No.471590

時代は三十年後 IS世界へ~(とある傭兵と戦闘機) 第四話

 前はスト魔女の世界  今度は元の世界の三十年後の世界へと飛ばされた主人公  戦闘機が旧世代と呼ばれる世界で、傭兵はIS学園の生徒として活動する事に

2012-08-17 21:21:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3055   閲覧ユーザー数:2882

 

 ピピピッピピピッ

 

 「・・・ふぁ・・・」

 

携帯端末のアラームが起床時間を知らせる

 

今はAM6:00

 

寮の起床時間はAM7:00

 

 「さて、仕事仕事っと」

 

そのまま部屋を出てから寮監室に向かう

 

 

 

 

 

 千冬「よし、来たな」

 

そこで待っていたのはいつも通りキッチリ正装の織斑先生

 

今日はISを載せた輸送機を護衛する日だ

 

 千冬「さて、お前の機体の所へ行くぞ」

 

そのまま先生について行く

 

 

 

   ~多目的格納庫~

 

 

 千冬「お前の機体なんだが、ほとんどのパーツを一新してるから前とは勝手が違うからな」

 

まったく何処まで改装したんだろうか?

 

見た目は特に変わってないように見えるけど・・・

 

 千冬「レーダートレーサーを新型に換装、それに伴うロック性能の強化、三次元偏向ノズル換装・・・」

 

 「どこまで魔改造を施してるんですか・・・」

 

もはや別の機体になってる気がする

 

だが機体の翼に描かれたガルム隊のマークが私の機体であることを示している

 

 千冬「機体剛性、操作性の向上などで前までの機体とは感覚が違うだろうがそれらは操縦しながら慣れろ」

 

パイロットスーツを装着し、シートに座る

 

 「うわぁ・・・」

 

操縦桿はサイドスティック化され、計器類がデジタル表示となっている。

 

しかもこの短時間でそれを完了させるというスピード

 

多分技術者がマッハでやってくれたんだろう。うん

 

 千冬「それでは任務を始めてくれ、輸送機の位置は右のディスプレイに表示する」

 

織斑先生がそう言うとディスプレイに座標と速度と方向が表示される

 

HUDスイッチを入れるとキャノピーグラス全体に表示が広がる

 

前方には進路と速度、高度などの表示

 

後方には味方の表示がされる

 

これを魔改造と言わず何を魔改造と言うのだろうか

 

 「エンジンスタート 計器 操縦桿共にクリア」

 

サイドスティックを動かしながら後ろを見る

 

動きのラグが本当にほとんどない

 

 「それでは管制、離陸誘導をお願いします」

 

 千冬「了解、目の前第一滑走路から離陸せよ。尚、これより離陸タイミングは搭乗者に譲渡する」

 

格納庫から外に出て滑走路に移動する

 

 「では・・・ガルム1 テイクオフ」

 

加速しながら操縦桿を引く

 

少し引いただけで機体は十分な角度を取る事ができた

 

 「(前とは感覚が全然違う・・・)」

 

機首が持ち上がる感覚と共に機体が地面から離れて、ギアを格納して十分に高度をとってから無線をいれる

 

 「これよりIS輸送機の出迎え、及び護衛任務に就きます」

 

 千冬「了解、貴機の幸運を祈る」

 

それから輸送機方角へと進路をとる

 

 

 

 

四十分ほどすると輸送機が見えてきた

 

 輸送機「こちらホエール1、貴機の所属を求む」

 

 「こちらIS学園所属航空飛行隊ガルム1、IFF認証コードを送信する」

 

それから確認をとっていたのか

 

 輸送機「こちらホエール1、認証コードを確認した。短い間だが護衛を頼むぞ守り鳥さんよ」

 

 「こちらガルム1、これより貴機の護衛機に就く」

 

輸送機の横につけて速度をあわせる

 

これからこの輸送機の護衛任務が開始される

 

 輸送機「にしても何だって自衛隊の護衛機が任務をすっぽらかすんだよ」

 

 「さあ?、なんか急用でも出来たんじゃないですか?」

 

 輸送機「あんた気楽だな、気が合いそうだ」

 

 「それはどうも」

 

護衛任務は何も無ければ大儲け、何かあれば非常に困難な任務になる

 

もちろん、大抵が何も無いはずだが

 

