No.489109

魔法少女イレギュラーなのは~19~司「日常と非日常」

これは、転生者達が、リリカルなのはの世界で転生生活を頑張るお話。

ペルソナ募集!

理由はありまして……。

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2012-09-27 12:52:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1916   閲覧ユーザー数:1858

 

今日もいい天気だ。

学校からの帰り道、雲一つない青空を見ながらそう思う。

 

図書館ではやてに初めて出会ってから、一週間が経とうとしていた。

 

はやてとの会話は実に楽しい。

神話関連で話が盛り上がるのは勿論、話の流れがかなりスムーズになるんだ。

 

僕もはやてもそれなりにボケとツッコミの両方をこなせる事から、なかなかの調子で話す事が出来る。

 

さて、家に早く帰って、図書館に向かうとしよう。

 

女の子を待たせるのは、良くないだろうしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図書館。

僕は机の上に宿題を広げ、手を適当に動かしながらはやてと話していた。

 

はやては足の不自由さのせいで学校にも行けない状態らしく……僕は宿題をやりながら、軽く彼女にレクチャーする形となっていた。

 

「でも、司君凄いなぁ。どの宿題もすらすらやっていくやん」

 

……言えない。

まさか前世では高校生でした、なんて絶対言えない。というか信じてもらえない。

 

「……まあ、色々あって、さ」

 

こんな誤魔化しにも、はやてはふうん、と呟くのみだった。

 

「……そういえば。司君の家族ってどんななん?」

 

「……どうしたの?急に」

 

「あ、いや……司君って、妙に大人っぽいし……どんな家族なんかな、思うて」

 

大人っぽい、か。

まさかそんな事を言われるとはね。

でも、それ君にも当てはまると思うよ?君も十分小学生の割に大人びてるって。

 

「叔父さんとの2人暮らしだよ。両親は……事故で死んだ」

 

なるべく、淡々と話す。

孤独なのは慣れっこではあるし。無闇に暗い雰囲気にする必要もない。

 

「……そっか」

 

ぽつりと、それだけを彼女は呟いた。

 

「……はやては?」

 

「私も、親はおらへんねん……事故で、2人とも亡くなってしもうてな……」

 

……そうだったか。まあ、1人で図書館へ来てる事もふまえると、予測出来る事だったけど。

 

「もう、色々大変やねんで?洗濯とか料理とか、全部1人で出来るようになってしもうたし」

 

笑っているのは、強がりなのかな。心の底から笑ってるようには見えない。

 

笑い方もどこかぎこちないし、何よりその眼は絶対に笑っていない。

寂しくてたまらないと訴える、そんな眼。

 

 

 

……かつて、僕が鏡で見たような。

 

 

 

……なら。

 

「……ねえ、今度機会があれば君の家に遊びに行って良いかな?」

 

え?と目を丸くする彼女。

 

「さっき、料理が出来る、って言ったでしょ?どっちが美味いか、勝負しない?」

 

僕に出来る事は、これぐらいしかない。

 

きょとんとしていた彼女だが、やがてニヤリと笑った。

 

「ほほう……なら、負けた方は買った方の言う事何でも1つ聞く、で行くで」

 

「賭けるの!?お、お手柔らかにね」

 

……何か嫌な予感が……。

でもまあ、さっきみたいな笑みに比べればこっちの方が良いや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳で、帰り道。

 

夕焼け空の下、道路に長い影が延びている。

 

「……んーっ、と」

 

背伸びをしながら、とりあえずこれからすべき事を考える。

 

……料理の練習しとくかな。

 

大抵自分で料理を作ってるから、問題ないとは思うんだけど。

そんなに酷い賭にはならないはずだけど、念の為。

 

何が良いかな……オムライスとか?それとも野菜中心で行くべきだろうか?

