No.471354

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第十七話 帰ってきた父

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2012-08-17 05:46:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:42754   閲覧ユーザー数:38442

 ~~第三者視点~~

 

 海鳴市の海鳴駅前。ここに一人の男がいた。渋い風貌の男性で片目にはモノクルを身に着け、服装はスーツ姿、口に葉巻タバコを咥えている。

 

 「……ふん。この街に帰ってくるのも久しぶりだな」

 

 口から煙を吐き出し一息吐く。

 

 「アイツに会うのも何年ぶりだ?」

 

 男は独り呟く。

 

 「……まあいい」

 

 そして葉巻タバコの火を消し携帯灰皿に吸い殻を仕舞うと

 

 「行くか」

 

 男は何処かへ向かって歩き出した………。

 

 

 

 ~~第三者視点終了~~

 

 「ユウ。玉ネギ取ってきたよー」

 

 「ユウキ。この肉はどうです?中々質が良いですよ」

 

 「ユウキ。家の卵が残り少なかったから買っておくぞ」

 

 「ユウキ。牛乳も一緒に買って貰っておいてもいいですか?」

 

 現在はスーパーで買い物中である長谷川家一同。

 今日も授業が終わり放課後になった時、直博が教室に現れ一言告げた。

 

 『今日も銀髪のアイツが校門前にいるぞ』と…。

 

 その瞬間四人の表情は曇り、最早武闘派となりつつある担任(ロリコン)とクラスの男子(バカ)一同…いや、徐々にだが別のクラスの男子も混じり始めているな。

 まあ、四人共人気あるし。このままだと他の学年も加わって更に勢力拡大しそうだな。

 そんな集団が校門前に集結し、西条とバトルを繰り広げるのだった。

 で、前回同様に裏門から脱出した俺達はそのままスーパーへやってきた。

 

 「これで必要な材料は全部だな。卵と牛乳は…まあいいか。じゃあ会計済ませてくるから」

 

 買い物カゴを持ってレジで精算を済ませようとする俺の肩をトントンと誰かが叩く。

 レヴィだった。

 レヴィの左手にはお菓子がある。先程玉ネギを持ってきた時にはお菓子なんて持ってなかったのにいつの間に…。

 

 「ねえユウ。これも買ってほしいんだけど駄目…かな?」

 

 「レヴィ、お前昨日もそれ食ってなかったか?」

 

 「う……。いいじゃん、美味しいんだもん」

 

 「はあ~。ま、俺は別にいいんだけど…」

 

 目でレヴィに後ろを向けと訴えてやる。レヴィが振り返ると

 

 「「「……………………」」」

 

 ジト目でレヴィを見ている三人がいた。

 

 「な、何だよ三人共。ユウは良いって言ってくれたからそんな目で見るなよー!」

 

 「ユウキはレヴィに甘過ぎるからもう当てにしていませんがレヴィもユウキに甘え過ぎです」

 

 すみません、レヴィに対して甘過ぎて。

 

 「でもシュテるん。ディアーチェやユーリも卵と牛乳買ってるんだよ?」

 

 「卵はもう冷蔵庫に二つしか残っておらんからだ。明日の朝食に使うのだから買っておくのは問題無いぞ」

 

 「私は会計だけ一緒にしてもらって、後でユウキにお金はちゃんと返しますから自分で買ってるようなものですよレヴィ」

 

 「ユーリみたいに後でお金を返すのか自分で買うなら私もとやかく言いませんよ。でもレヴィ、貴方はユウキに買ってもらおうと思っているでしょう?」

 

 「ううっ…」

 

 図星を指されたのかレヴィは言葉を詰まらせる。レヴィは俺に助けを求める様な視線を向けてくるが

 

 「…さて、会計済ませてくるかな」

 

 「ユウ!?」

 

 俺は買い物カゴを持って歩き出す。俺を引き留めようとレヴィが俺の手を掴もうとするがシュテル、ディアーチェ、ユーリの三人に阻止される。

 後ろから『裏切り者~!!』とか聞こえてきたがマジすまんレヴィ。

 心の中で何度も謝りながら俺はレジの方に向かって会計を済ませようとポケットから財布を取り出した………。

 

