No.489088

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第八十四技 悔しさの中にも

本郷 刃さん

第八十四話です。
75層ボス戦が終わって・・・・・・。

どうぞ・・・。

2012-09-27 10:25:14 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:12339   閲覧ユーザー数:11587

 

 

 

 

 

 

第八十四技 悔しさの中にも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

激しい戦いが終わり、みんな回復アイテムを使ってHPを回復している。

 

ほとんどの者が地面に座り込んでいる中で、俺はアスナの側に行き、優しく抱き締めた。

 

「アスナが無事でよかった…」

 

「うん…」

 

周囲を見渡してみんなの安否をもう一度確認する。

 

クラインと『風林火山』のメンバーにエギル、『黒猫団』も消耗こそしているものの全員が無事だ。

 

『黒衣衆』のみんなもダメージを負ったりしたが、全員健在だ。俺は取り敢えずホッと胸を撫で下ろした。

 

「キリトくんは大丈夫? ずっと、ボスとまともに戦ってたけど…」

 

「大丈夫だよ。アイテムを使って全回復もしたし…」

 

アスナに心配を掛けてしまったが、今回はお互い様だ。俺もハラハラしてたしな。

 

俺はアスナの頭を優しく撫でておく。アスナは嬉しそうな表情で受け入れている。

 

そして俺は、気になっていた二人に話しかける事にした。

 

「ヴァル…ルナリオ……。お前達は大丈夫か?」

 

「ボクは大丈夫っす」

 

俺が聞くとルナリオはしっかりと答えた。けれどヴァルは…。

 

「キリトさん…。三人……死にました…」

 

「ああ……」

 

「僕……くやしいです…! また、犠牲者が増えました。僕の目の前でっ…!」

 

「……そうだな」

 

自分には力があるのに、人を守れなかったとヴァルは後悔しているのだ。

 

だけど、俺はそれだけじゃないと思う。なぜなら、

 

「だけどな、ヴァル。お前のお陰で二人を…ここにいる皆を助けられたじゃないか。勿論、ルナリオもだ…」

 

「「キリトさん…」」

 

俺はそう言うと二人に周りを見るように促す。そこには皆が笑みを浮かべていた。

 

確かに三人は犠牲になった。けれど、ここに居るみんなは生き残る事が出来た。

 

それは誇れることだと思う。

 

「あまり背負いすぎるなよ…。俺達仲間がいるからな」

 

「「っ、はい!」」

 

二人揃ってしっかりと答えてくれた。これならきっと大丈夫だろう。

 

そこに、先ほど二人が助けた三人のプレイヤーが歩み寄ってきた。

 

「ありがとう! 君達のお陰で命拾いできたよ」

 

「君達は俺達の命の恩人だ。本当にありがとう!」

 

「ありがとうございます!」

 

「いえ、そんな…」

 

「いや~、ははは…」

 

礼を言ってきた三人の言葉にヴァルもルナリオも戸惑っている。

 

いつもはビーターだからという事で人との関わりが少ないから、

あまり馴染みのない人に言われると戸惑うというのはわかる。

 

「お前らは誇っていいんだぜ。人の命を助けたんだからよ」

 

「今回のMVPはお前達二人だ」

 

クラインとエギルの言葉に周囲からの反対は一切ない。

 

「それでは、そんなMVPの二人に大きな拍手を!」

 

――――パチパチパチパチッ!!!

 

クラインが暗い雰囲気を払拭するかのように宣言したみんな随分とノリがいいな。もしかしてあれを聞くためか?

 

「よし、それじゃあMVPにインタビューだ……さっきのは一体なんだ!」

 

クラインがそう言い放った、やはりか。おもわず体勢を崩しそうになったが堪える事ができた。

 

周囲のみんなもかなり興味津々の様子だ。俺とアスナと黒衣衆は呆れて苦笑してしまう。

 

「あははは、やっぱりですね……。僕のはエクストラスキル《神速》です」

 

「ボクのもエクストラスキルで《破壊震》っす」

 

「「「「「おぉ!」」」」」

 

二人の回答にざわめきが起こった。新たなエクストラスキルが明かされたのだ、驚くだろうな。

 

「出現条件は!?」

 

クラインの問いかけに俺は既視感(デジャヴ)を感じた。俺の時もこんな感じだったよな。

 

「その、すいません。わからないんです…」

 

「ボクもっす。すいません…」

 

「キリトの時と同じで二人もいきなりスキルの欄にあったのか」

 

「「はい(っす)」」

 

ヴァルもルナリオも申し訳なさそうに謝った。

 

そうなのだ、この二人も俺と同じパターンだ。

 

「二人のもユニークスキルという事か…」

 

エギルが呟いた。

 

俺と同じで一人しか発現しない、または出現条件が不明なのでユニークスキル扱いだ。

 

二人も一時の間は俺と同じかもな。さきに牽制をかけておくか…。

 

「ヒースクリフ。俺の時みたいに立ち合いはさせないからな…」

 

俺は圧力をかけてヒースクリフに言っておいた。俺の時みたいにはさせたくないからな。

 

「君ならばそういうと思ったよ。わかった、干渉はしないと誓おう」

 

ヒースクリフが了解の言を放ったので一先ずは安心だ。それでも少しの間は騒がれるが。

 

「犠牲者はでてしまったが、我々は勝利する事ができた。

 この後は、76層への転移ゲートのアクティベートに向かう。

 これ以上進むのが辛い者達などは各自、部屋を出てから≪転移結晶≫を使い、戻るように。

 まだ進めるという者は私と共についてきてくれ。では、解散!」

 

ヒースクリフの宣言でプレイヤー達はそれぞれに行動を始めた。

 

帰るべき場所に帰る者、このまま先に進む者などいる。

 

黒衣衆と風林火山のみんなは先に進み、黒猫団とエギル、俺とアスナは戻る事となった。

 

転移結晶を使って帰った俺とアスナはホームに着いてから装備を外してすぐに眠ってしまった。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

今回は戦いが終わった直後を書いてみました。

 

まぁ、75層のボス攻略後のやり取りみたいなものですね。

 

次回を終えると新編に入ります、お楽しみに。

 

ではでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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