No.480032 SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 誕生日おめでとう キリト編本郷 刃さん 2012-09-05 10:04:40 投稿 / 全10ページ 総閲覧数:28128 閲覧ユーザー数:26915 |
前書き兼注意です。
この話しはネタバレを含んでおります。
ですのでネタバレが嫌な方々はいますぐブラウザの戻るでバックするか、別のページにとんでください。
読んでみたいという方々は是非お楽しみください。
舞台は現実世界ですが、全員をALOでのキャラネームで表示しています。
本編を呼んでいる方々に分かり易く読んでもらうための処置です。
時系列はGGO編に入る前ですのでシノンは登場しません。
シノンファンの皆様、申し訳ありません(ペコリ)。
それでは番外編をお楽しみに……。
SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 誕生日おめでとう キリト編
キリトSide
俺は非常に悩んでいる。多分この悩みは誰でも一度はある事だろう。
人によっては一年に一回は、複数回ある場合もあるが俺の場合は後者だ。
だが今回はそれ以外よりも遥かに悩むことだ。俺が悩んでいる事はずばり、
「アスナの誕生日プレゼント……どうしよう」
彼女への誕生日プレゼントだ。
勿論両親や妹、友人達へのプレゼントを悩んだ末に買った事もあるが今回は初めての彼女への誕生日プレゼントだ。
悩まない男などどこにいる。去年まではSAO内部に閉じ込められていた上に、彼女の誕生日など知らなかった。
SAOで結婚した時には既に誕生日は終わっていたのだ。だからこそ余計に悩む。
三日後の9月30日にはアスナの誕生日パーティがある。その日はみんな多忙になるからな。
~一週間前~
俺はアスナ以外のメンバーをALOのホームに招いている。
「悪いな、急に集まってもらって…」
「それは構わねぇけどよ、一体どうしたんだ?」
「アスナさんがいないみたいだけど…」
集められた理由を聞いていないのでクラインが訊ね、リーファはアスナがいないことを指摘した。
「それに関しては今から説明する……ユイ」
「はいです」
俺に呼ばれたユイは部屋の明かりを消した。
テーブルの椅子に座って眼鏡(伊達)を掛けた俺は某ロボアニメの司令官のように眼鏡を光らせる。
ユイは俺の斜め後ろで目と口を閉ざしながら後ろで手を組んでいる。同じく某ロボアニメの副司令官のようだ。
なんでそんな昔のアニメを知ってるのか、だって?仕様だよ。
俺とユイの様子にみんなに沈黙の間に沈黙が流れる。そして俺は口を開いた。
キリト「十日後に………」
キリト・ユイ以外全員「「「「「(ゴクリッ)」」」」」
キリト「……アスナの誕生日がある!」
―――ズコッ!
俺がそう言うとみんながズッコケた。狙い通り(笑)。
「それぐらいなら普通に言えよ!」
「こういうのを一度でいいからやってみたかったからな。あ、ユイもういいぞ」
「わかりました」
シャインのツッコミに俺は笑いながら答え、ユイは再び部屋の明かりをつけた。
「そういうわけで十日後にアスナの誕生日があるんだ。だからみんなでパーティをやろうと考えたわけだ」
「いいですね、やりましょう♪」
「折角だからパーッとやりましょうよ」
俺の提案にティアさんとリズが賛成し、他のみんなも賛成していく。さて、後はどうするかだな。
「なら俺の店を提供しよう。祝い事なら大歓迎だ」
場所はエギルが店を提供してくれるようだ。
「場所は決まりだな。内容は……まぁいつも通りになりそうだけどな」
「そっちの方が俺達らしいだろ?」
「まぁ確かに」
ハクヤの言葉に俺はいつものことでらしいと言い、ルナリオは苦笑した。
「サッちゃん達も誘ってみましょ」
「それならシンカーさんとユリエールさんも」
「……それがいいな」
カノンさんは黒猫団を、ヴァルはシンカーさんとユリエールさんを誘おうと提案し、ハジメが頷いた。
黒猫団にシンカーさんとユリエールさんか……アスナも喜ぶだろうな。
「料理は任せてください!」