 ピピッ

 

 「こちらガルム1、レーダーに反応、所属は自衛隊」

 

IFFの表示は二つ、どちらも自衛隊の識別信号

 

輸送機の右斜め前方からこちらに接近中だ

 

 輸送機「このタイミングで自衛隊の登場だぁ?何考えてるんだ」

 

確かにこのタイミングでの登場はおかしい

 

 「こちらホエール1護衛機ガルム1 そちらの所属を求む」

 

簡潔に質問する

 

普通友軍ならここで所属を答えるのだが

 

 自衛隊機「・・・・・」

 

自衛隊機は無言のままだ

 

それから無線に連絡が入る

 

 千冬「こちらIS学園織斑、ガルム1 聞こえるか?」

 

織斑先生からの連絡だ

 

 「こちらガルム1、良好です」

 

 千冬「緊急事態だ、自衛隊のF-15J改が強奪された。強奪した犯人は自衛隊パイロットの経験があると思われる」

 

何で盗まれてるんだろ・・・

 

 「了解、見つけたらどうしますか?」

 

 千冬「既に撃墜命令が下っている。撃墜を許可する」

 

それから無線を切って輸送機に知らせる

 

 「ガルム1よりホエール1へ 接近中の機体は先程強奪された自衛隊機と思われる。全速力で学園へ急行せよ」

 

 輸送機「ホエール1了解、アンタはどうするんだ?」

 

 「撃墜命令が発令されてますので、撃墜します」

 

 輸送機「了解、墜とされるんじゃないぞ」

 

それから私は操縦桿を倒して輸送機から離れる

 

数分後、二つの機影が見えて来た

 

 自衛隊機「邪魔だ!!そこをどけ!!」

 

 「任務だからそれは出来ないんだよね」

 

 自衛隊機「俺達は輸送機に用がある、護衛機にかまっている暇はない!!」

 

どんどん距離がせばまる

 

それからレーダーを近接モードに切り替えてからIFFを切る

 

 「生憎私の任務はその輸送機の護衛なんでね・・・ガルム1、エンゲージ!!」

 

ヘッドオンしてバレルロールしながらミサイルを放つ

 

 自衛隊機A「ッ!?」

 

回避行動が遅かったため、無弾頭ミサイルは自衛隊機の右主翼を抉り取る

 

 自衛隊機A「ディアボロ2、操縦不能!!イジェークトッ!!」

 

回転しながら落ち葉のように落下する機体から、搭乗者が脱出するのを確認してシーカーをもう一機の方へ合わせる

 

 自衛隊機B「弧林ぃぃぃぃぃッ!!」

 

仲間の名前のような物を叫ぶもう一機

 

 自衛隊機B「よくも弧林を!!」

 

そのまま急旋回してミサイルを放ってくるもう一機

 

コックピット内にアラートが鳴り響く。だが

 

 「・・・温い」

 

接近するミサイルを接触する寸前でかわす

 

旋回性能などが数段強化されたイーグルはミサイルの接近タイミングで完璧に回避する事ができる

 

 自衛隊機B「何だ!?」

 

かわされた事に驚いたのか声に動揺が見られる

 

こんな事で動揺するなんて・・・それでも元自衛隊のパイロットなの?

 

 「いい事教えてあげるよ」

 

再び正面からヘッドオンという状況

 

 自衛隊B「うおぉぉぉぉッ!!」

 

そのままミサイルを放ってくる自衛隊機

 

 「戦場で冷静さを欠くと、死神に命を狩られるからね」

 

ミサイルを機体を傾けて回避してからカウンターで機銃を放つ

 

 ヴィーーーーッ!!

 

イーグル独特の機銃の音が聞こえる

 

そしてすれ違う

 

敵は煙を上げてから落下する

 

どうやらエアインテークに弾丸を吸い込んだみたいだ

 

敵はベイルアウトして機体は海に落下した

 

 「ガルム1 敵自衛隊機の撃墜を確認 これより護衛任務に戻る」

 

そして輸送機の方へ向かう

 

 

 

 

 輸送機「こちらホエール1 流石だな、単機で二機を相手にするなんてな」

 

輸送機の所へ戻ると輸送機の方から話しかけられた

 

通常空軍では護衛目標とのコンタクトを必要以上に取らないようにという暗黙の決まりがあるが

 

