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IS・B ~インフィニット・ストラトス・ブレイヴ~ 第八章 PartA その後の話と邪悪の正体

激突皇さん

第八章 PartA

2012-09-02 15:14:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:11510   閲覧ユーザー数:11289

 

・・・終業式、体育館・・・

 

「えー、明日から夏休みに入りますが、休みでも規則正しい生活を・・・・・」

 

校長の長ったるい話を聞きながら臨海学校の後のことを思い出す

 

あの長い一日を終え、臨海学校最終日

旅館を後にしてIS学園に帰ろうとしたときバスに取調べを受けていたはずのまゐさんが現れた

なんでもしばらくダンと会えなくなるからもう一度会いたいと頼み込んだんだとか

まゐさんの登場に当然ざわめくバス、そんな空気をぶった切るようにまゐさんはダンとの別れ際クラスの女子達に

 

「ダンは私の旦那様だから、みんな取っちゃだめよ♪」

 

「ま、まゐ!?」

 

「それじゃあね♪」

 

と言い放った

・・・しばらくの沈黙の後、ダンのファン達による絶叫が上がったのは言うまでもない

 

だがそれで終わらなかった

まゐさんの旦那様発言に感化されたのか一夏と箒が

 

「な、なぁ一夏・・・」

 

「ん? なんだ箒」

 

「その・・・お前もいつかは私の・・・旦那様になってくれるか・・・?」

 

『えっ!?』

 

箒の質問にバス中の声が一つとなる

 

「え、あ、あぁ。 いつか必ず・・・な」

 

一夏は頬を掻きながら照れくさそうに答える

そのやり取りにさっきまで絶叫していた者もまゐさんが何者なのか話していた者もフリーズする

 

「そ、そうですわ!昨日結局あの後お二人はどうなったのですか!?」

 

「い、一夏!お前まさか・・・!?」

 

そんな中セシリアとラウラが一夏に問い詰める

それに一夏は少し悩んでから

 

「えっと・・・俺と箒は昨日からその・・・付き合うことになったんだ」

 

そう答え、その隣で箒が顔を赤くしていた

・・・数秒後、絶叫リターンズ

セシリアとラウラに関しては魂が抜けていた

後から聞いた鈴も聞いてからしばらく動かなかった

 

「・・・なんだかとんでもないことになっちゃったね」

 

「・・・だな、まぁあいつらが幸せそうで何よりだが」

 

「・・・僕としては月光の方が心配だな」

 

「へ?何故?」

 

そのシャルの言葉の意味を俺は後日思い知るのだった

IS学園に戻ってきてから数日間・・・

 

「風間君、一緒にお昼どう!?」

 

「風間君、勉強教えて!」

 

「風間君、私と一緒に逃げて!」

 

「いや最後何があった」

 

・・・とまあこんな感じでこれまで一夏とダンに分散していた女子達が一気に俺に集中してきたのだ

二人が盗られて焦り始めたのもあって女子達の熱気はすさまじいものだった

 

「つーかそんな男に飢えてるなら共学行けよ」

 

『それとこれとは話が別です!』

 

「いやいやいや」

 

まぁ最近はだいぶ落ち着いてきたからいいんだが

それと何故かしばらくシャルが不機嫌だった

 

そんなこんなでいろいろあったが今日は終業式

明日から待ちに待った夏休みだ

終業式を終え、ホームルームも終えた後、俺はどうしようか考えていると

 

「風間、馬神、二人とも指導室に来い」

 

織村先生に呼ばれた

呼ばれたことに心当たりがない俺とダンは顔を合わせて首をかしげ、織村先生の後について行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しまーす」

 

教室から少し離れた生徒指導室、一応真面目にやってるつもりなのでこんなところほとんど来ないと思っていた

なんで指導室に呼ばれたのか考えながら入ると

 

「ってまゐ?」

 

「久しぶり、ダン。 それと・・・風間月光、だったわね」

 

何故かまゐさんが待っていた

それに俺達は当然驚く

 

「こっちに来ていたのかまゐ」

 

「なんでまゐさんが?」

 

「やっと長い取調べが終わってね、二学期からここに通うことになったの。 それに、二人に話すことがあってね」

 