「もちろんあたしも」
「俺もかみさんに頼んでおこう。もちろんデザートもだ」
「なら俺もデザートを作らせてもらうぜ!」
料理担当はティアさん、カノンさん、エギルとその奥さん、シャインの五名だな。
「あたし、飾り付けしますね」
「ならあたしも。サチにも言っておくわね」
「あたしも手伝います」
シリカ、リズ、リーファ、サチは飾り付けっと。
「なら残りの俺と男性陣はそれらの手伝いと買い出しとかの雑用だ」
「任せろ」
「わかりました」
「何か作ってほしいものがあったらボクが作るっすよ」
「……バイクを動かせるから遠出もできるぞ」
「力仕事ならお手のもんだぜ!」
俺、ハクヤ、ヴァル、ルナリオ、ハジメ、クラインは手伝いと買い出しと雑用となった。
黒猫団の男性陣には悪いが雑用を手伝ってもらおう。
さすがにシンカーさんとユリエールさんに頼むのは気が引けるからな。
とりあえずはこれで割り振りは決まりだ。
「それとくれぐれもアスナには内緒でな。それじゃあみんな、頼むぞ」
「「「「「おぉ!」」」」」
それぞれが準備に取り掛かった。俺はみんなが帰る際にエギルとシャインを呼び止めた。
「どうした、キリト」
「なんかあんのか?」
「二人に頼みたい事があるんだ」
俺は二人に頼みがあって引き留めたのだ。
アスナの誕生日の為に考えていることを手伝ってもらうために。
「実はな―――たいんだ」
「なるほどね。アスナの為か、俺は構わないぜ」
「協力は惜しまないさ」
「ありがとう。シャイン、エギル」
俺の申し出にシャインとエギルは快く引き受けてくれた。
これであとは実行するのと、プレゼント探しだな…。
~現在~
さて、本当にどうするかなぁ。人数も多いから同じものをプレゼントする人がいるかもしれないし。
ここはやはり彼氏らしくそれなりのものにしよう。
幸いにも金はアルバイトなどでそれなりに貯金してあるので大概の物ならば買える。
「まずは意味と値段を調べてみるか…」
俺は購入する物について調べてからすぐさまその店に向かい、目的の物を購入した。
そのあとも俺達はアスナに悟られないように着々とパーティの準備を進めていった。
~9月30日~
ついにやってきたアスナの誕生日。俺達は朝からエギルの店である『ダイシー・カフェ』でパーティの準備をしている。
「こっちはこれでいいでしょうか?」
「うん、それでいいわよ。サチ、リーファ、そっちはどう?」
「こっちも大丈夫だよ」
「あたしの方も問題無いです」
出された指示をこなして確認するシリカにOKを出すリズ、サチとリーファも飾り付けを行っている。
「テツ、テーブル拭きは終わった?」
「もうちょい」
「窓拭きももうちょっと。ヤマトは?」
「僕ももう少し」
ケイタを中心に、テツ、ロック、ヤマトという黒猫団男性陣が店の掃除を行う。
―――カランッカランッ
「クラッカーとか買ってきたぞ」
「……一応、料理の材料も少しだが追加で持ってきた」
「デザートがありますけど、お菓子も持ってきました」
「パーティ用のゲームとかも持ってきたっす」
ハクヤは小物類を、ハジメは食材を、ヴァルはお菓子類を、ルナリオはゲームなどを持ってきた。
「サラダ系は大体出来たわ。ティアはどう?」
「フライドチキンは完成です、他のももう少しで完成します。奥様は?」
「私の方も大丈夫よ」
カノンさんとティアさんとエギルの奥さんが料理を続々と完成させていく。
「よし、ミニケーキはほとんど出来たな。シャインはどうだ?」
「プリンやゼリーはもう固めてある。そろそろ出来上がるはずだぜ」
エギルとシャインはデザートを完成させている。そして俺はというと、
「ふぅ、出来た。後は冷やすだけだな」
俺もアスナの為にあるものを作り、今しがた出来上がったところだ。
「お、上手く出来たみたいだな」
「本当に初めてか? 上出来だぞ」
シャインとエギルから賞賛の言葉をもらった。
「二人が手伝ってくれたからだよ。ありがとう」
「どういたしましてだな」
「まぁ、いつもうちを贔屓にしてもらっているからな。その礼だ」
俺は手伝いと助言をしてくれた二人に感謝した。出来れば俺自身の手で作りたかったからである。そこに、