 

 

 ……スーパーからの帰り道。

 

 「むう~~~…」

 

 頬を膨らまし唸っているレヴィ。お菓子を買えなかった事が余程頭にきている様でスーパーを出てからずっとこの調子だ。

 

 「『俺は別にいい』って言ったのに…。ユウは裏切った」

 

 「いい加減にしろレヴィ!ユウキに甘えるのを少しは控えろ!」

 

 未だにブツブツ言っているレヴィを見て遂にディアーチェが怒り出した。

 

 「ディアーチェはいいじゃん!卵買ってもらえたんだから!!」

 

 「だからあれは朝食に使うからといっただろうが!文句を言うなら明日の朝食、お前だけ目玉焼きを無しにするぞ!!」

 

 後ろで言い争い始める二人。シュテルとユーリは我関せずといった態度を取っており、誰も止めようとする気配が無い。

 

 「(はあ~。シュテル達にはまた何か言われそうだが)なあ、レヴィ…」

 

 「…何?」

 

 ディアーチェと口論していたレヴィが俺の言葉に反応してくれる。ブスーッとした表情でこっちを見てくるので当然ながらレヴィの機嫌は悪いままだ。レヴィの方を向いて俺は告げる。

 

 「家の冷蔵庫に俺の食べようと思っていたプリンがある。それやるから機嫌直して今日は我慢しろ」

 

 ピクッ!

 

 俺の言葉に反応したレヴィ。

 

 「っ!?う~…で、でも…」

 

 悩んでいる。お菓子を取るかプリンを取るかで悩んでいる。ならもうひと押しといった所か。

 

 「我慢するなら今度俺が買ってやるから」

 

 その一言で

 

 「本当!?じゃあ我慢するよ。約束!!約束だからねユウ!!」

 

 完全に機嫌を直したレヴィだった。

 

 「「「……………………」」」

 

 …代わりにシュテル、ディアーチェ、ユーリの視線が鋭くなり不機嫌そうな表情を隠そうともしない。

 これは家に帰ったら軽く説教されそうだな。

 

 「やっぱりユウキはレヴィに対して甘過ぎます。帰ったら説教しま「ユウ~~!!」…!?」

 

 シュテルが喋っている途中で大声を上げ、俺に飛びついてくるレヴィ。突然の事だったので避ける事が出来ず

 

 「…っとと。いきなり何だレヴィ?」

 

 正面から抱き着かれる形になってしまった。勢いはそれ程でもなかったので地面に倒れる様な事はなく、両手に持つ荷物も落とす事無く何とかふんばれた。

 

 「んふふ~♪やっぱりユウは優しいなーって♪」

 

 嬉しそうに抱き着きながら喋るレヴィに

 

 「俺としてはレヴィにもう少し厳しくしないといけないとは思っているんだがな…」

 

 そう答える。

 

 「え~!?嫌だよ!!ユウは今のままでいてよ!!」

 

 「そう言われてもな…」

 

 「ユウまで厳しくなっちゃったら僕、誰に甘えればいいの?」

 

 甘える事が前提かよ。

 

 「勿論だよ」

 

 「心を読むな。それに笑顔で答える事じゃないぞ」

 

 「むう…」

 

 若干頬を膨らますレヴィ。やれやれ…。

 

 「とりあえず早く帰ろう。プリン食いたいだろ?」

 

 「あっ、うんそうだね。それに晩ご飯はカレーだし。ユウ、早く帰ろ?」

 

 俺から離れ先に歩き出すレヴィ。

 それから振り返って三人に声を掛けようとするが

 

 ガシイッ!