今の私みたいな 雇われた護衛機 特定企業又は学園などのプライベートの操縦士などには特にそんな規則はない

 

むしろコンタクトを取る事によって今後の自分の評価で再度のオーダーなどに影響してくる

 

まあ私の場合は、ほとんど軍からの支援として雇われていたからよく知らないんだけど

 

 「こんなのまだ楽な方ですよ」

 

ベルカ戦争当時の円卓なんかは比べ物にならないほど戦闘機が密集していた

 

それも各国のエース部隊、どこかのアホがミサイル放てばどれかに当たりそうとか言ってたけど

 

本当にそれぐらい混戦していた

 

 輸送機「優秀だな。流石IS学園の個人所有戦闘機だけはあるな」

 

この輸送機のパイロットも傭兵らしく、気軽に話しかけて来る

 

そんな会話をしていると学園が見えてきた

 

 輸送機「こちらホエール1 着陸誘導をお願いする」

 

それから輸送機を先に着陸させてから続いて私が着陸する

 

 輸送機「お守りをありがとよガルム1。それじゃ、またいつか」

 

 「はい。またいつか、この空の何処かで逢いましょう」

 

挨拶をかわして機体を格納庫に移動させる

 

 

 

 

 千冬「流石だな」

 

コックピットから降りた私を待っていたのは織斑先生

 

 「楽すぎて欠伸が出ますよ」

 

ヘルメットを外して髪を戻す

 

 千冬「そうか。これでお前のISは無事に届いたが、改修作業を必要とするため少し時間がかかる」

 

 「分かりました、それで私はこれからどうすればいいんですか?」

 

 千冬「ああ、朝食を摂った後普通に授業に参加しろ」

 

 「分かりました」

 

それから制服に着替えて教室に向かう

 

ちなみに朝食は先生が持ってきてくれた日本製の黄色い箱の携帯食料チョコレート味

 

三十年前と変わらない味で民間でも売られてる携帯食料だ

 

本当に優秀な物は時代を超えるね~もぐもぐ・・・ウマすぎるっ

 

 

 

 

 

   ~1-1教室~

 

 

 山田「ええと・・・今日も嬉しいおしらせがあります・・・また一人、クラスにお友達が増えました」

 

ブラックボード兼多目的ディスプレイに名前が表示される

 

 山田「ドイツから来た転校生の、ラウラ・ボーデヴィッヒさんです」

 

そこにいたのは少し身長の低い眼帯をして制服を軍服のようにした銀髪の女の子

 

 女子A「どういう事?」

 

 女子B「二日連続で転校生だなんて」

 

 女子C「いくら何でも変じゃない?」

 

少し教室がざわめく

 

 山田「皆さんお静かに、まだ自己紹介が終わってませんから」

 

それからざわめきが静まると

 

 千冬「挨拶をしろ、ラウラ」

 

 ラウラ「はい、教官」

 

そう言って口をひらいた

 

というか教官って・・・やっぱり軍人?

 

 ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

・・・え?それだけ?

 

 山田「ええと・・・以上ですか?」

 

 ラウラ「以上だ」

 

・・・堅物軍人らしい簡潔な自己紹介で

 

 ラウラ「貴様がッ」

 

 パシィッ!!

 

 一夏「なっ・・・」

 

織斑君の頬を叩いた

 

それと同時に教室の温度が下がるのを感じる

 

 ラウラ「私は認めない。貴様が教官の弟であるなど、認めるものかッ!!」

 

・・・よく分からない

 

 千冬「それではこれでLHRを終える、解散」

 

それから授業に戻る

 

 

 

 

 

それから放課後、先生にボーデヴィッヒさんの事について聞いた

 

 織斑「分かった。お前ならその辺の理解は出来るだろうからな」

 

 ~説明中~

 

 「・・・つまり彼女は戦闘用に生み出された兵士であると」

 

 千冬「ああ、本人もそれを理解している」

 

だからあんなに冷たい雰囲気を出してるのか・・・

 

 千冬「まあいい、それよりお前の部屋なんだが・・・」

 

ん?部屋また移動なのか?