「キリト」
「ハクヤか、どうした?」
掃除や飾り付けを手伝っていたハクヤが厨房に顔を出した。
「掃除と飾り付け、両方とも終わったぞ。そっちはどうだ?」
「料理もデザートもすぐに出来上がる。俺の方も出来上がった」
「そうか。ならそろそろアスナを迎えに行った方がいいんじゃないのか?」
そう言われたので時計を見てみると時間は既に十二時前となっていた。
確かにもう迎えに行った方がいいな。
「それじゃあみんな、俺はアスナを迎えに行ってくる。後は頼むぞ」
「「「「「おう(ああ)(はい)(うん)」」」」」
俺は後のことをみんなに任せて、アスナの家に向かった。
結城家についた俺は呼び鈴を鳴らすと中からアスナが出てきた。
「あ、キリトくん」
「やぁ、アスナ。橘さんは?」
いつもならばお手伝いさんの橘さんが出て来るのだが、今日はアスナが直接出てきたのだ。
「今日は用事で出掛けてるの。ちょっと待っててね、すぐに用意するから」
アスナは家の中に戻ると五分ほどして出てきた。
予め迎えに来ると伝えていたので身支度は整えていたようだ。
「行こうか」
「うん///」
俺はアスナに手を差し出し、アスナは俺の手を取った。
「今日はどこに行くの?」
「どうしても連れて行きたいところがあるんだ。着いてからのお楽しみだけど」
「え~、教えてよ~」
アスナが可愛い顔で抗議してきた。思わず抱きしめたくなったがなんとか堪える。
「駄目」
「む~、んっ///」
ムスっとするアスナの唇を人差し指で抑えると大人しくなった。
「いい子だ」
「うぅ、わたしの方が年上なのに…///」
そういう風に言うが大して怒ろうともせずに俺の腕に抱きついてくる。
俺は甘んじて受け入れて、そのままアスナと歩いていく。
「さぁ、着いたぞ」
目的地に着いたのは結局一時前になってからだった。
「ここって…『ダイシー・カフェ』だよね?」
「そ、とりあえずはいろうぜ」
「そうだね」
アスナはどうせ昼でも食べるのだろうと思っているのだろう。間違いではないが(笑)。
俺は扉を開けてアスナに入るように促す。いつもそうしているのでアスナはそのまま入っていった。
―――パンッパンッパパンッ!
「ひゃっ!?」
入った途端に鳴り響いたクラッカーの音にアスナはかなり驚いている。
「「「「「アスナ(アスナさん)! 誕生日おめでとう」」」」」
「………あ。そっか…今日、わたしの誕生日…」
呆然と呟くアスナ、やっぱり忘れてたのか。まぁ、ここ最近は色々な事があったからな。
「アスナ……誕生日おめでとう…」
「キリトくん、みんな……ありがとう!」
アスナは笑顔でそう言ってくれた。
「ほらアスナ。いつまでも立ってないで、早く椅子に座りなさい。アンタが主役なんだから」
「うん」
親友のリズに促されて中央の席に座るアスナ。
「キリト、
「ああ」
俺もハクヤに促されて厨房へと向かった。業務用の冷蔵庫から例の物を取り出して持っていく。
「お披露目だな」
「アスナさんの誕生日ケーキですね」
「喜べよ、アスナ。キリトの力作だぞ」
「これ、キリトくんが作ってくれたの?」
「あぁ。初めて作ったからなんとも言えないけど」
シャインとティアさんが道を開けながら言い、エギルはアスナにサムズアップした。
アスナはというと満面の笑顔で訊ねてきたので、俺は苦笑しながらだけど答えた。
そう、アスナの誕生日ケーキを作ったのは俺だ。
早朝から店に出向いてシャインとエギルに教えてもらいながら作ったのだ。
生クリームと苺のシンプルなものだが、人数が多いのでサイズはかなり大きい。
そこでアスナは携帯電話を取り出してケーキを撮影し始めた。
「記念~記念~♪」
まあいいか、喜んでもらえたようだし。
アスナの撮影が終わると迎える年齢の数、十八本のロウソクをたて、
カーテンを閉めて部屋の明かりを消して、ロウソクに火を灯す。
「せ~のっ!」
「「「「「Happy birthday to you, Happy birthday to you,
Happy birthday, dear Asuna Happy birthday to you.
