No.485541

【デジモン】Hanting ACtion 02

主催している企画、デジナミワールドオンライン【http://www.tinami.com/view/236070 】の番外編になります!
※前作【http://www.tinami.com/view/403919

かなり期間が空いて申し訳ないです。意外と難産でした…

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2012-09-18 02:15:08 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:889   閲覧ユーザー数:886

クエスト名 Hanting Action

依頼主 時計屋

 

時計屋より

ああ、困った。実に困った。

え?一体どうしたのかって?

喧嘩だよ、喧嘩。それも性質の悪い。

誰と誰がって?アスタモンとベルゼブモンだよ!

アイツら、元々仲が悪かったんだけど、とうとう喧嘩を

始めてしまったんだよ!

あのデジモン達が喧嘩を始めてしまったものだから、

手下のデジモン達もお祭り騒ぎのように争い始めて

頭が痛いの、なんの……

そうだ!君、よければこの喧嘩を止めるのを協力してくれないか?

お礼はもちろんするからさ!

 

クエスト内容

 

アスタモンorベルゼブモンのハンティング

又は、各勢力の手下デジモンのハンティング

 

【Hanting ACtion 02 Side エレクトラ】

 

ケラモンの姿を経て、クリサリモンへと進化したツメモンは、大地より少し浮き上がったままの

体制で微動だにせず、また言葉を発する事無く、背中に生えたうねる鎖のような触手を

空中へと伸ばす。

メタルグレイモンの体を絡めとるように素早く伸びる触手だが、その巨体からは想像出来ない俊敏さで

触手の間を潜り抜け、合間からギガデストロイヤーで応戦。触手の合間より迫りくるミサイルを叩き落とすために

本体へと群がっていた触手はやむなく向かってくるミサイルの雨の迎撃に回る。

傍目から見れば、明らかにクリサリモンの不利。

しかし、エレクトラの目には取り立てて、クリサリモンにもそのパートナーにも焦りがないように見えた。

「……」

隣のモギ少年がデジヴァイスを固く握り締め、唇をきつく結ぶ。

頭の上のファンビーモンもどこか不安そうだ。

「そんな不安げに見なくとも…」

「だって、防戦ばっかりじゃない」

「防戦の割りに余裕が見えるし、クリサリモンが疲弊してる訳でもない。恐らくは何かしら手があるんじゃないかしら」

落ち着いた言葉を紡ぐ。

目の前の攻防に関しては恐らく、自分達の出る幕はないであろうと確信はしていた。

あくまでも、目の前の攻防に関しては、だ。

「誰かおりますわね」

レイラの小さな声にエレクトラは頷く。

先程よりずっと感じている誰かしらの気配。周辺マップを表示しても自分達以外の表示はないが

刺すような視線をずっと感じていた。

「見られてるわねぇ」

顔は動かさないまま、視線を軽く動かし、何となく相手がどこにいるか検討をつける。

そしておもむろにデジヴァイスを取り出すと、ユーザー装備用アイテム「木蹴りブーツ」を選択。

足に装着させる。

「ちょっと行ってくるから無闇に動かないでね」とモギ少年に言い聞かせてからゆっくりと

視線の主がいると思しき木の下へと赴く。

「えーと、確か」

格闘術が得意な親友の姿を思い浮かべ、記憶の中の彼女の構えを真似る。

多少は様になっているだろう、と胸中で呟きつつ、気合一閃!

 

「落ちろ!!蚊トンボ!!!」

 

