No.465055

乱世を歩む武人~第二十五話~

RINさん

桂枝と一刀。主人公さんは今日も頑張ってます。

2012-08-04 22:41:48 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:4742   閲覧ユーザー数:4089

桂枝

「主人、これが確定した消耗品の目録とその予算です。ご確認を」

 

華琳

「確認するわ・・・うん、問題なしよ。悪いわね桂枝。こんなギリギリで仕事を任せてしまって」

 

桂枝

「いえ、私がやるのが一番早く終わるでしょう。問題ありません。」

 

袁紹軍との戦への行軍が開始されるまであと10日前後といった所だろうか。すでに各々の部隊は準備を始めており終わったものから英気を養うために休んでいる。

 

張遼隊も先日には確認まで終わらせておいたので霞さんは今頃どこかで酒でも飲んでいるだろう。

 

私も非番の日だったということもあり久しぶりに何もない休暇を取れる予定だった。しかし明日に最終軍議を残すという所で累計が済んでいないということが判明したので急遽呼び出されたのだ。

 

華琳

「そう言ってもらえるのなら何よりよ。さて、あなたも休んでらっしゃい。あとは桂花達との打ち合わせだけだから問題無いわ。・・・そのかわり戦場では期待しているわよ?」

 

桂枝

「御意に。必ずや期待にお応えいたしましょう。では・・・失礼します。」

 

そう言って主人の執務室を後にした。

 

桂枝

「さて・・・と。ようやく予定が空いたわけだしなにもしないで寝てるとしようかな。」

 

ココに来る前に昼食は用意してあるし姉たちの夕食の仕込みも終わらせてある。後は料理人でも調理は可能なため今日は終日完全に自由だ。

 

また仕事に呼ばれるもの面倒だしどこかに人気のない場所はないかな・・・と思考を巡らせようとしたその時だった。

 

 

 

一刀

「あっ。荀攸!お前武官だし今は空いてるよな?良ければ手伝ってくれ!」

 

 

首都警備隊の隊長殿からご指名を頂いたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桂枝

「そうだな・・・お前以外は自分の部隊持ってるもんな。当然武官だし休暇中か。」

 

今は街の警邏中。北郷隊の三人が非番ででかけてしまったとのことなので急遽代理にあてがわれてしまった。

 

一刀

「ああ。そしたら沙和も真桜も街の外まで行っちゃってさ。どうしても欲しい物があったらしくて・・・季衣達はまだ準備中だったし頼めるのがお前しかいなかったんだよ。」

 

ちなみに北郷は自分の部隊を直接指揮をするわけではないので普通に仕事があるらしい。袁紹との戦が近い今戦闘力が殆ど無い北郷を一人で巡回させるわけにも行かず。丁度手頃な人材である私が駆りだされたのだった。

 

桂枝

「そうか。親衛隊はまだ準備が終わってなかったのか。ならコレが終わったら手伝いに行ったほうがいいのかもな。」

 

主人の親衛隊だし流石に今日の夕方までには終わってるとは思うが念のため後で確認しに行かないといけなさそうだ。

 

一刀

「・・・悪いな。付きあわせちゃって」

 

桂枝

「どうせ誰かがやらなければいけないことなのだろう?俺がやって姉貴や休暇中の霞さんに声がかからないのならそれで十全だよ。」

 

まぁもうお酒を飲み始めてるだろうから今更どうにかなるものでもないだろうけど。

 

一刀

「・・・お前苦労性って言われない?」

 

桂枝

「風辺りにはよく言われるな。それがなにか?」

 

一刀

「・・・いや、なんでもない。」

 

そんな会話をしていた時だった。

 

男の子1

「あ!隊長さんだ!」

 

 

桂枝

「む?」

 

急にわらわらと子供たちが北郷のもとに集まってきた。

 

桂枝

「おっと」

 

集まってきた子供たちにとりあえず距離をとって静観することにする。

 

一刀

「おっす。元気かお前たち?」

 

女の子1

「こんにちは!隊長さん!今日はお仕事?」

 

一刀

「ああ、街の警邏中だから遊ぶのはまた今度な。」

 

男の子2

「え~!遊ぼうよ隊長さん!」

 