……アスナ(アスナさん)、誕生日おめでとう!!!」」」」」
リズがみんなに合わせるように言葉にして、定番の誕生日を祝う歌をみんなで歌った。
歌い終わって言葉を聞くとアスナは火を吹き消した。笑顔の中で目尻には涙を浮かべている。
「みんな……本当にありがとう!」
「よし。アスナちゃんの誕生日を祝って乾杯だー!」
「「「「「いえーい!」」」」」
アスナがお礼を言うと、シャインが宣言したので、みんなが叫んだ。
これはいつもの宴の始まりだな(苦笑)。料理を食べながらみんなで談笑する。
食事が終われば、テツとロックがコントや一発芸をしたり、女性陣が歌をうたったり、
ルナリオが持ってきたパーティ用のゲームで遊んだりしてかなり盛り上がった。
そしてデザートの時間になると女性陣が喜び始めた。やはり甘いものが好きなんだなぁ。
「まずはキリトのケーキをアスナちゃんに食べてもらおう。さぁ、どうぞ」
シャインに勧められたので、アスナはケーキをフォークで小さく切って口の中に運ぶ。気になるな…。
「(もくもく、こくん)うん。美味しいよ、キリトくん♪」
「(ホッ)そっか、良かった」
どうやら口に合ったようで一安心だ。これで不味かったら話にならないからな。
「う~ん、おいふぃ~~~♪」
「俺が教えたんだから俺も貰うぜ」
「なら俺にもその権利はあるな」
「あ、なら妹の私も」
「んじゃ、俺は一番弟子(レクチャーを受けた事)なんで俺も…」
美味しそうに頬張るアスナを見て、シャイン、エギル、リーファ、クラインと他の皆が続々と、
なにかしらの理由をつけて次々とみんながケーキを頂戴しようとする。
これはすぐに無くなりそうだな。
「いいですよ。だけど、わたしの持ち帰りにする分は駄目ですからね。
明日の楽しみにしておくんです♪」
アスナめ、これまた嬉しいことを言ってくれるじゃないか。
そしてアスナは持ち帰り用を残して、残りをみんなで食べた。
俺も食べたが初めて作ったにしては上出来だと思った。
さらにエギルとシャインが作ったミニケーキやプリン、ゼリーなどのデザートを食べた。
二人の作ったものはやはりかなり美味かった。本職と趣味に打ち込んでいるだけのことはある。
時間も夕方となり、最後のメインイベントとなる。
「それでは本日のメインイベントのプレゼントタイムにいくぜ」
シャインの宣言でプレゼントタイムが始まった。
それぞれがアスナの為にプレゼントを持ってきている。何人かは共同で買っているようだ。
ちなみに料理をしたメンバーにはそれがプレゼントだと俺が伝えておいた。
「それじゃあ私達黒猫団から。イヤリングだよ」
「ありがとう、サッちゃん、みんな」
黒猫団を代表してサチがイヤリングを渡した。おそらくみんなで小遣いを出し合ったんだろうな。
「あたしからは小さいですけど花束を」
「いい香り……ありがとう、シリカちゃん」
シリカは花束か。最年少のシリカには丁度良いプレゼントだろう。
「あたしは香水よ。前にアスナが気に入ったやつ」
「わぁ~。ありがとう、リズ」
そういえばリズはSAO時代にオシャレをしてから、
こちらでもオシャレに気を掛けるようになったとハクヤが言っていたな。
「私とシンカーからはワンピースです。おめでとう、アスナさん」
「おめでとう」
「ユリエールさんとシンカーさんも……ありがとうございます」
お二人からはユリエールさんが選んだであろう白色のワンピースだった。
アスナが着たのをイメージしてみた……うむ、大いに似合う。
「あたしからはマグカップです。どうぞ」
「ありがとう、リーファちゃん。でもなんで二つ?」
「(ぼそっ)お兄ちゃんが家に来た時に使ってください…」
「あ、そ、そうだね…//////」