 

 振り返る前に肩を掴まれました。

 

 「ユウキ…」

 

 シュテルさんが俺の事を呼びます。

 何でだろうか?振り返ってはいけないと本能が警告してくる。

 本能に従い俺は振り返らないまま会話を試みる。

 

 「な…何ですか?シュテル様」

 

 思わず様付けになってしまう。

 

 「貴方はどうしてレヴィを甘やかすのですか?」

 

 「いえ、自分でもいけないとは思っているのですが…」

 

 「本当にそう思っていますか?」

 

 「は、はい…」

 

 それからしばらく無言が続く…。ディアーチェとユーリも俺を見ているのだろう。3つの視線が背中に突き刺さる。

 

 「…まあ、いいです」

 

 「すみませんシュテル様。今後は注意しますので…」

 

 「そうですね。家に帰ったらしっかりとO☆SE☆KKYOUしますのでそのつもりでいて下さい」

 

 ……終わった。ただの説教がO☆SE☆KKYOUにランクアップした時点で俺は詰んだ。orz

 

 「さあユウキ、早く帰りますよ♪」

 

 帰ったらすぐにO☆SE☆KKYOUされるだろうな。

 そんな事を思い、俺はシュテルに連行され家に帰るのだった………。

 

 

 

 あれから少し先を歩いていたレヴィに追いつき五人で帰宅する。もっとも俺の足取りは重いがな。

 

 「……着いちまったか」

 

 これから処刑場へと変貌する我が家に到着した俺。

 逃げようにも両サイドをシュテルとディアーチェ、背後にユーリがいるため逃げられない。

 

 「ユウキ、どうしました?早く鍵を開けて下さい」

 

 シュテルが早く家に入れと言わんばかりに言うが

 

 「両手が塞がってるんだ。誰か代わりに開けてくれ」

 

 両手に買い物袋を持っている俺は手が離せないので扉を開けられない。だから家の合鍵を持っているシュテル達の誰かに開けて貰おうと頼んでみる。

 

 「じゃあ僕が開けてあげるよ」

 

 そう言って鍵を取り出し鍵穴に差し込むレヴィ。

 ガチャリと鍵の外れる音がして玄関の扉を開けた瞬間

 

 ドゴオッ!

 

 「ぐはっ…」

 

 家の中から飛んできた謎の衝撃が俺の腹部に直撃する。

 そのまま吹き飛ばされた俺は向かい側の家の塀に背中を打ち付ける。

 

 「「「「ユウキ!!(ユウ!!)」」」」

 

 そんな俺に駆け寄って心配してくれる四人。

 

 「うぐっ…ゴホッゴホッ…」

 

 激しく咳き込む俺。一体何が…

 

 「ふんっ。この程度の一撃も躱せんとは、勇紀よ。まだまだ修行が足りん様だな」

 

 家の方から声が聞こえた。未だ咳き込みながらも顔を上げ玄関の方を見ると、そこには一人の男が立っていた。右目にモノクルを装備し、スーツ姿に葉巻タバコを咥え、ひげを生やしたダンディな男。

 

 「お前!ユウに何するんだ!!」

 

 すぐさま男の方を向き俺の側にいたレヴィが男を睨みつける。

 …いや、レヴィだけではない。シュテル、ディアーチェも男を睨み、ユーリも俺を庇う様に俺の前に立つ。

 

 「ここは私達の家です。貴方は何者ですか?何故家の中から出てきたのです?」

 

 「貴様、まさか泥棒の類か!?」

 

 「警察に連絡させていただきます」

 

 「ふむ…」

 

 ユーリが携帯を取り出そうとするが泥棒(?)の男は焦る素振りすら見せず

 

 「ワシが誰かというのはそこにいる勇紀が知っておるわ。聞いてみたらどうだ?」

 

 シュテルの質問に答えていた。四人は一斉に俺を見る。

 

 「……ユーリ、携帯はしまってくれていいぞ。この人は泥棒でも何でもないから」

 

 「ですがユウキ。泥棒じゃないにしても貴方にいきなり攻撃したんですよ?」

 

 心配してくれるユーリに『大丈夫だから』と言い、立ち上がる。

 体にダメージが残っているので多少フラつきながらも男の正面まで歩き相手の目を見る。

 数秒間見た後軽く溜め息を吐き

 

 「帰ってくるなら連絡ぐらいしてくれよ父さん(・・・)

 

 「「「「へ?」」」」

 

 四人の声が重なる。

 

 「それにいきなり攻撃はどうかと思うよ」

 