 

 千冬「織斑の部屋にもう一つベットを追加するからそこで過ごせ」

 

結局あの部屋の住民になるのか私は

 

 「はぁ・・・」

 

 千冬「すまんな、それでは寮に戻れ」

 

それから職員室を出てから部屋に戻る

 

彼と一緒にいるとろくな事無いんだよね

 

 

 

 

 

 

 「ただいま~」

 

 シャルル「あ、おかえり」

 

部屋に戻るとシャルル君が机でノートを広げていた

 

 シャルル「そうだ、ここにベットがもう一つあるって事は・・・」

 

 「うん、ここで過ごせって事らしいよ」

 

確かに少し小さめだがベットと机が追加されている

 

 「という訳で、改めてよろしくね」

 

 シャルル「うん・・・よろしく」

 

なんか妙にテンションが低い、どうかしたのかな?

 

 シャルル「じゃあ僕はシャワーを浴びるから」

 

 「うん、わかった~」

 

机に鞄を置いてベットに座る

 

 「でも安定した寝床なんて久々だなぁ~」

 

ベットは少しサイズが小さいが、それ以外はほぼ据え付けの物と同じだ

 

 「ふかふかだぁ~・・・」

 

枕に顔を埋めてがっちりした寝床を堪能しながら端末の電源をつけてからメールを見る

 

さっき織斑先生のメールアドレスを聞いてから登録したばかりだが

 

 

 受信メール 4件

 

  織斑先生    明日お前のISのマッチングをするので放課後時間を空けておくように

 

  篠ノ乃     一夏に何かされたらすぐに呼んでくれ

 

  オルコット   できれは一夏さんの寝顔を撮ってもらえると助かりますわ

 

  未登録     布仏本音だよ~登録よろしく~

 

 

 「布仏本音・・・登録っと」

 

ちなみにクラスメイト二人は自己紹介の後にメアド交換をした

 

というかオルコットさんよ、寝顔なんか撮ってどうするの?

 

それから音楽を聴こうとイヤホンを耳にはめようとしたら

 

 ガチャ

 

 一夏「ただいま~・・・ハァ・・・」

 

織斑君が帰ってきたみたいだ

 

 「おかえり~」

 

 一夏「あれ?何でフィリアがここに居るんだ?」

 

 「いや、今日からここに寝泊りしろって織斑先生に言われてさ」

 

 一夏「そうなのか、改めてよろしくな。所でシャルルは?」

 

 「今シャワーを浴びてるよ~」

 

 一夏「そうか。そうだ、ボディーソープ切れてるんだった」

 

そう言ってクローゼットを開いてボディーソープを取り出してシャワールーム行く織斑君

 

 「~♪」

 

目を閉じて音楽を聴いてると

 

 きゃあっ

 

・・・ん?なんか女子の声のような物が聞こえた気がする

 

イヤホンを取ってから部屋を見回す

 

 「・・・うん、気のせいだね」

 

そう思ってからベットに寝転ぶ

 

それからだんだん眠くなってからそのまま寝てしまった

 

 

 

 

 一夏「あちちっ!!」

 

 シャルル「ああっ!!ごめん」

 

・・・なんか騒がしいなぁ

 

 「・・・うぅん・・・」

 

体を起こして目を擦りながら声のした方を見ると

 

 シャルル「あっ!!フィリアさん!!」

 

 「何やってる・・・の・・・」

 

目の前には男子が二人・・・ではなく

 

 「シャルル・・・君?」

 

明らかに見覚えのある格好の・・・女の子がいた

 

 シャルル「ええと、あの・・・」

 

思わず目をぐしぐしと擦ってみるも状況は変わらない・・・そうか

 

 「・・・うん、これは夢だね。そうだ、きっとそうだ」

 

多分 ”もう一度寝たら元通り”だよね。夢オチってやつだね

 

 一夏「待て!!事情を話すから聞いてくれ」

 

それから今に至るまでの経緯を聞いた

 

 

 

 

 一夏「・・・で、何で男のフリなんかしていたんだ?」

 

よし、この長い沈黙を破ってくれてありがとう織斑君

 

私達の前には今、男装をといたシャルルがいる

 

それで気まずい空気のまま十分ほど経過して今に至る

 

 シャルル「実家からそうしろって言われて・・・」

 

 一夏「実家って言うとデュノア社の事か?」

 

 シャルル「そう、僕の父がそこの社長。その人からの直接の命令なんだ」

 