バキッ!!と盛大な音と共に木が大きくしなる音が聞こえる。

恐らく親友が蹴っていれば木が折れていただろう。

「うわああああ!!」

叫び声が徐々に近づいてきて、あっという間にドシンと言う音と一緒に人影が下に落ちる。

「いってえ……!」

目つきの悪い、黒髪の男だった。金色の目がまるで猫のように輝き、暗い光を灯す。

「あらあら、木の上からデジモンではなく人が落ちてきましたわよ?」

「テメェ…!木蹴りブーツで人の事落としておいて白々しいんだよ…!」

「よく言うわ。人に穴を開ける勢いで睨んでた癖に」

「あれだけ敵意の篭った視線を向けておいて、相手からそれを返される可能性を考慮していないなんて…

体たらくにも程がありますわ」

樹上から落ちてきた男は、ぐ、と言葉を詰まらせ、ぎりぎりと歯軋りをする。

カルシウムが足りてなさそうだな、と思いながらも油断なく見つめていると、

また上から何かが落ちてくる音がする。軽く耳を澄ませると、鳥の羽ばたく音だ。

「パートナーが失礼をした」

ホークモンだ。黒髪の猫目青年のパートナーだったのか、と胸中でごちりながら

恭しく一礼をしているデジモンを見据える。

「アーザーテメェ…何勝手に謝ってやがる!」

「しかしメジロ、理由があったとは言え、睨むと言うのはよくな…」

「うっせぇ!俺が蹴り落とされてしかも腰を打ったのは事実なんだよ!」

腰をさすりながら、メジロと呼ばれた男は立ち上がる。

その手には黒いデジヴァイスが握られていた。

「アーサー構えろ!コイツだけは許せねぇ!」

「よさないか、ここで私達が戦っても何もいい事はない。それに、敵意のある視線を向けられて気持ちがいいと

思う人間などいないだろう?」

何を言われても戦う気はない。と付け加えて憮然とした表情で腕を組むホークモンのアーサー。

それでも尚喚き立てようとするメジロだが、とりあえず何も進まないので敢えて無視。

「それで、何故私達を睨んでいたのか理由は聞かせて頂けますの?」

レイラも方針は同じようだ。涼しい目線で生真面目なホークモンを見据える。

「失礼な事をしたのは重々承知しているのだが…理由は明かす事が出来ない」

「明かせない、ね…あのメタルグレイモンと戦ってる子と何か関係があったりする?」

「答えられんな」

答えられない、という事は恐らくではあるが、関係があると見て間違いはないだろう。

この先を聞くにしても、生真面目なホークモンが口を割ってくれるとも思えない為、そこまで

分かれば上出来だ。

ましてや、彼らの事情に首を突っ込む必要などない。故に、知る必要もない。

この時点まではそう思っていた。

 

「ファンビーモン!進化だ!!」

 

「…え?」

 

モギ少年がいた方向からいつもよく耳にするバトルの時の掛け声が聞こえる。

確か自分は無闇に動くなと言い聞かせていたような気がしないでもないが実は言ってなかったのだろうか。

脳内で言っていたのだろうか。それとも声が小さすぎて聞こえてなかったのだろうか。

一瞬にして様々な考えが脳内を駆け巡る。

盛大なる嫌な予感を持って振り返れば、そこには進化の眩い光。

そしてファンビーモンがワスプモンへと進化した姿。

「ねえ、レイラ」

「皆まで言わずとも言いたい事は分かりますわ」

こめかみに指を添えて軽くトントンと叩く。現実である事を認めたくない気持ちは沸くものの、

起こってしまった事はしょうがないし、否定しても始まらない。

気持ちを切り替えて行かねば。

【Hanting ACtion 02 Side モギモギ】

 

 

「ワスプモン!お願い!」

「オーケー!モギモギ!」

 

尾に搭載された大きな口径のレーザー砲に大きなエネルギーが光を伴って集中する。

眩い輝きに照らされたワスプモンの体にはっきりとした陰影が映し出され、ゆらゆらと揺れた。

やがてエネルギーは臨界点に達し、荒ぶる光の塊を吐き出す!

「ターボスティンガー!」

光の筋がメタルグレイモンに集束し、爆ぜる。

眩い閃光と共に咆哮が轟く。轟音に耳を塞ぎながら、クリサリモンのテイマーの元へと駆け寄った。

横合いからいきなり出てきた援護に驚きを隠せないような表情で自分を見つめている。

「……何?横殴り?」

驚いた表情から一転、訝るような目つきでじっと自分を見据える。

あわててモギ少年は両手と頭を左右に振ってそんな意思はないと言葉を返した。

ちなみに、横殴りと言うのは、誰かが敵と戦っている横から手を出し経験値やアイテムを奪っていく行為だ。

確かに手助けは横殴りと紙一重になりがちではある。しかし、自分はそんな事はしない。

純粋に、危ないと思ったから手助けしたまでだ、と懸命に訴えかける。

「えっと、僕はモギモギ。キミは?」

「横殴りじゃないなら、自己紹介や言い訳する前に自分のデジモンに指示を出しなよ…ヨミ、データクラッシャー」

少し高めのハスキーボイスで指示を紡ぐ。クリサリモンのヨミは言葉を聞き届けるや否や俊敏に触手を

動かし、相手へと向かわせて鋭い牙のような触手の先を突き刺す!

