No.477630

IS学園にもう一人男を追加した ~ 75話

rzthooさん

・・・

2012-08-30 22:00:30 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1182   閲覧ユーザー数:1160

レーアSIDE

 

 

「ガァアアアアッ!!!」

 

[ガキンッ!]

 

型などない振るわれている刀を"テアトル"で防ぎつつ、相手を観察。

 

「フーッ! フーッ!」

 

レーア

「ふむふむ・・・」

 

感情が機体に反応して、そのまま呑み込まれた・・・っていうのが、妥当かな・・・ってか、この子、篠ノ之さんの妹さんよね?

 

「ガァアアアアアアッ!!!!!」

 

まるで、暴力を楽しむ狂犬じゃない・・・

 

レーア

「でも、このままにする訳にいかないし・・・篠ノ之さんには悪いけど」

 

「っ!」

 

狂犬は言葉であやすより・・・

 

レーア

「徹底的に叩きのめすのが一番、よねっ!」

 

「がはっ!?」

 

8本も腕があって良いよね。思いっきりボコれるし・・・

 

レーア

(ちょっと・・・かなり罪悪感があるけど)

 

[・・・ガクッ]

 

あれ? 思ったより呆気ない・・・

 

レーア

「さて、さっきの子(『W』)は・・・いないし」

 

あの状態で良く動けたもんね・・・とりあえず、連絡しないと・・・

 

レーア

「・・・[ピッ] あっ、イーリス? そっt」

 

イーリス

『てめぇ、今どこにいるんだ!?』

 

・・・あらら~。かけないほうが良かったかな・・・?

 

イーリス

『方向音痴のクセに勝手に行動しやがってよ!!』

 

レーア

「い、いや~、地図も何もないから、こういう時は勘かなって・・・」

 

イーリス

『ったくよ! お前も"軍人小娘"も、残された私の事も考えろっての!』

 

レーア

「あ、あはは・・・で、でもさ、私もボーデヴィッヒちゃんも『福音』を盗み出すの手伝ったでしょ? それでおあいこって事で・・・」

 

イーリス

『なるかぁ!! さっさと小娘拾って帰れ! 仕事は私一人でやる!!』

 

[ブツッ!]

 

レーア

「っ・・・はぁ」

 

怒らしちゃった・・・

 

レーア

「よいしょっ・・・」

 

妹ちゃんをほっとく訳には行かないし、連れて行こう・・・だけど

 

レーア

「ここ、どこ?」

 

 

 

鈴SIDE

 

 

「みんなは下がっててよ! 邪魔なだけだから!」

 

アタシがそう言うと、山田先生たちは海上から後退した。

 

バザード

『~~~~~』

 

敵飛行ユニットは、高速で移動しながら全身の装甲から大量のミサイルを降らす。だが、そのミサイル全てをビュンビュンっと避ける。

 

「余裕余裕、こんなの」

 

バザード

『~~~~~』

 

機体の両脇が変形したクローがアタシのスレスレを通り過ぎる。敵機体は反転して、クローの中心に備えられた機銃と、頭部から発せられた荷電粒子砲を撃ちながら突撃を仕掛けてくる。

 

「当たらない当たらない」

 

目前に、いかにも頑丈そうなクロー状の装甲が迫りつつある中、アタシは特に慌てる事無く、クローの中心にハルバードを刺す。

そのままハルバードの柄から敵機体に取り付き、全ての武装(計六本の武器)をえぐるように突き刺した。

 

ハザード

『~~~~~』

 

装甲内から溢れ出す電流に切れたコード。敵機体から煙と火花が噴出し、アタシは顔に笑みを浮かべながら、左手を構える。

プシューと、左腕の装甲が開き・・・

 

「はぁああっ!!」

 

衝撃砲の応用で、アタシの左腕は手応えを感じるよりも早く敵機体の装甲を貫いた。

機体の制御を失った敵機体は、海に煙と火を噴きながら落ちていく・・・

 

「まぁ、ざっとこんなもんよね!」

 

余裕綽々と全ての武装が海からアタシの元に戻ってきて、背に納めた・・・だが、この余裕がいつも仇になってしまう。

 

バザード

『~~~~~~~~!!!』

 

「うぐっ!?」

 

まだ、完全に破壊できていなかったのか、ビリビリと海水に流電し、不安定なバランスながら敵機体は、アタシを握り潰すため『甲龍』からギシギシと悲鳴が上がる。

ったく、こういう時に『龍砲』があれば、楽なのに・・・!

