No.467353

乱世を歩む武人~第二十七話(後)~

RINさん

戦い終わっての一幕。脅威の主人公補正発動。

誤字が多すぎますね・・・他の方はどのように誤字を避けているのかが知りたいくらいに。

2012-08-08 23:09:01 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4289   閲覧ユーザー数:3670

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桂枝

「・・・呼んでいただけますか?私の真名を」

 

???

「・・・いいだろう。言ってみろよ荀攸。お前が桂花からもらった真名ってやつをよ。」

 

 

桂花

「っ!やめなさい桂枝!あんたそんなことをしたらどうなるのかわかって」

 

桂枝

「私の真名・・・桂枝と申します。呼んでいただけないでしょうか?」

 

???

「・・・ああ、わかったわかったよ「桂枝」。じゃあどいてくれ。そこにいられちゃ桂花を殺せない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桂枝

「・・・ありがとうございます。コレで心置きなくーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーあなたを殺すことができる。」

 

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桂枝

「あー・・・嫌なこと思い出しちゃった。」

 

私は首と胴体の離れた張郃の死体をみながら一人そうつぶやく。

 

本陣から感じた殺気・・・間違いなくこいつらのものだろう。

 

他の兵士はともかく張郃の殺気は絶対の意志をもったものだった。

 

だから袁家の2枚看板がすでに抑えられているとわかっていても無視できなかったのだ。こういう意志を持つものはときに信じられない力を発揮する。

 

そして来た結果がこの腕だ。金属でできた鎧をやすやすと貫通し、肉まで届いている。かなり深く切られているため普通の治療ではもはや治すのは不可能だ。

 

とりあえず鎧ごしに切られた腕を布で縛り一応の止血をする。

 

桂枝

「張郃・・・一応あの世で光栄に思ってくれ。この理由で真名を預けたやつはアレを除けばお前が初めてだ。」

 

やつを殺す間際に真名を名乗った理由。それは間違いなく「こいつになら殺されてもいい」と思ったからにほかならない。

 

私が真名を預けると決めるときは大まかに分けて3つ。

 

一つは姉や主人、霞さんのように心の底から「信頼した人物」

 

もう一つは風や稟、季衣や流琉のような「命の恩人」

 

そして最後の一つが今回のような場合。「絶対に殺すと決めた相手」だ。

 

自分が殺されるかもしれない、だが確実にこの場で自分が殺すと決めた相手。そういう相手には真名を預けよう・・・そう考えている。

 

馬鹿げた矜持だとは思っている。しかしこのくらいしないとアレを実行に移すことができなかった。

 

それ以降も一応そうしようと決めていたが実際のところ今回が初めてだった。

 

そうこうしているうちに本陣から鬨の声が聞こえてきた。我軍の勝利が確定したのだろう。

 

桂枝

「さて・・・さっさと戻らないとな。姉貴に気づかれちまう。」

 

とりあえずの腕の治療をどうしようか・・・そう考えながら私は本陣へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~一刀side~

 

一刀

「あっ。帰ってきた」

 

袁紹が親衛隊を犠牲にしつつも消息不明となり、俺たちの勝ちが決まって少し後、先ほど林の方へとかけていった荀攸が帰ってきた。しかし行った時と持っていた剣が違う。

 

夏侯惇

「荀攸!貴様・・・華琳さまの護衛を任されていながら離れるとはどういう了見だっ!?」

 

春蘭が怒りながら荀攸へと詰め寄る。

 

桂枝

「・・・言い訳しようがありません。申し訳ありませんでした。」

 

一言でも反論するかとおもいきや予想に反してなんの言い訳もせずに華琳に向かって頭を下げる荀攸。

 

春蘭も言い訳があるのかと思っていただけに驚いているようだ。

 

華琳

「桂枝。あなたの今回の任務は何だったかしら?」

 

威圧感をまとわせつつ華琳は桂枝にといかける。

 

桂枝

「はっ。此度の戦での私の役割は「主人を含めた本陣首脳陣を終戦まで守りぬく」ことでございます。」

 

華琳

「そうね。そのとおりよ。さて桂枝。あなたは・・・その任務、自分では果たしたと思っているの?」

 

なおも威圧感を増す華琳。そんな中彼は即答で

 

 

 

 

 

桂枝

「当然。主人が、姉達が無傷で今ここにいることが何よりの証だと思っております。」

 

 

 

 

 

こう言い切った。

 

 

 

 

 

桂枝は華琳の威圧に動じずまっすぐとその緑の瞳で華琳をみている。

 

数秒の沈黙。ふぅっと華琳は息を吐くと同時にまとっていた威圧感を霧散させ

 

華琳

「そうね、ご苦労様。もうすぐ陣を引き払うからその間にその腕の怪我、処置しておきなさい。」

 