 一夏「命令って・・・親だろ?なんでそんな・・・」

 

そう、親から命令を受けるなんておかしな話だ

 

だが次にシャルルが放った言葉で私は理解してしまった

 

 シャルル「僕はね・・・父の本妻の子じゃないんだよ・・・」

 

そう、シャルルは愛人の子という事だ

 

それから家の事について彼女は話してくれたが、その表情は暗くなる一方だ

 

 「話は理解したけど・・・でもそれで何で男装をしてたの?」

 

 シャルル「簡単だよ、注目を浴びるための広告塔とそして・・・」

 

シャルルは織斑君の方を向いて

 

 シャルル「同じ男子なら、日本で出現した特異ケースと接触しやすい。そして可能であればその本人と

 

 機体のデータもとれるだろう・・・ってね」

 

 一夏「それはつまり・・・」

 

 シャルル「そう、白式のデータを盗んで来いって言われてるんだ。僕はあの人に」

 

あははと笑うシャルルだが、その笑いは完全に乾ききっていた

 

 シャルル「でも正体がばれちゃったし、本国に呼び戻されるだろうね。デュノア社は・・・今までのようには行かないと思うけど

 

 織斑「・・・・・」

 

織斑君も真剣に聞いている   

 

 シャルル「ああ、何だか話したら楽になったよ。聞いてくれてありがとう。それと、今まで嘘をついててごめん」

 

シャルルは本当の事を話すと苦笑いするが、そこには彼女の複雑な思いが垣間見えた

 

 一夏「いいのか、それで」

 

 シャルル「え・・・?」

 

 一夏「それでいいのか?いいはずないだろ。親が何だっていうんだ。親だからって子供を好き勝手利用していいなんて

 

 おかしいだろ。そんなの!!」

 

 「・・・・・・」

 

 シャルル「い、一夏・・・?」

 

 一夏「親がいなけりゃ子供は生まれない、そりゃそうだろうよ。でもな、だからって親が子供に好き勝手していいなんて、

 

 そんな事があるか!!。生き方を選ぶ権利は誰にだってあるはずだ。それを親なんかに邪魔されるいわれは無いはずだ!!」

 

少し戸惑うような表情をするシャルルだが、私も織斑君と同じ意見だ

 

何がどうあれ親は親、子は子。親はあくまで子の支えというのが私の考えだ

 

親という肩書きで子供を好き勝手利用できるなんておかしい

 

子供は親の道具じゃないんだから

 

それに、三十年前と違って今は大きな戦争なんか起こってないし、私みたいに生きる方法が限られている訳ではない

 

 シャルル「どうしたの、一夏?」

 

 一夏「俺も・・・俺と千冬姉も、両親に捨てられたから・・・」

 

 シャルル「あ・・・ごめん」

 

なるほど、だからこんなに気にかかるのか

 

 一夏「俺の事はいい、今更両親に会いたいなんて思わない。でもシャルル、お前はこれからどうするんだ?」

 

 シャルル「どうって・・・時間の問題じゃないかな。フランス政府もこの事を知ったら黙ってないだろうし、

 

 代表候補生をおろされて、良くて牢屋行きかな」

 

そう、シャルルはフランス代表候補生。代表候補生には国家権力が関わってくるから無事では済まされないはず

 

IS学園はある意味高度な ”国家”そこに性別を偽装しての転入、目的は外国戦術兵器のデータ集め、これは

 

明らかなスパイ行為であり、見つかれば政府が動くほどの大事になるだろう

 

 「それでいいの?」

 

 シャルル「良いも悪いもないよ。僕には選ぶ権利はないんだから・・・」

 

そう言って彼女は視線を床におとす

 

こんな平和な時代で・・・ここまで追い詰められるなんて

 

私は腰をあげて廊下に出るドアに向かって歩く

 

 シャルル「フィリアさん・・・?」

 

本当に怯えた表情でこっちを見ている   

 

 「大丈夫、少し頭を冷やしてくるだけだから・・・心配しないで」

 

ドアを開けて廊下に出る、そして

 

 「ふざけるなッ!!」

 

感情を抑えきれずに廊下の壁を殴る

 

壁を殴って気を晴らすぐらいしかできない自分の無力さが悔しくて少し涙が出てくる

 

いつもそうだ、自分は無力だと 考えるたびに悲しくなる

 

そして世界も昔となんら変わりないという事に苛立つ

 

いつか相棒が言っていた事を思い出す

 

  

  歪んだパズルは一度リセットするべきだ

 

         このV2で全てを ”ゼロ”に戻し

   

                    次の世代に未来を託そう

 

 

今さらだがその時の相棒の言葉の意味を考える

 

本当に自分のした事は正しかったのだろうか?

