No.482384

いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した第六十一話

たかBさん

第六十一話 ありがとう

2012-09-10 21:56:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:7406   閲覧ユーザー数:6742

 第六十一話 ありがとう

 

 

 砂漠だけが広がる管理外世界でアルフは目の前にいる闇の書の欠片の少女と話し合っていた。

 

 「…フェイト」

 

 「…アルフ。邪魔をしないで。お母さんがジュエルシードを待っているの?だからどいて」

 

 「ジュエルシードはもういいんだ。フェイト。フェイトがもう無理をしてジュエルシードを探す必要なんてないんだ」

 

 「アルフ。そんなことを言わないで。お願い、私と一緒に探して…」

 

 「フェイトォ…」

 

 アルフはとある管理外世界でフェイトの形をとった闇の書の欠片を見つけた。

 この欠片のフェイトはこの世界にいた魔導師たちを襲い、彼等から魔力を強奪していた。

 

 「アルフ。ほら、見て。…さっきの人達に斬りかかって見たらジュエルシードが出てきたんだよ?」

 

 フェイトは刈り取ってきた魔力。リンカーコアをアルフに見せる。

 傷だらけの腕。やつれた頬。隠せない疲労をその目に宿していた瞳。これは明らかになのはと決闘する前の状態のフェイトだった。

 そのフェイトの手の中でキラキラと光るリンカーコア。これがこの目の前にいる欠片フェイトにとってジュエルシードに見れるらしい。

 

 「違うんだよ!フェイト!ジュエルシードはもういらないんだ。プレシアももういらないって言っていた!だから…」

 

 「母さんはそんなことは言わない!」

 

 「フェイトそれはリンカーコアなんだよ。そんな物を集めてもプレシアは喜ばない」

 

 「アルフ!アルフは私の使い魔なら私の言うことを聞いて!」

 

 「…フェイト」

 

 アルフは悩んでいた。

 目の前にいる闇の書の欠片のフェイトだという事はわかる。だけど、目の前にいるフェイトもまたアルフのご主人だという事。彼女は一生懸命に頑張っているということ。

 

 「…フェイト。ごめんよ」

 

 「…そう、邪魔をするんだね。それなら」

 

 主従の影が二つ、砂漠の世界で交差した。

 

 

 

 「…これは、私のまいた種よね」

 

 「…プレシア」

 

 私はモニター室で闇の欠片で出来たフェイト。そして、戸惑いながらもそのフェイトと戦うアルフを見て心を苦しめられた。

 闇の書の欠片はフェイトから蒐集した時に彼女の記憶をもとに魔力を集めている。

 フェイトはジュエルシードを集めていた。

 欠片はそれを魔力。リンカーコアに書き換えて欠片のフェイトに集めさせている。

 それを止めにかかっているアルフを見てプレシアはとても見てはいられなかった。

 ジュエルシード事件以降も訓練を欠かさずに行ってきたアルフだったのでコピーフェイトの攻撃はかするものの決定打を与えられることは無かった

 じわじわとだがアルフがフェイトを押していく。

 闇の書の欠片のフェイトはカートリッジシステムを搭載していなかったため。アルフが圧勝のペースで事が進んでいった。が、フェイトが苦しそうな顔を見せるとアルフの拳から覇気が消える。そして、そこの隙をつかれてアルフに一つの魔力砲弾が撃ち込まれる。

 その時の衝撃で体勢を崩したアルフにバインドをかけてファランクスシフトの体勢になった。

 「ちょ、あのフェイトちゃん。アルフを殺す気なの?!」

 

 「…ユーノ君。私をあそこに連れて行きなさい!」

 

 「…え?」

 

 「私の言葉ならあのフェイトは止まるかもしれない!だから早く!」

 

 「う、うん!リンディさん!あと、お願いします!」

 

 ユーノはプレシアの意図を汲んでプレシアの後を追うかのように打ついていく。それを見たリンディもまたそれが分かった。が、彼女は逆に止める。

 

 「無茶よ!プレシア!もし、あなたまで攻撃されたら…」

 

 「その時は僕守ります!だから!」

 

 ユーノの強い思いのこもった声を聴いたリンディは額に手を当てながら、条件付きで許可を出すことにした。

 

 「危なくなったら即撤退。いいわね!」

 

 「了解!」

 

 「わかったわ」

 

 そして、二人は今、アルフと闇の書の欠片のフェイトのいる場所に転送された。

 

 

 

 「フォトランサー・ファランクス…」

 

 「フェイトッ。やめなさい!」

 

 今まさに私に偽物フェイトの雷の球が打ち出される直前で聞き覚えのある声が響いた。

 

 「…母さん」

 

 「フェイト。もう、いいの。貴女は十分に私の為に働いてくれた。だからいいの」

 

 「でも、私は…」

 

 「フェイト…」

 

 プレシアはユーノの魔法で欠片フェイトの傍まで来ると彼女を優しく抱きしめた。

 

 「…え?!か、母さん?」

 

 「よく頑張ったわね。フェイト。ありがとう。もう十分よ」

 

 欠片のフェイトにプレシアがそう言うと欠片フェイトはその場に崩れ落ちるかのようにプレシアの胸の中に沈み込むそして、微笑みながら寝入ってしまった。

 アルフを縛っていた光輪も彼女をハチの巣にしようとしていた魔力の球体も消えていった。そして…。

 

 「…あ」

 

 「フェイト?!」

 

 欠片のフェイトの体中からぱらぱらと本のページのようなものが何枚も吹き出していた。

 

 「「フェイト!」」

 

 「慌てないでいいよ。母さん。これは闇の書が見たかった夢なんだから。私が見ている世界。それよりも臨んだ光景を見たから私は思い出したんだ。私は闇の書の欠片なんだって…。だから、私はこれから大本の所に帰るよ」

 

 「…夢?」

 

 「お願い!まだいかないで!私はまだあなたに言っていないことがいっぱいあるの!」

 

 「それは本物の私に言ってあげて…。私。嬉しかったよお母さん。『ありがとう』の言葉とても嬉しかったよ」

 

 「フェイト!」

 

 「アルフもごめんね。私は願いを叶えちゃったのにアルフにはこんなことまでしちゃって…」

 

 「…フェイト」

 

 そう話し合いながらも闇の欠片のフェイトの体の輪郭はどんどん崩れる。そんな娘の形をした欠片にプレシアは消えゆく彼女にも聞こえるように大きく叫んだ。

 

 「フェイト!ありがとう!愛している!」

 

 その言葉が届いたかは分からない。

 だが、闇の欠片のフェイトが最後に見せたその表情は涙を流しながらもとても優しい笑顔だった。

 

 その後、帰ってきた三人に続いて帰ってきたフェイトはプレシアとアルフにもみくちゃにされながらも歓迎されたという。

 


 
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