桂枝

「・・・御意に。」

 

そういって一礼した後すたすたと歩いて行ってしまった。

 

華琳

「さて・・・じゃあもう戦は終わったし、城に戻って宴会でもしましょうか。これからはもっと忙しくなるしね。」

 

桂花

「御意」

 

そういってみんながそれぞれの部隊の陣を引き払い始める。

 

華琳

「さて・・・桂花もいったわね。一刀。」

 

桂花が遠くで指揮をだしていてこちらを見ていないことを見てから華琳が呼びかけてきた。

 

一刀

「うん?どうした華琳。」

 

華琳

「どうやら桂花には見られたくない様子だったからね。ちょっと桂枝の様子を見てきなさい。」

 

一刀

「荀攸の?あいつがどうかしたのか?」

 

華琳

「行けばわかるわ。おそらく大変なことになっているんでしょうけど・・・」

 

一刀

「よくわからないけど・・・わかった。ちょっと行ってくるわ。」

 

 

そういって俺は華琳に背を向け荀攸の天幕へと向かったのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

桂枝

「・・・マズイ、腕が動かなくなってる。困ったな・・・手伝いを呼ぶにしても姉貴にバレたくないし・・・」

 

 

 

そんな声のする天幕を開けてみる。

 

そこにいたのはいつも通りの荀攸と

 

 

 

一刀

「荀攸。華琳が様子を見てこいって言うからきたんだけど・・・ってどうしたんだよその腕!?」

 

 

 

 

 

 

 

血で真っ赤になっている腕だった。

 

 

 

 

 

 

桂枝

「北郷?どうしてここに?」

 

一刀

「華琳に言われたんだけど・・って今はそんな事どうでもいい!どうしたんだそれ!?さっきまでそんなに血が流れてなかったよな!?」

 

血で床まで真っ赤に染まっている。どうやら相当深く切られているみたいだ。この世界に縫って治すなんて治療法はなかったはずだしもう下手をしたらもう治る可能性はないのかもしれない。

 

だけどさっき華琳といたときにはなんともなかったのにどうして・・・?

 

桂枝

「・・・さっきまでは氣をここに集中して無理やり血を止めていたからな。解除したら・・・まぁこうなる。」

 

ホレっと腕をあげようとしたのだろうがその腕はダランとしたままだった。もしかして筋肉までやられているのか!?

 

一刀

「とにかく止血しないと!ええっと・・・とりあえずこれでいいか」

 

そういって俺は鎧の下に着ていた自分の制服を使って荀攸の傷口の上をしばった。血が染み出し赤くなってしまったが仕方ない。

 

桂枝

「おいおい・・・それお前の大切な服なんじゃないのか?天の国でしか手に入らないんだろう?」

 

一刀

「たしかに大切だけど・・・荀攸のことには変えられないよ。それに服は同じようなものを作ってもらえばいいしな。」

 

言った後に彼を見て・・・気づいた。荀攸がいつになく真剣な目でこちらを見ていることに。

 

桂枝

「なぁ・・・なんでだ?」

 

一刀

「なんでって・・・何が?」

 

桂枝

「俺とお前なんて出会ってそんなにたってないよな?いや、最初期からお前は俺をちょくちょく気にかけていたよな。ついには自分の大切な服まで俺に使ってしまうし・・・なぁ。なんでお前はそんなに俺を気にかけるんだ?」

 

心底わからないという顔をする荀攸。そんな彼を俺はまっすぐに見てこう答える

 

一刀

「お前がどう思ってるかはわからない。でも俺にとってお前はこの世界でできた初めての友達だと思ってるんだ。

 

 

 

ーーーーーーーー友達が困っていたら助けるのは当たり前だろう?」

 

 

 

 

よし、できた。腕をぎっちりと縛りなんとか止血に成功する。

 

血が止まったのでそのまま血を拭きとった時に・・・気づいた。切り口は骨まで達しておりもはや自然に治ることはないであろうことに。

 

それこそ縫合ができればいいのだろうがあいにく俺には医学の知識なんてものはない。ここにきて俺にはどうすることもできなくなってしまった。

 

一刀

「・・・これじゃあ動くわけ無いよな。クソッ!知識なんてあっても使えないんじゃ何の役にも立たない・・・!」

 

どうする?とにかく衛生兵を呼んでみるか・・・?