 「ふんっ。ワシの息子ならあのくらいの攻撃を避けれんでどうする?」

 

 「……はあ~。変わらないね父さんは。その事実が嬉しいやら悲しいやら…」

 

 「まあ良いわ。ところで後ろの小娘達は何だ?ここを先程『私達の家』と言っておったが?」

 

 「あ~、その事は家の中で説明するよ。立ち話もなんだし」

 

 「そうか、なら早く入れ」

 

 そう言いつつ父さんは先に家の中に入って行く。俺達も早く入るか。いつまでも外にいたって仕方ないし。

 

 「四人共、固まってないで家の中に入るぞ」

 

 家の中から出てきた人物が俺の父さんだと知ってから固まっている四人に声を掛ける。

 

 「…ハッ!ユウキ、あれが貴方の父親なのですか!?」

 

 硬直が解けたらしいシュテルが俺に聞いてくる。

 

 「まあな」

 

 ポリポリと指で頬を掻き苦笑いしながら答える。

 

 「ちょっと待て!父親というのはいきなり息子に攻撃を加えるものか普通!?」

 

 「虐待ですよユウキ!これは立派な虐待です!!」

 

 「そうだよ!いくらユウのお父さんでもやって良い事と悪い事があるよ!!」

 

 続いてディアーチェ、ユーリ、レヴィも再起動し、口を開く。

 

 「世間一般の常識というカテゴリーにあの父さんを含めるなんて出来ないよ。非常識の塊みたいな人だし。さっきの一撃だって父さんからしたら挨拶みたいなもんだし…」

 

 「「「「挨拶で攻撃するのですか!?(するの!?)(するのか!?)」」」」

 

 四人の声が見事にハモる。

 

 「非常識な父さんだから」

 

 俺にはそう返す事しか出来なかった………。

 

 

 

 俺達全員家の中に上がり、今はリビングに集合している。

 俺以外の四人は父さんを多少警戒しているみたいだ。まあ、出会い頭に息子を攻撃するような父親だからな。

 まずは父さんとシュテル達が軽く自己紹介し、俺がシュテル達の事を一通り話すと

 

 「成る程な…」

 

 俺の説明を聞こえると父さんはただ静かに頷いた。

 

 「そういう事情ならこれからもここに居てもらって構わん。四人共、ワシの馬鹿息子とこれからも仲良くしてやってくれい」

 

 「……あの」

 

 遠慮がちに手を上げてシュテルが声を出す。

 

 「ユウキの説明の中に『魔法』とか普通の人ならば信じない様な単語があったのですが貴方はそんなに簡単にユウキの話を全て信用するのですか?」

 

 シュテルの意見はもっともだな。俺は魔法の事も隠す事無く全て喋った。普通なら魔法なんて信じる者の方が少ないに決まってる…というか信じないだろう。しかし我が父は非常識の塊、それに…

 

 「ワシはコイツが魔法を使えるのを知っておる」

 

 その一言で驚いた表情をする四人。

 

 「どういう事だ!?貴様も魔導師なのか!?」

 

 「ええっ!?でも魔力は全然感じませんしリンカーコアもありませんよ!?」

 

 「ディアーチェ、ユーリ。ユウが喋ったんじゃないの?」

 

 「正解だレヴィ。というよりも俺が魔法の特訓してる所を見られて喋らざるを得なくなったんだけどな」

 

 「ふんっ。あの時のお前はコソコソと隠れて何かをやっておったからな。尾行して確かめたまでよ」

 

 父さんに見付かって家に連行され、魔法の事を問い詰められたからなあ。

 

 「初めてみた魔法には多少驚いたがな。だが『裏』の世界では常識を超えた力を持つ者は意外に多いからな。ワシの衝撃波もその一つだ」

 

 「「「「衝撃波?」」」」

 

 ガハハと笑いながら答えた父さんの『衝撃波』という単語に反応する四人。

 

 「ああ、父さんは衝撃波を自在に操る使い手でな。裏の世界では『衝撃の泰造』って言われてるぐらいの人だからね」

 

 「じゃあ玄関の扉を開けた時にユウキが吹き飛んだのは…」

 