女の子2

「そうだよ!知ってるよ!今日は皆おやすみもらってるって!」

 

一刀

「いや、それは将軍の人だけだから俺は休みじゃなくって・・・」

 

男の子1

「隊長さんお休みなの?じゃあ鬼ごっこしようよ!鬼ごっこ!」

 

女の子1

「え~!私天の国のお話聞きたい!」

 

女の子2

「隊長さん!この前新しくできたお店すっごく美味しかったよ!」

 

一刀

「だから休みじゃないって!ちょっと人の話を聞けって!」

 

わらわらと集まってくる子供たち。街の人も「いつものこと」としてるのか優しい目付きで見ている程度だ。

 

桂枝

「・・・人気者だねぇ。相変わらず」

 

北郷の周りには常に人が絶えない。もとより天の国の服ということもあり遠目からでもひと目で分かるこいつを見たものは曹魏の将や兵を始めとして子供が、街人が、そのあたりの店の店主でも何かしらの反応を示す。

 

例外一部を除いて大抵の人が示す反応は「好意」。こいつはただそこにいるだけで人を笑顔にすることが才能を持っている。あの姉ですら真名を自然に呼ばせているあたり内心どこかでは認めているのだろう。

 

それは主人にすらない才能。主人がその「在り方」をもって日輪となろうとしている人間だとしたらこいつは「存在」そのものが光を放つありえない存在。

 

自分が光を放っているせいか自身には武や智がなくとも夏侯惇さんのような豪傑だろうとその本質を見極めた接し方をする。

 

実際この国の将は主人を含む皆が彼の前では武人ではなく個人として接している。ソレこそ武人だろうが軍師だろうが関係なしにだ。

 

その在り方を一番近い所で言うならば・・・劉備さんあたりだろうか。男でありながら彼女と同程度の才能をもつこの大陸でも稀有な存在だ。

 

更に彼が持っている「天の知識」。北郷が言うには天の国には書物にあるだけで4000年以上の歴史があるという。

 

それはそれだけの時をただ政治のみに、技術のみに、武術のみに捧げてきた人がいるということ。4000年延々とその発展のみを望んでつないできた人間がいるということ。

 

だからコイツの話は「どうあがいてもできないこと」から「発想を変えれば思いつきそうなこと」まで様々だ。実際この国の発展にも大いに貢献していることだろう。

 

かく言う私も北郷にとっては「聞きかじり」程度の武術の話もたまに聞いている。そしてそれを再現することが少しずつだができ始めてきた。

 

桂枝

(こいつが他国に行ったら危なかったろうなぁ)

 

そんなことを考えていて・・・気づいた。

 

女の子3

「どうしよう。私が行っても隊長さん迷惑じゃないかな・・・?」

 

少し離れた所でじーっと北郷を見ている女の子。輪に入りたいのに機会を逃したのだろうか、もじもじとしている。

 

桂枝

「・・・ふぅ、見なけりゃよかったんだけどね。」

 

とりあえずもはや警邏を諦めて目の前の子供相手を高く持ち上げている彼がその子供を下ろした隙に小石を跳ね返っても子供たちに当たらない角度でぶつける。

 

一刀

「痛っ」

 

とりあえずこちらに気づいた北郷に対してちょいちょいと親指でその女の子を指摘してやった。

 

一刀

「ん?どうした?こっちに来なよ。一緒に遊ぼう。」

 

女の子3

「・・・っ!うん!」

 

そういってトテトテと走って行き子供たちの輪に入っていった。

 

桂枝

「さて・・・と、行くかな。一応警邏だし。」

 

 

とりあえず楽しそうに遊んでいる子供たちを背に既に聞いていた巡回の道を歩き始めたのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

~一刀side~

 

一刀

「ほんっとうにごめん!このとおり!謝るからさ!」

 

桂枝

「・・・いや、別にそんなに謝らずともいいんだが」

 

結局あのあと子供たちと遊んでしまい気がつけば夕方。既に荀攸が巡回を終え報告を代理でやってもらい帰ってきた所でようやく自分が手伝ってくれと頼んだことを思い出した。

 

一刀

「でも・・・お前今日あのあと休みだったんだろ?それなのに俺が逆に仕事しないでお前に働かせちゃって・・・」

 