しかし、寸での所でメタルグレイモンは体を捩り、抜け出てしまった。

「ヨミ!狙い続けて!」

触手がまるで蛇のように幾重にも幾重にもうねり、巻き上がり、空を裂き、メタルグレイモンへと

絡み付こうとするが、捕らえるには至らない。しかし、あれだけ執拗に攻められればいずれにしても

スタミナが持つとも思えない。ならば、狙うは大技だ、と瞬間的に判断し、空中で応戦するワスプモンに声を飛ばす。

「ワスプモン!よーく狙ってベアバスター!」

瞬時にレーザー砲へ毒を溜め込み始めるワスプモン。隣のヨミのテイマーは自分の狙いを把握したらしく、

より一層激しく狙うようにと指示を飛ばす。しかし、それはメタルグレイモンにも聞こえていた様で目の色を変えて

ヨミの触手を体を翻して避けつつ、ワスプモンへと向かって行く!

「わ、ワスプモン!避けて!」

「溜めてるのに動けるわけないだろう!ヨミ!」

「ご、ごめん!さすがにすぐに動けないし!」

素早い触手の動きを避けるため、メタルグレイモンのスピードは思いもよらず、速い。

「ワスプモン!!」

「避けられ、ない!」

苦々しげなパートナーの声が響き――

 

「ウィンドオブペイン!」

 

後もう少しで、と言う所で、ゲリラ豪雨が如く降り注ぐ、鋭い矢。

頭上からいきなり降り注ぐ奇襲に成す術もなく体制が揺らぎ、その僅かな隙を突いてヨミの触手が

メタルグレイモンを絡め取り、動きを封じる。

そこにタイミングよくベアバスターのエネルギーのチャージが終了した。

狙うなら今しかない。

「ワスプモン!」

「ベアバスター!!」

猛毒を孕んだエネルギーが一気に解き放たれる!凶悪なまでに強力な力の塊は真正面からメタルグレイモンに

ぶつかり、相手の体力をガリガリと削って行く!

やがて、メタルグレイモンの体力を示すHPバーは空になり、巨体はぐらりと傾いて、地面に降下しつつ光となって

消えていった。

「やったぁ!」

思わず、ヨミのパートナーの手を取り、ぶんぶんと振り回す。少々迷惑そうな顔をしながらも、されるがままなのは

悪い気がしてないからなのだろうか。

「ちょっと、痛いよ」

と思ったが、その後数秒も経たないうちに怒られてしまった。

「あ、ごめん。えっと…」

「……アルマ。さっきのクリサリモンはパートナーのヨミ」

「アルマ……さん?」

「いいよ呼び捨てで」

言葉にモギモギの表情がぱっと明るくなる。何度も頷き、自分も再度自己紹介をした後に、

背後に気配を感じて振り返る。シューツモンを従えたエレクトラだった。

シューツモンはレイラが風のビーストスピリットで進化した姿だ。

「アルマ!この人はエレクトラさんとパートナーのレイラ!エレさん!このひ…」

ごちん!

最後まで言い終わる前にモギモギの額にチョップが炸裂した。

「いっ…たい!エレさんひど…」

「モギ君?あたし、無闇に動くなって言ったと思うんだけど…?」

「あ、あわわ…え、えっとですね、これには深い訳が…」

言い訳を探しながら目を泳がせ、レイラと視線が合ったので助けを求めてみようと

試みるが、同じく視線は冷たい。

「あら、自業自得ではなくて?」

「わ、わ、え、えっと…ご、ごめんなさーい!!」

レイラに見捨てられ、やはり大した言い訳も思いつかなくて叫び声を上げながら必死に許しを

請うハメになったのだった。

 

 

――――

 

「とりあえず、今回は撤退だな。目ぼしい収穫はなかった」

「ちっくしょー…!あの女スピリットマスターの邪魔が入らなけりゃ…!」

いつまでも悔しそうに地団駄を踏んでいるパートナーにこっそりとアーサーは溜息を零したのだった。

 

02 fin


 
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