 「父さんの衝撃波だ」

 

 しかも相当手加減された威力だ。

 父さんもユーリと一緒でデバイスなんてもってないから非殺傷なんてものは無い。

 もし全力の衝撃波を直撃で受けたりなんかしたら…

 

 止めよう。自分の死体が転がっている場面しか想像出来ない。

 

 「おじさんってどのくらい強いの?」

 

 いつの間にか警戒するのを止めていたレヴィが父さんに質問する。

 

 「ワシか?そうだな…この世界でワシと互角に戦える奴など数える程しかおらんと思うがな」

 

 「へー、それって凄いの?」

 

 いまいち理解していないレヴィ。

 

 「強いぞ父さんは。俺達全員で攻撃して一撃でも入れる事が出来たら充分っていうぐらいに」

 

 あの士郎さんだって『勝てない』って断言したぐらいだしな。

 あ、士郎さんといえば

 

 「父さん、士郎さんが『久しぶりに会いたい』ってこの前言ってたよ」

 

 翠屋での士郎さんとの会話を思い出す。

 

 「士郎?もしかして高町士郎か?」

 

 「うん」

 

 「そういえば奴の経営してる喫茶店が確かこの街にあったな」

 

 「翠屋っていう名前の喫茶店だよ」

 

 「…よし、今すぐ行くぞ!勇紀、案内せい」

 

 「今すぐ!?」

 

 「無論だ!『善は急げ』ともいう。それに士郎は元同業者でワシの数少ない盟友の一人だ。ワシも久方ぶりに会って色々話したい事があるからな」

 

 スッと立ち上がって家を出て行こうとする父さん。慌てて俺も追いかけようとするが

 

 「シュテル達はどうする?一緒に翠屋行くか?といっても父さんを翠屋に連れて行くだけですぐに戻ってくるけど」

 

 振り返って四人に聞いてみる。

 

 「私は着いていきます」

 

 シュテルは着いて来る様だ。他の三人は

 

 「「「僕(我)(私)は遠慮しておくよ(しておく)(しておきます)」」」

 

 家に残るみたいだ。なら…

 

 「ディアーチェ、悪いけどカレー作る準備だけしといてくれるか?」

 

 「構わん。何なら今日は我が作ろうか?」

 

 「翠屋に案内するだけだからそんなに時間はかからないし、準備だけしといてくれたら充分だぞ」

 

 「そうか?なら準備はしておいてやるからとっとと行ってこい」

 

 「サンキューな。じゃあシュテル行くか」

 

 「はい」

 

 俺とシュテルも父さんを追いかけ玄関に向かった………。

 

 

 

 現在徒歩で移動中……。

 

 「ところで勇紀よ」

 

 「何?」

 

 「将来の事は考えておるか?」

 

 「将来?いきなりどうしたのさ?」

 

 「お前が高校を卒業したらワシの仕事を手伝わんか?」

 

 父さんの仕事ってボディーガードの事か?

 

 「いきなりどうしたのさ?」

 

 「今は未熟でもお前が高校を卒業する頃には今よりも更に強くなっているだろうからな。お前が嫌でなければワシの部隊に加えたい」

 

 部隊?

 

 「部隊って何さ?」

 

 「む?言っておらなんだか?」

 

 「帰ってきてからは一言も聞いてないよ。シュテル達の事一通り話しただけだし。父さん、電話どころか手紙とかメールもくれないから俺がそっちの事情把握する事なんて出来ないし」

 

 「それは済まなんだな。部隊というのは…」

 

 「あの…」

 

 父さんが話そうとした所にシュテルが割り込んでくる。

 

 「翠屋が見えてきましたけど」

 

 シュテルの言う通り、俺達の視線の先にはここ最近よく通うようになった喫茶店が見えてくる。

 

 「ほほう、あの店か」

 

 父さんの歩く速度が若干上がる。

 

 「じゃあ、父さん。俺とシュテルは先に家に戻ってるから」

 

 「何だ?寄っていかんのか?」

 

 「元々案内するだけのつもりで着いて来たからね」

 