 

桂枝

「・・・ちょっと俺の腕、持ってくれるか?」

 

何かを考えるような顔をしていた荀攸が唐突にそう切り出してきた。俺は言われたとおりに彼の血の付いている腕を持ち上げる。

 

桂枝

「悪いな。自分で上げてればいいんだろうが力が入らないんだ。そのまま傷口同士を抑えるようにして・・・よし、動かすなよ。」

 

俺が腕を上げ傷口同士を塞ぐようにしてやると彼は手元にあったカバンから何かを取り出した。あれは・・・

 

一刀

「・・・針?」

 

桂枝

「ああ、これは霞さんにも見せてない俺の秘密兵器だ。まぁ見てろ。」

 

そういって荀攸は持ち上げている腕にそれを刺す。するとぱぁっと光りが発生し瞬く間に傷がふさがっていった。

 

一刀

「おお・・・すげぇ。」

 

桂枝

「これは氣を使った治療法だ。とはいってもギリギリくっついている状態だしここ3日はヘタに動かせん。」

 

一刀

「さっきの針が切り札?」

 

桂枝

「そう、あの針は非常に氣を内包しやすい素材を使っていてな。俺が基本一本あたり半年の間毎日欠かさず氣を通してやっと一本できる代物だ。その氣の含有量はおよそ夏侯惇さんの5倍。ちゃんと治癒促進のツボを付けばこの通りさ。」

 

これはとある場所でならった手法なんだがね。と荀攸は言った。

 

一刀

「・・・ちなみにこれあと何本あるんだ?」

 

桂枝

「3つ。俺の氣だから俺にしか使えないし使うと無理やりふえた氣を制御しなくちゃいけないから氣がなくなるとすごく疲れる。だから秘密兵器。」

 

一刀

「3つか・・・じゃあ慎重に使わないとな。」

 

まさしく切り札。治癒促進のツボとわざわざいうあたり身体強化もあるのだろう。おそらく凪に聞いた「馬のような速度で走ってた」っていうのもこれだと思う。

 

でも作成に半年かかるらしいし・・・何をやっていてもなんでもないように振る舞うこいつがわざわざ「負担がでかい」って言うくらいだ。その負担はおそらく尋常ではない。

 

現に今の桂枝は顔色が悪い。血が足りないというのもあるだろうがきっとそれも原因だ。

 

桂枝

「コレのことは黙っておいてくれな。負担もでかいしいざって時にしか俺も使う気がない。」

 

一刀

「ああ、わかってるよ。流石に試合で使えとは言わないだろうけどバレると色々大変そうだもんな。」

 

俺はこのことを絶対に話さないと心に誓った。試合で~と自分で言ったが春蘭あたりはもしかしたら言うかもしれないしね。

 

 

 

 

桂枝

「わかってくれて何よりだ。ああ、それとな北郷。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー俺のことは「桂枝」でいいから。」

 

 

 

 

 

 

一刀

「はぁっ!?」

 

俺は今すごく呆けた顔をしているだろう。そのくらい驚いた。

 

桂枝

「・・・そんなに驚くことか?それともいやだったか?」

 

一刀

「いや、嫌なんてことはない。むしろうれしいさ。だけどさ・・・なんでいきなり?」

 

俺もこいつの真名に対するルールを知っていただけあって一生預かることはないだろうなと思っていた。なのに今になって何故・・・?

 

桂枝

「理由ねぇ・・・俺の戦いを見ていたくせにそんな真っ直ぐとした目で「友達だから助ける」なんて言葉を二度も言えるその馬鹿さ加減。

 

更に戦慣れしてるわけでもないのに俺の血まみれの腕に対して怖がりもせずに心配の言葉をかけ挙げ句の果てに自分の大切な服まで汚すことをためらわないその心意気。

 

・・・こんなやつに「殺される」ようなことがあるんなら俺に人生に先はないだろうよ。」

 

そう言ってこちらを見て軽く笑った。

 

言ってることは結構辛辣な気がするがなんだろう・・・すごく嬉しい。

 

コイツが真名を預けてくれたっていうのは極端な話「命をあずける」といったことと同義。しかも別に命の恩人ってわけでもない俺に預けるってことはそこまで「信頼」してくれた証ってことになる。

 

今まで色々な人の真名をもらってきたがここまで重いものを預かったという感覚を受けるのは初めてだろう。

 

 

 

 

 

だから俺は・・・

 

 

 

 

 

一刀

「じゃあ・・・改めてよろしくな「桂枝」。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから時間をかけてでもこいつの信頼に全力で応えてやろう。そう思った。

 

 

 

 

 

桂枝陥落。これで袁紹との戦いは終了です。あと数話で第二部も終了いたします。

 

<お知らせ>

第六話で詠に「なんでそんなに真名を大事にしているの?」と聞かれているシーン。

 

桂枝が「真名は物心付く前に姉にもらった」といっておりましたがそうすると桂花と桂枝どれだけ年齢離れてるんだよということになると気づきました。

 

なのでその部分は「込み入った事情があってそうなった」ということに変更されております。軽い誤字脱字程度ならともかく物語の核心が変化するレベルで重大なミスなだったためここで報告させていただきます。

 

ご理解の程よろしくお願い致します。

 

 


 
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