「話すこと?」

 

「えぇ、ダン、あなたがこの世界に来た理由。 この世界に迫っている邪悪な存在についてよ」

 

まゐさんの真剣な声色と内容に目の色を変えるダン

この世界に迫る邪悪な存在、それはダンがこの世界で打ち倒すべき存在だ

 

「貴様等いつまでそこに突っ立って話しているつもりだ」

 

「っと、そうっすね。 ひとまず座りましょうか」

 

織村先生に指摘され俺達は椅子に座り、まゐさんと向かい合う

 

「さて、この世界に迫っている邪悪な存在についてとはどういうことだ?」

 

「うん、まず私達が現代に戻ってからの話をするわね」

 

ダンの質問にまゐさんは話し始める

 

「あの後、神々の砲台で未来を救ってから人類と魔族は手を取り合って世界を立て直していった。 それを確認してから私と剣ちゃん、すずりんは現代に戻った」

 

「クラッキーは戻らなかったのか?」

 

「クラッキーはダンが救った世界のこれからを見ていきたいっていうのとアンジェの為に未来に残ったわ。 今頃バローネと魔族との懸け橋として頑張ってると思うわ」

 

「そうか、クラッキーが・・・」

 

ダンはクラッキーのことを聞いて懐かしそうに微笑む

 

「それで未来から帰ってきてから半年がたった頃、すずりんはまた世界中を旅していて私と剣ちゃんは昔のように人々に呼びかけ始めた。 未来でやってきたことが無駄にならないように」

 

そこまで話し終わると、まゐさんは目を細め、表情を変える

 

「そんな時、私達の前に信じられないものが現れた」

 

「信じられないもの・・・?」

 

「・・・スピリット達よ」

 

その言葉に俺は目を見開き衝撃を受ける

いや、俺だけではなくダンやあの織村先生まで驚きの表情をしていた

 

「スピリット達は突然現れ、人々を襲った。 私達には成す術がなかったわ。 バトルフィールドでもないからこっちもスピリットを召喚できるわけじゃないし、なによりスピリットの攻撃を直に受けることになる・・・」

 

まゐさんは悲痛の表情を浮かべる

 

「私と剣ちゃんは混乱の中協力してみんなを避難させたわ・・・助けられたのはわずかだけだったけど」

 

「・・・それでもまゐがその人達を助けたのは変わりないよ」

 

「・・・ありがとう、ダン。 それでみんなを避難させた後、私は外の様子を見る為に避難場所から離れたの。 その時、スピリットに見つかって・・・」

 

そこまで話してまゐさんは黙り込む

 

「・・・奴らに洗脳されたってことか」

 

「たぶん、そう。 そのあとの記憶はないけど」

 

「・・・・・・・」

 

そこまで聞いて、ダンは思い詰めるような顔になる

まさかそんなことが起こっていたなんてな・・・

 

「・・・これが一つ目の話」

 

「一つ目ってことはまだ何かあるんすか?」

 

「えぇ、たぶん、こっちの方が邪悪な存在について詳しく聞けると思うわ。 もう一つの話はこの子にしてもらうわ」

 

そう言ってまゐさんはカードを俺達の目の前に置く

そのカードは・・・

 

「だ、ダークヴルム・ノヴァ!?」

 

俺達を苦しめたスピリット、滅神星龍ダークヴルム・ノヴァだった

 

「安心して、もう邪悪な意思はないわ。 むしろこの子も、被害者みたいなものよ」

 

「どういうことだ・・・?」

 

するとカードが光りだし、ダークヴルム・ノヴァが現れる

 

『初めまして、ではないか。 太陽と月光のブレイヴ使い達よ』

 

「なっ!? こいつも意思があったのかよ!?」

 

『取り戻したのは先日だがな』

 

「その言い方・・・」

 

『察しが良いな、太陽の。 我も不覚ながらやつらに洗脳されていた』

 

「やつら・・・お前はそのやつらを知っているみたいだな」

 

『うむ、では話そう。 この世界に世界に迫る、邪悪な存在・・・「オーガ」についてな』

 

「オーガ・・・?」

 

聞きなれないその名前に俺は首をかしげる

オーガ、意味は確か鬼だったな

 