桂枝

「構わん。俺には子どもと遊ぶなんていうことはできんし「話しやすさ」を作るという意味ではあれも立派な治安維持だろうよ。」

 

その表情からは相変わらず何も察することが出来ない。だが少しの付き合いだがなんとなく荀攸のことはわかってきた。

 

まず荀攸は他人に対して距離を自分から詰めようとは全くしない。仕事上頼まれたことはやるがソレ以上のことはせず「終わった」という報告だけ残して去っていく。

 

実際うちの三人娘には全く干渉しようとしないらしい。無視をしているわけではないのだが会話に発展している姿を見たことがない。春蘭や秋蘭も私的に接したことは全くないと言っていた。

 

一番接していて真桜だ。どうやら自分の武器を頼んでいるそうだが「金払いはええんやけどこう・・・事務的なんよなぁ~」とこぼしていたのを聞いていた。

 

 

 

「近寄りづらい」 

 

 

 

それが彼を「荀攸」と呼ぶ人の大体の評価だ。

 

 

実際俺も最初は近寄りづらいと感じていたが最近わかったことがある。それは・・・

 

一刀

「わかった・・・じゃあ代わりに夕食をおごらせてくれ。それくらいしないと俺の良心に収まりがつかん。」

 

桂枝

「いや、いいよ。このあとかえって適当に食うから「いいから!もうお前のことだから仕込みまで全部済ませてるんだろう?」・・・よくわかったな。」

 

一刀

「だっていつもそうしてるじゃん。だから今日くらい俺におごらせてくれよ。」

 

桂枝

「・・・はぁ、了解。ではそうさせてもらうかな。」

 

そう、とりあえずおしてみること。自分や身内の不利益にならないことに限るが強く押すとこいつは案外あっさり折れる。

 

とりあえずはこうやっていろいろな機会を設けてみてゆっくりと距離を近づけて行くしかないだろう。

 

一刀

「決まりだ。じゃあラーメンにでもするか。最近あっちにいいラーメン屋ができたんだよ。」

 

桂枝

「はいよ。・・・しっかしお前も変わってるよなぁ」

 

一刀

「ん?何がだ?」

 

桂枝

「いや、わざわざ俺なんかをそこまで誘わなくともお前なら引く手あまただろうが。それこそ今ならそっちの三人も帰ってくる頃じゃないのか?」

 

なんて荀攸が言ってた側から

 

于禁

「あ、隊長なのー!」

 

李典

「ほんまや。隊長に荀攸兄さんまで。今から夕飯か?」

 

例の三人娘が帰ってきたようだ。

 

楽進

「隊長!人手が足りなかったと聞いたのですが本当ですか?」

 

一刀

「え?あ、ああ。大丈夫だよ。荀攸も手伝ってくれたし。」

 

楽進

「荀攸さまが・・・?すいません。我らのせいでご迷惑をお掛けしました。」

 

そう言って荀攸に頭を下げる凪。

 

于禁

「ねぇねぇ。なんで謝ってるの?沙和達非番なんだし別に悪いことしていないと思うの。」

 

楽進

「馬鹿、忘れたのか?我らだけでなく準備が終わったところから我ら以外にも副将以上の武官全員に非番が与えられてると」

 

李典

「えっ?もしかして荀攸兄さん・・・今日非番やったんか?」

 

一刀

「そうだよ。ちょっと人数に穴があきすぎちゃったから手伝ってもらったんだ。非番なのに」

 

李典

「ほんまかいな・・・えらいすまなんだな荀攸兄さん。」

 

于禁

「知らなかった・・・ごめんなさいなのー」

 

そういって二人共頭を下げた。

 

桂枝

「いや、先ほど言った通りお前たち非番だったんだろう?別に私は構わないんだが・・・」

 

楽進

「それでも我らがそこの確認を怠ったがゆえに起きたこと、謝罪を受け取っていただきたい。」

 

桂枝

「・・・真面目だねぇ。それで、二人は街の外まで買い物と聞いていたが目的の物は買えたのか?」

 

于禁

「もちろん!最新のお洋服はバッチリ買って部屋においてきたの!」

 

李典

「ウチもや!ちゃーんと最新の工具手に入れてきたで!コレでアレの制作もバッチリや!」

 