 それに夕食も作らないといけないから早く帰らないと。

 

 「だからさっき言ってた部隊云々の話は家で聞かせてよ」

 

 「まあいい。少し遅くなるかもしらんから晩メシは先に食っておけ」

 

 「了解。じゃあ俺達は帰るから」

 

 そう言って俺とシュテルは踵を返し家に向かって歩き出すのだった………。

 

 

 

 それから家に帰ってすぐに夕食を作り始める俺。

 ディアーチェが準備してくれていたおかげで後は肉と野菜を炒め、カレー粉を入れて煮込むだけだった。

 肉と野菜を炒めて1時間程煮込み、あっという間にカレーは完成した。

 

 そして夕食。我が家で一番のカレー好きであるレヴィは食事中もテンションが高かった。

 カレーばっかりでサラダを食べてない事をディアーチェに注意され、拳骨までくらっていたが。

 そして皆が夕食を食べ終わった頃に

 

 「帰ったぞ」

 

 翠屋から帰ってきた父さんがリビングに顔を出す。

 

 「お帰り父さん」

 

 「うむ。これは土産だ」

 

 父さんが持っていた小さな箱を俺に渡す。開けてみると翠屋のシュークリームが10個入っていた。

 

 「お前達で食え」

 

 「いいの!?」

 

 レヴィが真っ先に反応する。

 

 「ワシは翠屋で食ってきたからな。遠慮せずに皆で食え」

 

 「わーい。おじさんありがとう」

 

 俺から箱をひったくり早速シュークリームの一つを頬張るレヴィ。

 レヴィに続いて俺、シュテル、ディアーチェ、ユーリも礼を言いシュークリームを一つ掴む。

 

 「それで父さん。翠屋へ行く時に言ってた部隊云々の事を聞きたいんだけど」

 

 シュークリームの一つを食べ終えた俺が気になっていた事を聞いてみる。

 

 「おお、そうだったな」

 

 ゴホンと咳き込んで話し始める。

 

 「まずワシの仕事だがボディーガードをやっていたのは知っておるな?」

 

 頷く俺。しかし『やっていた』と説明が過去形になっているという事は

 

 「今お前が考えている通り、半年程前にワシはボディーガードの仕事を辞めた」

 

 やっぱり。しかし仕事辞めるにしてもホントに連絡ぐらいはしてほしかったよ。

 

 「というか父さんって今無職?」

 

 「馬鹿者が!ワシが働いておらなんだらお前に『部隊に入れ』など言わんわ」

 

 「そりゃごもっとも。で、部隊っていう事は何処かの軍にでも入ったの?」

 

 「ああ、警防にスカウトされてな。ワシは今第7部隊の部隊長を務めておる」

 

 「……警防ってあの警防だよね?」

 

 父さんが警防に、しかも部隊長か。まあ裏の世界では有名人だしスカウトされてもおかしくはないか。

 俺が『成る程な~』と納得し頷いていると

 

 「あのユウキ、警防って何ですか?」

 

 ユーリが俺に質問してきた。他の三人も『一体何?』って顔をして俺を見てくる。

 

 「警防ってのは『香港特殊警防隊』っていう隊の略称。名前の通り拠点は香港にあってこの世界では最強かつ非合法ギリギリの『法の守護者』と言われ、悪を制するためには自らが悪になる事も辞さない、そんな組織の事だ」

 

 「ほう…なかなか詳しいではないか勇紀。ワシもお前がそこまで警防について知っているとは思わなんだぞ」

 

 そりゃあ、転生者ですからね。原作知識持ってますから。もっとも警防はリリなの知識じゃなくて、とらハ知識だけど。

 

 「ていうか俺が高校卒業するのを待たなくても現役の隊員さんがいるんじゃないの?その人達で部隊作ればいいじゃん」

 

 「ワシが指揮する部隊なのだ。それなりの実力を持つ者以外はスカウトせんと決めておる。それに今のお前以上の実力を持つ者など部隊長クラスの人間以外にはおらんのだ」

 

 「隊員にそこまで高い実力なんか求めなくても充分でしょうが」

 

 「鍛えるのが面倒臭いわ!」

 

 言い切っちゃったよこの人!面倒臭いって言い切っちゃった!!