 

自分がやった事は世界を変えてしまったのだろうか?

 

あの時の私は・・・

 

それから少しして頭が冷えると共にに鈍い痛みが来る

 

完全に頭が冷えてから自分の手を確認すると

 

手は赤く腫れ、指を動かそうとすれば鋭い痛みが来る

 

 「(・・・仕方がないか・・・)」

 

それから部屋に戻ってみると織斑君はいなくなっていた

 

 シャルル「・・・おかえり」

 

 「うん・・・ただいま・・・」

 

シャルルの表情はさっきと違って安心したような表情になっていた

 

 シャルル「ごめんねフィリアさん・・・」

 

 「なんで謝るの?。別に迷惑なんかしてないのに」

 

 シャルル「いや、それでも謝りたかったの・・・」

 

それから私はベットに横たわった

 

 シャルル「フィリアさん・・・」

 

 「大丈夫、この事は誰にも言わないって約束するから」

 

 シャルル「っ!!。ありがとう・・・」

 

シャルルは笑った

 

その笑みは一つの不安も感じられないものだったのだ

 

 シャルル「ところでその、フィリアさんのお父さんは・・・どんな人だったの?」

 

グハッ、ここでその質問か・・・

 

 「・・・黙秘権は?」

 

 シャルル「ないよ。だって私はちゃんと話したんだから」

 

たしかにフェアではない。よし

 

 「いい人だったよ。ちゃんと面倒見てくれたし」

 

少しぼかしながら話す

 

 シャルル「いい人だった・・・?」

 

 「うん。その日、父は見回りに出かけたんだけどね・・・それ以来帰ってこなかったの。」

 

あの日哨戒任務に就いていた空軍の父は空域で所属不明機と交戦。自らを囮にして寮機を逃がしてそれから帰ってこなかった

 

確かにあれ以来父が帰還したという報告はなかったが、私は寮機を逃がす判断をした父を誇りに思う

 

父は私の目標だ。それ以来私は基地の皆に世話されて傭兵という仕事を選んだ

 

 シャルル「あ・・・ごめん」

 

 「謝らないで・・・でも私は父を尊敬してるから」

 

そう、私は父の背中を追って傭兵になった

 

そして今もその事に後悔なんかしてない

 

 シャルル「フィリアさん・・・」

 

 「別にさん付けしなくてもいいよ。」

 

シャルルは遠慮する癖がついてるみたいだ

 

それからドアが開く音が聞こえた。多分織斑君が帰ってきたんだろう

 

 一夏「た、ただいま・・・」

 

ん?なんかすごい疲れてるみたいだ

 

 「ん、おかえり」

 

 シャルル「おかえり。・・・どうかしたの?」

 

シャルルも心配になってか質問する

 

 一夏「いや、気にしないでくれ・・・お前等の飯、貰ってきたぞ」

 

彼の持っているトレーには和食が二人分のっていた

 

 シャルル「ありがとう・・・うっ」

 

 一夏「どうした?」

 

どうやらシャルルは箸が使えないみたいだった

 

それからシャルルは織斑君に食べさせてもらっていた

 

その表情はさっきみたいな思いつめた表情ではなく、嬉しそうに笑う歳相当の女の子の笑みだった

 

だがしまった。和食は普通、箸を使って食べるもの

 

私は箸を使えない訳ではない。たださっき壁を殴った痛みのせいで箸が握れない、そんな状況。

 

 一夏「ん?何だお前も箸使えないのか?」

 

織斑君の目は節穴だという事が分かった

 

 「いや、さっき転んじゃって・・・」

 

バレると心配させてしまうので、嘘をつくが

 

 一夏「食べさせてやるから・・・箸を貸してくれ」

 

結局私もシャルルと同じように食べさせてもらう事になった

 

その後手に簡易処置を施して眠りに就いた

 

こうしてまた激動の一日は過ぎていった

 

 

  

 

 


 
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