なにやらリーファがアスナに吹き込んだみたいだ。一体何を言ったのやら…。
「今度は俺だな。俺からは遊園地のペア一日無料パスだ。キリトと行って来い」
「クラインさん、ありがとうございます! でもいいんですか? カノンさんと行けるんじゃ……」
「実はダチに格安で二つ売ってもらってよ~。その一つは持ってるからな、問題無いぜ」
「なら、ありがたく使わせてもらいますね」
クラインの奴、俺にも嬉しいものを。俺はクラインと目が合ったので同時に親指を立てて、サムズアップした(笑)。
「俺達黒衣衆からは音楽のCDだ。曲は『c○ossi○g f○eld』と『ユメ○カイ』の二枚だ。よかったら聴いてくれ」
「うん、聴いてみるね。ありがとう、みんな」
ハクヤが代表してアスナにCDを渡した。
CDか、そう言えば今の曲はこの前俺も聞いたっけなぁ。俺も結構気に入っているし。
「んじゃまぁ、最後はキリトの番だな」
「ああ」
シャインに促されて俺はアスナの前に立つ。アスナは少々緊張しながら頬を紅く染めている。
「はい、アスナ」
「これ…ネックレス。水色の宝石も付いてる…」
俺のプレゼントは水色の宝石が付いたシルバーのネックレスだ。
「その宝石はセレスタイト、天青石ともいうんだ。今のアスナにぴったりの色だろ?」
「綺麗……」
「宝石言葉は、休息・恋愛・満足感・喜び・先見の明・心の解放・
社交性・冒険心・精神的自由・心身の調和・家庭内円満だ」
「か、家庭内円満…//////」
俺から宝石に名前と宝石言葉を聞いたアスナは家庭内円満に反応した。
さしずめ俺とユイの事を考えたんだろう、意味を調べた時は俺も想像したからな。
「性質として切り傷や不安感などの症状にも役立つらしい」
「そうなんだ…。えっと、着けてもらっていいかな//////?」
「喜んで…」
俺はアスナにネックレスを着けてあげた。
その際、はたから見れば抱き合っているようにも見えるのでみんながニヤついていたのは無視した。
「どう、かな//////?」
「凄く似合ってるよ」
「えへへ~。ありがとう、キリトくん//////」
かなり喜んでもらえたようで俺も嬉しい。こうしてパーティは終わりを迎えた。
「ごめんね、送ってもらっちゃって」
「そんなことないさ」
夕食前の時間となり、みんなにアスナを家に送るように促されたので、
片付けはみんなに任せてアスナを送り届けているところだ。
加えてプレゼントや持ち帰りのケーキなどもあったので荷物を分けて持っている。
「今日は本当に楽しくて、すっっっごく嬉しかったよ♪」
「そうか。なら次の時も盛大に祝ってあげるからな」
「うん! あ……でも、その…//////」
嬉しそうに言ったアスナに俺が答えると、彼女は顔を赤らめて何かを言い淀んでいる。
けれどすぐにこう言った。
「次は…キリトくんと二人っきりがいいなぁ//////」
まったく……うちのお姫様ときたら。そんな風に可愛く、頼まれたら断れるはずがないじゃないか。
「なら、楽しみに待っててくれよ。俺のお姫様…」
「ぁぅ…はい//////」
そんなやり取りをしている間に結城家へと到着した。
「送ってくれてありがとう、キリトくん」
「どういたしまして」
アスナがそのまま門を開けて家の中に入ろうとしたところで、
「アスナ」
「なに「ん…」ん……/////////」
俺はアスナの唇を自分の唇で塞いだ。舌を絡ませる事もせず、ただ唇を重ねるだけのキス。
それでも重ね続ける。しばらくしてから唇を離した。
「このプレゼントはまだだったから…」
「んもぅ/// ふふ、今日は本当にありがとう、キリトくん///」
「それと…夜少しでも時間があったらALOに入ってホームに来てくれ。最後のプレゼントがあるから」
