No.480529

ソードアート・オンライン デュアルユニークスキル 第五話 四十七層攻略

やぎすけさん

四十七層の攻略です。

2012-09-06 18:45:55 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3474   閲覧ユーザー数:3346

デュオ視点

午前3時

いつも通りの時間に目を覚ました俺は、大きく伸びをしてから立ち上がる。

とりあえず愛剣を装備し直してから、ベットに目をやる。

そこには当然ながらまだ寝ているシリカの姿があった。

それを確認してから、俺は外に出て新聞を買い、それを読みながら道具屋に向かう。

ここNPCのショップはプレイヤーの経営するショップより値段が高いが

ここ三十五層には知っているプレイヤーショップが無いため

NPCのショップを利用することにした。

転移結晶は充分あったので、回復ポーションと解毒ポーションと回復結晶を

それぞれ10個ずつ買って、店から出る。

それからしばらくの間、暇潰しに街を歩き回った後

フィールドに出てスキル上げのためにモンスターを狩り続けた。

そして時計が6:50を回ったので、俺は街に戻った。

宿屋に着くと俺は自分の部屋に戻った。

するとシリカが両手で顔を覆って身悶えている。

 

デュオ〈何してるんだ?あれ・・・〉

 

そんなことを思いながら俺は部屋に入るとシリカに声を掛けた。

 

デュオ「良く眠れた?」

 

するとシリカは、ビクンと体を震わせて振り向く。

 

シリカ「でゅ、デュオさん・・・!!」

 

デュオ「おはよう。シリカ。」

 

シリカ「お、おはようございます・・・」

 

シリカはそう言うと顔を赤くして俯いてしまう。

 

デュオ〈どうしたんだ?昨日会ったばかりの異性の部屋に寝るのってそんなに恥ずかしいのだろうか?〉

 

俺がそんな事を考えているとシリカが口を開いた。

 

シリカ「そ、その・・・ごめんなさい!ベッド占領しちゃって・・・」

 

デュオ「なんだそんなことか。別にいいって。いつもはフィールドで寝てるんだし。」

 

俺が笑いながらそう言うと、なぜかシリカは再び俯いてしまった。

その後、俺たちは1階に降りて朝食を摂る。

宿屋を後にして表通りに出る。

すでに明るい陽光が街を包んでいた。

とりあえず勧誘組に出くわす事無く転移門に到着した。

すると、シリカが

 

シリカ「あ・・・あたし、四十七層の街の名前、知らないや・・・」

 

と言ってマップを確認しようとする。

 

俺はシリカに右手を差し出す。

 

デュオ「俺が指定するからいいよ。」

 

シリカ「は、はい・・・」

 

俺が差し出した手をシリカはおずおずと握る。

それを確認した俺が叫んだ。

 

デュオ「転移!フローリア!」

 

一瞬の転移感覚の後、エフェクト光が薄れていく。

 

 

次の瞬間、目に飛び込んできたのは色取り取りの花が咲き誇る花畑だった。

 

シリカ「うわぁ・・・!」

 

その光景にシリカが歓声を上げる。

 

デュオ「四十七層の主街区【フローリア】。通称『フラワーガーデン』とも呼ばれていて、主街区だけじゃなくフロア全体が花だらけなんだ。」

 

シリカ「すごい・・・」

 

街にはたくさんの花壇と花が咲き乱れている。そんな中を手をつなぎ、楽しげに談笑にながら歩いてる男女も多く見受けられる。おそらくはカップルだろう。

 

デュオ〈カップルか・・・多分俺にはもう無縁の言葉だろうな。〉

 

俺がそんなことを考えていると、花を見ていたシリカが前の方を見て固まっている。

 

デュオ「シリカ・・・?」

 

シリカ「は、はい・・・!」

 

シリカは慌てて立ち上がるとパタパタと服を叩く。

 

シリカ「お、お待たせしました・・・!」

 

デュオ「どうした?」

 

シリカ「あぁ、いえ、別に・・・」

 

シリカはそう言いながら、嬉しそうに髪を整えている。

 

デュオ〈何を見たんだ?〉

 

俺はそんな疑問を抱きながらシリカと思い出の丘に出発した。

 