『オーガ、それは最近現れた謎のスピリット集団。 噂ではやつらはあるスピリットを復活させようとしているらしい』

 

「そのスピリットってなんだ?」

 

『それは我にも詳しくは知らん。 ただ言えるのは、そのスピリットが復活すれば・・・世界が一つ消滅してもおかしくない。 それほど凶悪で、凄まじい力を持っているスピリットだ』

 

世界が一つ消滅する、そんなスピリットがいるのか・・・

 

「そんなスピリットを復活させようとしているやつらが何故人間界、それとこの世界に攻撃をしかけてくるんだ?」

 

『そのスピリットを復活させるのにある二つの力が必要だからだ』

 

「二つの力とは?」

 

『一つはコアの光主が持つコアの光、もう一つはこの世界に存在するコア』

 

「・・・ISのコアか」

 

『正解だ、教員。 それをどれだけ必要としているかは判らんが狙っていることは確かだ』

 

光主の力とISのコア・・・そんな大きな力を使って復活するスピリットってことは確かに世界が一つ消滅してもおかしくないな

 

「・・・なら、何故マギサは俺をこの世界に送ったんだ?」

 

「どういうことだ?」

 

「もし光主の力全てが必要だったとしたら俺という存在がなければそいつが復活することはないはずだ」

 

確かにそれも一理あるな、だが・・・

 

『自惚れるな、太陽の』

 

その疑問はダークヴルム・ノヴァに切り捨てられる

 

『仮にすべての光主の力が必要だったとして、赤の光主は貴様だけなのか?』

 

「っ!」

 

そう、光主は誰でもなれるわけではないが、一人ではない

現にダンの前に赤の光主にはジュリアン・ファインズがいた

例えダンがいなくてもやつらは他の光主を探せばいいだけだ

 

「・・・なぁ、いいか?」

 

『なんだ、月光の』

 

「邪悪の正体も、その目的も判ったが、結局お前が洗脳されたのはなんでだ? お前ほどのスピリットがそう簡単にやられるとは思えないんだが」

 

『・・・やつらは我らブレイヴキラーを仲間に引き入れようとしていた』

 

「ブレイヴキラーを?」

 

ルナテックから聞いたことがある、スピリットの世界でブレイヴを使うスピリットと対立しているスピリットのグループ、それがブレイヴキラー

 

『我らブレイヴキラーは世界の消滅にも、あのスピリットの復活にも興味はなかった。 無論その誘いは断った、だがやつらは多くのスピリットを洗脳し、軍勢を作ってきた。 それらに我らは成す術なく敗れた・・・』

 

「・・・そうか」

 

『これで我の話は終いだ』

 

「・・・最後にもう一つ、これからお前はどうするんだ?」

 

『・・・我は』

 

そこでダークヴルム・ノヴァはまゐさんの方を向き

 

『我が主、紫乃宮魔ゐの僕として、主の意思に従おう』

 

そこでダークヴルム・ノヴァはカードに戻り、まゐさんの手に戻った

 

「・・・ありがとう、ダークヴルム・ノヴァ。 これからよろしくね」

 

「話は纏まったようだな、紫乃宮の部屋等は後で伝える。 それまで貴様等、校内の案内をしてやれ。 以上、解散」

 

「はい」

「わかった」

 

「ありがとうございます、織村先生」

 

そして俺達は生徒指導室を後にする

荷物を取る為教室へ戻る帰り道、俺はダンに聞く

 

「・・・で、どうすんだ?」

 

「どう、というと?」

 

「二人の話を聞いて、これからも邪悪な存在、オーガと戦っていくのか?」

 

そう聞くとダンは真剣な表情で

 

「あぁ、俺の力を必要とし、そこに守るべきものがあるなら俺は・・・戦う!」

 

力強く答えた

 

「・・・そうかよ、んじゃ俺も付き合うとしますか」

 

「月光・・・あぁ、よろしく頼む」

 

「おう、任せろ」

 

そう言って俺達は拳をぶつける

 

「ま、とりあえず今はまゐさんにここの案内しねぇとな。 そうだ、一夏達も呼ぶか」

 

「そうだな」

 

そして俺とダンは新たな決意を胸にするのだった

 

 
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