんの意地悪い声が聞こえた気がした・・・
あとがきっぽいもの
これでとりあえず最初の目的は達成です!
雪華さんはいなくなりませんでしたっ!
当初はある時期にここに戻ったら雪華さんがいましたってのと
白が暫く完全に復活する間で一緒に聖域で過ごすという2択を考えて
後者にさせていただきました。
どうでもいい悪役なら排除できるんですけどね・・・
最初のオリキャラということもあり退場させる勇気がでませんでしたorz
次回は白が完全に回復してからのお話から始めるのでちょっとだけ時間が飛ぶ予定です
そんなわけで次回も駄文にお付き合いお願いしますm(_ _)m
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この物語はオリ主をメインとした外史です
チート・ご都合主義・オリキャラ満載でお届け中です
苦手な人はご遠慮下さい
大丈夫な人は駄文にお付き合い下さいm(_ _)m
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