 

シリカ視点

デュオさんはフィールドに出る前にあたしに回復アイテムを渡し、

最後に転移結晶を取り出す。

 

シリカ「これは・・・」

 

デュオ「多分大丈夫だと思うけど、もしも俺が離脱しろって言ったり、最悪死んだ場合はこれで脱出して。」

 

シリカ「で、でも・・・!」

 

デュオ「約束して・・・」

 

その時のデュオさんの目は普段とは全く違って真剣なものだった。

デュオさんの真剣さにあたしは黙って頷くと、結晶を受け取ってポーチに入れる。

 

デュオ「それじゃあ、思い出の丘に出発!」

 

シリカ「はい!」

 

少し歩いてから、あたしは何か話そうと思ってデュオさんに声を掛けた。

 

シリカ「あの、デュオさん・・・」

 

その時、突然足に何かが絡み付いてきた。

それはあたしの足をぐっと引っ張るとそのまま宙吊りにする。

視界が反転し、それと同時に、スカートが仮想の重力によってめくれそうになる。

 

シリカ「わわわ!?」

 

慌ててスカートの裾を左手で押さえ、腰から短剣を引き抜く。

そしてモンスターに視線を向けるとそこにいたのは

【歩く花】だった。頭は巨大なひまわりのような形で、真ん中に大きな口から牙をのぞかせている。

あたしはその姿に激しい生理的嫌悪を催した。

 

シリカ「いやぁぁぁぁ・・・!!」

 

ほとんど目をつぶったまま我武者羅に剣を振り回す。だけど全く手応えが無い。

あたしは顔を真っ赤にしながら叫んだ。

 

シリカ「でゅ、デュオさん助けて!見ないで助けて!」

 

デュオ「見てどうこうなるわけじゃないけど・・・」

 

そう言うとデュオさんは、目を閉じてこちらに走ってくる。

そして正確にあたしを捕らえている蔦を切り裂くと言った。

 

デュオ「経験値のこともあるし、とどめは自分でさして。」

 

蔦を切られたことで支えを失ったあたしの体はモンスターに向かって落ちていく。

あたしはそのままの体勢からソードスキルを発動してモンスターを倒した。

ポリゴンの欠片を浴びながら着地したあたしは、振り向くやデュオさんに訊ねた。

 

シリカ「・・・見ました?」

 

デュオさんは閉じたままの目を指差して答える。

 

デュオ「これで、どうやって見ろと?」

 

それはそれで残念な気がした。

それから数回の戦闘でようやく戦いに慣れたあたしは

デュオさんの助けもあって快調にフィールドを攻略していった。

ドランクエイプ2体を一瞬で倒したことから、

かなりのハイレベルのプレイヤーだろうとは予想していたが、

12層も上にきているのに余裕を失う様子はない。

その後もモンスターが現れても基本無干渉だが、あたしが助けを求めるとすぐに助けてくれる。

だけどそうなると、それほどに強いプレイヤーが35層で何をしていたのか、

という疑問が出てくる。

 

シリカ〈この冒険が終わったら聞いてみよう。〉

 

あたしはそう思って、先に進んだ。

 

 

通常視点

そしてついに2人は目的地に到着した。

 

デュオ「と~ちゃく。ここが頂上だ」

 

シリカ「ここに・・・その、花が・・・」

 

デュオ「真ん中に岩があるらしい・・・」

 

デュオの言葉が終わらないうちに、シリカは走り出していた。

花畑の中央に白く輝く大きな岩にシリカは駆け寄り、恐る恐る岩を覗き込むが・・・

 

シリカ「ない・・・ないよ、デュオさん!」

 

デュオ「話を最後まで聞けって。テイマーが近づくと咲き始めるんだよ。」

 

目線を岩に戻すと、今まさに1本の目が伸びようとしているところだった。

その芽はみるみるうちに茎を伸ばし、花をつけた。

その花に触れる。【プネウマの花】という名前だった。

 

シリカ「これで・・・ピナが・・」

 

デュオ「ああ。心アイテムにその花の中にたまっている雫を振り掛ければいい。でも、ここは危険だから街に戻ってからにしよう。」

 

シリカ「はい!」


 
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