「秘密…だよね?」
「もちろん」
アスナは一回頷いて、今度こそ体を離した。
「それじゃあ、またね」
「ああ、また…」
アスナは家の中へと入っていった。その瞬間、結城家でクラッカーの音が鳴り響いたのは言うまでもない。
この後俺は『ダイシー・カフェ』に戻りみんなの片づけを手伝ってからリーファと共に家路についた。
「リンク…スタート」
夕食後、休憩してから俺はALOに入りホームに向かった。
「ユイ、ただいま」
「パパ、おかえりなさいです」
俺が家に入ってすぐにユイが飛び込んできた。
「準備は出来てるか?」
「バッチリですよ」
「なら、あとはアスナが来るのを待つだけだな」
「はい!」
俺とユイはアスナの到着を待った。
三十分後。
「ただいま。ユイちゃん、キリトくん」
「おかえりなさい、ママ」
「おかえり、アスナ」
到着したアスナを二人で迎える。アスナはウキウキした様子だ。最後のプレゼントが楽しみなんだな。
「ユイ…」
「はいです。ママ、お誕生日おめでとうです!」
「これって……レアアイテムの≪アストラルフラワー≫…だよね?」
俺がユイを促すと、ユイはアスナに一輪の花を渡した。
ユイが送ったプレゼントはレアアイテムの≪アストラルフラワー≫だ。
この花は夜にしか咲かない花なのだが、開花した状態では入手する事ができないのだ。
そのうえ蕾の段階でならば入手できるが、蕾は非常に珍しくて入手するのが難しいアイテムだ。
だが一度手に入れる事ができれば瓶に水を入れて飾ることが出来る。
花弁は星の形をしており、輝きを放っている。
「すごい…初めてみた……」
「ユイが一人でみつけたんだ」
「頑張りました!」
「ありがとう、ユイちゃん」
驚くアスナに俺はユイが一人で見つけたことを教え、ユイは満面の笑顔である。
娘からの初めての誕生日プレゼントにアスナは感極まってか目尻に涙を浮かべている。
「アスナ…生まれてきてくれて、ありがとう」
「っ、うん♪」
俺がアスナにそう言うと彼女は涙を流しながらも笑顔を浮かべた。
何回でも祝おう、彼女が生まれたこの日を……。
キリトSide Out
END
後書きです。
アスナの誕生日の話しでした。
この話しは自分を支援してくださっている方からいただいたリクエストです。
今回はアスナの誕生日でしたが、10月にはキリトの誕生日ssを予定しています。
アスナの誕生日は不明でしたのでとりあえず、季節を出さないように書きました。
対してキリトは10月生まれというのが判明しているので、10月に投稿する事にしました。
後はイベントネタの番外編を投稿するかもしれませんが、あくまで予定です。
アスナの誕生日が判明すれば、訂正も行います。
アスナの誕生日ですが、キリトとアスナがSAOにいる時に結婚したのは10月頃。
そのため4月~10月には17歳を迎えていた事になります。
また、GGOの事件が始まったのは11月なので一応ですが時系列は合っています。
ちなみに≪アストラルフラワー≫は直訳すると『星の花』です。安直ですねw
それではまた本編で………。
追記
明日奈の誕生日が9月30日であると判明していたのですが訂正を忘れていたので訂正を行いました。
報告を下さった方々、深く感謝を申し上げます、ありがとうございます。
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番外編です。
自分を支援してくださっている方からのリクエストです。
本編とは特に関係ありません。
一応時系列的にはしっかりと設定していますが・・・。
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