 

うーん。

 

 

 

 

 

「ヴォォォォ……」

 

 

 

 

 

……。

人じゃ出せない言葉が聞こえた気がするんだけど。後ろから。

 

恐る恐る振り返る。

 

 

 

 

 

「ヴォォォォ……」

 

 

 

 

 

男性の姿をしてはいるけど。

身体の所々が黒ずみ、目は焦点が合っておらず、口からは舌をダラリと出しながら呻き声を漏らす。

 

……ホラーだ。

 

というか、バイオハザードだ。

 

え、ウイルスでも蔓延してるの?噛まれちゃ駄目とか、そういう話?

 

……いやいや。

とりあえず落ち着こう。

 

これは、「敵」だ。

 

どうする。

 

まずは。

 

 

 

「……セット、アップ!」

 

『Stand by、set up!』

 

 

 

左手首に紐とリストバンドで固定していた赤い宝石を掴み、「合い言葉」を口にする。

 

左手に、籠手が出現した。

 

それと同時。

 

 

 

ドクン!

 

 

 

心臓が強く波打った。

同時に、軽い目眩に教われる。

 

 

 

ドクン!

 

 

 

また心臓が波打った。

同時に、今度は右手に暖かみを感じる。

 

見れば、そこには一枚のカードが。

 

どこぞの主人公みたいに握り潰すのかと思うが、頭に情報が流れ込んできて、何をすべきかを教えてくれた。

 

 

 

 

 

「ペ」

 

唇が震える。

頭がくらくらする。

 

「ル」

 

高揚感がだんだん強くなってくる。

心臓がまた波打つ。

 

「ソ」

 

喉が乾いてたまらない。

身体が熱くてたまらない。

 

「ナ」

 

 

 

 

 

そして、カードを籠手の隙間に押し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

『Persona awaken、The fool!』

 

 

 

 

 

 

 

カシャン、と。

薄いガラスが割れるような音。

 

僕の背後に、「それ」は姿を現した。

 

 

 

 

 

【我は汝……汝は我……我、生死を歪めし者、アスクレピオスなり……!】

 

 

 

 

 

僕にどこか似た顔立ち。

白のコートを纏い、両手に持つは1匹の大蛇。

 

これが。

これが、僕のペルソナ……!

 

「行け!」

 

『Sonic punch!』

 

僕の声を受け、カムイから指令がアスクレピオスに伝えられる。

 

アスクレピオスは蛇を器用に扱い、鞭のようにしならせて僕に襲いかかろうとした相手に叩き付けた。

 

相手は吹っ飛び、動かなくなる。

 

アスクレピオスも役目を終え、姿を次第に薄くして消えた。

 

 

 

……ふう。

 

……凄いな……出せたよ、ペルソナ。初めての召喚にしては上手く行ったんじゃないかな。

 

また右手を見ながら念じてみると、「愚者」の絵が描かれたカードが出現した。なるほど、案外簡単だ。

 

いつでもまた召喚出来る体制のまま、ぶっ飛ばした相手に近付いて様子を窺う。

 

 

……っ。

 

 

男性の身体のあちこちから、黒ずんでいた部分が消えていく。

ものの十数秒で、その身体は元通りとなった。

 

「……う」

 

気を失ってるみたいだけど、呼吸とかはちゃんとしてるみたいだ。

念の為服を捲って見てみるけど、結構な打撃を喰らった気がする、割には外傷は全然無い。

 

……大丈夫みたいだ……って。

あれ?

 

 

 

 

 

何で周りに人が1人もいないんだ?

 

 

 

 

 

こんな時間帯なら、まだ買い物帰りの人とかもいそうなものなのに。

 

何で?

 

 

 

……っ!

 

 

 

みんな、あの様になってるとしたら?

 

真っ先に、あの車椅子の少女の事が思い浮かぶ。

マズい!

 

急いで走り出す。

 

って!僕あの子の家知らないじゃないか!

 

ええい、「八神」なんて名字、そうそう無いはずだ!

それに車椅子だし、図書館からもそう離れた距離じゃないはず!

 

というわけでとりあえず道を引き返して猛ダッシュ。

 

 

 

 

 

はやて、無事でいてくれ……!せっかくの、友達なんだ……!

 

 
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