桂枝

「目的を果たせたのならいいさ。それを以って謝罪の意とさせてもらうよ。じゃあこの話はここまでだ。今から夕食らしいから一緒に食べてくるといい」

 

 

于禁

「えっ!隊長のおごりなの!?」

 

楽進

「お前たち!」

 

李典

「だってウチら今日買い物してもうてカツカツやんや。凪やて香辛料どっさり買い込んでたさかいかなり厳しいんやろ?」

 

楽進

「うっ・・・それは。」

 

一刀

「ははっ。まぁこれから目一杯働いてもらうんだからそのくらいしてやるさ。いいぞ。今日は俺がおごってやる。」

 

于禁

「やった!隊長のおごりなの!」

 

楽進

「・・・すいません。ごちそうになります。」

 

あの凪が一度も断らない辺りほんとうに厳しいんだろうな。・・・どんだけ買ったんだよ。

 

桂枝

「さて・・・ではな北郷。北郷隊の団欒に口を挟むのも馬鹿らしいし失礼させてもらうよ。」

 

そういってスタスタと歩いて行こうとする荀攸。しかし・・・

 

 

 

 

 

 

一刀

「まてぃ」

 

桂枝

「むっ」

 

頭巾部分を掴んで無理やり引き止めた。

 

桂枝

「・・・何をする。」

 

一刀

「あのな・・・さっき言っただろうが。俺がお前におごることは確定なの。ただ三人増えただけだ。」

 

最近気づいた特徴の一つ。こいつは基本他者に自分のやったことを話さない。

 

余りに自然に指摘されたから気づかなかったがさっきも離れて見ていた女の子に真っ先に気づいたのは荀攸だった。

 

台帳の時もラーメン屋の時もそうだった。霞の話によると副将として戦ってる最中も報告に上がるのは部隊としての戦果のみ。こいつ自身が何人倒したかなどは全く報告しないという。

 

華琳も「これじゃあ恩赦が当てられない」といっていたからよく覚えている。

 

要するに自分の不利益について無頓着なのだ。今だって俺達4人の楽しい空気を壊すとか考えて場を離れようとしたんだろう。

 

桂枝

「お前の部下三人だろう?あまり縁のない俺のような奴がいたら空気が壊れてしまう。」

 

・・・ほら、やっぱり。

 

一刀

「その程度で空気を壊す連中に見えるか?」

 

改めてキャイキャイいってる三人を見る荀攸。そして一言

 

桂枝

「・・・変わらないかな。」

 

一刀

「だろう?それにさ・・・別に俺はお礼をしたいからってだけで誘ってるんじゃないんだ。」

 

色々とかこつけてみたがなんだかんだいって俺がコイツを止める理由なんてただひとつ。

 

「ーーーーーーーただ単純に友達であるお前と飯を食いにいきたいんだよ。」

 

コレが本音だ。飯をごちそうになったことは何度かあるがこいつと一緒の食卓についたことはなかった。

 

せっかく仲良くなれそうなのに飯も一緒に食べないなんてつまらないじゃないか。

 

じっと目を見てくること数秒。やがて呆れたようにため息を吐き

 

桂枝

「やれやれそれが本音かよ。・・・本当に面白いやつだよなぁお前。」

 

軽くだが笑ってみせた。

 

桂枝

「そこまで言われては断ることもできん。悪いが食べるところまではわからないんでな。適当でいい、任せた。」

 

一刀

「ああ、このへんはよく知ってるし任せておいてくれ。」

 

 

 

 

こうして俺達は荀攸とともに夕食をとったのだった。

 

 

 

沙和のトークに的確な返しをし、凪の唐辛子ビタビタ料理に驚き、真桜のからくり話を静かに聞く荀攸を見て俺はコイツとの距離がちょっと縮まったかな・・・とそんなことを思っていた。

 

 

一刀

「いつから俺の射程にお前が入っていないと錯覚していた?」

 

桂枝

「なん・・・だと・・・?」

 

そんなお話でした。

 

 

 

コメントの意見をみてひらめいた一節です。ご意見ありがとうございました。

 

未だ日常の絡みなどは募集していますのでご意見・ご感想があればよろしくお願いいたします。


 
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