"この『甲龍』"を知り尽くしていないアタシは、負けじと内側から腕で押し返すため、両腕に力を込める。

 

「いっ!?」

 

右腕の痛みのせいで、上手く力が入らない。そうこうしている間にも、敵機体は荷電粒子砲の銃口を向け、自分の腕部ごと吹っ飛ばそうとしている。

 

「出なさいよ、『龍砲』!」

 

口に出して叫ぶが、反応がない。

 

「出なさいって! このままじゃ!」

 

右腕の痛みなど気にせず、クローの手中で暴れる。だが、その行動自体は意味がなく、ただただ身の危険が近づきつつある事に不安が増すばかりであった。

 

「出なさいよ! 出ろ!!」

 

敵機体の頭部から発せられる、先よりも神々しい光がアタシの視界を奪い、閃光で何も視覚できない中で敵機体を睨み付ける・・・すると、神々しい光が一瞬にして、爆煙へと変わった。

 

「っ・・・」

 

しゅるりとアタシを捉えていた拘束は滑るようにして解かれ、頭部から火を噴く敵機体はバランスを立て直そうと、海上スレスレまで後退する。

何となくだが、今の援護射撃は山田先生だろう。普段なら、十数キロから的確に命中した事を驚いて賞賛していたところだが、今のアタシはちょ~っと頭にきている。

さっきまで膨れ上がっていた不安がバネとなり、自分が『甲龍』を完全に扱えきれてない事の無力さが、怒りをさらに昇華させる。

 

(何が"今のアタシは無敵だから"よ! あ~、腹が立つ!!!)

 

今の自分を殴りたいほど腹が立つ。"出しゃばり過ぎた"と反省の弁を述べる暇がなく、八つ当たりになってくれそうな"ヤツ"を睨み付ける。すると、頭の中に自然と言葉が流れ、アタシの口は無意識に浮かんだ言葉を吐き出す。

 

甲龍

『"感情のままに武器を振るえ"』

 

「"武器をその手に感情を奮い立てよ"」

 

甲龍

『"邪念を捨てよ"』

 

「"身も心も奮い立たせよ"」

 

甲龍

『"前方に広がるもの全てが"』

 

「"いずれは壊れるだけの運命ならば"」

 

甲龍

『我らの手で』

 

「ぶっ壊す!!」

 

突如、目の前に出現する12機の球状の『龍砲』・・・"今更?"って、思うんだろうが、今のアタシには怒り以外の"邪念"がない。

円の形に配置された『龍砲』は中心に向かって、機体同士が寄り添い合い・・・

 

「潰れろぉ!!!」

 

バザード

『~~~~~!?』

 

12倍の衝撃砲・・・何十倍のGが海に大きなクレーターを作り出し、敵機体は海に触れぬまま海底の地に押し潰されて、ただの鉄くずになり、海に呑み込まれていった

・・・でもまぁ、これで終わりじゃないんだけどね。

 

「げっ!」

 

吹き飛ばした海が大きな津波に化けて、市街地に向けて押し寄せていく・・・

 

甲龍

『主・・・さすがに海底まで吹き飛ばすのは、いささかやりすぎでは?』

 

「む、無意識だったから、加減が・・・って、あれ? 『龍砲』は?」

 

甲龍

『海に落ちましたよ』

 

"えっ!?"と驚いて、海を見下げる。海中には『龍砲』の赤い装甲がうっすらと見える。

 

甲龍

『一応、伝えておきますが、『龍砲』の操作は"自律機動兵器"と大差ないので』

 

「はい!? アタシ、BT訓練なんて一度も・・・じゃ、じゃあ、何でさっきは操作できたのよ!?」

 

甲龍

『それを知る前に、やる事があるのでは?』

 

・・・そうだ! あの津波をどうにかしないと!

 

「なら、後で説明しなさいよ! 絶対よ!」

 

甲龍

『御意』

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、津波の方は何とかなった。あと、他の奴等もミサイルを無事に撃退したらしい。詳しく話さないけど・・・面倒だし。

 

「面倒って・・・獅苑に毒されてきたかな、アタシ?」

 

 

 

 

 

千冬SIDE

 

 

獅苑?

『・・・』

 

凍らされた室内・・・いや、このエリア全体と言った方がいい。『雪片 秋霜』で風穴が開いた次のエリアにも、無尽蔵に広がる極寒の大気が拡散して、その全てを氷漬けになっていく。

 

千冬

「うっ・・・」

 

凍らされたのはエリアだけじゃない・・・私の半身も氷塊が纏わりついて、身動きガ出来ない。しかも、時間経過で第三形態から第二形態に戻っている。

 

千冬

(やはり、かりそめの第二形態では、第三形態の力を完全に発揮できないか・・・)

 

獅苑?

『・・・』

 

千冬

(いや、機体のせいにしたら、『ブリュンヒルデ』の名が泣くな)

 

獅苑?

『・・・』

 

近づいてきた朝霧の手が身動き出来ない私の頭に置かれる。すると、半身に纏われていた氷塊が徐々に体に侵食しだしてきた。

 

千冬

「おしえ、ごに・・・」

 

獅苑?

『・・・』

 

千冬

「ころさ・・・れるの、か?」

 

獅苑?

「っ!?」

 

掠れた声が朝霧の耳に入った時、突然、朝霧が氷上に膝をついて苦しみだす。

私の視界はボヤけていたが、頭に置かれていた手が離れた事で、朝霧に何か非常事態が起こった事に気づく。

 

千冬

「っ・・・っ!」

 

冷気が体を蝕(むしば)んで上手く声が出せず、私の意識が遠のいていく。

意識が完全になくなった時、朝霧は頭を抱えて、今にでも嘔吐しそうなくらいに苦しみ続けていた。


 
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