 

 「それでどうなのだ?ワシの部隊に将来入らぬか?」

 

 父さんは俺を部隊に加えたいみたいだが

 

 「保留…というよりか答えはNoの方向で」

 

 「理由を聞いてもいいか?」

 

 「理由も何も俺は平和に暮らしたいんだけど…。それに俺が警防に入ったとしてシュテル達はどうするのさ?」

 

 俺がそう言うと父さんはシュテル達の方に視線を向ける。その後すぐ俺に向き直る。

 

 「父さんには悪いけど俺はシュテル達と一緒に日常を過ごしたい。俺にとっては四人共もう大切な家族だから」

 

 「成る程な」

 

 父さんの前ではっきりと言っておく。

 

 「だから父さんには悪いけど部隊の話は断らせ「構わん」て…って、へ?」

 

 あれ?あっさり許された?

 

 「どうした勇紀よ?何キョトンとしておる?」

 

 「いや、断っといてアレだけどあっさり引いてくれたなあって…」

 

 俺の実力について認めてくれたからてっきり引き留めようと説得とかするのかと思ってたけど。

 

 「確かにワシの部隊に加わってほしいが親とはいえ、他人のワシがお前の意思を捻じ曲げてまで部隊に加える権利なぞ無いからな」

 

 「父さん…」

 

 「お前の人生はお前のものだ。自分の意思で自由に生きるがいい」

 

 「…うん、ありがとう父さん。それからゴメンなさい」

 

 「謝る必要など無いわ。お前を強引にでも連れていったらワシが母さんに殺されてしまうしそれに…」

 

 父さんがシュテル達の方に向き

 

 「お前の事を好いておる嬢ちゃん達と離れ離れにさせるのは流石に出来んと思うてな」

 

 そう言って父さんはソファーから立ち上がる。

 

 「父さんどうしたのさ?風呂にでも入るなら今すぐ沸かすから少し待っててほしいんだけど」

 

 「翠屋で士郎と一杯飲む約束をしたのでな。今から駅前の居酒屋に行くつもりだ」

 

 「そうなんだ」

 

 「帰るのは夜中になるかもしれんから鍵はもう閉めてくれて構わんぞ」

 

 「分かったよ。士郎さんに迷惑掛けたら駄目だよ?」

 

 「善処はしておいてやる」

 

 そこは善処じゃなくてちゃんと約束してほしいんだけど。

 言うだけ言って父さんは家を出て行き、リビングに残された俺達。

 そういえばさっきからシュテル達が静かだなと思ってシュテル達の方に顔を向けると

 

 「「「「…………///」」」」(ササッ)

 

 何故か頬を染めた四人が一斉に視線を逸らす。

 

 「どうかした?」

 

 視線を逸らす理由が分からないがとりあえず声を掛ける。

 

 「いえ、何でも(ユウキが私と一緒に日常を過ごしたいだなんて)///」

 

 「うん、何でもないよ(ユウが僕と一緒に過ごしたいって思ってくれてたなんて)///」

 

 「何でもないから気にするな(そうか、ユウキは我と一緒に過ごしたいと思ってくれていたのか)///」

 

 「はい、ユウキは気にしなくても大丈夫です(嬉しいです。私と一緒に過ごしたいってあんなにハッキリと言ってくれて)///」

 

 四人共、蕩けきった表情で頬を緩ませている。特にシュテルの緩々な表情はレアだな。

 しかし何だろう…。四人が何か妙な勘違いをしているように思えてならないんだが…。

 

 「…まあ、いいか。とりあえず後片付けでもしますかね」

 

 テーブルの上にある空の食器を集めキッチンに持っていく。

 それから一人で後片付けをし、風呂を沸かす俺。

 風呂が沸くまでの間、四人はリビングに残ったままずっと頬を緩ませていたのだった。

 

 

 

 余談だがこの日、シュテル本人が忘れてしまったのかO☆SE☆KKYOUを受ける事無く無事に一日を終えることが出来たのであった………。


 
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